FUNKY MONKEY BΛBY’S VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

「久しぶりに2人で楽しく楽曲制作した」再始動後初のアルバムと互いの魅力を語る。

FUNKY MONKEY BΛBY’Sが再始動後初のアルバム『ファンキーモンキーベイビーズZ』をリリース。2013年の解散から8年、2021年にファンキー加藤とモン吉の2人で再始動を遂げたFUNKY MONKEY BΛBY’S。再始動以降シングルリリースやツアーなど、精力的に活動を行う彼らが今回のアルバムで描いたのは、自身の等身大を描いたような “乙Sound”や、サウンドとリリックのマッチが気持ちいい“荒野に咲く花”、“原宿陸橋”など、彼らの定番と言える熱い応援ソング以外の魅力も存分に感じさせるものとなった。
オリジナルアルバムの制作はどのような想いとともに行われたのか。解散前との変化について、制作に込めた思いについて、ファンキー加藤とモン吉の2人に話を訊いた。

■2021年に2人体制で活動を再開されてから約2年。以前との変化を感じていますか?

モン吉 前は疲れきっていましたけど、今はお互い健康に仕事ができているなと感じます。

ファンキー加藤 そうね。もちろんコロナ禍での再スタートで制限は多かったですけど、それはうちらに限ったことじゃないですし、明らかに以前よりもコミュニケーションを取りながら活動できていると感じます。2人とも大人になったのもあるかもしれないですが、いい塩梅でやらせてもらっています。

■今作は新体制後初のアルバムです。どんな気持ちで制作に取り掛かり始めましたか?

モン吉 それは解散前と変わらないですね。作り方を変えず、でもトレンドも取り入れつつ、自分たちらしさとのバランスをとりながら、という感じでした。ただ目標として「当時のワクワク感を新しいアルバムでも感じさせられたら」とは思っていて。飽きずに聴ける感じにはしたいと思っていました。

ファンキー加藤 盤で出せることはありがたいんですが、とはいえ、今はほとんどサブスクで聴かれると思うので、今回はそういうところも意識していて。流し聴きでもいいように少しだけライトに作りました。気軽にリピートして何周も聴ける1枚になったんじゃないかなと思います。

■ご自身の変化というよりは、時を経たことによるリスナーの聴き方の変化が大きかったんですね。アルバムの収録曲で言うと、1曲目の“乙Sound”からすごくインパクトがあると感じました。

ファンキー加藤 「ドラムンベースでライブ映えする曲を作りたい」というところからできた曲です。

モン吉 ファンちゃん(ファンキー加藤)が、コンセプトとして「カルビとI’ll be」って言ったんだよね。(笑)

ファンキー加藤 そうそう。韻を踏みたくて、そこから曲の世界観を広げたんです。「カルビとI’ll beで韻踏みたい」ってモンちゃんに言ったら、最初ポカンとしていましたけどね。(笑) 「どういうこと?」みたいな。

モン吉 でも、そういう熱い思いがあるんだなって思ったよ。

ファンキー加藤 だから仮タイトルは「バイバイカルビ」だったんです。(笑) 

■「カルビとI’ll be」が始まりだったんですね。(笑) 歌詞は活動を再開するまでの8年間で歳を重ねたからこそ書けるものでもあると思います。

ファンキー加藤 歳を重ねることの悲哀、哀愁みたいなものをカラッと笑い飛ばせる面白おかしい曲がいいなと思っていて。実際、40歳オーバーじゃないと書けない曲だと思います。前のファンモンだと出てこないコンセプトだったと思うし、僕もモンちゃんも非常に歳を取ったなと感じる事案が多くて。モンちゃんは膝が痛いって言うし、ライブ前のストレッチも長いし。(笑) かといって、そのことにすごく落ち込んでいるかと言われれば、そうでもないんです。どんなおっさんもそうですけど、笑い飛ばすじゃないですか。「歳取ったな」って笑い飛ばせるあの感じがいいなと思って。それはパーティーチューンとしても最適なんじゃないかと思って出来た歌詞ですね。

モン吉 すごくうちらっぽいよね。

■このアルバムの収録曲が発表されたニュースでは、「固い韻を踏んでいる」とも書かれていましたが、まさにそうですね。

ファンキー加藤 それ、僕が言ったんじゃないんですよ。「固い韻」がフックアップされていて、ちょっと恥ずかしいんですけど……。(笑) でもJーPOPフィールド内で考えたら、韻は固いと思います。韻を踏むのが好きなんですよね。あと10年前に比べると、韻を聴いてくれる耳が増えたなと感じます。なので、より踏み応えがあります。

■韻を踏む際に特に意識されていることなどはありますか?

ファンキー加藤 できる限り他のラッパーとかが踏んでいないような、面白いものでありたいなと思っています。あと、ちゃんとストーリーテラーでありたいなと。韻を踏むだけだったら誰にでもできるので、そこに面白おかしいエピソードや物語を描くっていう。それにはちょっと自信がありますね。

■先行リリースしたリード曲“YOU”は、MVとジャケット写真にカンニング竹山さんが起用されています。すごくぴったりだなと感じました。

ファンキー加藤 曲が出来た段階でみんなでMVをイメージして、モデルは誰がいいか話し合ったんです。MVで親子の関係性を描きたくて、スポットライトが当たるのはお父さん側なんじゃないかと話していく中で、カンニング竹山さんの名前があがったんです。ちょっと哀愁も出せるし、何より演技力がすごいし。毎回顔ジャケットの会議もやっているんですけど、好き勝手にいろんなタレントさんや役者さん、スポーツ選手の名前を挙げて、ああだこうだ言える至福の時なんですよね。(笑)

■今回のアルバムのジャケットは、加藤さんとモン吉さんのお2人の写真ですが、今まではDJケミカルさんだったじゃないですか。2人体制になった今、ジャケットも2人で写るということはすぐに決まったんですか?

モン吉 実は最初はケミちゃんにも頼み込んでみたりしたんですけど、断られたんです。(笑) 先ほどの竹山さんもそうなんですけど、基本的に今まではワンショットじゃないですか。なので、僕ら2人の顔を合成させてみたりとか、いろいろな事を試してみたんですけど、ちょっとイケメンになり過ぎたり、気持ち悪くなり過ぎたりで駄目で……。最終的にこうなりました。

■そうだったんですね。収録曲はどのタイミングで作り始めたんですか?

ファンキー加藤 前回のツアーが終わってから楽曲制作に入っていきました。“ROUTE 16”を作っているあたりから、2023年の春くらいにはアルバムを出すことは決まっていたので、そのあたりからなんとなく曲の種を作っていた感じではありました。

■すごくいろんな音色やジャンルの楽曲が入っているので、長い時間をかけて作り溜めていたのかと思っていました。“荒野に咲く花”は、サウンドからも荒野感が溢れている曲ですね。

ファンキー加藤 この曲の世界観はトラックから連想していて。広大な感じがいいなって話していたよね。

モン吉 そうだね。良い曲になるかは分からないけど、「とりあえずトラックがいいから挑戦しよう」という感じでした。

■他にもサウンドに歌詞が影響を受けたり、歌詞にサウンドが影響を受けて作られた曲はありますか?

ファンキー加藤 “ほろり”とかは、モンちゃんが生み出したメロディーが「Love&Peace」を奏でていたから、ちょっとその方面に寄せました。今回はオケとかメロディーが曲の世界観を持ってきたことが多かったと思います。

モン吉 “原宿陸橋”もそうだよね。

ファンキー加藤 そうだね。今までは結構別で考えていたんです。でも今回はオケとかサウンド、メロディーに素直に言葉を乗せてみようと思って。違和感なくスムーズに作れた楽曲が多いような気がします。

■サウンドの印象のまま、素直に歌詞を書くようになった理由は何かあるんですか?

ファンキー加藤 今回、結構まっさらな状態でアルバム制作に挑んだ気がするんです。何か伝えたいメッセージがあるというよりは、「久しぶりに2人で楽しく楽曲制作したい」というモードだったので、それが理由かもしれないですね。シングル曲は間口の広さとか、どれだけキャッチーにできるかとか、考えることがいくつかあって、そういう意味で特に“エール”は苦労したので、アルバム曲はもう少し肩肘張らずにリラックスして作ろうという感じで。制作期間もちょっと多めにもらえましたし、滞ることなくスムーズに作れました。

■確かに今作はこれまでのシングル曲にも多かった、力強く応援や思いを伝えるような曲よりも、自身に向き合うような歌詞が多いという印象を受けました。

ファンキー加藤 そこは意識したかもしれないです。前は本当に背中やお尻をバシバシ叩きながら鼓舞する感じでしたから。でも最近モンちゃんともよく話すんですけど、みんな頑張っていると思うんです。このコロナ禍でみんなが踏ん張ってる。なので、先行シングルの “YOU”もそうですけど、もうちょっと優しく肯定するような曲にしようと。「認め合おう、肯定し合おう」という方向にスライドしているかもしれないですね。

■「前は背中を叩いて鼓舞する感じ」とおっしゃっていましたが、その力強さをまた少し違う形に昇華したのが“世界一”なのかなと。

ファンキー加藤 そうですね。これはちょうど2007年、2008年のファンモンの雰囲気があるかもしれないです。でもこの曲のレコーディングは疲れました……。(笑)

■曲によってレコーディングの疲れ具合も違うんですか?

ファンキー加藤 全然モードが違うんですよ。“荒野に咲く花”とか“世界一”のレコーディングの時は、ライブ前にするような準備運動をしてからアドレナリンを出して、レッドブル飲んで翼を生やして。(笑) まさにライブさながらに汗をかきました。

■そうだったんですね。

ファンキー加藤 レコーディングはあまり得意じゃないというか、ちょっと苦手意識があるんです。ライブの方が自分らしさが出せる。なので、こういう激しい曲はアドレナリンを出して乗り切っています。

■モン吉さんはレコーディングする時の曲による違いなどはあるんですか?

モン吉 うーん、僕は曲に合う感じにどれだけ落とし込めるかを考えるくらいですかね。

ファンキー加藤 最終的にデモのやつを使ったりもしたよね。

モン吉 そうそう。“ROUTE 16”は家で録ったテイクを使っています。レコーディングで歌ったテイクは頑張り過ぎちゃっていて、なんかちょっとイメージと違っていたので。

ファンキー加藤 「本当のファーストテイクが一番良かった」みたいなことも結構あるよね。(笑)

■その中でも、お2人が特にレコーディングで苦労した曲はありますか?

ファンキー加藤 制作時間を長めにもらっていたとはいえ、ミュージシャンあるあるなのか、僕らあるあるなのか、残り1ヵ月で結構追い込まれたんです。それでもどうにか最後の“君だけの歌”のレコーディングまでたどり着いたんですけど、完全に疲れが喉に出てしまったんですよね……。かといって、すごいテンションを上げて歌う曲でもないので、それはちょっと綱渡りでしたね。難しかったです。

モン吉 僕はレコーディングで苦労したことはないかもしれないですね。これまで経験してきた分、ヤバイ時はすぐにわかるようになったので、そういう時は録り直したりしました。