MONGOL800『MONGOL800-etc.works-TOUR 2022』ライブレポート@中野サンプラザ 3月12日(土)

MONGOL800『MONGOL800-etc.works-TOUR 2022』

外仕事集『etc.works』シリーズ全3作品にスポットを当てたプレミアムな全国ツアー初日開幕!

MONGOL800(以下モンパチ)は自らに高いハードルを課し、それを喜色に満ちたプレイに落とし込み、観客と楽しさを存分に分かち合っていた。底抜けに明るいハッピーな高揚感、憂いを帯びたメロディの美しさ。その両極の振れ幅を遺憾なく発揮した演奏は、明と暗、光と影、動と静による大きな起伏で観客を魅了し続けた。もっと言えば、深みに誘うセクションが増えたことで、従来の明るさがより際立つダイナミックなショーへと昇華していた。

モンパチが外仕事(デジタルシングル、アルバム未収録の新曲、コラボ曲、トリビュート参加曲)を集めた第3弾コンセプトアルバム『etc.works3』を2021年4月に発表。そのレコ発が同年12月に中野サンプラザで行われた。それに続き、今回はなんと約4年ぶりになる全国ツアー『MONGOL800-etc.works-TOUR 2022』を開催。その中身は『etc.works』シリーズ全3作品の収録曲からファン投票でセットリストを決める。つまり、前回の続編にして拡大版とも言えるチャレンジングなツアーである。

事前に、ファンリクエストの上位4曲までをオフィシャルで発表。第1位が“こいのうた”、第2位は“ひとりじゃない”、第3位は“hanabi”、第4位は“大迷惑”となり、それ以下の楽曲はモザイクがかけられ、本ツアーでどの曲が飛び出すかは会場に足を運ばないとわからない。キヨサク(Vo&Ba)、髙里悟(Dr&Vo)、サポートメンバーのKuboty(Gt&Cho)の3人に、既にファンにはお馴染みのNARI(Sax・Flute&SCAFULL KING)、Seasir(Tp&DOBERMAN)のホーン隊に加え、粒マスタード安次嶺(パーティーダンサー)の面々がステージに立つ。さらに今回は縄田寿志(Key)が参加。ということは、鍵盤が不可欠の楽曲もセットリストに組み込まれ、これも新たな試みと言っていい。

リクエスト上位4曲の中で、とりわけ胸を打たれたのは“hanabi”だった。これはQ;indivi+がキヨサクをヴォーカルとしてフィーチャーした楽曲。まさにこの曲では縄田寿志の美しい鍵盤の音色とキヨサクの切ない声色が溶け合う、極上のケミストリーが生まれていた。特にサビを訪れると、センチメンタルな旋律に胸がギュッと締め付けられるような感動を覚えた。

また、GO!GO!7188のカバー“こいのうた”も出色の出来栄え。過去に栄口青年会(エイサー隊)を入れて披露したこともある楽曲だ。今回はキヨサクがアコギを持ち、ファルセットボイスで丁寧に歌い、途中からNARIのフルートを含むバンドセットでドラマティックに曲調を盛り上げていく。息を飲むような劇的展開を目の当たりにして、演奏後は大きな拍手が鳴り響いた。

そして、原曲ではSOFFetと共演した“ひとりじゃない”、ユニコーンのカバー“大迷惑”も聴き応えたっぷりであった。前者ではキヨサクと、いつもならばダンサーとして活躍する粒マスタード安次嶺による2MCでこの曲を披露。一方、後者は指笛を入れ、NARI&Seasirのホーン隊が華々しく楽曲を彩り、原曲に負けないオリジナル・カラーを強烈に打ち出していた。

これら4曲を聴けただけでも大満足だったが、5位以降のナンバーも数多くプレイ。もちろん、“あなたに”、“小さな恋のうた”、“DON’T WORRY BE HAPPY”とライブで欠かせない代表曲も聴くことができた。さらに前回の中野公演でも披露した、キヨサクによるJT CMソング提供曲“想うた〜親を想う”もバンド編成できっちと演奏し、好リアクションを得ていた。

ライブが終わると、約2時間半に及ぶ濃厚なパフォーマンスで初日からエンジン全開で飛ばしたモンパチ 。キヨサクも『etc.works』シリーズはオリジナルアルバムと同じくらい、いや、それ以上に力を入れているとMCでも触れ、その気迫と努力の結晶がステージにおいても存分に発揮されていた。振り返れば、デビュー時は無駄を削いだシンプルなパンクロックを鳴らしていた彼ら。しかし、キャリアと共に多彩な表現力を身につけ、オリジナルソングの幅をどんどん押し広げていった。そこにはこうした外仕事で受けた刺激や興奮を、バンド内に還元させていった歴史もあったに違いない。

ライブ中に「楽器が増えると楽しい!」とサッシ(髙里悟)は無邪気な表情で告白する場面もあった。このように演者の心の高ぶりが観客にもストレートに伝わり、会場全体の熱い高揚感に繋がっていたのは間違いない。その意味でツアー初日から見所盛りだくさんであり、聴き逃し厳禁と念を押したくなる注目の内容と言っておきたい。全国各地で、演奏する楽曲が入れ替わる可能性も十分にあるだろう。久しぶりとなる全国ツアーで、モンパチとあなたの「一期一会」を堪能して欲しいものだ。

Text:荒金良介
Photo:SARU(SARUYA AYUMI)

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