GYROAXIA VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

GYROAXIA『Freestyle』

旭 那由多(Vo/小笠原仁)、里塚賢汰(Gt/橋本真一)、美園礼音(Gt/真野拓実)、曙 涼(Ba/秋谷啓斗)、界川深幸(Dr/宮内告典)

5人の化学反応が面白いし、この5人が集まったのは奇跡的だと思う。

アニメ、ゲーム、コミック、声優によるリアルライブなど、メディアミックスを展開するボーイズバンドプロジェクト『from ARGONAVIS(フロム アルゴナビス)』。そのプロジェクト発のロックバンド、GYROAXIA(ジャイロアクシア)が5曲入りミニアルバム『Freestyle』で遂にメジャーデビューを果たす。表題曲はTHE ORAL CIGARETTESの山中拓也(Vo&Gt)が楽曲提供プロデュースしたもので、今作を通してGYROAXIAが新たなフェーズに突入したことを知らせる強力作に仕上がった。GYROAXIAのメンバー5人に直撃!

■GYROAXIAとしては2019年末に始動して、今作で遂にメジャーデビューとなりますが、この約2年間の道のりはどんな期間でしたか?

小笠原 『from ARGONAVIS』という作品から生まれたバンドで、特殊な形ではあるんですけど、ライブイベント以外のところでもメンバーとの関係値が構築されているんです。お芝居、声優のイベントも5人でやるので、普通のバンド活動とはまた違うのかなと思います。ライブで言うと、まだ10本もやっていないんですよ。この5人で模索しながら歩んで来たので、まだまだスタート地点だと思っています。

橋本 バンド経験があるのは、こうちゃん(宮内告典)だけの状態から始まったので、探り探りというか、一歩ずつ積み重ねてきたという感じが強いですね。楽器初心者は楽器を触ることから始まりましたし、結成当初は特に基礎もない上に、自分達が持っていない技術ばかりで構成された楽曲が続いたので、毎回一曲一曲を完成させるのに必死でした。ステージもキャラを背負った上でパフォーマンスしなきゃいけないですしね。そんな、1からひとつひとつ積み重ねてきたこの2年間をこの5人で共有して歩んできたからこそ、GYROAXIAにしかない結束力があると思います。俳優、声優、ミュージャン、それぞれの畑で経験したものをバンドに還元しているので、そういった部分は普通のバンドにはない強みなのかなと思います。

真野 こうちゃん以外は楽器を演奏して人前に立った経験がないところから始まりましたからね。この2年間で練習を積み重ねて、「ここはこうした方がいいんじゃない?」とか、お互い遠慮なく言い合えるようになったので、信頼関係は深まったと思います。

秋谷 僕は声優をやる前に音楽の経験はあったけど、楽器を弾いて人前に立つというのは初めての経験でしたから。だけど、みんなで音を作る経験はすごく楽しかったです。5人の化学反応が面白いし、この5人が集まったのは奇跡的だと思うから。お互いに尊敬し合えているし、プライベートでも仲がいいんです。それがこのバンドの魅力ですね。この2年間でそれぞれの人となりもわかってきたし、人間的、音楽的に成長できたので、バンドとして面白い形になってきたと思います。

宮内 プライベートでもほぼ毎日グループLINEが稼働しているし、バンド以外でも集まるので、いい関係を築けているんです。それがこのバンドの強みですね。この2年間いろんな話をする中で、バンドを良くしていきたいという思いから、何でも素直に言える間柄になりましたから。これから大きくなる上でも土台ができた期間だったのかなと感じています。

■バンドの成り立ち的にお仕事として割り切っているのかと思いきや、それとは真逆なんですね。では今作が出来上がった感想を、メンバー1人ずつ伺ってもいいですか?

小笠原 今までGYROAXIAの活動の中で出てきた曲は、ほぼストーリーに絡んでいたり、この曲はこのメンバーが主役とか、誕生秘話みたいなものがそれぞれにあったんですよ。でも今作はそれがほぼない曲ばかりで、自分の中から生み出さなきゃいけなかったんです。メディアミックスとして、この曲にはどんなストーリーがあるのかを考えながらやっていたプロセスが今回はないので、最初は難しいのかなと思っていたのですが、そういう後ろ盾がなくても、これまでのバンド活動やお芝居から引っ張ってこられる表現もたくさんありました。ある意味、設定やストーリーとか制限があったら出なかったものを表現できたんじゃないかと思います。結果的にいちバンドの曲として雄弁なアプローチができましたね。

■GYROAXIAというバンドの中で独り立ちした表現ができるようになったと?

小笠原 説明書みたいなものがなくても大丈夫になったというか。空の台本をいただいて、思いを巡らせる作業と変わらないので、それが今作のレコーディングに当てはまったなと思います。自分で聴いても違和感がないし、新たな一面もたくさん見えました。

■アルバム名通りに、『Freestyle』になったと?

小笠原 そうですね。(笑) 今作はストーリーがないかもしれないですが、深みのある作品ができました。

橋本 音源のレコーディングに関しては僕ら楽器隊は参加していないので、作家さんからいただいた楽曲にGYROAXIAの色を入れてくれるのは(小笠原)仁の歌なんですよね。今まではアニメやコンテンツありきのバンドという意識が僕たちの中にもあったけど、そこからひとつ飛び出たような感覚は楽曲としても仁の歌唱の表現としても感じます。特に“Freestyle”、“DANCING PARANOIA”の2曲は、今までのGYROAXIAの楽曲カラーのど真ん中とは良い意味で外れてきたなと思っていて。ライブを重ねる中で、GYROAXIAの新しいカラーとしてダンスミュージックの要素が少しずつ増えた気がするんですが、その要素を踏襲した2曲だなと。

真野 今作を通して新たな一面が出てきたというか、様々なクリエイターに作っていただいたこともあり、音楽の幅が広がったと感じます。バンドの軸があった上で色付けの違う曲が揃っているし、今後の可能性がまた開けてきたなと思いました。

秋谷 デモをいただいて、その後に仁が歌ったものを聴くと、「旭 那由多のGYROAXIAが完成だ!」という気持ちになるんです。今作を聴いた時にGYROAXIAが一段階上を目指していることが伝わってきたんです。だから、演奏する僕らも負けないように頑張らなきゃいけないなと。どの曲もGYROAXIAの色を残しつつ、それぞれ別の方向に振り切っているし、新しい広がりを見せてくれる楽曲ばかりですから。僕は特に“NEW ERA”のラップパートが好きで、初めて聴いた表現もあり、そこが刺さったんです。あれは役者だからできる表現なのかなと。そこが個人的にお薦めですね。

■ラップパートのどういう魅力に惹かれたんですか?

秋谷 フロウの流れとか、今まで聴いたことがない音の使い方なんですよ。新境地に挑戦しているような印象を受けましたからね。

小笠原 そうですね。“NEW ERA”のラップ部分は今までよりも語りに近い感じにしていて……よくわかってるね!(笑)

秋谷 GYROAXIAのメンバーであり、ファンの一人として、そういう発見があったのも嬉しかったんです。

■では、宮内さんは?

宮内 仁くんは毎回ライブで歌い方を少しずつ試行錯誤していて、全力で振り切ってみたり、理性を保ってキレイに歌ったりとか、時期によって歌い方を変えていたんですよ。今作を聴いて、仁くんの中でもひとつ辿り着いたものを表現しているのかなと。バンドとしてはライブでも新しいGYROAXIAを魅せられる作品になったんじゃないかと思います。

■どれもライブで聴きたい楽曲です。“Freestyle”はTHE ORAL CIGARETTESの山中さんが楽曲提供・プロデュースによるものですが、この曲を聴いた時の印象はどうでしたか?

小笠原 表題曲はどういう雰囲気の曲になりそうかはプロデューサーから聞いていましたが、実際に聴いてみたら「こっちで行くんだ!」って。最初に出た“MANIFESTO”、1stアルバム『ONE』を去年出したんですが、その中で主軸にしていたサウンドとはまた違う方向に舵を切ったなと思いました。バチバチで重めのロック、メタルサウンドという色を出していたんですが、“Freestyle”という曲名通りに強めのダンスミュージックで。でも色気も感じられるし、歌詞やサビ、メロディからはGYROAXIAらしい熱量を感じました。この曲を経たら、また自分たちの枷が解かれるのかなと感じましたし、楽曲提供してもらい、こんなGYROAXIAもあるんだって思いました。

橋本 今まではヘヴィな曲、疾走感のある曲が多い中で、飛び道具のような役割として“LIAR”や“GETTING HIGH”とか、ダンスミュージックっぽい曲でライブを盛り上げることが多かったんですが、今回“Freestyle”を聴いて、この曲はダンスミュージックの要素がありながらも、飛び道具というよりは、バンドにとっての新たな主軸となる武器だなと感じました。新しい扉を開けてくれた曲になりました。