2年越しのツアー開催で、みなさんに披露したい曲が溢れている状態です。
CHiCO with HoneyWorksが、10月29日に19thシングル『くすぐったい。』、20thシングル『戦場の華』をWリリース。約2年の活動休止を経て再始動を果たしたチコハニに、アニメタイアップとなった両曲の魅力、そして2026年1月より大阪・愛知・東京を巡る『LAWSON presents CHiCO with HoneyWorks Zepp tour 2026「HELLO!!」』の意気込みを訊いた。
■はじめに、2025年8月6日に再始動を発表した時の気持ちを教えてください。
CHiCO 「8月6日に何かが起こる」と、チコハニ関連の写真をアップしながら“匂わせ”をしていた時点で、ファンの方たちからは「いや、まさか……」「あるよな、これ……」という最高の反応が届いていました。でもいよいよ再始動を宣言した時、たくさんの「おかえり」の声に迎えられた私の脳内を支配していたのは、喜びよりも“安心感”だったと思います。
■約2年ぶりの復帰となると、不安な気持ちも芽生えていたのでしょうか?
CHiCO はい。2年の月日って、やはり長いですよね。「青春といえばCHiCO with HoneyWorks」と言ってくれていたみなさんの中には、もちろん大人になっている方もいるはずで。つまり環境の変化につれて音楽の趣味も変わり、私たちのことを忘れてしまう可能性もあったわけなんです……。でも、そんな不安をかき消すように「俺達の青春が帰ってきた!」と喜びの声をもらったときは、心からホッとしました。CHiCO with HoneyWorksがみんなの人生の一部になっていたことをあらためて実感し、胸がいっぱいになって、そのあと涙腺にグワーッときたのをよく覚えています。
■約2年間のソロ活動では、どのような経験を得ましたか?
CHiCO 一言で言えば、等身大の自分を手に入れました。チコハニの場合、主にデモ曲で世界観をキャッチして、自分の中に落とし込んでから制作に臨みます。つまりアニメなどのタイアップを含めて、すでに作品が出来上がっている状態に私の声が入るんですよね。それがソロになった途端、制作チームから「CHiCOはどういう曲を歌いたい?、CHiCOはそもそもどんな歌が好き?」のような質問がどんどん飛んできて。まるで原点に立ち返るような気持ちで曲作りをしていました。そしてなによりも、多くのクリエイターやアーティストのみなさんとコラボする機会に恵まれたことは、私にとって新しい世界を垣間見れたかけがえのない経験です。
■例えば、どんな人から刺激を受けましたか?
CHiCO すべての方たちが本当に魅力的だったので、なかなか難しいのですが……。例えば、Cö shu Nie(コシュニエ)の中村未来さんとは“Butterfly Night”という楽曲を作らせていただきました。その際「中村さんはどんな歌い方を求めているんだろう?」と悩んでいたら、中村さんから「自由でいいです。だって、CHiCOさんの曲ですから。」と言われて。その言葉は、世界観を意識して歌うことが当たり前だった私に、かなりの衝撃を与えました。「等身大で、私が好きなように自由に歌う。」そんな瞬間があってもいいと気付けたのは、今後チコハニの活動でも確実に活かせると思っています。
■ありがとうございます。それでは、TVアニメ「キミと越えて恋になる」のオープニングテーマであり、10月29日にリリースする19thシングル“くすぐったい。”の魅力を教えてください。
CHiCO デビュー当時のCHiCO with HoneyWorksを彷彿とさせるような、キラキラとした甘酸っぱい青春ソングです。歌詞は、純粋でまっすぐな心を持ったヒロインの万理(まり)ちゃんを投影しています。初めて恋というものに触れて、さまざまな不安をもちながらも「彼にもっと近づきたい」と願うその思いに、つい応援したくなってしまうこと間違いありません。
■CHiCO with HoneyWorksを心の拠り所にしている若者に向けて、CHiCOさんから恋愛のアドバイスを送るとしたら?
CHiCO 自宅でゲームをするのが至上の学生時代を送ってきたので、あまり大きなことは言えませんが。(笑) ドキドキしているからこその苦しみや、周囲からの視線などにとらわれず、自分の素直な気持ちを相手にぶつけてほしいと思っています。“くすぐったい。”のメッセージが、その勇気をもつきっかけになってくれると嬉しいです。あとは若者でなくとも、この曲を聴いて、どんどんトキめいてほしいと思っています。学生だけが乙女心を宿しているわけではないので、いろいろな世代の人たちに聴いてほしい楽曲です。
■学生といえば、CHiCOさんは中学生の頃からアニソンが好きと聞いていますが、やはり今でもオタクマインドを宿しているのでしょうか?
CHiCO はい、もちろんです!でもチコハニとして活動してからは、最近のアニソンを聴いても、ついアーティスト目線になってしまうことに悩んでいます。(笑) 例えば、「今の部分はどうしたらあんな素敵な声が?」、「Bメロからサビの展開が上手すぎる」とか、つい仕事モードに入ってしまうイメージですね。
■なるほど。(笑)
CHiCO そんなこともあり、私のメインストリームは今も「平成アニソンボカロ系」です。そして「らき☆すた」や、「涼宮ハルヒの憂鬱」など、当時大ハマりしていた作品の主題歌は永遠に聴いていられます。
■今作のカップリング曲である“人生のオーケストラ”の魅力も教えてください。
CHiCO この曲は、10年前は絶対につけられなかったタイトルとメッセージを宿しています。1stアルバム『世界はiに満ちている』に収録の、“ホーリー・フラッグ”は、みんなと一緒に手を取り合い、芽生えた絆を歌で称えようという思いを込めた楽曲だったんです。一方で今作の“人生のオーケストラ”は、私たちがみなさんを迎え入れる目線で描いています。耳にするだけで、私たちの成長をミュージカルのような明るさで感じ取れること間違いありません。
■次に、同じく10月29日にリリースする、TVアニメ「最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか」の主題歌でもある、20thシングル“戦場の華”の魅力もお聞きしたいです。
CHiCO みんなが喜んでくれるチコハニロックがやってきました!ライブではストレートな歌詞に気持ちを熱くしながら、一体感のあるフロアで騒げる楽曲だと思います。何よりも、アニメをリアルタイムで観させていただいた時、いちアニメオタクとして衝撃を受けました……。スタッフチームから、「めちゃくちゃカッコいいタイミングでオープニングが流れます」という言葉を聞いていたんですよ。そして実際には、「あ、まさか……ここ!?」という瞬間に痺れるギターサウンドが流れ出して……。自画自賛になりますが、めっちゃカッコいいんです、この曲!
■この曲は、CHiCOさんによる冒頭のシャウトが印象的ですが、どのような気持ちで叫んでいるのでしょうか?
CHiCO 主人公のスカーレットのように、心の中に溜めていたものを「大解放」するイメージで歌っています。レコーディングでは、「いいやつちょうだい!」というCHiCO任せのディレクションを受け取り、まるで100mを全力ダッシュするような気概で臨みました。(笑) ロングトーンでキーも高く、ライブ後半で叫ぶのは危険なほど、ボーカル力が試されるパートになっています。
■主人公のスカーレットは、拳を使い、自分の気持ちをスッキリさせています。チコさんのストレス発散方法は?
CHiCO 友人とオンラインでFPSゲームをするのが大好きで、朝までコントローラーを握ってしまうこともあります。敵を作戦通りに倒せた時や、人数が不利な中でも勝利した時などに出るアドレナリンがたまらなくて、もうやめられないです……。(笑)
■意外ですね。(笑)
CHiCO 学生時代に空手をやっていたこともあり、サンドバッグを試してみたい気持ちもあります。「今、いい音が出たな」と思えるだけで、なんだか気持ちがスカッとしそうじゃないですか?(笑)
■結構アクティブなんですね。(笑) こちらのカップリング曲は、2017年に発表した“ラブホイッスル”の続編である“ラブホイッスル Alert!”ですが、どんな曲なのでしょうか?
CHiCO “ラブホイッスル”は、気になる男の子をつい目で追っちゃうとか、あわよくば好きになってもらえるチャンスを狙う女の子目線の曲でしたが、今回の“ラブホイッスル Alert!”は、“ラブホイッスル”の女の子が恋い焦がれていた男の子目線で描いているんです。熱視線を送られていた男の子が、どのような心境でいたかがわかってしまう楽曲となっています。この曲名を発表した時は、ファンの方たちも「ラブホイッスル……あらーと!?」みたいな感じで、まさかの続編に驚きを隠せない様子だったのが嬉しかったですね。(笑) 男の子の心境がじわじわと変わっていく、「恋に落ちる危険信号」をぜひ味わってみてください。







