石崎ひゅーい VANITYMIX 2019 SPRING PICK UP INTERVIEW

石崎ひゅーい

■3曲目“マシュマロパイ、サンドウィッチヘブン”、これもトオミさんと遊びながら作られた?

石崎 これも楽しかったですね。これは昔作った曲なんですけど、それを引っぱり出してきて、歌詞はいまの僕の言葉をあてて。北海道が舞台になっているんですけど、映画で1ヵ月間北海道で生活していたときの何かが反映されているのかなって。こういう曲はもう完全に感覚で書いているんですけど、石崎ひゅーいってこういう書き方もするんだって思ってもらえるかなっていう想いもあるし、こういう曲が入っているのがこのアルバムのおもしろいところだと思うんですよね。

■たしかに。

石崎 なんかわかんないけど、わかるんですよね。(笑)

■……。(笑)

石崎 自分で書いていても意味わかんないんだけど、わかるんですよ。そういう表現がけっこう好きなんですよね。映画とか舞台でも、「なんかわかんないんだけどすごくいいんだよな」みたいな。もちろん観て、感動して、涙を流したり、わーって手が上がるようなものとかも好きなんですけど、「なんかいいんだよな」っていうのも、たまにあるじゃないですか。

■なんとなくわかる気がします。

石崎 だから絵画とかとちょっと似ているのかなって。

■あー、芸術ですね。

石崎 そうそう、そんな感覚なんだと思いますね。

■聴いた人がいろんな解釈もできるし、そういうところも魅力ですよね。

石崎 そういうふうに聴いてもらえたら嬉しいですね。何かの言葉と何かがつながって、あ、そういう意味なの?みたいに考えてもらうというか、考えさせるというか、解釈はもう任せるので。この曲を入れているのはけっこうミソですね。

■ミソですね。4曲目“さよならエレジー”。ご自身でセルフカバーされてみていかがですか?

石崎 これは去年めっちゃ聴いてもらいましたからね。もちろん菅田くんの曲なんですけど、一緒に作らせてもらった感覚がすごくあって。2人で一緒に作った作品って気がしているんです。だからいいって言われたら一緒になって喜ぶし、嫌なこと言われたら一緒になってムカつくし、いまやそういう曲なんですよね。これは菅田くんの表現があって、それはもちろん素晴らしいと思う。でも僕の表現でも歌ってみたいなと思って。一緒に喜びをわかち合うかのように、そういうイメージで、僕の“さよならエレジー”にして出せたらいいなって。

■なるほど。

石崎 これはドラマ「トドメの接吻」の主題歌だったんですけど、主演が山崎賢人くんで、菅田くんは賢人くんに向けて歌いたいんだって言っていたんですね。だから、歌詞の「光れ君の歌」っていう部分を菅田くんは賢人くんに向けて歌っていたわけです。

■はい。

石崎 で、ドラマの中では「光れ君の歌の部分は、賢人くんの相手役、ヒロイン役の門脇麦さんに向けて言っているんだと思うんです。そして、僕が歌う「光れ君の歌」というのは菅田くんに向けて言っていて。そうやってどんどん想いが連鎖していくというか。そうやって捉えると、すごく素敵だなと思ったんですね。

■それぞれがそれぞれ想う人がいて、連鎖していく。素敵ですね。

石崎 だから僕はそういうふうに思っているんです。

■音楽面で菅田さんから影響や刺激を受ける部分はありますか?

石崎 めっちゃありますよ!全然曲ができなかったとき、菅田くんの曲はいっぱいできたんですよ、俺のはできないのに。(笑) 菅田くんだったらこんな言葉を言うだろうし、こんな気持ちでこんなことあんなことって、どんどん広がっていって。あ、なるほど、こうやって歌詞って書けるんだなって。“あなたはどこにいるの”もそうだけど、目線を誰かに変えることで表現が増えていく。それは“さよならエレジー”を作ったおかげでわかったことだから、菅田くんのおかげで。それが僕にとっていちばんの収穫なんです。

■大きい収穫ですね

石崎 あと、彼は言葉をめちゃめちゃ持っていて、夜中にぽーんってLINEしてくれるんですよ、なっがい歌詞を書いて。僕はずっと音楽をやってきちゃったから、菅田くんが送ってくれる歌詞を見ると、俺ってどんだけ型にハマってんだろうって思ったし、やっぱりめちゃめちゃ自由なんですよ、言葉も、表現も。このあいだ印象的だったのなんだったかな……そうそう「あら素敵」って歌詞で、「あら素敵」は俺、考えられないなって。

■歌詞としては出てこないし、きっと入れないですよね。

石崎 そうそう、出てこないし入れない。「あら素敵」って、もうすごいなと思って。そういうところで、俺ってやっぱり頭凝り固まってんなって思ったけど、この音楽遊びみたいなものが自分の突破口になったから、本当にありがとうって思っているし、もう好きですね、単純に好きです。

■ふふふ、わかりました。では最後“アンコール”。この曲はもう多幸感がすごいですね。

石崎 これはね、本当にそうなんですよ。これいちばん好きかも。これは弾き語りのアンコールツアーのときに観に来てくれたみんなに愛を返すっていう、テーマはもうそれだけ。そういう曲を作ってみんなにありがとうの代わりに歌おうって決めて作ったので、まっすぐだし、しあわせそうだし。

■しあわせしかないです。

石崎 明確に伝えたい相手と言いたいことがあったので、そういうところもよかったんだろうなって。そこが決まっていると早いし、気持ちよく書けたなって思いますね。これは“マシュマロパイ~”の脳とはまた違う脳なんですよね。だから、違う顔の5曲っていうのはそういうことで、まったく違う脳で曲を作っているんですよ。ちょっとずつそういうことができるようになってきたかなって思いますね。ほんとこの曲いいんだよな~。

■うん、本当にいいです。

石崎 いま「みみばしる」っていう舞台を松居大悟くんと一緒にやらせてもらっているんですけど、松居くんが『みみばしる』関連で、去年「平成ばしる」っていうドラマをやったんですよ。そこで、この“アンコール”を聴いた松居くんが「使っていい?」って言ってきてくれて。そういうつながりもまた奇跡的でよかったし、感動的だし、生まれてきてよかったなって思いますね、“アンコール”。

■ね、本当にそうですね。

石崎 もうみんながハッピーな曲というかね。根本はやっぱりそういうのが好きなんですよ、そういうふうに思っているんですよね、たぶん。バカみたいに、とかじゃ全然ないんですけど、やっぱりそういうのが好きだし、そう思っているんだと思いますね。

■はい。新しい5曲ができて、新しい一歩を踏み出しましたね。

石崎 個性豊かな5曲、5曲とは思えない内容のものができたと思うし、本当にいま新しい一歩を踏み出した感じがしていて。タイトル通り、どんどんここから成長していけるだろうなっていう気持ちがすごくあるので、これを聴いて、次の石崎ひゅーいはどうなっていくんだっていうのを楽しみにしてもらえたらいいなって思います。

Interview&Text:藤坂綾

PROFILE
2012年にミニアルバム『第三惑星交響曲』でデビュー。感情のままに歌うまっすぐな声と全てのエネルギーを爆発させるライブパフォーマンスは、スケールに収まらない規格外なシンガーソングライター。2016年にはスクリーンデビューを果たし、今年2月にはJ-WAVE30周年×松井大吾舞台「みみしばる」で初の音楽監督も務め、多彩な活躍をみせる。
http://www.ishizakihuwie.com/

RELEASE
『ゴールデンエイジ』

ゴールデンエイジ

初回生産限定盤(CD+DVD)
ESCL-5196~7
¥2,500(tax in)

ゴールデンエイジ

通常盤(CD)
ESCL-5198
¥1,800(tax in)

Epic Records Japan
3月6日ON SALE