Lead VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

Lead『Sonic Boom』

20周年イヤー幕開けのLead、勝負曲の意気込みと思いを語る

Lead20周年イヤーの幕開けともなる今作は、力強く推進力のある“Sonic Boom”から、爽やかな音と内省的な歌詞の”GET OVER”、情熱的な夏らしい”Te Quiero Mucho”と、趣向の異なる3曲から成る。Leadにとって、あるいは業界全体として逆境である今このタイミングで節目を迎える彼ら。種類の違う3曲に込められた彼らの今の気持ちや意気込みを読み解くため、今作が出来上がるまでとそれぞれに込めた思いを鍵本輝、古屋敬多の2人に聞いた。
※谷内伸也は新型コロナウイルス陽性の診断のため欠席

■約1年ぶりのシングル、まずは出来上がっての感想を聞かせてください。

鍵本 まずは、完成できてよかったなと思います。このご時世だからこそ、進みたくても進めないとか、決めたくても決められないことがあるんですけど、その中でやっと完成に持っていけたなっていうのはありますね。

古屋 シングルを出せるっていうのはグループにとって一番重要なことだと思うので。今の僕たちはこんな感じですっていう、その時々の名刺代わりになるというか。

鍵本 ”GET OVER”も”Te Quiero Mucho”もシングル候補曲だったんですね。なので、自分たち的にはどれを表に立たせたとしても勝負曲って言えるものを結果的に収録できています。最終的な落としどころが”SonicBoom”に決まったっていう感じでした。

■じゃあシングル表題曲を3つ集めたような内容になっていると?

鍵本 そうですね。ちょっとしたアベンジャーズですよね。(笑)

古屋 あと、今回は“Sonic Boom”で初めて輝が作詞・作曲をしているので、僕も自分のことのように嬉しく思います。しかも格好いい曲を作ってくれたので。

鍵本 “Sonic Boom”に関しては、これまでにないLeadのサウンドを作りたいなという思いがあって。リリースするタイミングは不透明なまま、とりあえず作り始めた感じだったんですけどね。今の日本の音楽シーンにはあまりない音感みたいなものを表現できたらなっていうざっくりしたアイデアのもと進めていった楽曲ではありました。“Tuxedo~タキシード~”をリリースした後から温めていたというか、ここぞっていうタイミングで出したいなと思っていたので。結果的に今の時期になってよかったなと思っています。

■“Sonic Boom”は本当に勢いがある曲ですよね。引っ張られるというか。

鍵本 本当に「これから戦いに行くぞ!」みたいな気持ちが乗っかっているなと思います。それを表現したいと思っていたのでこういう曲を書いたんですけどね。敬多も言いましたけど、その時その時のグループの最前線にある感情だったり想いが詰まっている曲が最新の曲だと思うので、本当に僕たちの今の気持ちがそのまま出ている曲だなと思っています。

■その「今の気持ち」というのは、こういう状況でライブがしにくくなってしまったことで逆境に置かれてしまったことであったり、グループとして20周年を迎えるにあたっての意気込みみたいなものも込めてあったりするんですか?

鍵本 正にそうですね。本当に「活動したいのに!ライブしたいのに!」っていうところだったり、あとは20周年もっと盛り上がっていきたいっていう想いを込められているかと。去年1年がなかったような感じなので。秋に“Tuxedo~タキシード~”のシングルを出せてはいたんですけど、そこから先は活動的にもほぼなかったに等しいので。オンラインライブとかはしましたけどね。なので、自分たちのフツフツとした気持ちをこの曲でぶつけたいなって。ライブも「お客さんを入れてやります」って言っていたんですけど、それも残念ながら実現しなさそうで……。そういう申し訳なさや、先が見えなすぎて動けないっていうもどかしさが今年も続いてしまったなっていう気持ちがあります。19周年はそうしてちょっと歯がゆい年になってしまったんですけど、20周年イヤーをこの勢いある曲で走りだせるっていうのは、とてもLeadにとっていいんじゃないかなと思っています。

■すごくライブ感もありますよね。ライブができるようになったらみんなで盛り上がれるような。

鍵本 ライブだったらここ声出して欲しいなっていうポイントをたくさん詰め込んでありますね。

■使われている音もクラップとかホイッスルっぽい感じとか、いろんな音が散りばめられていますよね。

古屋 マーチングドラムが主体となっています。それはLeadでは初の試みだったんです。

鍵本 逆境だからこそ燃えてくるみたいな、そういう感じのものを表現したいなと思って。人が何かに向かって挑む時とか、もっと歴史を遡れば「何々の乱」みたいなのが起こる時に太鼓を叩いたりとかするじゃないですか。そういう人を鼓舞する時のサウンドってやっぱり太鼓だったりドラムがメインとなってきている歴史があるので。それを現代に落とし込んだ時に、今の自分たちもそうですけど、なにかがあって頑張りたい時とかに鼓舞できるようなサウンドになってるなと。そういう風にしたいと思って作りました。

■歌詞の中でも「君の歩いた道の足跡が音符になるのなら」など、音楽の要素がみられる箇所があるんですけど、そういうのもご自身とリンクさせて書いていたりするんでしょうか?

鍵本 それもあります。自分たちが音楽好きだからこそ、そういうバックボーンとかも描けたらいいなと思いました。この曲に関しては、例えばですけど、オフィシャルサポーターとか応援団が各サッカーチームとか野球チームにはいたりするじゃないですか。その人たちが奏でてくれることで、初めて成立するっていうのも面白いなと思ったんですよ。なので、音楽的なワードを入れました。

■応援する側がこの曲を奏でることによって違う形で意味を持って成立するっていうことなんですね。

鍵本 あと歌詞でいうと、上手いことワンコーラスめとツーコーラスめを繋げられたなって思いました。「静寂のバリケード」は「邪魔なフェンス」とか、上手く書けたなって思います。「360°囲むフォーメーションで」は「365days現在進行形で」とか、僕の中でこれぞツーコーラスめって感じがする。

古屋 あるよね、一番と二番で対になっていくみたいな。

鍵本 そう。だから僕、歌詞を書く時はツーコーラスめを書くのが一番好きなんですよ。「どのワードを挟んでやろうか」みたいな。(笑)

■“Sonic Boom”では歌詞が鍵本さん、ラップ箇所の歌詞は谷内さんと別々じゃないですか。他にもそういう曲はいくつもあると思うんですけど、こういう時って歌詞の内容のすり合わせみたいなことってしたりするんですか?

鍵本 この曲に関してはあんまりやっていなくて、伸也に丸投げでした。一応フルコーラスの歌詞を書き上げた上で、「こんな感じのことを言っているから、あとは伸ちゃんよろしく!」くらいの感じですね。(笑) なので、本当に伸ちゃんの受け取り方と読み取り方に委ねました。それくらい信頼が厚いというか、彼の書くラップは格好いいってこれまでの活動の中で実感しているので。今回はラップパートが前後半で雰囲気が違うんですけど、そもそも初めは後半部分しかなかったんですよ。前半の方は伸也のラップ節が炸裂している部分があって、後半はメロディがついてるんです。初めはメロディの部分を書いてねってお願いしたんですけど、「フリースタイル的な感じで自分のフロウで書いてもいい?」って言って、2パターン作ってきてくれたんです。それを聴いてみて、「伸ちゃん、両方使おう!」って。それで前半に伸也のラップ、後半はメロディの載ったラップみたいな感じになりました。

■そうだったんですね。元々全部の箇所があったわけじゃなかったんですね。

鍵本 そうですね。

古屋 “Sonic Boom”はあっくんが作ったのもあって、「メンバーが一番恰好よく歌えるのはこのメロディでしょ」みたいな提示のしかたをしてくれたので、乗っかるだけでよかったんですよ。そういう切り口で来てくれるのはメンバーならではだと思います。

鍵本 メンバーの個々の特徴というのを一番理解できていると思うので。歌割りを決める時とかメロディを決める時とかも、ここはこの人だなって想定して。

古屋 だから歌いやすかったですね。

■そして2曲目“GET OVER”、これは本当に爽やかで風通しがめちゃくちゃいいですね。

古屋 そうですね。“Sonic Boom”とはまた違う感じになりました。思い思いというか、世界中のみんなを勝手に代弁するような感じで作詞させていただきました。

■どういう経緯でこの歌詞ができあがったんでしょうか?

古屋 歌詞を書きたいっていう衝動が湧いた時、何曲かあった候補曲の中で一番爽やかな曲を僕がチョイスして「この曲で書いてみます」っていう感じで書き始めました。去年は既にコロナ禍で、まだ心のどこかでは「そのうち鎮まるだろう」みたいな期待とかがあって、まさか今でも続いているっていうのは書いた当時は思っていなかったんですけど、家にずっと籠もっていて、すごいモヤモヤが溜まっていってしまって、みんなもそうだと思うんですけど。窓から外をみた時に、鳥は自由に飛んでいるし、元々俺らも自由だったのになぁ……とか。そういう外に出たいなっていう思いが日に日に強くなっていって。そういう思いをこれを機に形に残したいなって思ったんですよね。こういうこともあったよっていう思いもあって書きました。自分の感情を大切に書こうと思った曲です。コロナに関係ない自分のテーマだったりとかそういうのも含めて、変わりたい自分みたいなものを素直にぶつけてみようっていう感じで好き勝手書きました。