未来や夢を自身へとより手繰り寄せたNovelbright初のバンド編成配信ライブ
今春リリースの1stフルアルバム『WONDERLAND』を主点に、そこまでの軌跡やこれから先への各点を線としてつなぎ、合わせて、望み待つ者たちとの信頼関係を更に強固且つ信憑性あるものとし、次の約束の地へシッカリと引き連れていく誓いが高らかに明示されたかのような一夜であった。Novelbrightが無観客にてバンドセットとしては初の配信ライブを行った。この自粛下、アコースティックでの配信ライブは頻繁に行っていたものの、この形態でのステージは実に5カ月振り。当日はニューアルバム『WONDERLAND』の全曲に加え、人気曲/代表曲の盤石なセトリとMCも充実した2時間半のフルセットにて挑み、画面越しながら視聴者をガッチリと引き寄せ、掴み、「〈これから〉へと引き連れん!!」とばかりに駆け抜けていった。

ステージ直前、バックヤードにて円陣を組む5人。「久しぶりのバンドセットです。ずっと待っていました。バチコーンと久しぶりのライブ楽しんでいきましょう!!」と竹中雄大(Vo)が気合を注入する。SEの中、リハやミーティングの映像が画面にオーバーラップ。長く会えなかった月日を走馬させつつ、愛しさが一気に込み上げてくる。映像明けのステージには既にスタンバイした5人。アルバムの1曲目“ランナーズハイ”が視聴者も引き連れんとばかりにライブを走り出させていく。ねぎ(Dr)の生み出す疾走ビートの上、「バーチャルブライト挙げていこうぜ!よろしく!!」と雄大。ステージを囲むスクリーンが青空と流れていく雲を180度に映し出す。その中の雄姿はまさに、歌フレーズにある「仲間と風に乗って羽ばたき世界を眺めたい」を歌、プレイ共に体現しているようだ。更にライブを加速させた“Believers”では、ドライヴ感溢れる圭吾(Ba)のベースと、左右に振られた沖聡次郎(Gt)と山田海斗(Gt)の2本のギターが楽曲に豊潤な色彩を加えていく。ここでは海斗の景色感溢れるギターソロも炸裂。「最高に幸せな夜を一緒に作りましょう」と雄大が紡ぐ。場面はスタジアムのような大会場へ。歌われる「集えば奇跡起こるのさ」のフレーズも信憑性溢れた“We are calling you”では、重厚なシンセ音と共にバンドのダイナミズムも楽しませてくれた。ここでは視聴者も雄々しいアンセムを一緒に歌ったことだろう。

この日のMCでは視聴者からのコメントもピックアップして進められた。ライブ再開を祝うコメントも多い中、「人生初ライブがこの日」な方も多く見受けられたのも印象深い。彼らの音楽が確実に若い層にも広がっている証拠だ。「ライブが主戦場で生きがい。それをやれている幸せ。画面の向こうでも拳をあげさせるから」と雄大。このゾーンではバラエティに富んだユニークな曲たちが連射された。まずは“フォーリン・ヴィーナス”がファンキーでダンサブルな雰囲気を、そして“おはようワールド”が朝のスタートダッシュ感を、“ENVY”が歌謡的なメロディの中、事実や本質、正誤や正義とは等のSNSの功罪を私たちに突きつけ、“夜空に舞う鷹のように”では、星や流星、彗星や星雲の映像の中、秘めた彼らの擁する美しさが引き出されていくのを見た。

なごむMCやメンバーの自己紹介を挟み、ここからはキラキラとした曲が続いた。“君色ノート”では、春のあのワクワクやここから始まる季節の気持ちや雰囲気がパーッと広がり、“ヒカリへ”がその優しい雰囲気や安堵感と共に私たちの心を癒してくれた。また、聡次郎と海斗のギターアンサンブルも特徴的な“candle”では、赤いライトが映し出す哀しさと美しさ、溢れる愛しさが儚い愛の乙女心溢れる歌内容とのベストマッチ。聡次郎の哀愁のこもったギターソロも耳に残る。久々で緊張の為か「今日はメチャメチャ歌詞がトぶ」と雄大が笑う。確かに。(笑) 中盤には換気タイムも配備。会場の扉が一度全開になり、空気と共にステージの雰囲気も入れ替えられる。中盤はバラードやミディアムで心に滲みる曲が続いた。ピアノの旋律に雄大の口笛を交えた“また明日”が画面越しながら視聴者の気持ちをグッと引き寄せれば、海斗のアコギも特徴的な「夢花火」では、愛しい人やその幸せを守っていくかような決意や愛しさが痛いぐらいに伝わってきた。また英語詞の「Heart voice」ではストリングスと鍵盤も多分に加わり、元々持っている同曲の壮大さや美しさを更にスケール大きく展開。雄大の感情移入タップリのロングバースなアカペラから始まった「Photo album」では、途中から加わったバンドサウンドと交わり、一人思う切なさと絶対に守り抜いてやるという信念が画面いっぱいに広がっていった。またこのゾーンでは「心に響く」「感動した」との視聴者からのリアクションも多数目立った。

「3カ月ライブが出来ないのは、正直お風呂3カ月入れないのよりもツラかった。より多くの人とも出会え、(ツアーやライブ等にて)観てもらえるタイミングでもあったので、いろいろなことが行えず歯がゆかった」と雄大が吐露する。「今日はバンドセットで爆音で鳴らせて、みなさんに届けられて、それがとても嬉しかった。実際に生で会いたいなと思ってもらえるようなライブをこれからもしていく!」「一部で揶揄されているポッと出のロックバンドではないことを立証し、その印象を完全に払拭させてやる!!派手にいくゼ!!」と言わんばかりに入ったラストスパートでは、まずは“Walking with you”が画面越しながら視聴者の手や気持ちをガシッと鷲掴み、未来へと一緒に駆け出していけば、逆に引き寄せ抱き寄せるような“Morning Light”が視聴者の雄々しいコーラスと共に完成されていき、作品同様の吹雪と足跡の音“Prologue~Before the dawn~”を経た“時を刻む詩”の流れが、「これからも夢やあこがれに向けて突き進んでいく!一緒に行こう!!」と約束の地への想いを馳せさせ、そこに共に立っている光景へと我々を行き着かせてくれた。

この日見てくれる方々がいるから実現できたことへの感謝や、みんなが一歩踏み出してくれたからこそ画面越しで出会えたこと、なによりもこの日のライブを自分たちも楽しみながら出来ていることへの感謝も込めて言葉が贈られた後、「今後もどんな苦難や苦境があっても俺たちは自分たちの音楽に自信を持って続けていく!下半期も突っ走っていく!!」と力強く宣言。加えて、8/18(火)に新曲“Sunny drop”を配信し、その前日8/17(月)には、大阪城ホールより無料配信ライブを開催することも告げられた。「当日はバンド史上最強の発表もある。俺たちらしくカッコいいライブをやって、そして次にそこでやる時には満員で埋めてやるぞ」と宣言。みんなが無人から満杯の大阪城ホールの光景へと共に夢を馳せていった瞬間であった。そんな信憑性溢れる言葉たちを経て、本編ラストは雄々しく拳を突き上げて行くが如く、歓びの歌“拝啓、親愛なる君へ”が。約束の地へと引き連れていくが如く歌われた同曲は、かけがえのない約束の地=WONDERLANDに誇らしげにシッカリと立っているメンバーや我々へと想いを馳せさせた。

アンコールは2曲。まずは再びライブがキラキラとした景色と引き連れ走り出させる“Count on me”が、そして今一度初心を想い出すが如く「スタートライン」がこれからも自身を信じて突き進んでいく、さぁ一緒に未来に向かって行こうとの気概と共に贈られた。「これからもみなさんをワクワクドキドキさせるバンドで居続けるから!!」との(雄大の)言葉を残し5人はステージを後にした。
ここまでの集大成でもあった『WONDERLAND』の中、かつては憧れや夢、希望や期待として歌われていたことも更に信憑性たっぷりに自身へとグイっと手繰り寄せた感も強いこの日のライブ。今作で誓われた「きっと約束の地=WONDERLANDへと連れていく」…その約束が果たされるのも案外想像よりも速いかもしれない。Novebrightのその光量は今後もますます上がり、遠くまでしっかりと届いていくものとなっていく。それをことさら確信させてくれたこの日。そう、あとはここに我々と共にあなたも入るだけだ。その光の中、あなたの明日や希望が前向きに明るく照らされているのが、いまハッキリと見える。
Text:池田スカオ和宏
Photo:堀内れい子
『バーチャルブライト2020summer〜WONDERLAND release ONE MAN SHOW〜』セットリスト
1.ランナーズハイ
2.Believers
3.We are calling you
4.フォーリン・ヴィーナス
5.おはようワールド
6.ENVY
7.夜空に舞う鷹のように
8.君色ノート
9.ヒカリへ
10.candle
11.また明日
12.夢花火
13.Heart voice
14.Photo album
15.Walking with you
16.Morning Light
17.Prologue~Before the dawn~
18.時を刻む詩
19.拝啓、親愛なる君へ
Encore
En-1.Count on me
En-2.スタートライン