『MADKID ONE MAN LIVE -BREAKNECK AXCELERATION-』ライブレポート@Zepp Shinjuku

激動の2025年を締めくくり、未来へと足を進めたワンマンライブ。

2025年12月30日(火)、年の瀬にごった返す東京の地下、Zepp Shinjukuのフロアは、『MADKID ONE MAN LIVE -BREAKNECK AXCELERATION-』の開演を待つ人々のざわめきと熱気に満ちていた。昼・夜2公演が行われたこの日のライブは、夜公演でバンドを迎えてのパフォーマンスが行われるということもあり、AXCEL(MADKIDファンの総称)の期待値も高い。仮面4人組ロックバンド──流田Projectのメンバーがステージに上がると、観客は拍手で迎えた。時間ぴったりに客電が落ちると、緑の閃光に瞳が焼かれる中で、バックスクリーンにはPulseを模したイントロダクションが流れ始める。歓声に呼び込まれたMADKIDは、耳をつんざくドラムが瞬間の衝撃を走らせた中、いきなり新曲の“Mad Pulse”でライブの幕を切って落とす。「OK!Zepp Shinjuku。バカでかい声を聞かせてください。ひとつになろうぜ!」と、闇を蹴り飛ばす5人はオーディエンスの大合唱を浴びて、バックバンドの音圧をものともせず、“Never going back”、“REBOOT”へと駒を進める。複雑な歌割りに激しいステップ、立ち位置の入れ替え、ヴォーカルの調和と、全ての要素が洗練されたMADKIDのステージングは、長い歴史の中で着実に培われたものだ。YOU-TAは時に甘く、時に勇壮に、ふたつの顔で歌声を響かせる。

ダークなギターから起き上がる“Mirage”に、めまいを呼び起こすライティングが彩った“Resolution”。色気を纏ったSHINが身体をひるがえせば、清涼感あるハイトーンとともに優雅なKAƵUKIが歩み出て、ダウナーなLINが激しく声を振り絞り、YUKIは歌うようなステップと共にラップを刻み付けていく。「Zepp Shinjuku、調子はどうですか?!オレたちがMADKIDです、よろしくお願いします!」5曲を終え、YOU-TAの合図を受けて、ひとりひとり順に観客に挨拶をする5人。初っ端のSHINが「ナイト!夜!」と盛り上げるそばで「この次はやりづらいな~」と笑ったLINも会場をしっかり沸かし、KAƵUKIやYUKIもそれに続く。最後にYOU-TAは、12月30日という日にたくさんの人がライブへと足を運んでくれたことに感謝して、「オレたちが持っているものを全部ぶつけるので、みなさんも全部ステージにぶつけてください」と観客に呼びかけた。“Get Started”の「綱引きダンス」とジャンプで息の揃った姿を見せた観客たちは、“Gold Medal”でも手を挙げクラップして応える。繋いだ手の下をKAƵUKIが通り抜ける振付の時には、その頭が腕に擦れて、メンバー同士で笑い合った。

バンドセットになることでグループの底力がよりむき出しとなる“ふたつのことば”に、重なり合う光線の波紋から踊り出す“グッバイ・ティーンエイジャー”。バンドという翼を得て咲き誇るMADKIDは、ステップに現れた個性の違いをZepp Shinjukuの床に刻み付けていく。「歌ってくれ!」の呼びかけにAXCELが応える“konayuki”に、手拍子の中で飛び出す“FLY”。LINは観客の笑顔に表情を綻ばせたかと思えば、次の瞬間にはデスヴォイスでフロアを煽り立てる。MADKIDは長い歴史と波乱の中で磨き上げられた、都会的かつ垢抜けた、しかし泥臭さも併せ持つグループだ。広い音域を持つ歌声を堂々と響かせ、大胆なダンスで魅せるYOU-TA、全ての要素に完璧主義なところを覗かせるSHIN、その歌声でステージから爽やかな風を吹かせるKAƵUKI。細やかな足さばきや振付の中にラップを乗せるカリスマ的なYUKIと、路地裏の空気をかもす激情的なLINといったラッパーふたりの対比も美しい。プリズムカラーに包まれた“No border”では、右往左往してバンドメンバーに絡んだり、エアギターをしたりと、ステージを楽しむ5人。YUKIはステージ際にしゃがみ、ジャンプするAXCELに、「今の2倍跳ぶよ~?」と呼びかける。YOU-TAも「みんな俺より高く跳んでね!」と煽り、Zepp Shinjukuはテンポ良く揺れた。

ここで流田Projectの流田豊(Vo&Gt)、穴澤淳(Gt)、桃山竜二(Ba)、栗川雅裕(Dr)を紹介し、そのまま“来・来・来”へと流れ込んだMADKID。カンフーポーズでフィニッシュをキメた後、MCで同曲のバンドバージョンはおそらく初披露になることを語る。「MADKIDの曲はどうですか?」と問われた流田は、「めちゃくちゃキモチいい!曲が全部いい。くれ!」「もう(練習)帰りの車の中では、いつもMADKIDのことをべた褒めよ!」とのこと。そんな流田Projectの方も、MADKID側の要求にすぐ応えてくれるというスーパーバンドだ。次の曲は、TVアニメ「DIGIMON BEATBREAK」の主題歌を担当したことへの感謝を込めて、流田と共に、「デジモンアドベンチャー」の主題歌“Butter-fly”をカバー。流田もバンドのフロントマンとして悠然と歌い、穴澤のギターソロをMADKIDが囲んで、楽しいひとときが過ぎていく。穴澤と背中合わせになって歌うKAƵUKIのエアギターも冴えわたった。会場の大合唱をもはるかに超えたメンバーの絶唱が天へ吸い込まれていく“Bring Back”に、ラストスパートへ向けて仕掛ける“Fight It Out”。呼応し合う歌声とMADKIDの勢いは、Zepp Shinjukuという大会場でもまだ足りない。そのステージはあまりにも狭く、小さく感じた。「みんなマジでありがとう!次の曲で最後です」あっという間に時は過ぎ去り、残す曲はあとひとつ。YOU-TAは結成11年目を迎えたこの2025年に様々なことがありつつも、前へ前へ進んできたこと、日本武道館公演の夢に向けて大きな一歩を踏み出せたことを語る。「俺たちはステージに立ち続けるので、これからも俺たちについてきてください!」そして曲名の絶叫と共に、MADKIDは“RISE”をドロップ。星の如く輝くAXCELに、その煌めきの中でひときわ鮮やかに光る5人。激しいバンドサウンドをも上回る歌声がオーディエンスとメンバーの口からあふれ出し、ラストはバンドメンバーも含めた全員で飛び跳ねてフィニッシュをきめた。

アンコールの声を受け、オリジナルフーディーに着替えて舞い戻った5人は、「最後まで行くぞ!」と“One Room Adventure”でタオルを振り回す。“DROPOUT HEROES”では、観客の合唱を全身に浴びて、ここに来ることができた幸福を噛み締めるMADKID。照らし出された客席の笑顔は、彼らの歩んできた軌跡そのものだ。「改めてZepp Shinjuku、アンコールありがとうございます!」半年かけて準備を進めたライブも、残すところあと1曲。「あっと言う間だったね」「でも終わりがあるからあっと言う間に感じるんじゃない?」などと話しつつ、ここでひとりひとりが想いを語っていく。LINは「俺たちと一緒に遊んでくれてありがとうございます」の言葉と共に、12月30日にライブをすることへの難しさ、そしてライブが成功した喜びを語った。SHINはファンやスタッフ、関係者への感謝を丁寧に語り、「MADKIDに入ってよかった、このメンバーでよかった、これからもAXCELの人生に彩りを与えたい」と話す。KAƵUKIはZepp Shinjukuに立てた喜びを表し、「結成当初は若く簡単に立てる会場だと思っていたが、11年かかってやっとここに立てた事実にこそ意味がある」と語り、今後も前進し続けることをAXCELに誓う。YUKIはコロナ禍を含めて様々な経験を重ね、「自分の存在価値について考えるようになった中でも、こうしてZepp Shinjukuに立てたことが大きなターニングポイントになった」と話した。最後にYOU-TAは、「この瞬間がずっと続けばいいと思っています」と切り出し、共に涙もろいKAƵUKIと泣くのをこらえる。そして「まだまだ俺たちにしか歩めない道を歩んで行きたいと思います!」と、今まで歩んできた道のりはMADKIDにしか歩めなかった道だと思っていること、このグループがどこに出ても盛り上げられるグループであると自負していることを熱く語った。

そして、この夜の最後を飾るのは、メンバーが互いを想って綴った曲“We Go”。ミラーボールの反射とAXCELの振るライトが宇宙を創る中、歌詞がスクリーンに投影された便せんの上に綴られていく。MADKIDの思い出を閉じ込めた写真が映し出される合間、柔らかな声で歌われる詞には、「前に進む」その強い意志だけが込められていた。「2025年、本当にありがとうございました!2026年もよろしくお願いします!」全てを出し切って深く頭を下げ、「良いお年を!」と手を振り、名残惜しげに舞台から去っていった5人。終演後には2026年5月13日(水)にライブ『Future Notes Fes SPECIAL』が開催されること、ゲストに福澤侑が登場することが発表され、会場からは歓喜の声が上がった。年明けの北米ツアーに始まり、新たなタイアップもあり、Zepp Shinjukuの大舞台に立って、大きな飛躍の年となったMADKIDの2025年。2026年の彼らの旅路はどこまで進み、どこへ向かうのか。それを追いかけていきたい、ついていきたい。5人の唯一無二の旅路は、日本武道館まで、きっとその先の未来まで続いていく。

Text:安藤さやか

『MADKID ONE MAN LIVE -BREAKNECK AXCELERATION-』@Zepp Shinjuku セットリスト
01.Mad Pulse
02.Never going back
03.REBOOT
04.Mirage
05.Resolution
06.Get Started
07.Gold Medal
08.ふたつのことば09.グッバイ・ティーンエイジャー
10.konayuki
11.FLY
12.No border
13.来・来・来
14.Butter-fly
15.Bring Back
16.Fight It Out
17.RISE

ENCORE
01.One Room Adventure
02.DROPOUT HEROES
03.We Go