w-inds. VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

20年間変化することしかしてきていないので、変化することがw-⁠inds.らしい。

w-inds.が配信シングル『Bang! Bang! feat. CrazyBoy』をリリース。2023年3月14日にリリース予定のアルバムに先駆けて制作された本作は、CrazyBoy(三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE・ELLY)が参加したクールな1曲となっている。
2020年6月より2人体制になり、2021年には20周年を迎えたw-inds.。20周年イヤーとなった2021年から2022年の活動を振り返りながら、2人体制となった現在の思いや変化、アルバムに向けた意気込みなどを、橘慶太、千葉涼平の2人に語ってもらった。

■2021年の3月に20周年記念アルバム『20XX “THE BEST”』を、11月には『20XX “We are”』をリリースされましたが、20周年イヤーから2022年にかけての1、2年はどういうモードで過ごしていましたか?

 2人体制での再始動が始まったというような印象だったので、意外と余裕がなかったんです。20年経ったら自分たちのペースも出てきて、もう少し余裕があるものかなと思っていたんですけど、全てが新しくなっちゃったので、ずっと試行錯誤していたなという感じです。今年の夏からライブツアーをやっていたんですけど、その制作も2人のw-inds.としての見せ方だったり、昔の楽曲をどうやって今の2人のアレンジにするかとかに追われている期間だったなと思います。でも長年応援してくれている多くの方々が、新しい体制を支えてくれたので、少なからずそういう声をいただくことが自信になったというか、安心して制作ができたなっていうのもあります。

■20周年というのと同じくらい、2人での再始動ということがお2人の中では大きかった?

 そうですね。思い出とか記憶ってやっぱり永遠に残るので。そこが当たり前にいいものとして残る中で、今の2人の体制を悪くしちゃいけないというか。「また別物としていいと思ってもらえるようにしなきゃいけない」っていう意識が強かったので、そういう意味ではドキドキしましたね。

■千葉さんはどうですか?

千葉 慶太くんも言いましたけど、やっぱり過去の楽曲を再構築していくっていうのにすごく追われている日々だったように感じます。なんせ馴染みがないじゃないですか、2人でやることに対して。なので、新しいものをやっている感覚でした。

■2人になって改めてお互いの魅力に気付いたり、みたいなこともありましたか?

 涼平くんはこんなに面白い人だったんだって思いました。(笑) ライブで喋っている時も、それには本当にびっくりしました。ライブでのMCは基本的に僕が一生懸命回そうとするんですけど、最終的に頭に残っているのは涼平くんのパワーワードっていうくらい。ホームランバッターじゃないですけど、そういう素質を持っていたんだなって。(笑)

千葉 あはは。(笑) 慶太くんはいろんな顔を持っているのがやっぱり面白いなと思いますね。声のキャラクターとかパフォーマンス、見せ方もそうですけど、楽曲によってキャラが変わるので、その辺とかはやっぱり改めてすごいなと。いろんな引き出しがあるなと思います。

■今回の新曲“Bang! Bang! feat. CrazyBoy”は、3月にリリースされるアルバムの先行配信なんですよね?

 そうですね。2023年はアルバムを出してツアーをやりたいっていうのがあって、そのツアーを成功させることが一番重要なところだと思っていたんですけど、2022年は新曲を出していなかったなって思って、2022年中に配信することにしました。なので、どっちかというと2023年に向けての年末からの準備と言いますか。ずっと作ろうとは思っていたんですけど、なんとなく「ライブを成功させなきゃ」っていう方に意識が向いちゃっていて、なかなか制作に入れなかった。なので、2023年はもちろんライブも行いたいとは思うんですけど、制作の方にももうちょっと力を入れなきゃなって思っています。

■2022年は結構ライブモードだったんですね。

 だいぶライブモードでしたね。3年ぶりのツアーだったので、大げさですけど「失敗したら終わり」くらいのプレッシャーがありましたね。なので、本当にどういう風にパフォーマンスしたらいいかとかを常に考えていたような気がします。

■今回の楽曲にはCrazyBoyの名義でELLYさんが参加されていますが、どんな経緯で一緒にやることになったんですか?

 この曲は僕と友人の3人で作っていた曲なんですけど、ラップパートを作った時に、なんか自分たちの声じゃないなっていうイメージがあって。ELLYとは10何年前、ELLYがLDHに入る前にダンサーをやっていた頃から交流があったんです。w-⁠inds.の振り付けをやってくれていたこともあったんですけど、LDHに入ってCrazyBoyっていう名義でラップを始めた時に、それを聴いたらすごい好きで、声がすごいカッコいいなと思っていて。「いつか一緒にやれたらいいね」みたいなことはずっと言ってはいたんですけど、今回この曲を作った時に「この曲は絶対ELLYのラップだ!」っていう思いになって、それでオファーさせていただきました。こんな急ピッチな作業だったのに受けていただいたっていう、ありえないような優しさでしたね。

■ELLYさんとはかなり長い付き合いなんですね。

 長いですね。でも頻繁に会っていたわけでもなくて、知り合いっていうような感じで。現場で会ったらちょっと話すくらいだったんですけど。

■すごくカッコいい印象の曲ですが、そういう曲にした理由はあるんですか?

 ここ最近の流れをブラッシュアップするより、ちょっと「意表をつきたい」みたいな気持ちが強くて。リリースする時に、やっぱりそれまでの延長線上で行くよりも、期待を裏切りつつ超えたいっていうような感覚があって。今回もいろいろ悩んではいたんですけど、やっぱりここでもう1回期待を裏切りたいなっていうところから、こういうジャンルにしてみようっていう。

■千葉さんはこの曲を最初に聴いた時、どういう印象を持ちましたか?

千葉 いやぁ、ごりっごりに攻めているけど、その攻めた感じがw-inds.としてやるのはめちゃくちゃ久々だなと。個人的にも世の中の情勢的にも、ここ数年は攻めた方向性をやりたいモードでもなかったんですけど、最近自分の中でちょっとずつそれが開けてきた感じもあって。またw-⁠inds.として新しいものを違うベクトルでできたら楽しいなっていうタイミングだったので、それがすごいハマっていると感じます。

■ELLYさんと一緒にやることで違うエッセンスが混ざったとも思うのですが、どういう刺激がありましたか?

 ELLYのレコーディング当日は、僕はライブで行けなかったんですけど、ライブが終わったくらいにちょうど届いて。ELLYの歌を聴いた時、刺激というよりはELLYのラップが好きだったので、さすがだなというか。イメージ以上のいいラップだなっていうのは思いました。あとはやっぱり3人とも声のタイプが違うじゃないですか。僕と涼平くんも違うし、ELLYもまた違うので、今回の曲はそこがすごく面白かったし、すごく印象的でした。

■お2人もレコーディングする際の方向性としては、それぞれの声のキャラを立てる感じだったんですか?

 そうですね。涼平くんの声の良さもそうですし、僕はどちらかというと、カメレオンじゃないですけど、いろんな要素が多すぎて、どこが元の自分か分からないというか。(笑) だから今回も色に染めるような歌い方をしたりしました。

■今回もマスタリングまで橘さんが行ったんですか?

 今回はよくやってもらっているD.O.I.さんっていう方にお願いしています。

■千葉さんはレコーディングはいかがでしたか?

千葉 どうだったっけ?

 ついこのあいだの話だよね?(笑) なんか1週間前くらいの感じがするけど。

千葉 そうね。めちゃくちゃ最近で。

 でもスムーズでしたよね、2時間くらいで終わったんじゃなかった?

千葉 割りとそんな感じでした。

■では、仕上がりがどんな感じになるのかも本当に2人次第で?

 そうですね。最近はずっとそんな感じです。

千葉 でもある意味、時間も気にせずにできるしいいよね!

 そうそう。スタジオも僕の家で録れるようにしているので、始めたい時に初めて、出来上がったら終わるみたいな感じなんです。

■それはリラックスして臨めそうですね。

 レコーディングスタジオで考えるよりはやりやすいよね。

千葉 そうだね。

 歌って結構メンタルが簡単に声に出てきたりするので。そういう意味でもすごく良いと思います。

■お互いにディレクションをし合うんですか?

 僕はもう自分で全部録るので、涼平くんのディレクションだけ僕がやるっていう感じです。

■ディレクションではどんな風に導いていくんですか?

 涼平くんらしさを出した方がいいと思うので、基本的には最初に涼平くんに自分が思うままに歌ってもらって、涼平くんの歌を聴いてからそれをブラッシュアップしていくっていうか。「ここはもうちょっとこうしてみようか」みたいなのが多いですね。

千葉 うん。スパイスを足していくみたいな感じで。

 そのスパイスが結構細かいんですけどね。(笑) 息の成分がどうとか。

千葉 もう一文字単位ですよね。「ここの文字の時にもうちょっとこのニュアンスが欲しい」とか。(笑)

■そのリクエストに的確に応えられるのもさすがですね。

千葉 でもそこは難しいんですよね。自分の癖も入ってきちゃうじゃないですか。だからそれを抜いて、また違う要素を入れるみたいな。

■すごく細かなところまで調節するんですね。

 そうですね。ボーカルディレクションは結構細かいです。自分が歌っている時もそうですし、誰かの歌を録る時もそうですし。ひとつの言葉の倍音感とかでも印象が変わっちゃったりするので、そこはかなり細かくやっています。

■さすがミックスとかマスタリングの経験があるだけあって、倍音感だとか視点もエンジニアらしさがありますね。(笑)

 そうかもしれないですね。(笑) 機材改造しちゃったりしますからね。一緒に作っているトラックメーカーとか音楽仲間がいるんですけど、その人たちからも「踊れるエンジニア」って言われています。(笑) この間もブラックフライデーセールの時に、その全員が僕にメールして来て、「機材、何買ったらいいですか?」みたいな感じでした。(笑)

■すごい!(笑) 歌詞はすごく強気な感じですが、これは今の思いなどが反映された結果でもあるんですか?

 そうですね。常に僕たちは逆境の中で戦っているような気持ちを失いたくないというか。そういう反骨精神みたいな部分は年齢を重ねてもなくならない部分だったりするので、それがこの歌詞にはすごく表れているなって思います。

■コーラス部分の「批判の声も すぐに逆転さ」という歌詞もすごく存在感のある言葉だなと感じました。

 これは言葉が難しいんですけど、最近僕の周りで独立する人が多いなと思って。そういう人たちってどうしても批判されがちですけど、やっぱりみんな信念があって、逆境の中で戦い抜いているじゃないですか。そういう姿に刺激を受けるんですよね。突き進んでいくエネルギーって大切だと思うし、すごい覚悟が必要じゃないですか。僕らも職業柄いろんなことを言われるし、この業界の人はみんなそうですけど、それを逆転させるぐらいのエネルギーで進んでいきたいとは常に思っているので、そういう歌詞ですね。