ベリーグッドマン VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

ベリーグッドマン『SING SING SING 7』

これから出会う新しい人たちも含めベリーグッドマンが掲示したネクストフェーズ

かねてより念願の一つの夢であった大阪城ホールを今年初旬に即日ソールドアウトで大成功させたベリーグッドマン。昨夏にはこれまでの集大成的なベスト盤をリリースし、今春にはそれらオールタイムベスト的な内容のライブツアーも大成功に収めてきた。ここにきて彼らの代名詞とも呼べる「パワーソング」の定義やアーティストイメージはより確立され、多くの方に認知されたと映る。
しかし、まだまだ彼らはこれ以上に幅広い層や大多数にアピール出来るポテンシャルを充分に持っている。そこにコミットする為にも重要なのが、このニューアルバム『SING SING SING 7』と言える。同作は新要素も多分に含み、従来の彼ららしさを保持しつつも、これから出会うであろう人たちも含め、更に間口を広く、バランスも良く、多くの人の中にスッと入り込み、心に居座り続けるであろう楽曲が多数収録されている。
同盤リリースに際する真意の幾つかをRoverとMOCAに語ってもらった。

■今回のニューアルバム『SING SING SING 7』は一連の自身の振り返りを経て、改めて自分たちの強みや武器、他のアーティストより勝る部分の自覚から成り立っている作品印象を受けました。

Rover それは多分にあります。大阪城ホールでのライブを終えた区切り感、そして、それ以降これから必要となってくるであろう楽曲の必要性も踏まえ、それらが網羅された作品になったと自分でも感じていて。

MOCA まさに今作の目指していた部分や狙いってそこなんです。1曲におけるいい意味での力の抜き方も出来たし。ちょっとふざけた題材の曲も入れてみたり、今まで無かったタイプの曲にも挑戦してみたりしていますから。

■確かに新要素も含め、様々なこれまでになかった試みが見受けられます。

MOCA とりあえず今は思いつくことを楽しくやってみて、その先に何か新しいもの、自分たちがこれだと思うものが見つかるんじゃないかな?みたいな軽い気持ちで挑みました。逆を言えば、出せば出すほど楽曲や作品に固執しなくなってきた面が上手いこと表れたかなって。今まではメッセージソング、ラブソング、アッパーソングみたいなカテゴライズがあったとしたら、今回はコミカルさや面白いところをやることで作品に深みが出せたりもしたし。

■と言うことは今回はそこまで気負いなく制作に挑めたと?今回意外だったのは、原点に立ち戻ったわりには昔みたいにガムシャラにグイグイと来ていない面で。良い面は残しつつ全然トゥーマッチに感じさせない。おこがましいですが、そこにみなさんの成長を感じました。

Rover 変えないところと変えるべきところが感覚的に分かって制作に臨めたんです。認知度の上昇の自覚もあるので、その辺りに甘えながらもしっかりと、且つ余裕も出しつつ作れたかなって。あとはもっと更に知ってもらいたいという思いもありました。

■それは?

Rover イベントやフェス等の、自分たちを知らない人の前で演る際に、もっと気になってもらったり、好きになってもらう必要があるなって。特に今回の作品に入っているような曲たちには。

■ライブでは初見、楽曲では初聴の人でもグッと惹き込める楽曲の必要性を感じて

Rover ですね。作品ではそれこそタイアップ曲等を通して、幅広く多くの人に分かりやすく認知を上げつつ、ライブではエレクトロやゴスペルっぽい部分も交えて、深みや幅広い間口を作り、よりみなさんに聴いてもらったり、親しんでもらったりできる。そんな入口の作品を今回、改めて目指したんです。やはり幅広く色々な方に聴いてもらいたいですからね。

MOCA 今回、一番最初に出来たのが「スタートライン」で。

■わりとベリーグッドマンの真骨頂や王道感のある曲からだったんですね。

MOCA そうなんです。今回のアルバムのコンセプトは特に「自分たちがいい」と思ったものを詰め込み、リリースが夏なので「夏っぽい曲を半分ぐらいは入れてみようか」くらいの話を最初にして。そんな中、“スタートライン”が出来、次に“大丈夫”が出来て、わりと自分たちらしい曲がポンポンと骨組み的に出来たんで、だったらちょっとそこから外した、例えば、「夏だしレゲエっぽい曲欲しいな…」と“Good Day”が出来て…とか、「フェスの最後に歌える曲が欲しいな…」と“Happy 7”」が出来たりと、1曲づつが繋がって、よりアルバムが補完されていった流れです。

Rover なのでバランス的にはかなりいいし、わりと全方位的な間口の広い作品になったと自分たちでは感じています。

MOCA で、最後に“線香花火”が出来て側が全部整った感じです。なので、この“線香花火”も途中で狙って作っていたら、たぶんこのような曲にはなってなかったでしょうね。

■この“線香花火”には驚かされました。シンプルなトラックにコーラスグループ的なハーモニーと各人の歌だけで曲を成立していたので。

MOCA まずは突如、Def TechのMicroさんと一緒にやる話になったんです。一緒に遊んでいる際に、向こうはノリで声をかけてくれたんでしょうが、これはマジなところを見せようと。(笑) 次の日にはオケのトラックを送りましたから。せっかくMicroさんとやるんだから、サウンド感的にもHiDEXとは違う要素と、メッセージ的にも自分たちだけではなかなかできない題材でやりたいなと。トラックを聴いた時に夏の終わりの線香花火をしている光景が浮かんできて、そこから出来た曲です。最終的にはMicroさんも、僕らの大阪のレコーディングスタジオまで来て下さって、一緒にレコーディングもしたんです。

■もう一曲、新機軸とも言える“Secret Drive”の方は?こちらもトレンド感があります。あと、これまでにあまりなかったアダルティで大人な雰囲気もある曲です。

MOCA おしゃれでしょ?(笑) これはループ素材のサイトをHiDEXに教えてもらい、そこでループを組んで作り出しました。

Rover ようやくこういった要素も出せたなって。元々こういったタイプも作れるし、歌えもしたんですが、どこか時期尚早感があって。このタイミングが来たからこそ、より好きなこと、やりたかったことが堂々と出来るようになり、今回やってみました。

■打って変わって、Roverさんによるアコギインストの“とにかくこの瞬間だけはぐっすり眠るために爪弾きたくて”は?

Rover もうこのシリーズがやりたいだけの曲です。(笑) ホント、タイトル通り。マジでちゃんとぐっすり寝れる曲を、と作りました。それを意識したメロディとテンポ感、音色にしています。