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上坂すみれ WEB LIMITED INTERVIEW

クビにならないくらいがいい――無欲な発言とは裏腹に、野心的すぎるアルバムが完成!

声優として活躍する一方で、ソ連・ロシアをこよなく愛し、ロリータファッション、軍歌や昭和歌謡、三国志など、幅広いカルチャーにも精通し、非凡な才能を発揮している上坂すみれが、歌手としては2年ぶり、通算2枚目となるアルバム『20世紀の逆襲』をリリースする。レコーディングを終えた直後のスタジオでインタビューを行なうと、「みなさんを励まそうとは思ってない」、「どのツラを下げて歌っているのか」、「野望はありません」など、とても新作のリリースを控えているとは思えない発言を連発。記者の目を一度も見ることなく、思いの丈を語ってくれた。

■1月6日に2ndアルバム『20世紀の逆襲』がリリースされますけど、前作からの2年というのは、上坂さん的にはどんな期間でしたか?

上坂 大学を卒業したことが大きいかなと思います。あわや単位が足りないぞという4年生をどうにかクリアし、2014年の3月に卒業しまして、ちょっとずつ社会人の暮らしに慣れ、声優一本でやるにはどうしたらいいのかという技術の向上に励んだ2年間でした。歌の活動は相変わらず副産物っぽい感じで、他の声優のアーティストさんは、しっかりとアーティスト魂を持って、「あなたに伝えたい」とか、「毎日の生活を応援したい」とか、そういうことをおっしゃる方が多いと思うんですけれども、私にはそういう気持ちがあまりなく……。至極真面目には歌っているんですけれども、別にみなさんを励まそうとかは思ってなくて。

■そうなんですね。(笑)

上坂 最初はそう思おうとがんばっていたんですけれども、無理をするのはよくないなと思いまして。エールを送る人は他にたくさんいるので、エールがほしい人は、そういうアーティストさんの曲を存分に聴いていただいたほうがいいのではないかと思います。私が歌うのが大好きで、アーティストを志してきた人だったら、もっと崇高な歌い方をするんでしょうけど……。

■でも、楽しんでやってはいるんですよね?

上坂 そうですね。褒められたアプローチではないかもしれないですけれども、ちょっと人とはやり方が違うのかもと思います。私が「同志」と呼んでいるファンの方は、けっこう私と似ているところがありまして、普通の人とは違う趣味趣向を抱えて、あんまり理解されなかったり、その理解されないことを仕方ないと諦めていたりする人が多いんです。だからライブをするときも、「いつも圧迫されている私たちの鬱憤を晴らそう!」みたいな気持ちが大きな原動力になって、みなさんもすごくすっきりした顔でお帰りになるので、いかにかっこいい曲でストレスを発散するかが、ライブでは私たちの課題になっています。

■アルバムにはこの2年でリリースしたシングル曲をはじめ、18曲も収録されるんですよね。新曲の“繋がれ人、酔い痴れ人。”は、手紙やメール、SNSがテーマになっていますが、どういう解釈で歌ったんですか?

上坂 歌詞もすごくストレートで、1回読んだらわかる親切設計だと思うんですけれども、たぶんSNSとか言っているのはいまを生きている人で、手紙を書いているのは昔の時空の人なので、20世紀が逆襲してきた話というか、20世紀を回顧する意味合いが強いと思うんです。そういう意味では、曲調も併せて現代っぽい曲だなと思います。歌のテーマはシンプルですけれども、歌詞は上坂すみれ史上いちばん長く、曲も複雑なので、リズムゲームのように楽しく聴いていただけると思います。

■メールよりも手紙のほうが重みがある、という意味が込められているんですか?

上坂 私にとってはあまり区別がなくて、いまより昔のほうがいいよっていう押し付け感はないです。メッセージはメールでも手紙でもうれしいですし、メッセージが来ないのがいちばん寂しいですから、現代人の贅沢な悩みが書かれているんじゃないでしょうか。

■僕は「何かに縋り付かなきゃ/不安だった」という歌詞が印象的だったんですけど、上坂さんがすがりつかなきゃ不安なものは?

上坂 街角のATMですかね。(笑)手持ちが少ないので。でも、手持ちが多いなら多いで使ってしまうので、2カ月くらい前から、必要な量だけ持つことにしたんです。

■わりと最近の話ですね。(笑)

上坂 このアルバムを作り始めるくらいの頃ですね。普段からATMにすがりつくというわけではないですが、そういう意味でも「繋がれ人」というのは、意識せずいろんなものにすがりついているわけです。

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