思い入れの詰まった会場を超満員にして繰り広げたワンマンライブ!
振り返るとNovelbrightとはすごくいいタイミングで出会えたと思っている。このVANITYMIXが彼らをインタビューしたのは、初の全国流通盤となったミニアルバム『SKYWALK』のタイミング。まだ前ベーシスト時代であった。そこからメンバーチェンジを経て、現在ベースの圭吾が加入。この9月には待望のニューミニアルバム『「EN.」』のリリースに至った。同作品の際にもインタビューをしたのだが、今でも覚えているのは、その際のTwitterの彼らのフォロワー数はまだ7000人だったこと。今回のツアーもまだ各地ソールドアウトには至っていなかった。しかし取材直後から状況は急好転。行ってきた路上ライブを通じ、「すごい!!」「歌が上手い!!」等のSNSでの拡散や評判を経て、今やTwitterのフォロアーは5万人にも及び、今回の『「EN. -アンピリオド-」RELEASE ONEMAN TOUR 2019』も全箇所ソールドアウトを成し遂げている。
そんな人気急上昇のなか敢行された、彼らのニューミニアルバム「EN. -アンピリオド-」を携えた全国5都市で繰り広げられたワンマンリリースツアー。その中盤に当たる東京公演が10月17日に渋谷TSUTAYA O-Crestにて行われた。上述の通り今や彼らはブライテストホープ。チケットも完売し場内は文字通り立錐の余地のないほどの超満員だ。そんな満場を受け、登場SEとして、“Revive”のイントロが爆音で流れ出す。まずは聡次郎(Gt)、海斗(Gt)、圭吾(Ba)、ねぎ(Dr)の4人が先にステージに現れ、間を空け雄大(Vo)もゆっくりと現れる。SEが流れ続ける中、スタンバイするメンバー各位。雄大はマイクスタンドを大事に、その感触を確かめるように握りしめている。同イントロのピークから「Revive」を歌い出す雄大。その伸びやかな歌声が場内いっぱいに響き渡っていく。その歌声は今日も健在だ。デパーチャーのように走り出していく同曲と共に歌に込められた乙女心が満場の胸を刺す。「待たせたな東京!これからもっとハジケていけるように!!」と“Count on me”へ。ライブがさらに走り出していく。哀しみから救い出してくれるのはあなたのフレーズも印象深く、雄大による世界一の口笛が早くも飛び出す。また、「さぁ、踊りましょう!!」と“Shall we dance??”が場内を誘った際には、会場全体からワイパーと雄々しい呼応がおき、海斗の気持ちの入ったギターソロも痛快に響き渡らせていく。会場と共に作り上げる曲は続く。“We are calling you”では幻想的なシンセの同期も登場。それに合わせて場内もグイグイと彼らの歌声や歌世界へと惹き込まれていくのを見た。
「本日はしっかりと最後まで伝えさせてもらいます。マジ半端ねぇ、忘れられない夜にするから!」と誓う雄大。続けて、「もういっちょ踊れる曲を持ってきたのでよろしく!!」と、ニューミニアルバムの中でも異彩を放ち、それがいい意味で箸休めや気軽さを場内に持ち込んだ、ドラムのねぎの打ち出すビートも面目躍如な、楽しくファニーな“フォーリン・ヴィーナス”がステージとフロアの距離がグッと縮めていく。対してエレガントなピアノの旋律も合わさり、彼らの美しさと哀しさが炸裂した“夜空に舞う鷹のように”にて聡次郎(Gt)が感情の込もったソロをかませば、サビでのストレートさでの気持ち良さと、これまた聡次郎のギターソロも印象的であった“the Eternal oath”、世界一の雄大の口笛を載せたインスト“parade -Я-”を経て、「まだ見えない景色があるから歩き出すだけ」と入った“Rain Dancer”等、このブロックでは『「EN.」』の曲たちが目立って放たれた。
そして「久々の曲をやります」(雄大)と切り裂くような聡次郎のカッティングから入った“My Savior”がグイグイと場内を惹き込んでいけば、「あなたのその日頃のストレスや疲れも吹っ飛ぶように、心のど真ん中めがけて歌います」と入った“ヒカリへ”が場内に次々と笑顔の花を咲かせていく。また、ピアノのエレガントな旋律に合わせて雄大が口笛を乗せ、そこから現れた“また明日”では、辛い時はこっちへおいでと、会場とステージが手を取り合う場面に遭遇したし、“ふたつの影”に於いては、歌に演奏に感動的な場面を作り出していく様を見た。しばし沈黙。緊張感漂う中、「結成当初から大事に歌ってきた曲」との紹介の後、無伴奏で“Photo album”を雄大が歌い始める。うーん、やはり彼の歌声と感情移入させた歌表情は素晴らしい。そこに優しい海斗のアルペジオも加わり、バックのライトもだんだんと光量を上げて行き、場内が神々しさに包まれていく。
「おかげさまで二回目の東京ワンマンにしてソールドアウトすることが出来ました。前回のワンマンから約半年。前回のMilkywayは、ここのキャパの半分でした」と雄大が告げ、メンバーに「この1年いろいろとあったね」と同意を求め、「おかげさまで機材車を買うことが出来ました」との報告も加えられた。ライブはバラードのシーンへと突入する。英語詞の“Heart voice”だ。作品同様、海外のDIVAのような深みと伸びやか、それでいてふくよかな雄大の歌声が場内いっぱいに染み渡っていく。いやー、感動的だ。
「俺たちは死んでもロックバンドなんで、ここらでみんなにもロックしてもらいましょうか!!」(雄大)と“Morning Light”が、圭吾の指が導き出すドライブ感のあるベースラインと共に会場を引き連れ、もう一度場内全体を走り出させていく。「めちゃめちゃ幸せです。東京。ありがとう!!」(雄大)の言葉の後、「まだまだいくぞ!!」とラストスパートへの煽りが。更にみなをここでないどこかへと引き連れる旗手となるべく“Walking with you”が幸せを掴む為、目的地を目指し走り出していく。本編ラスト。…とその前に雄大のMCが。「東京はこれまで何度もライブで来たけど今日が一番いい。O-Crestという思い入れの詰まった会場でのワンマン。しかも完売の景色になった。いつも僕らのことを応援してきてくれてありがとう。これからもみんながついてきたくなるバンドで在り続けます!!」と宣言。ラストは「みんなとずっとずっと一緒にやりたい!!」との気持ちを込めて“拝啓、親愛なる君へ”が贈られ、同曲が擁している、「やっと見つけた!!」「やっと出会た!!」感が、まさに信憑性を帯びて会場いっぱいに響いていった。その際のオーディエンスたちの呼応はとても雄々しく神々しく、まさに歓びの歌とでも言わんばかりの厳かさを擁していた。
アンコールは1曲であったが、そのぶんとても尊かった。「ヤメずに続けてきて良かった。今日という日の為に続けてきたように思う」と雄大が語り、今日という日が出会いの素敵な1日になりますようにとの願いを込めて、正真正銘のラストは“スタートライン”が贈られた。どうかこの日のような幸せがずっと続きますようにとの祈りも込めて、まるで完全にこの日この時のご褒美のような歌が満場の上に降り注ぐ。きっと「今、まさにこの歌通りになっている」と噛み締めながらメンバーも歌い演奏していたことだろう。最後の彼らの雄姿はとても神々しく気高く、そして美しかった。
この日のライブ中にもメンバーの口から告知されたのだが、このツアーの追加公演が、彼ら史上最大規模の東名阪のクラブクアトロにて行われることが既に決定している。各所今回のツアーの3倍のキャパシティを誇るが、彼らの今の勢いならそこも即完するに違いない。今後もますます彼らの人気は幅も裾野も広がり、多くの人を求心していくことだろう。VANITYMIXは今後も彼らを追い応援していく。
Text:池田スカオ和宏
Photo:堀内れい子
『「EN. -アンピリオド-」RELEASE ONEMAN TOUR 2019』セットリスト
1.Revive
2.Count on me
3,Shall we dance??
4.We are calling you
5.フォーリン・ヴィーナス
6.夜空に舞う鷹のように
7.the Eternal oath
8.parade -Я-
9.Rain Dancer
10.My Savior
11.ヒカリへ
12.また明日
13.ふたつの影
14.Photo album
15.Heart voice
16.Morning Light
17.Walking with you
18.拝啓、親愛なる君へ
Encore
1.スタートライン