アナタシア VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

「踊ってみた」系の場合、ライブ映像として残せる機会がないから、ライブの映像化はすごく嬉しいことなんです。

ニコニコ動画出身のメンズダンスパフォーマンスチームとして活動中のアナタシア。彼らが今年8月に行ったワンマン公演の模様を収めたBlu-ray & DVDが、12月24日に同時リリース。『ANATASHIA ONE MAN LIVE 2024 Nextage』と題した今作では、ブレイクダンスやアクロバットを取り入れたパフォーマンスを披露。その見どころについて、芝健、まりん、ハネル、まさと、カナタ、りおん、なおや、7人のメンバーらが語ってくれた。

■アナタシアとして活動を始めてから、今年で何年目になりますか?

芝健 9周年を迎え、今年で10年目になりました。

まりん 2015年7月に公に出た時のメンバーは芝健、まりん、ハネルの3人だったんです。そこからいろいろと紆余曲折があって……。

芝健 仲間たちを集める冒険の旅に出て……。(笑)

まりん 約2年前にようやく今の7人に落ち着きました。

芝健 僕が理想としていたのが7人か9人編成だったんです。僕らが主戦場としている「踊ってみた」界隈の場合、3〜5人という編成が主流なんです。そことの差別化を図りたかったのと、大きなステージに立っての活動を考えた時に、センターに一人を据え、左右均等の形を作る上で、どうしても奇数の編成にしたいというこだわりがあったので、結果的に7人という形に落ち着きました。

まりん しかも僕らの場合はブレイクダンスやアクロバットも取り入れていることから、大人数の方が見栄えがいいんですよ。ただ、僕らが主に活動をしているライブハウスの場合、天井の高さも含め、ステージの密集度の高い場所も多いから、パフォーマンスをする面での大変さもありますけどね。その分自分たちでライブを主催する時は、ステージの広さを最優先して選んでいます。

■アナタシアのライブって、バック転や空中へ高く飛んだりと、まさにアクロバティックな動きも多く取り入れていますよね。狭いステージだとメンバー同士の接触もあったりしませんか?

芝健 そこはみんなギリギリ回避しながらやっていますし、みんなギリギリで回避しながらがんばっています。

まりん 唯一あったのが、コロナ禍間もない時期に配信用のライブを撮影した時に、ハネルとりおんが空中で接触したことがあって。そういう事故が大きな怪我にも繋がるからこそ、決して事故が起きないように気をつけています。

まさと 照明がチカチカするステージ上でアクロバティックな動きをしていると、今、自分がどの位置でパフォーマンスをしているのかがよくわからなくなることがあるから、そういう時はひと際気をつけていますね。

りおん 逆さになってパフォーマンスをしている時に照明がチカチカし過ぎていて、どこが天井で、どこが床なのかわからなくなることがたまにあるんですよ。そういう怖さを覚える時があるから、極力ステージ上は明るい方が安心というのはあります。

■アナタシアがライブでダンスする時の選曲では、ニコニコ動画を筆頭にSNS上で話題を集めている楽曲や、J-POPの中でのヒットチューンもあれば、定番のボカロ曲なども結構取り上げていますよね?

芝健 最近の流行りを含め、主にみなさんが知っているような楽曲を選ぶようにしています。今回リリースする『ANATASHIA ONE MAN LIVE 2024 Nextage』に収録された楽曲でいうと、HoneyWorksさんの“可愛くてごめん”のようなポップで可愛らしい楽曲や、ときにはメロウな歌も選びますけど、僕たちの場合は一番の強みであり魅力なのが、勢いやパワーのあるダンスパフォーマンスだからこそ、EDM系やダンスミュージックを選びたいので、もっとそういった曲が世間で流行って欲しい気持ちもあります。(笑)

まりん 僕らのライブには友達連れで来てくれる人たちも多いです。そういう初見の人たちでも、アナタシアの名前は知らなくても、ライブに来たら聴いたことのある曲が次々と流れてきたら、それだけで楽しめるじゃないですか。僕たちのライブの強みはそこなんですよ。だから、なるべく有名な曲やこの界隈での定番曲、今の流行りの楽曲もセットリストの候補に挙げるように意識しています。

■しかもアナタシアの場合、歌詞にリンクした踊りも見せていたり、遊び心を持ったパフォーマンスも組み込まれていますよね。

芝健 たとえば“エフピーエス”や“ロールプレイングゲーム”のような、セリフの入っている楽曲の場合、突然アドリブを組み込んでいくことはよくあります。特にハネルはテンションが上がると、いろんな曲でダンスを含めアドリブを入れてくれるので、ここでふざけてほしいと思ったら、ハネルに振ればアドリブでやってくれますし、クールにせまりたい時にカナタに振ると、それを実践してくれたりと、それぞれが臨機応変に対応しながらダンスやパフォーマンスを見せていくところもアナタシアのライブの強みであり、魅力にしているところですからね。

ハネル 僕はとくにテンションがアガると周りが見えなくなり、いろいろと仕掛けちゃうタイプなので、そこは誰かしらに上手くブレーキをかけてもらっています。(笑)

芝健 構築された中にも自由度を持って表現していく。それこそがアナタシアのライブの面白さであり、醍醐味にもなることですからね。

まりん メンバーたちのはっちゃけた姿を見ると、同じ舞台の上にいる僕らだって元気をもらえるし、お客さんだって楽しくなれると思うんです。とくに「踊ってみた」の映像として見ていた姿と違うパフォーマンスをライブで発見すると、それだけでも興奮すると思います。それこそがその時ごとのパフォーマンスが楽しめるライブの良さですからね。

■見る人たちを圧倒するダンスパフォーマンスを含めてね。その様を堪能出来るのが今回の『ANATASHIA ONE MAN LIVE 2024 Nextage』という映像作品になるわけですね。

まりん 「踊ってみた」界隈のグループの場合、こうやってライブ映像として作品に残すことが今までなかったからこそ、それが実現できたのは本当に嬉しいことなんです。収録した演目たちにも、カッコ良さからコミカルな面、メンバー同士の掛け合いや、ファンたちを巻き込んで楽しむ姿など、アナタシアのライブの魅力を本当にバランスよく収録できたなと思っています。

■良ければ今作の映像の見どころを教えてください。

カナタ アナタシアはブレイクダンスやアクロバットを取り入れているように、そのパフォーマンス面での火力が魅力のグループです。思わず「すげぇ!」と言いたくなる、そのパフォーマンスが伝わるライブであり、それが映像作品になっているところがこの作品の魅力です。中でも、僕の推し曲は“エフピーエス”です。ハネルとりおんがポーンと飛ぶアクロバティックな場面から始まり、みんなが歌詞に合わせたコミカルなキャラクターになってジェスチャーをしたり、実際に声をかけあうなど、アドリブでパフォーマンスをしているんです。そこが本当に見どころになっていると感じています。

まさと 全編を通して言えることですけど、動画で撮影していた時とは異なる、ライブだからこそのみんなの表情が味わえること。「踊ってみた」の動画では、みんな前を向いてダンスをしていますけど、メンバー同士が顔を見合わせるなどのチーム感の出た動きは、ライブだからこそ見られる場面だと思います。さっきも出た“エフピーエス”の中での、メンバー同士の掛け合いも見どころですけど、個人的には“Bling-Bang-Bang-Born”の時の、ハネルくんの表情がとてもインパクトが強いので、そこをぜひ見てほしいです。(笑)

りおん 今回のライブで初めて行った試みが、ヘッドセットのマイクを付けてパフォーマンスをしたことなんです。その理由は、踊っている最中にファンの人達とのコミュニケーションを取りやすくするためであり、“エフピーエス”や“ロールプレイングゲーム”のようにセリフの入った楽曲や、これまでのように踊りに徹して、それを見せていくだけではなく、こうしてコミュニケーションを持つスタイルを取り入れたのも、このライブの中での大きな見どころになっています。そしてもう一つ、“可愛くてごめん”のような可愛らしい楽曲も、こういう大きな会場を舞台にしたワンマン公演だからこそ、積極的に取り入れられたことだったので。お客さんたちには、僕らの可愛い姿のアピールも好評でしたけど、僕ら自身は「本当に俺らは可愛いのか?!」と、ちょっと照れた感じでパフォーマンスをしていました。(笑) そんなふうに必死に可愛さをアピールしている姿もぜひ見てほしいと言いますか、お客さんたちの発する「キャーッ!」の声と、僕らが心の中で出している戸惑いを覚えた「キャーッ」の声とのギャップを、想像を膨らませて楽しんでもらえたらないいと思います。

ハネル 今回の映像撮影のために、ありがたいことに十数台のカメラが会場に入りました。だから、本当にいろんなアングルから、ライブ全体や、メンバーそれぞれの姿を楽しめるのもあるんですけど、個人的にめちゃめちゃ見てほしいアングルが2つあります。1つが、真上から映した映像。アナタシアのダンスのフォーメーションは、リーダーの芝健が「一人一人が平等に目立つように」と構成しています。うちはメンバーが7人いるから、構築した複雑な動きも多ければ、動きの華やかさやカッコ良さをだしながらも、かなり難しいダンスを見せていますけど、正面からその動きを見るだけではどうしてもすべてが伝わりきれないこともあります。だけど、それを上から映した映像で観ると、その細かい動きがよくわかると言いますか、それこそ一歩タイミングが間違えばぶつかってしまうような動きや、互いがスレスレで移動している様なども、上からの映像を見ることでわかっていただけると思います。もう1つが、メンバーの後ろ姿を映した映像です。よくファンの方々から、「2階席で手を振っている姿って、ちゃんと見えていますか?」「1階の後方でサイリウムを振っていたけど、メンバーに見えてるのかな?」と聞かれることがあります。僕らにはばっちり見えているから、いつも「見えてるよ!」と言うんですけど、その証拠があるわけじゃないから、本当に信用してもらえているのかリップサービスで言っているだけと思われてしまうなどの懸念もあったんですけど、後ろから映し出した映像を見てもらえたら、1階の後ろの方も、2階席だってばっちり見えているのがわかってもらえるはずです。それと、ヘッドセットを付けて、落ちないように気をつけながらアクロバットな動きをしているので、そこも個人的には見ていただけたら嬉しいです。

なおや この日ならではの見どころで言うと、“阿修羅ちゃん”の曲の時に、カナタがラスサビの部分でアドリブでやった動きをしていて、他のメンバーが即座に真似をするパートが出てきます。そこは毎回ライブごとに違うからこそ、この映像を通して、あの日だからこそのアドリブの動きを楽しんでもらえたらなと思います。よくライブを見てくれる人は、毎回どんな動きをするのかにも注目してみてください。

カナタ そこに関しては、リハーサルでやった動きと本番での動きが変わっていたり、毎回本当に直前まで何をやるのかを決めていないから、6人はいつもその場ですぐに対応していくんです。それをメンバー自身も、お客さんたちも楽しんでいるからこそ、そこもライブならではの楽しい見どころになっているのかなと思います。

芝健 確かに。それが毎回の楽しみになっているよね。

カナタ ただ、自分で「今日はつかめたな」と思う時もあれば、「今日はいまいちだったかな」ということもあるように、仕掛ける側は毎回プレッシャーがすごいですけどね。(笑)

芝健 でも、これまですべてつかんでいるけどね。まぁ仕掛ける本人だからこそそう思ってしまうんでしょうね。