Wienners『TOKYO HOLI』ライブレポート@渋谷WWW

持ち味と魅力を爆発させたパーティ『TOKYO HOLI』開催!

3月21日(木)、Wiennersが渋谷WWWにて『TOKYO HOLI』を行った。本公演は、インド、ネパール全土で行われる極彩色のパーティー「ホーリー祭」からインスピレーションを受けたもの。2023年8月にKOZOが脱退し、3人体制となったWiennersにとって久しぶりのワンマンライブであるこの日は、祭りにぴったりなWiennersの楽曲とともに、愛と情熱に溢れたライブを提示した。ソールドアウトした会場にはギリギリまで人を入れたとのことで、パンパンの満員状態。ステージにはカラフルなリボンが吊るされており、祝祭の予感を感じさせる。

開演時間を少し過ぎ、会場のボルテージも高まった頃、ダンサブルな新しいSEに合わせて登場する玉屋2060%(Vo&Gt)、アサミサエ(Vo&Key&Sampler)、∴560∵(Ba&Cho)、そしてサポートメンバーの諸石和馬(Dr)の4人。登場するや否やメンバーの3人は煽ったり手を振ったりと、早速客席との距離を縮めている。この日の会場は比較的ステージと客席との距離が近い会場であったが、その距離感の近さが会場の熱狂を更に押し上げているようにも思えた。

「久しぶりのワンマン、『TOKYO HOLI』、開催します!」と玉屋が開幕を告げると、サイケデリックな照明とともに“TRADITIONAL”を演奏。他国の祭りからインスパイアされたライブの1曲目が日本の伝統を歌う楽曲であることに、そこはかとないWiennersらしさを感じる。イントロで会場中が湧き上がった“GOD SAVE THE MUSIC”より、“ジュリアナ ディスコ ゾンビーズ”、“MY LAND”と、序盤ながら快調に飛ばしていく。どこか軽やかにビートを刻むサポートメンバーの諸石、そこにエッジを加える∴560∵、玉屋の軽快なギターと心を昂らせるようなボーカル、アサミサエのキュートでリズミカルな歌声が対比を作っていく。出し惜しみという言葉など存在しないかのようなキラーチューンの連続に、会場も興奮を高まらせるばかり。エネルギッシュなステージに、こちらも活力が注入されるような感覚だ。

始まったばかりでありながらクライマックスにも感じられた先程までのパートを上回るかのごとく、“TOP SPPED”へ。彼らの楽曲は速いテンポと楽曲の途中でがらりと緩急を付ける楽曲構成、玉屋とアサミサエによるコントラストのある歌声によって目まぐるしい印象を抱くことが多いが、安定感とメリハリのある息の合った演奏には存在感があり、聴きどころが多いため、ひとつひとつの楽曲が盛り上がるだけで流れていってしまうような印象はない。

オーディエンスを巻き込んだ大合唱で純粋に音楽を楽しむような“Kindergarten Speed Orchestra”から“MONSTER”へと続いていくセットリストを体感していて感じずにはいられないのは、彼らの作り上げるライブが対話のようであるということだ。演奏をただ届けるのではなく、聴かせるだけでもなく、オーディエンスからの反応があってこそライブであるという気概は、彼らがよくオーディエンスを見渡していることやライブへの巻き込み方、MCでの言葉の端々からよく伝わってくるように思う。集まった全員が当事者と言わんばかりの暖かい空間には、そういった意味でとても没入感があった。

“おおるないとじゃっぷせっしょん”、“Justice 4”では彼らが得意とする、そして今回のコンセプトともぴったりなリズミックな演奏やホイッスル、タンバリンの登場で祝祭の賑やかさに。特にアサミサエはタンバリンを叩きながら思い切りホイッスルを吹き、楽しそうに満面の笑みを浮かべていた。この日のコンセプトとぴったりなインドのリズムをフューチャーした“恋のバングラビート”、ゆとりのあるリズムで2人のボーカルとリズムを聴かせる“BIG BANG”へと続き、更に新曲“いろはにほへと”へ。ユーモラスな踊れる楽曲を連続で披露する。

ミドルチューン“Play for”で歌をじっくりと聴かせると、お祭り再来、土着的な空気と華やかさが綯い交ぜになっている“天地創造”、“FAR EAST DISCO”が続き、多幸感のある空間が形作られていく。「世界中の人が幸せでありますように」との祈りを込めて披露されたのは“HORO NOVA AZIO”。世界中、という大きな主語でも決して無責任なものではなく、世界の幸福は隣の人を思いやることから始まるのだと言わんばかりの愛が、彼らの演奏と佇まいからひしひしと伝わってくる。そして“SOLAR KIDS”、“Cult pop suicide”でラストスパートを畳みかけ、あっという間の本編を終えた。

アンコールでは、新曲リリースとワンマンツアー、そして玉屋がソングライターとして関わっているゲストが登場する『玉屋祭』の開催を発表した。そして早速、新曲“何様のラプソディ”を初披露。ここまでの興奮を分かち合うかのように“よろこびのうた”を挟み、“SHINOBI TOP SECRET”、“LOVE ME TENDER”へ。感謝を伝えたメンバーが会場を去り、これで終演かと思いきや、ダブルアンコールの熱狂に導かれて再度登場した3人は楽器を持たず“SUPER FUTURE”を歌う。玉屋、アサミサエ、∴560∵の3人は歌い、アサミは風船を飛ばし、∴560∵と諸石、玉屋はお手製の2060円札を景気よくばらまく。終盤には玉屋が客席へダイブする場面も。ポップネスと興奮が炸裂するWienners流のお祭りを最後まで豪勢に行い、熱い余韻を残した公演を終えた。

Text:村上麗奈
Photo:かい

https://wienners.net/

Wienners 『TOKYO HOLI』@渋谷WWW セットリスト
01. TRADITIONAL
02. GOD SAVE THE MUSIC
03. ジュリアナ ディスコ ゾンビーズ
04. MY LAND
05. TOP SPEED
06. Kindergarten Speed Orchestra
07. MONSTER
08. ELECRIC FOR YOU
09. おおるないとじゃっぷせっしょん
10. Justice 4
11. 恋のバングラビート
12. BIG BANG
13. いろはにほへと
14. Play for
15. 天地創造
16. FAR EAST DISCO
17. HORO NOVA AZIO
18. SOLAR KIDS
19. Cult pop suicide

ENCORE
01.何様のラプソディ
02.よろこびのうた
03. SHINOBI TOP SECRET
04. LOVE ME TENDER

W ENCORE
01. SUPER FUTURE