GARNiDELiA VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

GARNiDELiA『Duality Code』

進化したGARNiDELiAが掲げる「2人でしか作れない2人のアルバム」

GARNiDELiA待望の5枚目アルバム『Duality Code』が11月17日にリリース。昨年はソロ活動に専念し、各々の表現を拡張した2人が作り上げた楽曲たちは、これまでのGARNiDELiAで描かれることが決して多くはなかった感情を拾い上げたものとなった。tokuの曲にMARiAの力のある詞が載る、それだけでGARNiDELiAなのだという自信を備えた2人。進化したGARNiDELiAの自由な表現が炸裂するアルバムについて、12月から始まるツアーについて、そしてコロナ禍で再考し、辿り着いた音楽をやる意味。MARiAとtoku二人にたっぷりと話を聞いた。

■それぞれ2020年はソロ活動に専念し、今回は1年ぶりのアルバムリリースです。完成した今の気持ちを教えてください。

toku コロナ禍が明けてくれることを願い、ツアーに向けた楽曲を作っていきたいっていう気持ちがにじみ出た1枚が出来上がったなと思っています。早く聴いてもらいたいです。

MARiA みんなに会う機会も音楽を届ける場所もかなり減った2年間だったので、その期間を経てアルバムを出すということは、お客さんに自分たちなりの今の思いだったり答えを提示しないといけないと思って。「今の私たちはこうだし、ここからこういう風に生きていく」っていうのをこのアルバムでみんなに伝えたかったから、そういう思いもこもった『Duality Code』です。「Duality」は「二元性」で、「Code」は「自分たちのポリシー」ということなので、「2人でしか作れない2人のアルバム」ということで『Duality Code』というタイトルをつけました。それぞれソロの活動を経てこのアルバムをリリースすることで、改めて私たち2人で作ること、2人でGARNiDELiAなんだっていうことを強調したくて。私たちが作る作品すべてがGARNiDELiAのものになるということを掲げたいアルバムです。

toku あとは今回コロナ禍での制作だったので、基本的にドラマーとしか会っていなくて、あとは宅録でお任せするという形で制作したんです。やっぱりお互いに会ってやった方が楽しいんだろうなとは思いましたね。自宅で完パケできるようなシステムを今回は組んでしまったんですけど、散々やってみた結果、溜まったフラストレーションというのもあって。だからこそ早くライブをやりたいなと思いましたし、次の作品はできればみんなで顔を合わせてスタジオで録りたいなっていう。テクノロジーの進化とともにやりたいことや、やれることは広がったけど、シンプルに音楽をやるっていう意味では、ちょっと遠くなってしまった感はあるなと考えさせられる制作でした。

■テクノロジーが発展したからこそ、本当にそれに委ねているだけでいいのかっていうところはありますよね。今回の楽曲ですが、今までよりも曲調や歌い方がすごく豊かになっていると感じました。それぞれのソロの経験が大きかったと思うのですが、それを経た変化は感じていますか?

MARiA 私の場合、今までは自分で書いた詞とtokuのメロディを歌い続けてきたんですけど、ソロアルバムではあえて違うみなさんからいただいた言葉を私が歌だけで表現していくっていう試みをしていて。こんなにたくさん短期間でtokuが書いていない曲を歌うことも、私が書いていない詞を歌うことも初めての経験だったんです。だからすごい新鮮で。あれだけ個性的な方々に詞を書いていただいたので、楽曲の幅もすごかったんです。自分からは生まれない言葉たちに自分の歌を載せていくことで、「こんな歌い方ができるんだ」とか、「こういう表現の仕方もあるんだ」と気づかされました。歌だけじゃなくて、詞にも刺激をいただきました。「こういう表現の仕方をすると、すごく切ない気持ちになったりするんだな」とか、人からいただいたことで、歌詞の書き方や言葉の選び方など、すごく勉強になったんです。それが改めて自分が書いている歌にも活きていると感じて。ソロアルバムを作っていなかったら、この曲たちは生まれなかったと思うし、またちょっと違ったアルバムになっていたんだろうなと感じています。あとはソロでの活動があったからこそ、tokuのメロディがあって、私の歌と詞があってGARNiDELiAなんだということも、改めて再確認できました。なので、ソロアルバムを作ったことによって自分に影響していることはかなり大きかったなと思います。

■歌い方も力が抜けたというか、切なさなどの感情の表現が変わったように思いました。

MARiA ありがとうございます。前は常に戦っているような感じで、張り詰めていたんですよ。「ガルニデのMARiAは強くなきゃいけない」っていうプライドというか。お客さんには弱さを見せないっていうのを自分の中で決めてステージに立っていたから、書く歌詞も強い意思を持って信念を貫くっていうことを歌い続けてきたんです。それがソロのアルバム『うたものがたり』で、儚い女性だったり、切ない歌だったり、そっちの幅を広げてもらったことで「自分をもっとさらけ出してもいいのかもしれない」って、少し肩の荷が降りた感じがあって。

■なるほど。

MARiA 今までは主語に「僕」を使うことが多かったんです。なので、男性が聴いても女性が聴いても共感しやすいというか、夢を追いかけている人たちに向けて背中を押せるような曲を書いてきたつもりでいて。でも今回のアルバムは、主語に「私」をかなり使っているんです。共感とかそういうものよりも、今私が何を歌いたいか、私が伝えたいことを全部詰め込むっていう気持ちで書いたので、かなり等身大なんです。女性らしさとか、私が生きてきた道の片鱗が見えたりすることで、すごくリアルになってより身近に感じてもらえると思うし、もしかしたらみんなも共感しやすいんじゃないかなって思います。ソロアルバムで、結構「自分とは?」っていうのをすごく考えたので、それがすごく反映されていると思います。その引き算みたいな変化が生きてくる曲調も今回はすごく多かったです。tokuのサウンド面にも変化があったから。

toku そうですね。僕のソロ作品では、声優アーティストさんの声も個性的な声なので、そこまでオケにお化粧をしなくても楽曲として成り立つなと思って。ガルニデは今まで結構音数が多くて、音の大洪水的なことをやってきたんですけど、ここでちょっと引き算というか、オケをシンプルにすることによって、もっとボーカルを惹きたてるみたいなことをやりたくなったんです。ボーカルがMARiAだったら、こう歌ってくれるだろうなっていうプランも立てられるので、こういう曲が作りたいっていうのがどんどん湧き出てくるような制作期間でした。

MARiA いろんなことが解き放たれたよね。今までのガルニデだったら「この曲はガルニデっぽくないよね……」って、外してきたような曲も今回は入っているんです。今回入っているタイアップ曲2曲は、両方とも恋愛がテーマだし、そこからしてもう今までのガルニデとは違う。“オトメの心得”はビッグバンド調で、ジャジーで、すごい明るくてハッピーな曲で、今まで絶対に挑戦してこなかったような曲なんです。なので、お客さんがどんな反応をするのかすごく気になっていたんですけど、SNSとか見ると「やっぱこれがガルニデだよね」ってみんな言っているから、みんなの中でのGARNiDELiAも変わっていっているんだなと思いました。今まで幅広いものをやり続けてきたから、2人揃ってやっていればちゃんとGARNiDELiAのものになるんだなと。だから、「tokuが作って私が歌えばGARNiDELiAになる」っていう自信がつきました。今作はいろんなものから解き放たれて作ったアルバムですね。

■“オトメの心得”の話も出ましたが、特に今回のアルバムの中でも「僕」が減ったっていう変化を象徴するような雰囲気の曲だと思います。それでいて強い女性を感じさせるのがMARiAさんらしくもあると感じました。

MARiA アニメに出てくる夕月ちゃんの心情や自分の気持ちを重ね合わせて書いているんですけど、女の子って可愛いだけじゃなくて強さも絶対にあるから。好きな人だったり愛する人に向けた強さをすごく描きたかったんです。でもタイトルは“オトメの心得”だし、キャッチーでポップで、曲も華やかだし、明るくハッピーな曲で。でもその中で一本芯が通った女性を描きたかったので、キャラを作った声で録るっていうよりは、自分の素に近い等身大の歌い方で歌いました。

■お二人のお気に入りの曲をそれぞれ教えてください。

toku 僕は“春がきたよ”です。こういう恋愛ソングでストレートな楽曲って、今まであまりなかったんです。メロディも難しいんだけど、それを感じさせずに歌ってくれたMARiAはすごいなと思いましたね。

MARiA 難しいんですよこの曲。びっくりしちゃった。

toku こういうシンプルな曲ってなかなか作るきっかけが生まれなくて。普通の曲だねって言われちゃう可能性が高いので。これがテクニック的にというか、作曲的にというか、面白いことをやっているんだよって伝わればいいなっていうのが、作曲家としての思いですかね。

■MARiAさんのお気に入りの曲はどれでしょう?

MARiA この曲を聴かせるためにこの曲順にしているところがあるんですけど、12曲目の“Reason”です。これはもう私のテーマソングみたいな想いで書いていて。この2年間で突然ツアーができなくなって、音楽も世間からはマストとして必要なものともされなくて、でも私たちは歌と音楽で生きていて。それを「いらない」って、むしろやったら怒られるっていう状況に、それでも尚「自分は何を歌いたいんだろう?」とか、「それでもやり続ける理由ってなんだろう?」みたいなことをすごく考えた2年間だったんです。周りでは辞めていく仲間もいるし、違う道を選択している人たちもいる。その中で「自分がまだステージに立って歌い続けたい理由ってなんだろう?」っていうのを考えたんです。すごくへこんだ2年間だったし、「どうしたらいいんだ……」って未来も見えないし。でも「やっぱり私がみんなに届けたいものってこれだな」って思って書いたのが、この“Reason”なんです。この曲を歌うためだけにツアーをやるみたいな気持ちですらいます。(笑) 「この1曲だけでもいいので聴きに来て!」って思うくらい、この曲にめちゃくちゃ想いが詰まっていますね。自分自身の歌う理由というか、こういうことをずっと伝え続けていきたいから私は歌っているんだなって、再確認したことを書いているので、みなさんに届けたいです。