Lonesome_Blue『Re_Verseday』ライブレポート@I’M A SHOW

眩い「青」の中で未来を探す3人の新たな旅立ち。

Lonesome_Blueが新体制初のワンマンライブ『Re_Verseday』を12月24日(土)、東京・I’M A SHOWで開催した。2022年6月にデビュー、2023年7月のメンバー脱退を経て現体制となったLonesome_Blueは、声優としても活躍する野村麻衣子(Vo)と広瀬ゆうき(Ba&Cho)、そして真空ホロウ(2023年2月活動終了)やEast Of Edenで活躍するMIZUKI(Dr)の3人から成るバンド。今回のライブタイトルには、今までのLonesome_Blueを覆す意気込みとしての「reverse」、新たなLonesome_Blueの誕生としての「Birthday」、そしてバンドの確固たる世界を創り上げるという意味での「-Verse」と、3つの意味が込められているという。公演当日には開演前のアナウンスを野村と広瀬がみずから担当し、期待に胸を膨らませたファンを盛り上げる。

開演時間を過ぎて幕が開き、激しいライトの点滅の中“Hide And Seek”でライブはスタート。ベース、ヴォーカル、ドラムが一直線に並び、サポートギターが一歩退く独特のステージ配置だが、強力なドラマーが音楽を牽引するLonesome_Blueのサウンドによく似合う。「さあクリスマスイブ!今日ここに来てるってことは、Lonesome_Blueに全部ささげる覚悟、できてるってことだよね?!」挑発的な煽りと共に、バンドは眩い光を浴びながら“Body Rock”、“It’s My Time!”、“Blue Like Sapphire(The Flower Of Hope)”とハイテンポなナンバーを次々に展開。ベースとドラムの低音が張り出し、頭の芯が痛むほどに骨太なサウンドの上には野村の透明な歌声が踊り、観客は声と拳を上げてステージの熱量に応える。髪を乱して跳ねまわる広瀬の笑顔も眩しい。

今回の公演はMCも少なく、音楽を真摯に届ける形で進行する。“Mine”ではそれまでの「青」を基調としたライティングから打って変わり、鮮やかな「赤」がメンバーを染め上げた。“Aurora”はスポットライトを浴びたMIZUKIのソロに導かれてスタート。打音の質感を隅々まで支配するMIZUKIのテクニックには華があり、ベースとギターの背中を支えながら、ヴォーカルのエネルギーを加速させる。ここまで6曲を終えたLonesome_Blueは、サポートギタリストのYASHIROを紹介。両手を挙げて歓声に応えたYASHIROによると、Lonesome_Blueの楽曲は「全部カッコいいので、やりがいがめちゃくちゃあります」とのことだ。

続く楽曲はこの12月にリリースされたばかりの新曲とのことで、バンドから「撮影OK!拡散希望!カッコよく撮ってください!」と、1曲だけの撮影許可が下りる。「『これはロンブル、人気出ちゃうぞ~?』ってものだけ拡散してください!」という言葉に気合いを入れるファンの姿もあった。「この1年間はいろんなことがあり、きっとすごく心配させてしまったけれど、それでも今日Lonesome_Blueを信じてここに来てくれて、ありがとうございます」歌い出す前、バンド結成からの歩みを振り返る。「バンドができた頃は身に余る服を着ているような感覚があった」と語るのは野村。そこから初めてのライブやイベント出演、さらにはメンバーの脱退を経験し、3人は活動について思い悩む日々もあったようだ。

「音楽やバンドをやる理由っていろいろあると思うんですけど、私が歌う理由は、いま、目の前にあなたがいるからです。この先にどんな“青”が見えるのか、ここにいるあなたと探して行きたいです」そうして歌い出された新曲“To our Blue”は、新たな旅立ちを迎えたLonesome_Blueの「イマ」を彩る透明で疾走感のある楽曲だ。バンドを象徴する青い輝きの中、ステージからはどこかに青さの残るサウンドの洪水があふれ出る。立て続けに披露された“I’m done”も、この12月にリリースされたばかりの新曲。しかし「青」に染まった前曲とは打って変わって色とりどりのライトが蠱惑的に揺れる舞台では、オーディエンスを射抜く歌声が会場を満たして行く。

前曲の余韻を残したままに歌われるのは“Welcome To Heavenly Secret Base”。絢爛なリフの中、ステージ上で回転するミラーボールの光線を身に纏った野村は艶やかにスタンドマイクを繰る。途中には「みなさんにクリスマスプレゼントがあります!」と、バンドオリジナルパッケージの小さなチョコレートが撒かれた。久々のワンマンライブももう終盤。「ラストスパートです!」の声とともに勢いよく“Parallel World”が打ち出され、機関銃のような規律正しいドラムの音がステージを支配する。本編最後の曲には“Total Eclipse”が選ばれ、感謝を語る野村が眩しそうにファンの姿を見回す中、客席からは歌声が湧き上がりバンドのサウンドと交錯した。

アンコールの声に呼び戻されたLonesome_Blueは、それぞれシャツやタオルなどのグッズを身に着けていたが、広瀬は青いミニスカサンタ衣装で登場。曰く「3人でサンタ衣装を着るのは変だから」と、広瀬だけが着ることになったそうで、観客からは「カワイイ!」の声が飛ぶ。なお、この日のステージ上には白と黒のキーウィのぬいぐるみがおり、これはバンドのモチーフとして「これからは泥臭くやっていきたいから、翼の無い(飛べない)キーウィなんてどうですか?」と広瀬が提案したものだという。名前については白いほうが「ロン」、黒いほうが「ブル」とのことだ。

ここで3人は、活動の少なかった2023年を回想する。メンバーの脱退もあり、「正直バンドが消滅しそうだった」と語るのはMIZUKIだ。広瀬も「言っていいかわからないんですけど、(声優)事務所から5回くらいバンド活動を止められました」と告白する。それでも3人がバンドを続けたのは待っているファンの想いに応えるためであり、MIZUKIは「前とは環境が変わったので、全力で応援してください!」と明るく話す。最後に野村は「久しぶりにLonesome_Blueとしてステージに立って、歌って、ただただ楽しかったです」と感謝を語り、ラストナンバーとして“Face The Fear”を披露。その演奏は過去のLonesome_Blueが未来へ向かうLonesome_Blueの背中を押しているようにも聴こえた。終演後には初となる東名阪ワンマンツアーおよびLittle Lilithとの対バンツアーの開催が発表され、喜びの声が会場を満たす。果ての無い旅路に「青」を探す3人の物語は、まだ始まったばかりである。

Text:安藤さやか
Photo:冨田味我

『Re_Verseday』@I’M A SHOW セットリスト
01. Hide And Seek
02. Body Rock
03. It’s My Time!
04. Blue Like Sapphire(The Flower Of Hope)
05. Mine
06. Aurora
07. To our Blue
08. I’m done
09. Welcome To Heavenly Secret Base
10. Parallel World
11. Total Eclipse

ENCORE
01. Face The Fear