■アルバム作りに対して「こういう感じになるだろうな」というイメージは頭の中ではあった感じでしょうか?
INORAN いや、今回は本当になかったですね。どこかに行って、その場所にインスパイアされて作ったとか、そういうのも今回はないし。なんか本当に自分でも賭けになっている部分がすごくありました。どんなものが出てくるかがわからないという。(笑)
■今回の歌詞は、全部英詞となっていますが、これには何か意図があったのでしょうか?以前、9枚目のアルバムでも全部英詞にされていて、ワールドツアーも周られたという経緯がありましたが…。
INORAN 確かに世界に向けてと考えると、当然日本語よりは、聴いてくれるかもしれない人が20億人くらい違うということもありますが、でも、そこだけを意識しているんじゃなくて。別に洋楽をやりたいとか、そういうことも全くなく、自分自身としてのアイデンティティを持っているだけで。その中で作るメロディーに、そっち(英詞)のほうがハマるし、日本語だとハメにくい場合があるので。なんか最近作るメロディーのトレンドも、そっち系になっていると思います。
■曲を作った段階で、こういうものができたからと?曲作りは毎回、曲を先行して作るという感じなんですか?
INORAN そうですね。頭の中で音楽が鳴っている感じというか。
■一方、作詞は今回はいろんな方にお願いされていますが、それは具体的にリクエストは何かしたのでしょうか?それとも全く自由に?
INORAN 今回は自由にやっていただきました。よく言うとみんなのことをリスペクトしていて、信頼しているし。信頼している人じゃないと、あまりやりたくないという思いもありますしね。あとは変な言い方をすると「人の持っているものが欲しい」という感じですかね。自分にないものを持っているし、尊敬しているので、その人が持っているものを、自分の武器の一つに揃えたいというか。(笑)
■他の人の作詞を見て、自分では「こういう表現がないな…」と感じるということですか?
INORAN そう!出てきたものを見ると「こう来るか!」という連続ですね。やっぱりそれを見たら、僕はまだまだだなと思うし。だから、もっと音楽を聴いたり、経験を積んで、どこかへ行って勉強をしたい、という思いもあるんですよね。世界は広くて、人生は果てしないな…という感じです。(笑)
■ではかなり触発された感じもありますか?
INORAN ありますね。ツアーもそうだし、毎日が経験ですよ。やっぱり僕は一人でいるのが嫌いだし。周りには常に人がいるからね。たまに一人になりたいとは思うけど。(笑) とはいえ、やっぱり一人は嫌いですね。だってつまんない。そう思う人なんですよね、僕は。
■今回の作詞者の中で、一番多いのはFadeのジョン・アンダーダウンさんですが、こういった曲が、本当に何のリクエストもなく書きあがってくるというのは、信頼関係がすごいですよね。これは曲ごとに「この人に書かせたほうがいい」みたいなところもあったのでしょうか?
INORAN 曲ごとにというのは確かにそうですね。感覚だったりも含めて、スタッフと話し合ったりして決めたものが多いですね。ジョンにはいままでも書いてもらうことが多かったんですが、彼のその文章、歌詞の美しさって本当にすごいし、彼しか持っていない才能だと思うんです。だから、結構僕も馴染んでいるというか、自分のことのように歌えるんですよ。
■3曲目は、マーロン・セクストンさんの書かれた歌詞が採用されていますが、楽曲もすごくポップで、みんなで歌えそうな曲ですよね。
INORAN そうですね。この曲のコーラスは、FEEDERのグラントがコーラスをしているんです。チャーリー・セクストンの子供の曲を、FEEDERがコーラスしているという、結構メチャクチャなことをしています。(笑)
■いや、それは大きなセールスポイントじゃないですか!?(笑)
INORAN 確かに。多分グラントは知らないままだと思うけど。(笑)
■では、これを引っ提げて、ツアーはやりたい放題ですね。(笑) このツアーは9月までということですが、ライブに向けての意気込みをいただければ。
INORAN うん、やりたい放題!みんなでやりたい放題しましょう!(笑) やっぱりライブそれぞれを最高に楽しい一本、パーティーにしたいと思います。だから一緒にみんなでいいパーティーにしよう!本当に一人でも多くハッピーになってもらって、そこで得た笑顔や幸せをライブ会場に来た人だけじゃなくて、隣の人とか周りの人に与えられるようなパワフルな音を出していきたいと思っています。是非みなさん遊びに来てください!
■ここからは改めて、INORANさんのソロ活動に向けた思いをお伺いしたいと思います。初めてソロアルバムを出されたときには、どのような思いがあったかを覚えていますでしょうか?
INORAN 最初に出したときは、LUNA SEAが活動休止したときだったんです。でも、そのときは自分としてはもともとそういうものを出すつもりはなかったんです。
■そうだったんですね。
INORAN ソロでやるきっかけになった理由は二つあって、一つは時代がよかったというか、周りが「出さないか?」と言ってくれたんです。もちろんCDセールスも今と比べて全然いい時期だったし。そういうこともあって、僕みたいに何を作るのかもわからない人に対しても背中を押してくれたんです。もう一つは、結局そのときは作る気はなかったんだけど、活動休止が実質10か月くらいで、「10月1日からまた始める」という約束だったんですけど、休止後に時間が進んでいくうち、結局なんか作り始めていたんですよね、2~3か月くらいしたら趣味みたいに。(笑) 最初の1~2か月はいままでメチャメチャ忙しかったので、それまで会えていなかった人に会ったり、飲んだり、ご飯を食べたりとか、どこかに行ったりとかしていたんですけど、その後は結局音楽に戻っちゃっていたんですよね。(笑)
■なるほど。(笑)
INORAN この感覚は何なんだろう?とは思ったんですけど、やっぱり結局、僕は音楽を作ることが好きなんだと思ったんです。それで、その同時期にお誘いをもらったので、それをきっかけに作ったんです。だから、最初に作ったのは、仮定的に自分の大好きな映画があったとして、それのオリジナル・サウンドトラックを作ろう、みたいな感じ。ほとんど自分の趣味ですよね。最初は本当にそれがきっかけでした。