LIL LEAGUE『LIL LEAGUE LIVE TOUR 2023 “LIL GATEWAY”』ライブレポート@LINE CUBE SHIBUYA

新時代を呼び起こす6人が誓う未来、折り重ねる「特別」な瞬間。

遊園地の入場ゲートを思わせる半アーチ状の6本の電飾が煌めくステージ。ドリーミーな古めかしい音楽とともにアナウンスが流れる中で、観客席ではオレンジの旗が揺らめく。どこか懐かしいその光景を引き裂いたのは、激しいヘリコプターのプロペラ音だった。「今入りましたニュースです、LIL LEAGUEが東京にも姿を現しました。──」LIL LEAGUEが、8月22日(火)、東京・LINE CUBE SHIBUYAにて、『LIL LEAGUE LIVE TOUR 2023 “LIL GATEWAY”』の東京公演を開催した。7月の大阪公演からスタートし、全国7都市のホールを巡るこのツアーも終盤。渋谷駅から会場へ続く道では、グッズを身に着けたLIL Friends(ファンネーム)と何度もすれ違った。

開演時間を迎えて暗転したホールに満ちるのは、けたたましい轟音とニュース速報を伝えるアナウンサーの声。サーチライトがスモークの濃霧を探る緊張感にあふれた一瞬に、観客たちがメンバーの姿を探すと、突然メンバーの名がコールされ、その姿がスポットライトに照らし出される。Code No.1は岡尾真虎、No.2は百田隼麻、No.3は難波碧空、No.4は山田晃大、No.5は中村竜大。大歓声の中、最後にNo.6としてリーダー岩城星那が呼ばれると、舞台中央に置かれた「GATEWAY」のロゴが徐々に吊り上げられていく。激しいネオンの煌めきとともにサーチライトが客席を舐め上げれば、いよいよステージの幕が開く。「行くぞ東京!」オレンジ色のジャケットを身に纏い、1曲目からツアータイトルナンバー“GATEWAY”を叩き付けたLIL LEAGUEは、序盤からフルスロットルのテンションで新曲“HYPE UP”と続ける。鮮やかな光を浴びる6人は、観客とのコール&レスポンスを楽しみ、ラップスキルを存分に見せつける自己紹介曲“48 BARS RELAY”では、百田と難波がマイクを奪い合う一幕も。カッコよさとあどけなさが同居する年少組のその姿に、観客からは明るい歓声が上がる。

序盤の3曲で既に最高潮の盛り上がりを見せる会場に、MCでは繰り返し感謝の言葉を口にしていたメンバーたち。岩城曰く今回のツアーは「何かを奪う・何かを盗む」というテーマでステージを繰り広げてきたとのことだ。ここで岩城が東京公演にDVD収録のカメラが入っていることを発表すると、映像作品を待ち望む観客からは歓喜の声が漏れた。「この東京公演、ハンパな熱量じゃ終われません。カマしていけますか?今日!」その呼びかけに大声で応えるオーディエンスは、岩城の歌声を追うテクニカルなコール&レスポンスも抜群に歌いこなしていく。息切れのひとつも見せないまま披露される“Hunter”では、シンプルな演出の中で個性とスキルの調和が華麗なステージングを形作っていく。ここで一度暗転したステージでは、LIL LEAGUEを追うヘリコプターからの無線の音声が流れる。「遊園地に侵入したLIL LEAGUEが“何か”を盗んで逃走する」という筋書きのもとに組み上げられた今回の公演。半アーチ状に連なったライトの点滅を使って無線でのやりとりを視覚的に表現する演出は、ステージをよりドラマチックで没入感あるものに仕立て上げる。「ヤツらは南に進行中」、「ローラーコースターの下に集合だ!」の声と共に明るく照らし出される舞台へ、白いシャツに着替えたメンバーが登場。どこかひりつく緊張感を持った“Rollah Coaster”は、歌われれば歌われるほどに違う景色を連れて来る。再び暗転した舞台。青と白のライトが水面の輝きのように揺らめけば、スポットライトが岩城と中村を映し出す。二人だけで歌声を重ねるTHE RAMPAGEのカバー曲“MY PRAYER”はホールいっぱいに響き、静けさの中に壮麗な景色を作りだす。

「気づけばツアーも折り返しになりました。デビューして半年でホールツアーができるのは日々応援してくれる皆さんのおかげです」感謝の言葉とともに浮かび上がるステージには、ぽつりぽつりとレトロな街灯が光る。それを囲むように、あるいはベンチに腰掛けた6人が「大切な人を思い浮かべながら聴いていただけたらなと思います」と歌ったのは新曲の“15分”。観覧車が1周する15分間に溢れる想いを歌うこの曲には、誰かの大切な人になろうとオーディションを駆け抜けた彼らの姿が重ねられる。ひとりひとりが歌声を繋いだ“15分”が掻き消えると、再びサーチライトが6人を探す。そこに飛び出すLIL LEAGUEは、ダウンタウンの看板灯を思わせるビビッドな照明が輝く中で“Monster”をパフォーマンス。山田と岡尾が振り付けた同曲は、ステージを踏みしめる音すら聴こえてくるほど鬼気迫り、髪を振り払う指先や蹴り上げる爪先、そのひとつひとつの仕草が見えないはずのどこかの景色を作る。今回の公演で強く記憶に残るもののひとつは「舞台芸術」だ。遊園地の入場ゲートを模した電飾、モザイク状の壁にギリシャ建築風の柱、その上に乗ったスポットライト。ミュージカル風のそれらは全ての曲で違う時代と場所を演出し、断片的なストーリーをひとつの戯曲の如く仕立て上げる。LIL LEAGUEとしての日々を重ねるごとに進化していくパフォーマンスにも目を見張る。抜群の存在感でステージを締める岩城に、静と動の瞬間で重力を操る中村、軽やかなステップで華々しく躍動する山田、瞬間瞬間に飛び出して自らを印象付ける岡尾、愛嬌にあふれ空気を塗り替える百田、細やかな足技が光る軽快でクールな難波。それぞれの個性は綿密に計算されたステージの中で複雑に絡み合い、「デビューから半年の新人アーティスト」という事実を忘れさせるほどの輝きを作る。

ライブも後半戦に差し掛かり、LIL LEAGUEは新曲“飛龍”や、THE RAMPAGEのカバー曲“THROW YA FIST”、BALLISTIK BOYZ Ver.の“Touch The Sky”、GENERATIONSのカバー曲“EXPerience Greatness”、そして観客席に降りながら自らの1stシングル収録曲“Coloring Book”を披露していく。新曲も多かった本公演だが、手を振り、声を上げてメンバーの熱量に応える観客の熱は冷める瞬間が無い。ひとりずつ想いを語るMCの際には、「DVD収録があるのに今日に限ってめちゃくちゃ(MCで)噛んでる」と笑い、直後に曲のタイトルも噛む岩城。公演のコンセプトを再び紹介し「みなさんの笑顔やメッセージが活力になっています」と客席を見回す彼の言動やパフォーマンスからは、グループを率いる推進力と存在の強さが感じられた。続いて「MCで何を言うか考えた結果『ありがとうございます』になった」と話す岡尾には、観客席から笑い声。ドームの上の世界を目指す彼らだが、「これからもずっと永遠に『ありがとうございます』と言えるようになりたい」という想いはメンバー全員に共通している。EXILEのライブを観た事をきっかけにアーティストを目指した百田は「デビュー半年でホールツアーができるのは普通のことじゃない」と語り、4年後のドームツアーという目標を達成するために協力を願う。難波が「今日は家族や先生が来ている」と言うと、客席では両手を挙げて大きく手を振る人の姿が。会場が温かい空気に包まれる中、「みなさんひとりひとりの笑顔が見れたことが幸せ」、「限られた時間の中でどれだけ(観客を)幸せにできるか」と語り、「今日を歴史の1ページに刻みます」と言葉を締めくくる。山田はこの日のステージに立てていることへの感謝を口にして、「6人に会うために様々な方法で会場に足を運んでくれることがどれほど特別なことか」を語る。迷いながらも幾つもの壁を乗り越えこのステージに立った彼らのその言葉は、「4年後のドームツアーまでついてきてください」という決意に重みを乗せる。そして中村はLIL LEAGUEの6人とファンが集まる時間の1秒1秒の幸福へ感謝し、「4年後のドームツアーは難しい夢だと思います。でも、みなさんと一緒にいると、この夢が叶えられるような、叶えてやるぞ!という気持ちになります」と改めて夢を誓った。MCを終え、本編のラストに選ばれたのは「メンバーにとっても特別な、辛い事を乗り越えて一歩踏み出す時に背中を押してくれる曲」だという“Higher”。最後のサビは観客全員が歌声を重ね、6人の笑顔が弾けた。

アンコールの声に応えて再び姿を現した6人は、ぽつぽつ灯る街明かりと、夕暮れに似た照明を背景に別れを惜しむバラード“YADA”で、LIL Friendsひとりひとりの表情を噛み締めていく。しかし歌い終えると寂しげな空気から一転、山田の「まだまだみなさんとお別れするのはヤダと言うことで……」というMCに呼びこまれ、観客へのプレゼントコーナーがスタート。今回のプレゼントは公演途中にテーマパーク内から盗んできた(という設定の)LIL LEAGUEのポスターで、メンバーのサインと当選者の名前、それにメッセージが添えられた。コーナーを終えると、6人は始まりの曲である“Rollah Coaster”を再び披露。ステージの端から端まで巡り、手を振って観客を歌わせる。「この曲を4年後のドームツアーでも、その先でも歌っていきたいと思いますので、みなさんその日までよろしくお願いします!」鮮やかな宣誓と共に、ライブはついにラストナンバーへ。「最後の曲になってもまだやっていなかったことがあります」という言葉とともに、観客にタオルを持たせたLIL LEAGUEだが、「このタオルを持っていないとどうなるんだっけ?」、「横の人と気まずくなります……」とジョークを言うのも忘れない。別れを惜しむ観客たちがタオルを回す中、新曲“Okay”で華々しくステージは幕を下ろした。6人が去った舞台へと降りていくツアーロゴ、「オーディエンスみんながLIL Friendsとなり、みんな幸せになりました」というナレーション、映画のエンドロールを思わせる幕引き。手を振り走る6人の姿に、ふと巨大ドームの花道の幻を見る一瞬。その幻が現実となる日は近いのかもしれない。

Text:安藤さやか
Photo:TANY

https://lilleague.jp/

『LIL LEAGUE LIVE TOUR 2023 “LIL GATEWAY”』@LINE CUBE SHIBUYA セットリスト
01. GATEWAY
02. HYPE UP
03. 48 BARS RELAY
04. Hunter
05. Rollah Coaster
06. MY PRAYER(THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)
07. 15分
08. Monster
09. 飛龍
10. THROW YA FIST(THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)
11. Touch The Sky(BALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE Ver.)
12. EXPerience Greatness(GENERATIONS from EXILE TRIBE)
13. Coloring Book
14. Higher

ENCORE
01. YADA
02. Rollah Coaster
03. Okay