■カラオケなどで歌ってみたい人へのアドバイスもお願いします。
ASCA 基本はバラードだと思って、のびのびと感情を乗せて、自分が思うがままに歌うといいと思います。それで、サビで夜空を思い浮かべてもらって、「どこまでも自分の声を響かせるぞ!」という気持ちで、自分の日頃の鬱憤なども解放してもらえたらいいのかなと思います。歌は自由に歌ってほしいです。採点バーとかはつけないで。バーをつけると音程に縛られてしまいますから。
■採点バーはつけないこと。いいアドバイスだと思います。ちなみにですが、作品にちなんで、ASCAさんは猫のお尻にキスしますか?
ASCA すごい質問ですね。(笑) 実際にはしたことないですし、多分しないんじゃないですかね?(笑) クロードが猫から人間に戻るためには、お尻にキスしなきゃいけないんですけど、それに気づいた時、スピカが最初は「まだ(普通の)キスもしたことないのに!」みたいな反応をするんですよ。「問題はそこか?!」みたいな感じもするし、いかにも思春期の女の子って感じなんですが、クロードの方もさすがに照れていて、そこにはキュンとしました。
■それはちょっとカワイイですね。(笑)
ASCA でもそれで人間の姿に戻るとなったら、ちょっと癖になっちゃうかもしれない。(笑) キスすれば人間に戻ってくれる。しかもめっちゃイケメンじゃないですかクロード様は。そう考えたら、最初は嫌かもしれないけど、もしかしたら毎秒するくらいになるのかな。多分私は最終的にめっちゃするタイプになる気がしてきました。(笑) 人間になってくれるんだったら、もういくらでも!
■欲望に忠実ですね。(笑) そしてカップリング曲の“パキラ”ですが……あまりにも正反対の曲過ぎて、「ASCAさん何かあったの?」と思っちゃいました。
ASCA そうですね。もう歌詞的には正反対ですよね。「どんな曲を作ろう?」という打ち合わせをした時に、「ASCAさんの書く曲って、どれだけ絶望しても最後には一筋の光をくれますよね。でもそうじゃない歌詞も見てみたいです」という話をもらって。それがスタートでした。それで、自分自身の絶望を探して過去の記憶や日記に書いた事などを思い返してみた時に、出て来たのがこういうことだったんです。好きなものや、大切な人に対して注いだ愛が、まっすぐに受け取られなかった時、「自分は必要とされていないんだ」と考えてしまう悲しみってあると思っていて。それって多分、どれだけ会話をしても埋められないものだし、人それぞれの愛し方や相性もあると思うんですが、自分が注いだ器、つまり相手の心ですよね。心にどれだけ愛を注いでも、注いでもこぼれていくような感覚がずっとあったんです。今回私が書ける絶望はそれだなと思い、書き進めていきました。
■よかった。直近で何か大変なことがあったわけじゃないんですね?
ASCA 結構前のことですね。私は直近のことだと多分、消化しきれなくて、すぐ歌詞にはできないと思います。まさにその渦中にいたり、まだ悩んでいる最中だと書けないんです。でも、そこを乗り越えて昇華できたからこそ書けたので、今は元気です。
■歌詞的には大失恋してますよね?
ASCA してますね。(笑) ただ、大失恋というか、愛し方の違いで上手くいかなかったというだけなんです。別れたこと自体が悲しかったんじゃなくて、どれだけ愛を注いでも、それは意味がないこととされた時の想いです。その経験を上手く濃縮できたかなと思っています。
■それがすごく綺麗な言葉で表現されていて、素敵です。
ASCA 最初は、「手を器のようにして、それが相手の心だとして、自分が愛を注いだけれど、指の隙間からこぼれていっちゃう」というような表現をしていたんですが、それだとちょっと想像し辛かったんです。そこから始めて、聴く人にもっと映像が浮かびやすい言葉で表現していこうとなり、今の「底の無い鉢植え」という表現に変わっていきました。ひいては、自分が注いでいたものも、もしかしたら本当に愛だったのか?と疑っている気持ちもあるから、「底の無い水差し」という表現にも繋がっています。
■なるほど。深いです。
ASCA 相手が求めていることを一生懸命与えたつもりだったんですけど、もしかしたらそれは相手にとっては求めていることではなかったのかもしれない、ということに、時を経て気づけるんですよね。でも気づけていない時って、「相手の器が壊れていたんだ」とか、「相手が悪いんだ」と思ってしまっていたんです。時間が経ったことで、「もしかしたら自分の器も壊れてたのかもしれない」と思えたからこそ、書けた2番の歌詞でした。
■題材が“パキラ”なのもいいですよね。あまり枯れないことで有名な植物が枯れるって、相当ですよ。(笑)
ASCA まさにそれです。枯れない植物が枯れるなんて、結構なことじゃないですか。自分自身も植物を育てていた時に、その植物が腐っちゃったんですよね。もう育てられないと再起不能になった時に、この恋も終わりだな……と思ったんです。形あるものが終わった時に、形がないもの、すなわち愛や恋が終わるんだなと考えて、気持ちも折れちゃったというか。もう疲れたなという記憶がすごくあって。当時の日記にも書いていたんですよ。その一連の出来事が元になっています。その植物はパキラではなかったんですけどね。(笑)
■パキラは本当に強いですからね。(笑)
ASCA 根底となるものはノンフィクションなんですが、いろいろと肉付けしていく段階では、より絶望を感じる植物しかり、情景を加えながら描いていきました。初めて聴いた人にも映像が浮かびやすい言葉選びというのができたのかなと。それを初めて意識しながら取り組めたと思います。
■でもこの曲、サウンドは明るめなんですよね。
ASCA そこなんですよ!それはもう作る段階から音楽ディレクターさんと話し合いました。悲しい歌詞に悲しい音楽というのはたくさんあるけど、「明るい曲調なのに悲しい歌詞をつけたいよね」という話になったんです。「ASCAさんの絶望を書いてほしい」と言われて始めた作詞だったのですが、音からは希望を感じる作り方になっていて。こういう伝わり方もあるんだなと、本当に新しいことができたと思います。
■ちょっとくぐもったような音の質感も面白いですよね。
ASCA そうですね。水っぽい要素が欲しいと思っていたのですが、冒頭から早速アレンジャーの石井さんが入れてくれていました。イメージしていたものがデモ曲として出てきたので、本当にすごいなと思いました。
■最後に、今後もライブの予定がたくさんありますが、今楽しみにしていることを、「音楽のこと」と、「音楽以外のこと」で、ひとつずつ教えてください。
ASCA 音楽で言うと、まだみなさんに発表していないことがたくさん待っています。新しい挑戦もたくさんしているし、年々自分の声が好きになってきて、特に今回の“Cups”は、自分の声を信じて歌うことができて、またひとつ壁を超えた先の歌を聴いてもらえるのが2026年だと思っているので、みなさんも楽しみにしていてほしいです。
■音楽以外だと?
ASCA 私は登山が大好きで、去年富士山に初めて登ったので、もう目標をなくしたかと思いきや、まだまだ日本には百名山という、標高が低くとも絶景が観られる山がいっぱいあるんです。今はそこを目指して、一個ずつコンプリートしていきたいなと思っています。
■山登りですか!すごいですね。
ASCA 最近暖かくなり、登山シーズンにもなってきたので、先日、標高461メートルの宝篋山に登ったんです。1時間45分くらいかけて登るような感じでした。道はちゃんと舗装されていますし、途中で小さな滝がたくさん出てきたり、大きい岩が出てきたりと、歩いているだけで楽しいですし、たまにはスマホから離れることも大切だと感じます。
■「デジタルデトックス」というやつですね。
ASCA そうです。体を動かしながら“今”目の前で起きていることに集中したり、心を躍らせることが私には必要不可欠みたいです。これからも日常を豊かにしていきたいと思っています。
■百名山チャレンジ、ぜひ安全に気を付けて頑張ってください!
Interview & Text:安藤さやか
PROFILE
愛知県出身、9月5日生まれ。A型。中学生時代、大倉明日香として第5回「全日本アニソングランプリ」に出場。応募者10,000人以上の中からファイナリスト3名まで勝ち抜き注目を集める。2017年8月、アニメ音楽誌「リスアニ!」誌上にて、ASCA初となるオリジナル楽曲「RUST」を発表。同年11月22日、 1st Single 「KOE」(TVアニメ『Fate/Apocrypha』2ndクールEDテーマ)でメジャーデビュー。2019年2月27日、4th Single「RESISTER」(TVアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション』第2期OPテーマ)リリース。10万ダウンロードを突破しゴールドディスクに認定されるヒットを記録。同年9月、トリプルA面Single「RUST / 雲雀 / 光芒」リリース。2019年11月6日、1st Album「百歌繚乱」を発表し、12月より自身初の東名阪ツアーを敢行。2020年11月、「Howling」(TVアニメ『魔法科高校の劣等生 来訪者編』OPテーマ)リリース。2021年1月27日、2ndアルバム「百希夜行」リリース。2022年1月、梶浦由記プロデュースによる「君が見た夢の物語」(TVアニメ『ロード・エルメロイII世の事件簿-魔眼蒐集列車 Grace note-』特別編 主題歌)リリース。2023年、声帯ポリープの摘出手術からのリハビリを経て、6月に手術後初となるワンマンライブ「No Voice, No Live」開催。同年10月、5周年ライブツアー「VVV」(ファイブファイブファイブ)開催。同年11月、「私が笑う理由は」EP(TVアニメ「豚のレバーは加熱しろ」OPテーマ)リリース。2024年2月、自身初となるZeppワンマンライブをZepp Shinjukuにて開催。同年3月、3rdAlbum「VIVID」リリース。同年、「紫苑の花束を」(TVアニメ『魔法科高校の劣等生 古都内乱編』EDテーマ)を始め、3クール連続でアニメ主題歌を担当。同年10月、韓国・ソウルにて初の海外ワンマンライブを開催。2025年は、国内ツアーのみならず、初のアジアツアーを開催。同年8月、4th Album「28」リリース。2026年2月、13th Single「Giver」(TVアニメ『龍族Ⅱ -The Mourner’s Eyes-』EDテーマ)リリース。同年5月、14th Single「Cusp」(TVアニメ『黒猫と魔女の教室』OPテーマ)リリース。ライブ・イベント・リリースと国内外問わず活発に活動中。
https://www.asca-official.com/
RELEASE
『Cusp』

初回生産限定盤(CD+BD)
VVCL-2920〜2921
¥2,300(tax in)

通常盤(CD)
VVCL-2922
¥1,600(tax in)

期間生産限定盤(CD+BD)
VVCL-2923〜2924
¥4,000(tax in)
SACRA MUSIC
5月27日 ON SALE







