「今が1番いい状態」を更新しつづける5人のニューシングル。
MADKIDが12枚目のシングル『Mad Pulse』を12月24日にリリース。タイトル曲がTVアニメ『DIGIMON BEATBREAK』のオープニングテーマとなっている今作。カップリング曲の2曲目“ Silence Shatter (feat. ナノ)”にはロックシンガーのナノが参加しており、3曲目の“We Go”は作詞をMADKID全員が担当している。今回のインタビューではニューシングルについて、制作の経緯から掘り下げて、YOU-TA、KAƵUKI、SHIN、LIN、YUKIの5人に話を訊いた。
■今作のニューシングルのタイトルは『Mad Pulse』ということで、シングルのタイトルにちなんで、最近心拍数が上がったことを教えてください。
YOU-TA 今月の頭ぐらいに、富士山の麓にあるすごくロケーションの良いところにキャンプに行ったんですが、そこでえげつないほどの食中毒になったんです……。(笑) よくなる方ではあるんですが、今回の原因は多分お肉です。朝4時頃に突然テント内で吐き気がして、その時は「二日酔いかな……?」と思って、吐いてまた寝たんですが、朝、一緒にキャンプに行ったみんながコーヒーを飲んでいる頃には、もうずっとトイレに籠もっていました。息も上がってきて、そのまま近くの病院に救急搬送されて、そこで点滴を打ってもらって良くなりました。それが最近心拍数が上がったことでした。(笑)
■シンプルに心拍数が上がる出来事で、笑うに笑えませんね……。
YOU-TA はい、それで僕、生まれて初めてGoogleのレビューを書いたんですよ。搬送先の病院が本当に素晴らしい病院で、みなさん優しくて、レントゲンの先生も「無理しないで、大丈夫」と励ましてくれて、良い先生ばかりだったので、星5のレビューを書かせていただきました。(笑)
LIN インタビューの頭で体調悪い話って……。(笑) 僕は今年の頭、自動車学校に行って中型免許の試験を受けたんですけど、学生の時ぶりに試験を受けたので緊張しました。周りも年下の子たちばっかりだから、場違い感もありつつ……あと、ちゃんとコースも覚えられるかな?と思って、緊張して心拍数が上がりました。久しぶりに「自分も人間だなぁ」と思いました。(笑)
SHIN 僕は嬉しくて心拍数が上がったことなんですけど、誕生日のポラロイドフォトに一枚一枚手書きでメッセージやイラストを書いて販売したんです。それが全部売り切れたことがすごく嬉しかったです。本当に全部自分で書いたので、売り切れなかったらちょっと残念だなと思っていたんですけど、それを全部ファンの方たちが受け取ってくれて、すごく有難かったです。
KAƵUKI 僕は眼科でやる、目に空気を当てる眼圧検査が昔から苦手だったんですよ。それで、つい最近コンタクトの処方箋をもらうために久々に眼科に行って、いろいろと検査をしてもらったんですが、「次、ちょっと空気当てますね」と言われた瞬間に「あ、俺が苦手なヤツだ!」と思い出しちゃって。そこから身構えてドキドキしちゃったんです。機械がちょっと動いただけで体がビクッとして、いざ空気を当てるとなったら、目が勝手に閉じちゃうんですよね。(笑) だから延々と何回もやり直しになって、普通だったら1発か2発で終わるところを、6発くらいやられました……。
■あれは苦手な人多いですよね。(笑)
KAƵUKI 結局、それがあったからだと思うんですけど、今回の検査では眼圧の数値がめちゃめちゃ高くなっちゃって、先生から「今日は緊張しちゃっていたから多分大丈夫だと思うけど、万が一があるから、次もまた眼圧の検査やってみようか」となりました。引っかかっちゃいました。それは心拍数が上がりましたね……。
YUKI 僕は10月13日にソロのイベントをやったんですけど、そこで初めてバックダンサーの方と一緒にソロでパフォーマンスをさせていただいたんです。自分の曲に振り付けたり、ステージングしたり、そういうことを全部入念にやって、それを無事に披露できた時は嬉しかったです。ドキドキは……自分がやりたいことをやっていたので、みんながそれをどう思うかな?という時にドキドキはありましたけど、やれて良かったです。
■それでは早速ニューシングルの話題に入って行きたいと思います。今作は3曲入りとなりましたが、全体を通して、今作でみなさんがチャレンジしたことを教えてください。
SHIN 僕は作詞にまたチャレンジできたことがすごく嬉しかったです。“We Go”という楽曲で、みんなそれぞれが作詞したんですけど、今回もまたチャレンジができてよかったです。
LIN 僕は今回は3曲とも歌詞を書いているんですが、求められてる役割が3曲全部違っているのが久しぶりだったので、それがチャレンジだったんじゃないかなと思っています。
YOU-TA 2曲目の“ Silence Shatter (feat. ナノ)”は、ナノさんとコラボさせていただいた曲で、テーマ作りから作詞を牽引していたので、チャレンジした曲になっていると思います。“Mad Pulse”に関してはフェイクだったり、今まであまりタイアップでやってこなかったものをエッセンスとして取り入れてもらったので、それを自分なりに噛み砕いて歌ったことがチャレンジだったなと思います。
YUKI ラップに関しては毎回チャレンジしているから、それは置いておくとして、いい意味でいつも通りにやりました。流れや全体を見ること、特にタイアップ曲に関しては考えて作りました。
KAƵUKI 僕はどの曲でも、改めて自分の声を強みにできないかと考えて、レコーディングしながら全曲チャレンジしました。
■確かにKAƵUKIさんの歌声が目立っている印象がありました。まずはタイトル曲からお話を伺いたいと思います。“Mad Pulse”はどこから着想した曲になるのでしょうか?
LIN 「DIGIMON BEATBREAK」とのタイアップのお話をいただいたというところからでした。タイアップの場合、僕はいつも作品ファーストでやっています。いつも通り作品の雰囲気を掴みつつ、歌詞はプロットを読ませていただいたりして。なので、もう本当に「DIGIMON BEATBREAK」から着想を得ています。
■曲自体はどこから書いていったんですか?
LIN 僕が頭から書いていきたいタイプなので、作詞も、曲を作る時も、頭から書くタイプです。なので、今回も頭から作っていきました。
YUKI 僕は自分のラップ部分を制作しました。テレビサイズで流れる部分はLINのラップを受けて、同じフローから始めてパスするという形が1番綺麗だったので、そういう風に制作しました。
■作詞の際、歌割りは意識されているのでしょうか?
LIN MADKIDに関してはもう全くしていないです。完全分業制なので。(笑) 僕が歌詞を書いて、曲が出来上がって、大体YOU-TAと、ディレクションしてくださる方が歌割りを決めます。
YOU-TA 僕のやり方は基本的にずっと変わっていなくて。MADKIDというイメージを考えた時に、そこにフィットするように歌割りを入れていくという感じです。もちろん、例えば誰かがメインヴォーカルの曲とかはあるんですが、MADKIDというものをイメージとして押し出したい時は、「この人がここを歌ったらフィットするな」という意識で作っています。
■振り付けも意識しながら書くんですか?
LIN 最近は僕らもライブになると、ダンスの振り付けというのが楽曲の印象を超えて、楽曲そのものを左右すると思っています。実績のある振付師の方にお願いすることが多いので、そこも分業制というかパキッと分かれています。だから、僕はもう本当に楽曲に専念するという形です。逆に言うと、いろんな方のセンスが混ざり合って、こういう楽曲ができあがっています。今回で言うと、楽曲を作ってくださった作家の方や、ダンスを作ってくださった方、僕も含めて、いろんな人が一致団結して、この作品が出来上がっているんだと思います。
■いいですね。この曲はもちろん作品ファーストだと思いますが、年末公演のことも念頭にありましたか?
LIN タイアップに関しては作品に向き合って毎回やらせてもらっていますが、今回は「バンド」という所がありましたからね。
YOU-TA 結成当初から「やっぱり大きいステージに立ったら、バックバンドを入れてやりたいよね」という夢がずっとあったんですが、リアルな話、規模感だったり、予算的なところだったりで、なかなか難しかったんです。なので、今回は満を持して、という気持ちです。
■楽しみなところですね。特にLINさんはアニメ好きとのことで、アニソンとして抑えておきたいポイントはありますか?
LIN そうですね。今回のアニメは、メインの放送時間が日曜日の朝なんですが、今まで以上に「マニアックになりすぎない」というか、ちゃんと伝えるべきところは伝えられるようにしました。自分のエゴよりも優先されるものとして、そういうものを意識して書いています。なので、今回は含みがあるようなワードをあえて使わずに、もう、そうとしか取れないようなものを意識して、いつもの自分とは違うような考え方のフローがあったかと思います。
YUKI 僕は詞に関して、LINちゃんがいつもと同じように作品ファーストで書いてくれていることを邪魔をしないように、バランスを意識しながら制作しました。
■そういえばこの曲、「ボク」という一人称を使ったのはあえてなのでしょうか?「オレ」でも良さそうな曲調でしたが。
LIN それは僕自身、全然意識していなかったんです。でも自分が書く曲は「ボク」という一人称が多いです。ナチュラルにそうしていました。なんというか、自分自身に「一人称で印象を左右させたくない」という気持ちがあります。
■逆に言えば、ここから「オレ」が出てきたら。あえての「オレ」なんですね?
LIN だと思います。一人称については今質問を受けて初めて考えた、新しい視点でした。
■ちなみにみなさんは、「デジモン」シリーズは初代に近い世代だと思いますが、何か思い出ありますか?
YUKI 僕は昔、映画の「デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!」を観に行きました。あれはめっちゃ覚えています。
KAƵUKI 「デジモン」はテレビをつけたらやっていたし、カラオケに行ったら、小学生の頃からずっと“Butter-Fly”を入れて歌っていました。そのくらいずっと歌い継がれているというか、身近なところに「デジモン」がいました。
■確かにそれくらい身近なところにありましたよね。MVはシンプルな作りでしたが、ライブシーンは、実際のライブの模様ですか?
KAƵUKI ライブを想定したセットで、実際にバンドの方たちもお招きして、音は出していないんですけど、バンドの方には全員実際に演奏してくださってました。そういうのって細かいところですけど、そのシーンが抜かれた時に音と合っていないコードを弾いていたら、わかる人はわかるじゃないですか。今回のMVでは、初めてエキストラとしてファンの方たちも撮影にお呼びしたんですが、暑くて環境的にもあまり良くなく、時間も限られてる中で、本当にすごい盛り上がりをしてくれました。それはやっぱり、いつも来てくれているファンの方たちだったからこそ、あんないいシーンが撮れたのかなと思います。
■そこも含めて、みなさんとてもいい思い出になったんじゃないかなと思います。次の曲“Silence Shatter (feat. ナノ)”ですが、今回のコラボはどのような経緯でできたものですか?
YOU-TA 2025年の1月から2月にかけて、ナノさんと一緒に北米ツアーを回らせていただいたのですが、その段階ではまだコラボは決定していませんでした。でも、かなりタイトなスケジュールで厳しい状況の中、お互いを支え合ったり、アドバイスをいただいたりして、「やっぱり一緒に曲をやりたいよね」みたいな話が出て来たんです。僕たちはこれまで誰かとコラボで楽曲を制作する事自体、そんなに考えたことがなかったんですけど、ナノさんとだったら、何の違和感もなく同じような世界観を表現できると思いました。それが今回コラボが実現した経緯です。
■ナノさんとレコーディングした時、カッコいいなと思ったことはありますか?
YOU-TA たくさんあります。僕らは5人でいつもやっているので、いつも同じ流れで、どうしても決まったルーティンでやるのですが、ナノさんの録り方は、まず自分がいいと思うテイクができるまで何回でも録るんですよ。それが3回の時もあれば、10回以上の時もあったりして。やっぱり自分が満足いくものをまず提示するということは当たり前のことなんですけど、すごくそこを丁寧にやられていて。そこはとても勉強になったし、次回以降のレコーディングで僕らもそういう風にやっていきたいなと思ったところでもありました。
■他の人と一緒にやってみて学べることってありますよね。自分の担当箇所以外で好きなところはどこですか?
SHIN 僕はLINのデスボイスです。レコーディングした時に結構印象的というか、最初、レコーディングする前にみんなの歌った部分を聴いたんですけど、衝撃的でした。
LIN 僕はもう、逆に自分以外のところは全部です。今回はやっぱりナノさんが入ることによって、聴き慣れているメンバーの声も、「こういう聴こえ方になるんだな」と思いました。だから、自分以外のところは、やっぱりすごくいいなと思います。自分は必死にやるだけなんですけど、全体としてすごくいい楽曲になったんじゃないかなと思います。
KAƵUKI 僕は本当にナノさんとYOU-TAのハモリとか、声のマッチがすごく聴いていて気持ちがいいというか、すごい馴染みのあるものに聴こえたんです。初めてご一緒したとは思えないくらい、曲の中でまとまって聴こえたのが印象に残りました。
LIN 曲とは関係ないんですけど、ナノさんと一緒に記念写真撮ったらね。毎回「ナノさんMADKIDに入れるんじゃん?」ってなってたよね。(笑)
SHIN 僕らも衣装は黒メインが多いんですけど、ナノさんも黒メインが多くて、「また今日も衣装似てるじゃん!」みたいになることが多かったよね。(笑)
YUKI ナノさんの歌っているところはMADKIDに無いバースでした。聴いてきた音楽ももちろん違いますし、僕にはない引き出しを目の前で見たような感じでした。MADIKIDをずっと聴いてきてくれている方も、あの入りで「おおっ!」となると思います。
YOU-TA 僕がメインで書かせてもらった歌詞は毎回そうなんですけど、LINとYUKIのラップの部分は本当に「空」なんですよ。何を入れるのも自由だし、そこがセンスが出る部分だとすごく思っているんですけど、僕はメロディの上で歌詞を書くので、出来上がっていく時、ピースが組み合わさってパズルが完成していく瞬間みたいなものがあって、それがすごく好きで、やっていて楽しいなといつも思います。






