THE BEAT GARDEN VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

新体制になって「自分たちが今後やっていきたいビートガーデンはこれだ!」という1枚が出来た。

今年2025年より、オリジナルメンバー3名にサポートDJとして長年グループを支えてきたkowta2、ヴォーカルとして新メンバーのKAIを迎えて5人組として再始動したTHE BEAT GARDENが、2019年12月にリリースした『Snow White Girl』以来、約5年3ヶ月振りとなるCDシングル『Happy Ender』を3月26日にリリース。表題曲の“Happy Ender”は、自ら決めた道を進もうとするグループの決意の曲であり、新しい環境で新たなスタートを切る人に向けた応援歌となっている。
今回はU、藤掛昌斗、渡部怜に、新メンバーのKAI、kowta2を加えた5人に、新作の制作についてはもちろん、5人組になるまでの経緯や、リリースイベントでのライブの手応えなど、いろいろと話を訊いた。

■新メンバーも加入して5人組となったビートガーデンですが、サポートDJだったkowta2さんの加入はある程度予想できるところもありましたが、さらにヴォーカルが新たに入ったのには驚かされました。まずはその経緯から教えてください。

U kowta2に関しては、前回の「Bells.」ツアーの時に、「もう本メンバーでもいいんじゃないか」という話が出ていて、kowta2自身の気持ちも聞きながら準備を進めていた感じでした。でもkowta2はサポートDJをお願いすることになった段階で、「いずれ本メンバーになれるならやります」という話をしてくれていたので、それを僕らも早く叶えられるようにと思っていたんです。DJとしてはもちろん、人間としてもすごく成長していってくれたので、無事に加入してくれて嬉しいです。そしてKAIは、たまたまTikTokの動画で由薫さんのバラード曲“星月夜”を男の子がカバーしている歌声が流れてきて、それを聴いた時に衝撃的で「これはヤバイ!」と思ったんです。とりあえずメンバーとか誰にも言わずに一晩おいてみようと思ったんですけど、ベッドに寝て目を閉じたら、もう一緒に歌っている画が「ブワーッ」と浮かんできてしまって。すぐにインスタをフォローしてメッセージを送ったら、15分くらいですぐに返事が返ってきたんです。そこからいろいろとやり取りをして、加入してもらうことになりました。

■へぇー!結構今どきの出会い方だったんですね。(笑) 昌斗さんと怜さんは「新しくボーカルを入れる」という話をUさんから聞いた時は、どんなお気持ちでしたか?

 最初はすごく驚いたんですけど、元々Uさんがボーカルを探しているという話は聞いていたので、初めてKAIの声をUさんから聴かせてもらった時は、率直にすごくワクワクしましたし、4人ボーカルになるけど、誰とも声が被っていないので、新しいビートガーデンが表現できるんじゃないかなと思ったし、すごく楽しみになりました。

昌斗 1回聴かせてもらっただけで声に説得力があったので。これまでの僕らの経緯もあるので、みんなに受け入れてもらえるのかどうかは心配なところもあったんですけど、思っていたよりもすごく素敵な歌声だったので納得しました。

■新メンバーとして加入されたお2人は、はじめましてなので、ぜひお2人が音楽を始めたきっかけと、今までご自身が影響を受けたアーティストを教えてください。

kowta2 僕は小さい頃から曲がかかっていたらずっと踊っているような子供で、小学校からはダンスを始めて、そこで音楽をたくさん知っていきました。中学生くらいからはいろいろと音楽を調べだす時期になっていって、洋楽とかもたくさん聴いていたので、ダンスにしても、DJにしても、王道ではあるんですけど、N.W.Aとか、2Pacに影響を受けました。

KAI 僕の音楽ルーツは、昔から英語で歌うのがカッコいいと思っていて、Charlie Puthが好きでよく歌っていたんですけど、そんな中、LINKIN PARKに出会って、ロックがカッコいいなと思い、日本でも英語で歌っているONE OK ROCKとかも聴くようになって、すごくメッセージ性のある歌詞と、それをより伝わるパワフルな歌声で歌うスタイルのヴォーカルに憧れました。「自分もそういう歌を歌いたい」と思っていたら、今回ビートガーデンに出会わせてもらって、今はこの道を歩かせてもらうことになりました。

■なるほど。ちなみにKAIさんは自分で歌を歌ってSNSにアップしたりするのは、いつ頃からやっていたんですか?

KAI 15歳くらいの頃から始めました。でもその頃は別にプロの歌手になりたいとかは思っていなくて、漠然と楽しいから歌っていたという感じで、自分の中で唯一誇れるものというか、自分の力みたいな物を証明する方法として、自慢できるのが歌だけだったからというような軽い気持ちで始めました。

■お2人はビートガーデンに加入することが決まった時は、どんなお気持ちでしたか?

kowta2 すごく嬉しかったです。ずっとそれを目標に活動していたので。

KAI 僕も楽しみでワクワクしました。今まではすごく漠然としていたものが、しっかりとビジョンが見えたので、あとはそこに向かうだけです。たくさんの仲間ができて、これからがすごく楽しみです。

■ちなみに昌斗さんと怜さんは、このタイミングでアーティスト名がREI、MASATOから、フルネームの漢字表記になりましたが、なにか訳があったんですか?

昌斗 今まではMASATOでしたけど、最近アーティストの中でもMASATOという名前の人がたくさん増えてきたので、別に元々本名を隠そうと思ってMASATOにしていたわけではないし、これを機にもっと自分らしさを出していけたらと思って、藤掛昌斗にしました。

■怜さんは?

 僕はそれに便乗しただけです。(笑)

■そうなるとUさんだけ変えなかったのは?

U 僕はちょっと便乗したくなかったので、このままで。(笑) でも二人が漢字表記になったけど、意外とファンの人たちは特に動揺していなかったよね?

 いっさい動揺していなかったですね。(笑)

■それでは新作についてもお話を聞かせてください。前作のCDシングルがリリースされたのが、2019年12月の『Snow White Girl』だったので、約5年3ヶ月振りのCDシングルリリースとなりますが、今作が出来上がった今の率直な感想をそれぞれ聞かせてください。

昌斗 この5人になった意味を感じられる作品になったし、なんだか青春を新メンバーの2人にもらったような気がします。(笑) すごくワクワクしています。

U この曲のメロディを作っていた段階で、kowta2のスクラッチもちゃんと曲に入れたいなと思っていました。今まではひとりで歌っても素敵な歌を、3人で歌ってもっと素敵にしたいといった想いがあったんですけど、ここからはこの5人だからこそ歌える歌というフェーズなのかなと思っていて。ひとりではカラオケとかでも歌いづらい、歌えない曲だったとしても、ビートガーデンが歌うとカッコいいという歌にしたくて。これからはそのモチベーションでやっていきたいという気持ちで作りました。

KAI 僕はシンプルにカッコいい曲だなと思いました。今までは自分で曲を作ったりしていたので、こうやって誰かが作ってくれた歌を歌うのも初めてだったし、しかもそれを一人で歌うのではなくて、4人で歌うのも初めてだったのですごく新鮮でした。こうやって全員で作り上げられたのが嬉しかったし、これからみなさんに聴いてもらうのも楽しみです。

kowta2 僕はDJなので、みなさんの中にはDJってそもそも何をやっている人かわからない人もいるかもしれないですけど、今回は曲にスクラッチを入れさせてもらって、聴いてみたらすごく新しい感じになっていたので、僕がいる意味があったなと感じられて嬉しかったです。

 新体制になって「自分たちが今後やっていきたいビートガーデンはこれだ!」という1枚を作りたいという気持ちが5人の共通認識としてあったので、今回はそれをちゃんと詰め込めた作品になったと思います。ぜひたくさんの人に聴いてもらいたいです。

■今回の表題曲“Happy Ender”ですが、まず聴いてみて最初から驚かされましたが、最初のハイトーンの入りはKAIさんの声ですか?

KAI はい。そうですね。

■グループに加入して最初のリリース曲でいきなりオープニングとサビのパートを任されるなんて、プレッシャーじゃなかったですか?

KAI 全然プレッシャーはなかったです。

U むしろ「歌わせろ!」という感じだったよね?(笑)

KAI はい。(笑)

■“Happy Ender”は、作詞・作曲ともにUさんですが、この曲は新メンバーが加入してから、今の4人で歌うことを想定して新たに作った曲ですか?

U サビのメロディは2年前くらいに作ったもので、どこかの大事なタイミングでお披露目できたらとずっと思っていたんです。それでバースが出来たので、昌斗と一緒にアレンジャーさんのところに行って、サビ以外のところが出来あがって、あとはサビをどうしようかと思って、過去のデモ曲を聴いていた時に、「この曲があった!」と思ってはめ込んだので、過去の曲と新しい曲を合体して出来た感じです。

■タイアップ曲ではない曲は久しぶりな気がしますけど、タイアップだと作品に寄り添った歌詞になると思いますが、今作の“Happy Ender”の歌詞には、どのような想いを込めた感じですか?

U “Happy Ender”というのは造語ではあるんですけど、「Happy Endをくれる人」というのもあるんですが、「幸せを終わらせる人」という意味にも捉えられるので、今回は「新しい結末」という意味にしたんです。今まで3人でビートガーデンとして夢に向かって歩んできて、こうやって想像もしていなかった5人体制になるということを受けて、「新しい結末」を追いかけて行くことになったので。でも、この5人は今までゴールデンロードを歩んできたわけではなく、いろいろな苦しみを味わったり、思うようにいかない葛藤を乗り越えてきたんです。そんな話を新メンバーの2人からも聞いて、「だからこの2人と一緒にやりたいと思ったんだ」と感じられました。変わりもしない毎日だけど、それでも笑えたりすることとか、自分がここにいる意味をちゃんと見つけてくれる、Happy Endをくれる人にも出会えたし、それがなかったとしても、「そこまでの自分はちゃんと存在しているよ」という僕ら5人のストーリーと、ここまで10年という道のりを一歩一歩なんとか歩んできたビートガーデンだからこそ歌える歌として、聴いてくれる人たちに寄り添えたらいいなと思って。「新しいHappy Endは僕らでも見つけられたから大丈夫だよ」という気持ちも込めて、この歌詞を書きました。

■ちなみに歌詞に英語が入った曲も久しぶりですよね?カバー曲の“Start Over”と、アルバム曲の“High Again”には入っていましたが、英語の歌詞を入れる、入れないの判断基準があったりするんですか?

U それは特にないんですけど、今回入れたのは、KAIがカバー曲を歌っていた時の英語の発音がすごく綺麗だったから、曲の鳴りとして入れたかったという感じです。僕は曲を聴く時、詞先で曲を聴くタイプなんですけど、KAIと話していた時に、今の若い人たちは音でノるというのを聞いたので、自分が言いたいことというよりも、音の鳴りを優先してみようかなというのがありました。なので、今回はKAIがいるから英語にしたという感じですね。

■“Happy Ender”の曲に関しては、どんなイメージで作ったのでしょうか?曲調はビートガーデンとしては久しぶりというか、初期の頃のEDR(Electronic Dance Rock)をすごく彷彿とさせる感じですよね。

U これからはもっとジャンルレスになっていくんだろうなというのが自分の中にあって、怜が久しぶりにラップをしていたり、さっき言ったkowta2のスクラッチもそうですし、サビで転調するところも、それぞれのヴォーカルのキーレンジを活かしてのことだったので、それを全部入れ込めるような曲にしようとなった時に、今までビートガーデンがやってきた、ダンスミュージックとロックを融合したEDRがぴったりだと思いました。僕らはやっぱりこれで突き進んで行くのが気持ちいいなと。

■他のメンバーは、この“Happy Ender”が上がってきて、初めて聴いた時の感想はいかがでしたか?

 それぞれのメンバーが最大限に魅力を引き出せるような曲になったと思います。今までも“Sky Drive”だったり、ビートガーデンといえばEDRというのがあったので、それをもう一度表現できるような楽曲になりました。サビのキャッチーさだったり、すべてが相まってマッチしているような感じがします。

kowta2 初めて聴いた時は、めちゃめちゃテンションが上がりましたし、KAIの声もすごくこの曲に合っているなと感じました。「これは行くっしょ!」と思いました。(笑)

U kowta2にデモを送ったら、何も言っていないのに、すぐに2、3分でスクラッチを入れて送り返して来ましたからね。(笑)

kowta2 そうですね。テンションが上がって、それくらいノリノリでした。(笑)

KAI 僕も初めて聴いた時はブチ上がりました。冗談抜きで1000回くらいデモを聴きましたね。(笑) すごくカッコよくて、自分が歌えるのが嬉しかったし、出来上がった曲を聴いて、入って1作目ですごくいい曲に出会わせてもらったなと思いました。 

昌斗 今までは生音のバンドサウンドに勝てなかったり、ダンスボーカルグループの躍動感には勝てなかったりしたんですけど、なにか自分たちのジャンルみたいなものが見えた気がしていて。まだもちろんこれが正解だというわけではなくて、自分たちで正解にしていかないといけないんですけど、自分たちの中では正解が見えた気がしています。すごくいい曲が出来ましたね。

■怜さんは今回ラップも披露していましたが、レコーディングはいかがでしたか?

 元々Kanye Westのライブを見て好きになって、それで音楽を始めたので、ラップは大好きなのですごく楽しかったし、すごく活き活きとレコーディングが出来ました。僕は昔ラップをやっていた時に今のこのメンバーに出会って、この10年間は歌をメインにずっとやってきて、久しぶりにラップをしたんですけど、以前ラップをやっていた時は、歌とか声に対する考え方が今とは全然違っていて、ただラップを発していて、テクニックだったり、言葉の粒だったり、いろいろな声の捉え方など、今まで歌をやってきたからこそ気がつけた発見があったので、今回のレコーディングでそれが活かせました。いろいろなラッパーのラップを聴いても「ここはこう歌っているからここが気持ちがいいんだ」みたいなところにも気が付くようになったので、今はすごく楽しいです。

■他のボーカルの方たちは、今作のレコーディングで苦労した点や、何か意識したことはありましたか?

U KAIが今まで家で録ってきた歌を聴いたことはあったけど、目の前で実際に歌っているのを見るのは今回が初めてだったので、「スタジオのブースに入って歌ったらどんな聴こえ方がするんだろう?」と思っていたけど、すごくいい声でしたし、間違いなかったですね。今まで10年くらい一緒にやってきてくれたディレクターも、いつも以上にテンションが上がっていて、なんか悔しかったです。(笑) チームとしては嬉しかったですけど。でも圧倒的にハイトーンのKAIが入ってくれたおかげで、今までは自分が無理してでも上を伸ばさないといけないなという気持ちでいたんですけど、それがほどけて、これからはミッドを思っきり歌ってやろうと思います。昌斗はファルセットが綺麗なので、2番のBメロのところのパートを渡せたし、怜もラップを活き活きと発揮してくれていたので、この曲を作れてすごく嬉しかったです。