3⼈は満⾯の笑顔で「未来へ」と歌っていた。それこそが輝く未来へ向けた産声だ。
unSea にとって、中でもメンバーのまなみとみのりの2⼈は、⼤切なタイミングごとに渋⾕duo MUSIC EXCHANGEでワンマン公演を重ねてきた。まなみ、みのり、りなの新体制になったunSeaが動き始めたのが2024年10⽉6⽇。あれから9ヶ⽉以上の歳⽉が経過している。これまでに何度もワンマン公演を重ねた上で、彼⼥たちは改めて渋⾕duo MUSIC EXCHANGEという場所に⽴つことを決めた。振り返れば、2023年7⽉にunSeaはワンマン公演を8⼈体制で⾏って始動した。2024年7⽉には、1周年記念のワンマン公演を渋⾕duo MUSIC EXCHANGEで⾏っている。そして3⼈体制になったunSeaは、ここまでの歩みの成果を⽰そうと、2周年を迎えたタイミングで再び渋⾕duo MUSIC EXCHANGEの舞台に⽴った。7⽉21⽇に同地で⾏われた『unSea 2nd Anniversary One Man Live “AQUARIUM”』公演の模様を、ここにお伝えしたい。

先に触れておくと、unSeaはまなみのりさ時代の楽曲も巧みにメニューに組み込んでライブ活動を⾏っている。この⽇もunSeaの楽曲を軸に据えながら、間に間にさりげなくまなみのりさ時代の楽曲も差し込んでいた。この⽇の始まりの曲のように……。ステージの上には、⽩いスポットライトに照らされた2脚の椅⼦が置かれていた。フロア中に響き渡る滴り落ちる雫の⾳。やがて場内が暗くなるのに合わせ、美しくも儚さを抱いたピアノの⾳⾊が流れだす。そこへ重なる「ドクッドクッ」と鳴る⼼臓の⿎動の⾳。この⽇のために⽤意した新しいSEに乗せ、まなみとみのりが軽やかに舞い踊りながらステージへ。2⼈はSEに乗せて椅⼦を使ったパフォーマンスを⾒せていく。そして……。煌きだす⾳⾊に誘われるように、りなもステージに姿を現した。冒頭を飾った“かかとを鳴らして”で彼⼥たちは、2脚の椅⼦も巧みに⽤いて、胸を弾ませ、踵を鳴らして踊りたくなるパフォーマンスを⾒せていく。曲が進むにつれ、躍動するビートとそれぞれのハートビート。りなの華麗なダンスパフォーマンスがこの場を華やかに染め上げる。3⼈の作りあげた楽しさに呼ばれるようにフロアから声が上がり、クラップが鳴り響く。さぁこの楽しさを胸に、踵を鳴らしながら、素敵な宴を⼀緒に描こうか。次第に⾼まる感情と⾼揚。ほんと、⼼が踊る幕開けだ。
unSea の始まりを告げた楽曲が、“シースルー”だった。あの頃は8⼈でこの曲を彩っていたが、今は3⼈で⾊づけている。とても深みを覚える歌声とパフォーマンスからの始まりだ。ビートが⼀気に弾けだすのに合わせ、楽曲も3⼈も⼀気に華やぎだす。揺れ動く⼼模様に合わせて曲の彩りが変化すれば、3⼈も歌詞に合わせた表情へと、その都度歌声を⾊づけていく。彼⼥たちに向けて場内中から起きた⼤きなクラップ。2⼈(⾃分たち)だけの世界を作りあげていこうと歌う“シースルー”を通して、この場が華やぐ景⾊に染まっていく。たとえ3⼈で歌おうと、この曲の持つ表現に深みと説得⼒を覚えるからこそ、⼒強く⼿を鳴らしたくなる。何より3⼈の重ねてきた深い経験が、歌声に説得⼒を与えていた。そのまま歌始まりの“Escape”へ。軽やかに跳ねたジャジーな演奏に乗せ、3⼈は華麗に、でも少し⼤⼈の匂いも振りまきながら歌い踊っていた。軽快に跳ねたビートに合わせて、観客たちも⼼を踊らせながら⼿を叩きだす。3⼈はミュージカルの⼀場⾯を演じるかのように、華やかなドラマを描き出して観客たちを魅了していく。その様はまさにレビューを⾒ているようだった。彼⼥たちは1曲ごとにいろんな表情を描きだす。続く“Re:start”では、みのりの歌声をリードに、ワクワクした気持ちを呼び起こす姿を提⽰。観客たちもクラップをしながらそれに参加。⼼に眩しい歌声の光が射し込むようだ。気持ちを弾ませて歌い踊る彼⼥たちと⼀緒に⼼を輝かせながら、ともに「Hey!!」と声を上げ、3⼈に向けて熱いクラップを送り続けていたい。
MC では、ここへ⾄るまでのunSeaの2年間の歩みを語った。次のブロックでは、春夏秋冬を想起させるBGMを幕開けに、その季節に似合う楽曲を歌唱。まずは今の季節に合わせた夏景⾊から物語は始まった。⾵鈴の⾳と蝉の鳴き声が響くBGM に続いて、最初に届けたのは、梅⾬が明け、夏の季節の到来を思わせる“Rainy girl”。メンバーたちは透明な傘を差してパフォーマンス。⾬上がりの空に広がる綺麗な虹を思い浮かべ、3⼈は⽔たまりの⽔が跳ねる様を楽しむように、軽やかにステップを踏みながら「君は僕だけの太陽」と歌った。これから訪れる素敵な夏や未来に向けての期待を、⽚思いの⼈への恋⼼を膨らませる様と重ねながら、3⼈は何度も「君は僕だけの太陽」と笑顔で歌っていた。さぁ、眩しい夏の幕開けだ。彼⼥たちは躍動したダンスビートも印象的な“Magic hour”に乗せ、少し早⼝で⾔葉を述べながら、期待に胸が弾む気持ちを表現。眩しい太陽の変わりに、オレンジのライトの輝きが3⼈を眩しく照らしていたのも印象的だ。早⼝で恋に馳せる想いを歌うたび、煌めく季節を⼀緒に過ごしながら、眩しい思い出を⼼の中に刻んでいたくなる。少し肌寒い秋の季節の到来だ。3⼈はステージに膝を崩した姿で座り、愛しい⼈のいない⽇常に切なさを覚えながら、在りし⽇々に思いを巡らせるように“それを僕は成さない”を歌った。悲しみに暮れた気持ちをファルセットした声に乗せて歌う姿が印象的だ。この曲では、まなみとみのりの⾼⾳域の歌声の美しさを味わえたのも嬉しい。愛しい⼈へ思いを馳せて歌う彼⼥たちの声に少しノスタルジーを覚えつつ、悲しみを零す⼼に触れながら、いつしか胸を潤ませていた。⼀転、秋祭りの到来でもないが、unSeaはファンキーでダンサブルな“paint it!”を晴れた声で披露。フロアもビートに合わせてクラップしながら宴に参加。モノクロの景⾊をカラフルに彩るように、3⼈が華やかな⾊を⼀⼈⼀⼈の⼼に歌声の絵筆で塗っていく。⼀つ⼀つ⾊を重ね、⼼が明るく⾊づくたびに、気持ちも華やいでいくのを感じていた。ステージの上で眩しい笑顔を浮かべて歌い踊る3⼈の姿も印象的だった。
そして季節は冬へ。3⼈は⼿にした傘をくるくると回しながら、この場にロマンチックな冬の⾹りを振りまきだした。壮麗な絃楽の⾳⾊も印象的な“Diamond dust”に乗せ、unSeaはこの場に冬の景⾊を描きだす。とても美しいハーモニーだ。キラキラとしたダイヤモンドダストのような⾳⾊が降り注ぐ楽曲に乗せ、胸の内に秘めた強い恋⼼を、3⼈は思いを伝えるように歌った。揺れ動く気持ちの変化に合わせて、透明感や⼒強さなど、歌声もいろんな⾊を⾒せていく。でも最後には、前向く気持ちに染まった3⼈の姿が⽬の前に⾒えていた。少しセンチメンタルな⾊に⼼を塗り直して届けたのが、ミドルメロウの“グレーに溺れて”だ。⾔葉のひと⾔ひと⾔を⼤切に、そこにしっかりと思いを込めながら、3⼈は⾔葉に綴られた、胸の痛む感情にみずからの気持ちも染め上げて、「わかってる それでも離れないで」と歌った。愛しい⼈に思いを届けようと、3⼈とも両⼿でマイクを「キュッ」と握りしめ、切ない気持ちを振りきるように歌う姿が印象深かった。続く“⽚道切符”のダンスパフォーマンスを挟み、暖かな陽差し零れる春の季節へ。彼⼥たちは春を告げる妖精となり、ゆったりと舞い踊る。その姿は空を舞う花びらたちのよう。思いを深く込めたみのりの歌声から始まったのが“花びら”だ。春という別れの季節ならではの思いをこの曲に重ねながら、3⼈は歌っていた。切ないのに情熱的な彼⼥たちが「ヒラリヒラ〜」と歌いながら、くるくると舞い踊る姿がとても凛々しい。まるで天空で舞い踊る桜の花びらのようなパフォーマンスを通して、彼⼥たちは悲しみや別れに伏してむせぶ思いを振り切るように歌っていた。このブロックの最後に届けたのが、哀しみを吹き⾶ばし、新しい始まりを告げる“変わらなきゃ”。四季を巡る思い出の物語の最後に、「変わらなきゃ 変わりはしない」と、⾃分たちの強い決意を歌にして届けてくれた。「変わらなきゃ 変わりはしない なにひとつ始まることもない」。その⾔葉の輝きが、この場に集った⼤勢の仲間たちの胸にも、勇気の光として差し込んでいた。「挑まなきゃ勝ち負けはない 何度でも戦ってゆくわ」と歌う声に、場内中からも多くの共感の⼿が上がっていた。3⼈が胸にずっと抱き続けてきた想いを、四季を巡る物語の最後に持ってきてくれたのも嬉しかった。
ここからは後半戦へ。ライブでも爆上げ曲として浸透中のカラフルな“The Onder World”のイントロが流れたとたん、フロア中から⼤きなMIXの声が⾶び交いだす。3⼈とも理性のストッパーを外し、華やかな輝きを⾝にまといながら歌いだす。その姿に向けてフロア中から熱情した声が⾶び交い続ける。サビでは観客たちが⼒強く掌を叩き、熱情した声を張り上げる。Dメロで3⼈と場内中の⼈たちが「Oh!Oh!Oh!」とシンガロングすれば、落ちサビからラスサビへ向かって爆上がる景⾊が胸を熱く騒がせた。その様を⾒た3⼈も拳を振り上げ、気持ちを奮い⽴てていた。その勢いをさらに加速するように、unSea は“ココロト”を歌唱。ステージの上で眩しい笑顔を浮かべて歌う3⼈の姿も印象的だ。それ以上に凄かったのが、フロアの⼈たちの⽌まぬ歓声やクラップ。その様に煽られるように、3⼈も晴れた⼼のモードにずっと感情のギアを⼊れながら、この場に熱狂の景⾊を描き続けていった。さらに彼⼥たちは、この場を常夏のラテンのカーニバル会場に染め上げようと、“wave びーと&ハイsign Remix”をブースト。まずは“wave びーと”を通して、灼熱の祭り景⾊が似合う歌の⾵をこの場へ呼び込み、みんなで無邪気に、全⾝全霊しゃかりきになって祭り上がっていた。そこへ“ハイsign”を繋ぎ、陽気な沖縄の宴の場に染め上げていく。3⼈はカチャーシーを踊りながら、ハイサイなダンスビートに乗って弾けていた。最⾼に気持ちを上げていく祭り曲だ。少しでも気持ちが動いたのなら、⼼のはしゃぐままに歌い踊ればそれでいい。3⼈も魂を祭り⼈に染め上げ、思いきりブチ上がっていた。酷暑な外の暑さは気持ちを落とすが、ここの熱狂という暑さは気持ちを楽しく整える。3⼈の⼒強いダンスに向けてフロア中から熱情した声が上がり続ける。魂が奮い⽴つ限りずっと踊り続けていたい。まさにそんな気分だ。ラストナンバーに⼊る前に、みのりが「みんなと⼀緒に未来へ進んでいこう」と思いを熱く語った。その上で宴の最後に届けたのは、やはりこの曲だった。最後にunSea は、これからも変わらずに持ち続ける未来に向けた思いを、“未来へ”に乗せて歌いだした。冒頭で響いた、3⼈の美しく染め上がったコーラスが胸を踊らせる。この曲の歌詞に綴られたのは、ネガティブな感情も含め、これまでの歩みを受け⽌めた上で新たに⽣まれ変わって未来へ踏み出すという、希望に満ちた思い。3⼈の⼼の声がそのまま歌声と⾔葉とパフォーマンスになって、観客たち⼀⼈⼀⼈の胸に、未来へ⼿招く輝きの⼿を伸ばしていく。だから3⼈と⼀緒に腕を⾼く振り上げ「Wow Oh Oh〜」と歌っていた。その歌声が⼀つの⼤きな希望の光となり、unSeaが進むべき未来への道を照らしていた。
3⼈が⼿を⾼く掲げていたのは、すぐ近くで⼿招いている未来をつかもうとしていたからか。その未来へ向けて、3⼈は満⾯の笑顔で「未来へ」と歌った。でも、それこそが輝く未来へ向けた産声だ。「やっと未来に進めたと思えた今⽇でした。この出会いを⼤切に繋いでいきたいと思います。この旅を、みんなと⼀緒に進んでいきたいなと思います。(みのり)」unSeaは、中でもなまみとみのりは、まなみのりさ時代も含め、何度も苦境に⽴たされ、そのたびに苦難の道を這いつくばってでも前へと進み続けてきた。りなもそう。⾃分を⽣かせる場を求めて、いろんな環境を変えてunSeaと出会っている。あきらめなければ夢は叶うという綺麗事をいう気はないが、夢を憧れではなく現実にしようと泥まみれになってでも歩み続ける姿に、気づいたらたくさんの⼈たちが惹かれ、その歩みに寄り添っていた。彼⼥たちのことだから、これからも困難が⽴ちはだかることも出てくるだろうが、それでも必死に真っ直ぐな気持ちでぶつかる姿を⾒せていく限り、その姿に⼼を打たれ、ともに歩みを進める仲間たちは増えていくと信じている。unSeaは9⽉24⽇(⽔)に、NEW Album『MUSICAL』の発売を発表し、新曲“MUSICAL”のMV の制作も合わせて告げられた。そしてunSeaは、2026年3⽉13⽇(⾦)にZepp Shinjukuで新たなワンマン公演『unSea One Man Live「MUSICAL」』を⾏うことも伝えてくれた。彼⼥たちの⼤きな夢の過程の中にある、でも叶えたかった⼀つの夢の場であるZepp Shinjukuでの単独公演。この⽇に向けて3⼈がどんな物語を描き続けていくのか、引き続き追いかけていきたい。

Text:⻑澤智典
『unSea 2nd Anniversary One Man Live “AQUARIUM”』@渋⾕duo MUSIC XCHANGE セットリスト
新SE
01. かかとを鳴らして
02. シースルー
03. Escape
04. Re:start
夏BGM
05. Rainy girl
06. Magic hour
秋BGM
07. それを僕は成さない
08. paint it!
冬BGM
09. Diamond dust
10. グレーに溺れて
春BGM(⽚道切符)
11. 花びら
12. 変わらなきゃ
13. The Onder World
14. ココロト15. wave びーと&ハイsign Remix
16. 未来へ