充電期間前ラストライブ。歴史を辿るセットリストで非日常への旅へ。
10月10日(月・祝)、Spotify O-EASTにて『ORESAMA ONEMAN LIVE “TREK TRUNK”』が開催された。今秋より一時活動を休止し、充電期間に入るORESAMA。そんな彼らにとって本ライブは、充電期間前にファンに直接音楽を届けることのできる最後の機会となる。そのこともあってか、開演前から既に会場には高揚感が漂っており、オーディエンスの抱く期待がひしひしと感じられた。
オープニングSEとして空港の環境音が流れると、メンバーが登場。ぽん(Vo)はトランクケースを片手に提げており、ピンスポットで照らされながらそれを開くと、いよいよライブは開幕する。1曲目の“ワンダードライブ”、続く“Gimmme!”にて、笑顔をこぼしながらオーディエンスに手を振るぽんと小島英也(Gt)も、熱烈な手拍子で楽曲を盛り上げるオーディエンスも、この日を楽しもうという気概に溢れた純粋な熱気を帯びていた。「一緒に素敵な旅へ出かけましょう!」と、ぽんが呼びかけると、アップテンポな“Trip Trip Trip”へ。ORESAMAの楽曲は、楽器隊による生演奏とDJのMONICOが操るダンスサウンドや効果音のバランス感も魅力。ギターとベースのリフが絡み合うイントロの“PEARLY×PEARLY -Funkapop ver.-”は、あざとさのあるぽんの歌声が聴きどころなのはもちろん、間奏でのメロディアスなキーボードやギターのフレーズなど、楽器同士の絡みでも見せ場を作る。“ホトハシル”では、DJが鳴らす力強いキックが会場の空気をタイトに締め、ステージ後方で流れるカラフルな映像とともにポップでドリーミーな非日常への没入を誘った。“迷子のババロア -Dressup cover-”に続くと、ダンスチューンの音像を引き継ぎながらも、ぽんの奏でる残響のある柔らかな歌声はシティポップを思わせる。落ち着きも漂わせながら、幻想的な空気を作り上げた。
メンバーがステージから捌けMONICOによるDJタイムに入ると、ORESAMAの歴史をなぞるように、これまで彼らが生み出してきた楽曲をDJバージョンで繋げていく。DJでオーディエンスを躍らせると、ステージに戻ってきたぽんと小島によるメドレーへ。充電期間前最後、持っている楽曲や彼らの魅力の全てを出し切ろうと言わんばかりのボリューム感で、惜しみなく楽曲を畳みかけていく。再びバンドメンバーが揃うと「後半戦も楽しんでいってください!」との言葉から“CONTINEW WORLD”、“OPEN THE WORLDS”と、華やかなナンバーを続けて披露。後半の幕開けを勢いづけるような、明るい旅路を思わせるサウンドと歌詞を奏でていく。「ここで助っ人を呼びたいと思います」とブラスセクションを呼び込むと、それに加えてスペシャルゲストとしてタレント/サックスプレイヤーの武田真治も登場。武田は「とりあえずみんなでスクワットしようか!」と呼びかけて、会場のみんなでスクワットをするという異様な光景を作り上げた後、レコーディング参加曲の“cute cute”に加え、”Chewy Candy”を共に演奏。思わぬゲストに一段とボルテージの上がった会場にホーン隊が加わったことで、一層ゴージャスになった音像を届けていく。武田のソロも炸裂してフロアを大いに盛り上げた。
優しい歌声を披露した“NIGHT BEAT”から会場の空気はゆったりと落ち着いたものに変化する。キーボードの穏やかなフレーズと、くぐもった音色のギターが心地いい空間を作り上げた“NIGHT BEAT”では、「歌う愛しさも悲しみも 手放せはしないの」という、ぽんのありのままの気持ちを歌詞にしたようなフレーズがしっとりと染みわたる。キーボードが静かに“秘密”に突入すると、零れ落ちるような序盤の歌声から一転、サビでは美しいビブラートとパワフルな歌声を披露し、ぽんのシンガーとしての技量も発揮した。「みんなのことを歌った歌です」と一体感を作り出した“Moonlight”に続く。「ここからは楽しいっていう気持ちだけでぶちあがっていきたいと思います!」と、ライブはラストスパートへ。今回のリード曲でもある“TREK TRUNK”から“HI i-Fi TRAIN”、さらに楽器隊のソロ回しでも会場を高揚させた“流星ダンスフロア”で大いに盛り上げ、ファンとの濃密な時間を過ごす。 “流星ダンスフロア”の「終わりがきたって 何度でも新たな光を」という歌詞がいつまでも胸の中に残った。
アンコールにて「こんなにあったかい空間、あったかいチームは私のこれからの人生でも出会えないと思う。それくらい幸運だと思います。これからもORESAMAが大好きだし、みんなのことが大好き。そしてみんなと繋いでくれた音楽を、歌を、誇りに思います」と語ったぽん。“ねぇ、神様?”はそんな思いを込めるように丁寧に切実な声を届けた。“乙女シック”で「愛はとまらないの」と繰り返す歌詞を歌い終えたぽんが「みんな大好きだよ!」と叫ぶなど、最後まで愛に溢れた、再会の誓いを交わすような温かい公演。このまま終わるにはあまりに名残惜しい空気に、彼女たちを見送る拍手はそのまま手拍子に変わり、ダブルアンコールへ。
小島が「久しぶりのMCだ」と呟きながら「ここまでやってきて、出てくるのは感謝の気持ちしかないなって」と語り始める。「もし僕らがきっかけで音楽を好きになった人がいたら、末永く音楽を好きでいて欲しいです。本当に音楽っていいもんだなって思う。みなさまが音楽を好きであれば、僕らも帰って来る場所があるわけです。強要はしないけど、ずっと音楽を好きでいてください」と愛のあるメッセージを続けた。そして、このライブ最後の楽曲として披露したのは、ORESAMAのはじまりの曲でもある“オオカミハート”。演奏後、2人はステージの真ん中で握手を交わす。ORESAMAの楽曲の魅力や2人の音楽への、そしてファンへの愛情の伝わるステージは、まさにフィナーレに相応しいもの。同時に、2人が更なる進化を遂げて戻ってきた際、どんな作品で我々を驚かせてくれるのか、心から楽しみになる夜でもあった。
Text:村上麗奈
Photo:江藤はんな(SHERPA+)
Stylist:佐野夏水
『ORESAMA ONEMAN LIVE “TREK TRUNK”』@Spotify O-EAST セットリスト
01. ワンダードライブ
02. Gimmme!
03. パラレルモーション
04. Trip Trip Trip
05. PEARLY × PARTY -Funkapop ver.-
06. ホトハシル
07. ism
08. 迷子のババロア -Dressup cover-
09. Special ORESAMA Medley
10. CONTINEW WORLD
11. OPEN THE WORLDS
12. cute cute
13. Chewy Candy
14. CATCH YOUR SWEET MIND
15. NIGHT BEAT
16. 秘密
17. Moonlight
18. TREK TRUNK
19. Hi-Fi TRAIN
20. 流星ダンスフロア
ENCORE
01. 「ねぇ、神様?」 -Dressup cover-
02. 銀河
03. 乙女シック
W ENCORE
01. オオカミハート
ライブのアーカイブ映像は11/13(日)まで下記にて配信中!
https://www.zan-live.com/live/detail/10223