再びゼロからスタートするTHE BEAT GARDENの行く先を照らす『日が沈んでも消えない光』
DJのSATORUが8月10日をもって卒業することが発表されているTHE BEAT GARDEN。8月4日には2年半ぶりのアルバム『余光』のリリースを控え、現在行っている全国ツアーは8月7日にファイナルを迎えるなど、THE BEAT GARDENの2021年の夏は話題に溢れている。新型コロナウイルスの収束も見えず、グループとしての節目ともなる今、彼らがそれぞれ何を感じ、何を込めてライブや楽曲制作に向かったのか。U、REI、MASATO、SATORU、メンバー各々が抱くBeemer(ファンの総称)やグループへの愛が浮き彫りになったインタビューをお送りする。
■『The Beat Garden one man live tour 2021「Afterglow」』も残り半分を切りました。全国ツアーは約2年ぶりですが、ここまで各地を巡ってきて感想はいかがですか?
U やっぱりライブは楽しいですね。歓声が出せないのはすごく怖かったんですけど、今は今でちゃんと曲を届けられるという新鮮な空気感も楽しめています。ライブ好きですね、お互いが想い合えている感じがすごく幸せです。
REI やっぱり会えたことがすごく嬉しいです。このツアーも去年やる予定だったんですけど、延期になっていて。今回SATORUさん卒業の発表もあって、僕たちからBeemerに会いに行きたい気持ちが強かったので、会えてすごく幸せです。
MASATO オープニングSEで出ていった瞬間から、もう泣いている人がいて。この状況でそれぞれすごく頑張って今日を迎えているんだろうなっていうのがすごい伝わってきたんです。いろんな覚悟もした上で会場に足を運んでくれたことを本当に感謝しています。あとは現場が久々なので、スタッフのみなさん、照明や音響、制作スタッフのみなさんには本当に感謝しながらやらせてもらっています。
SATORU 配信ライブはこの期間中にもやったことあったんですけど、やっぱり目の前にBeemerがいるライブっていうのは、なによりも楽しいですね。あと僕らは車で移動しているんですけど、それもなんか久しぶりだなと思って。
U 俺も言おうと思った。
SATORU ハイエースに乗っていて「この感じだったな~」って。広島とかまで行く時は、「まだ大阪!?」みたいな。(笑) それも懐かしくていいなと思いましたね。
U 最近は車内でみんなでマリオカートをやっています。お互いののしり合いながら。(笑)
■このツアーが現体制で最後のライブとなります。SATORUさんは前回のインタビューで「まだ実感がない」とおっしゃっていましたが、ツアーが折り返した今の気持ちはいかがですか?
SATORU 後期公演に入ったらいよいよラスト5か所なので、「感覚が変わるかな…?」って思っていたんですけど、そんなに変わらなくて。多分3人の方が感じているんだろうなと思います。
U SATORUにはホテルの風呂場かどこかで言ったんですけど、僕はもう一本目からすごく感じていて。「どんどん終わりに近づいている、すごい嫌だな…」って思っていたんです。本人に言ったら気にするから、後期に入るまで言わないでいたんですけど。ライブの前日とか、当日が来て欲しいのに明日が本当に来て欲しくないとも思うみたいな。そのことを言ったら、本人は「マジすか!?」みたいな感じなんですよ。
SATORU 「そう思っているんだ」って思ったら、複雑って言ったら変ですけど…。当たり前なんですけど、全公演全力でやってきましたし、これからも最後まで全力でやっていこうって思います。
■ツアーファイナルの直前には2年半ぶりのアルバムがリリースされます。タイトルの『余光』にはどんな意味を込めているんですか?
U SATORUの卒業は1年くらいチームで話しながら決めたんですけど、卒業のことやコロナのこともあって後ろ向きな気持ちになっている自分たちがいて。でもちゃんとでかいステージに立ちたいし、売れたいし。すぐに前を向けるわけではないんですけど、でもちゃんと信じて歌い続けられる、聴いてもらえるアルバムになったらいいなと思って。「日が沈んでも消えない光」ということで『余光』とつけました。
■アルバムの特設サイトにあるSATORUさんのコメントからは、本当にTHE BEAT GARDENの作品が好きなんだなと改めて伝わってきました。制作している時や完成してみて感じることはありましたか?
SATORU 新曲をレコーディングしたりTDしていて、「この場所でこうやって聴くのは最後なんだな…」という想いがありました。収録している曲の中でもシングル曲は、リリースした時にイベントだったりSNSでの企画をBeemerの人たちとやってきたこともあったので、思い入れが強いです。
■今までリリースしてきた楽曲の他にも新曲が2曲収録されています。6曲目“好きな人がいる人を好きになった”は――
U (略して)“好き好き”ですね。
■なるほど。“好き好き”は作詞に落合渉さんが参加していますが、参加することになった経緯を教えてください。
U “マリッジソング”を書いている時に、YouTubeで渉ちゃんのことを知って、その日に会ったっていう出会いがあったんです。それから渉ちゃんが書いている歌詞を先に聴かせてもらって「どう?」みたいな感じで、なんでも言い合える関係になっていって。アルバムを出せることが決まって、誰かと歌詞を書きたいとずっと思っていたので、今回オファーしました。
■歌詞がどろどろしているというか、ここまでストレートな言葉で書くのも珍しいですよね。でもピアノが綺麗だったりして、聴いていて嫌な感じがしない。歌詞をしっかり見ると「なんかすごいぞ」っていう。
U 今までのラブソングもすごくまっすぐ書いたのもありますけど、こういうひねくれた要素もあったと思うので。それが今回「どーん!」と前に出たので、渉ちゃんと書いてよかったなと思います。またやりたいです。
■他のみなさんは歌詞を初めて見た時はどう思いましたか?
MASATO ちょっと思い出していたんですけど、コロナ禍でこの曲を作っていた時、病んでいたわけじゃないんですけど、なにしても退屈な期間で…。ワンコーラスできていたものはあったんですけど「なんかつまんないな…」と思ったんです。満足いかない感覚があって、試行錯誤とかしたんですけど、どうも上手くいかないと。なので、AメロとBメロを取っ払って、Uさんに「このヴァースを化学反応起こしてくれないですか?」って作りたい曲のイメージを2人で立てたんです。その時、自分に欲しかった刺激的なものを歌詞でもやってくれたので、もういききってくれたなと。ファンの人たちもめっちゃ好きな曲だと思います。
REI 曲名を聞いた時に、「THE BEAT GARDENの4人からは出てこない曲名だな」と感じました。新しい表現もしていて、いい意味で気だるく歌ったりとかもしています。歌っていても楽しいですし、表現の幅が広がった作品だなと僕は思っています。
SATORU ライブでは今歌っているんですけど、ライブでやればやるほど結構ハマっていく感じがします。あと、この曲にはマネージャーの声も入っていたりして。「無理です駄目です論外です」の部分に入っているんですけど、そういうのも含めてすごくレコーディング中も楽しかったんです。思い出に残っている曲ですし、ライブやってる時の雰囲気もいいのですごく好きですね。
REI なんかスルメ曲みたいな感じなんですかね。聴けば聴くほど良さが出てくるような。
■『余光』に収録されているもう一曲の新曲“Everglow”は、REIさんとUさんがお二人で作曲された楽曲ですね。
U REIが、Aメロとサビができた状態で「Bメロ迷っているんです」みたいな感じで持ってきてくれて。僕がBメロを作った感じですね。
■歌詞は今の情勢を意識されているのかな?とも思ったのですが。
U この期間はラブソングを書かせてもらうことが多かったんですけど、でも溜まっていく思いはそれこそ情勢に関してとか、苛立ちとか、ライブや特典会ができないこととかで。そういうのを歌にしていなかったなと思って。それで、SATORUの卒業の事を僕らだけが知っているっていう状況が長く続いて、余計すごいむしゃくしゃしていたんですけど、それを暗いテンションで歌ってしまうとなんか違うなと思っていたんです。その時にREIがこういうちょっとR&Bで、でもアップテンポで明るい曲を作ってきてくれたので、丁度いいなと思って。本当に今思っていることだったり、不安な気持ちがあっても離れずにいてくれたみんなへの想いとかを詰め込んで書いていった感じですね。
■「光覗く朝まで」という歌詞に印象を受けてもいるんですが、暗いところから光を見るような、道の先に光を見出していくようなイメージを抱きました。
U ライブで歌うのをすごい想像しながら書いていて、これを書いている時は、まだツアーの実現が微妙だったんですよ。でもライブができるかもしれないって、Beemerのみんなに会えた時を想像して書いていて。「光覗く朝」っていうのも、ライブの照明とかに自分たちが当たっている姿とか、それを見てくれているみんなの姿を連想して。「きっとライブができるようになっても、それは今までの形じゃないだろうな…」っていうのは思っていたので、会えた時にもう一個先の未来を一緒にみんなと想い合えるような曲になったらいいなと思って書いていました。