YOU-TA(MADKID) VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

リーダーとして歩んできたMADKIDのターニングポイントを振り返る。

今年活動10周年を迎え、11月13日に3rdアルバム『DROPOUT』をリリースしたMADKID。今回、VANITYMIXでは10周年を記念して、MADKIDの特集を組み、メンバーのソロインタビューを実施。メンバーの音楽ルーツや、10年での変化を改めて深堀りする。ソロインタビュー1日目はボーカルであり、グループのリーダーを務めるYOU-TAのインタビューをお届け。これから毎日連続でアップしていく。

■まずは活動10年周年を迎えた今の気持ちを教えて下さい。

YOU-TA　もう10年かって感じですね。3年くらいしかやってない感覚です。それは言い過ぎかもしれないですけど。(笑)　あっという間でしたね。

■10年前を振り返ってみて、ご自身のどんな部分が一番変化したと思いますか？

YOU-TA　責任感ですかね。10年前はまさか自分が会社を設立するとは思っていなかったので。自分たちがやりたいことを実現するための会社なのであくまで手段ではあるんですけど、それによって責任感は出てきたなと思います。

■YOU-TAさんはMADKIDのリーダーという立ち位置ですが、もう少し具体的に言うとYOU-TAさんはグループの中でどんな役割を担っていると感じますか？

YOU-TA　あまり引っ張るという感じではないんですよ。でもいろんな人と会って仕事につなげたりすることは自分ができることなのかなと思います。あとは自分たちで会社をやっている以上、自分たちでいくらでもスケールさせられる状況なので、そのきっかけを作るのも自分の仕事かなと。音楽以外で言うとそんな感じなのかなと思います。

■どんな流れでYOU-TAさんがリーダーに決まったんですか？

YOU-TA　なんでだっけ？「じゃあYOU-TAでいいんじゃね？」みたいな、そんな感じだった気がします。(笑)　その時はSHINがまだいなくて、4人ともうひとり別のメンバーがいたんですけど、僕が一番年上だったというのもあって、「じゃあ僕がやろうか」みたいな感じでした。

■リーダーとしてこれまで活動してきた中で、一番ピンチだと思った瞬間はありましたか？

YOU-TA　一番はやっぱり起業する時ですね。結構払わなきゃいけないお金があったり、金銭的な面で大変だったなっていう。トータルで1年くらいは僕もメンバーも給料をもらえない、出せないという時期があって。その間に創業融資の手続きとか、契約をしたり、相談しに行ったりしていた時が一番キツかったですね。本当にお金をかき集めて起業したので、登記もギリギリで、そのあたりはキツかったかもしれないです。

■それを改めて聞くと、会社を立ち上げるという決断はかなり勇気のいることだったのではないかと思います。

YOU-TA　今は個人事務所も増えましたけど、2020年の段階ではまだそんなになくて。僕が独立のことを言い始めたんですけど、最初はメンバー全員に反対されたんですよ。「それ、やめておいた方がよくない？」みたいな。まぁ、もちろんみんなそうなるじゃないですか。でも絶対にその形にした方がいいと思って。メンバーに何回か伝えて、僕らのその時の状況も相まって、「自分たちでやってみよう」という話になったという感じでした。

■そのお話と重なる部分もあるかもしれないのですが、今まで活動してきた上で、ターニングポイントとなった瞬間をひとつ挙げるとすると、いつになりますか？

YOU-TA　もちろん起業の瞬間はターニングポイントではあったんですけど、それはあくまで裏側的な話で。表側で言うと、やっぱり『盾の勇者の成り上がり』のタイアップ1作目、“RISE”をやらせてもらったことだったと思います。仮に「もしアニソンタイアップをやらせてもらっていなかったらどうなってたんだろう？」と考えることも結構あるんです。きっと全然違う形になっていたと思いますし、もしかしたら自分たちの道を見いだせていなかったかもしれないとも思います。なので、その瞬間がターニングポイントだった気がしています。

■初めて『盾の勇者の成り上がり』のタイアップが決まった際、どんな気持ちだったか覚えていますか？

YOU-TA　正直、実感がなさすぎて、気づいたら始まっていたみたいな感じなんですよ。ここまで世界中の人たちに聴いてもらえると思っていなかったんですけど、あれよあれよと動画再生数も1000万回みたいになって、その辺で実感が湧いてきた感じですね。Spotifyの数字が“RISE”をきっかけにめちゃくちゃ伸びたり、数字を目にしてからやっと実感が湧いてきた感じでした。

■最近では海外でライブをする回数もかなり増えていると思いますが、反響の大きさも感じますか？

YOU-TA　それはめちゃくちゃ感じます。この間、カナダとドイツに行かせてもらったんですけど、僕らはどれくらいの集客があるか全く分からない状態でステージに立つんです。普通にチケットが必要なステージだったので、きっと20人、30人くらいなのかなと思っていて。でもカナダでのライブは1200人以上、ドイツでは2000人以上の人たちが集まってくれていて、すごく自信になりましたね。

■話は遡るのですが、YOU-TAさんが音楽を始めたきっかけを改めて聞かせてください。

YOU-TA　元々、歌う時に高い声と低い声しか出せなかったこともあって、歌うのはあまり好きじゃなかったんです。真ん中の声の出し方が分からなくて。高校生の時は野球部だったんですが、そこにヒップホップが好きな仲間がいて、僕もヒップホップが好きだったので、よく一緒にカラオケに行くようになって。練習が厳しい野球部だったんですけど、2時間500円のカラオケがあったので、練習終わりに毎日2時間歌って帰るみたいなことを続けていました。歌を仕事をしようと思ったきっかけは、自分の歌で泣いてくれた野球部の同級生がいたことだったんです。ちょうど彼の失恋と被ったらしいんですけど、10人くらい男がいる中で本気で泣いていたんですよ。結構異常なシチュエーションですよね。(笑)　でも自分の歌で泣いてくれたというのが初めての感覚で、すごく気持ち良いなと思って。それで野球部を引退した次の日にオーディションを受けに行って、合格というかレッスン生になれたのが始まりでした。

■引退してすぐにオーディションを受けに行く行動力はすごいですね。

YOU-TA　昔からスタートダッシュだけはとにかく早いんですよ。(笑)　オーディションの時、「君は原石だよ」みたいなこと言われたんですけど、今思えば、あれってお金取るためだったのかなって。(笑)　でも当時は気付かなかったので、本当に自分が原石なんだと思っていたし、それを信じ込んでやっていて良かったと今は思いますけどね。

■そこからMADKIDの活動にたどり着いたわけですが、これまでリリースしたMADKIDの曲の中で一番気に入っている曲というと？

YOU-TA　“Fight It Out”ですね。すごく好きな曲ですし、これをメンバーで全部作り上げたというのが本当にすごいことだと思っていて。ライブでは自分たちの良さをバランス良く出せると思いますし、自分たちらしさが出ていてすごく好きです。

■最後にメンバーに普段感じていること、改めて伝えたいことなどがあればお願いします。

YOU-TA　まず、LINは遅刻をしなくなったことがすごいなと思います。社会人としては当たり前の事ではありますけど、昔は本当にめちゃくちゃ遅刻する奴だったんです。僕はLINが一緒に音楽をやっている時間としては一番長くて、昔から音楽的な魅力はあったんですけど、人間的に足りなかった部分もあって。でもそこが成長してきたのかなと思います。SHINは人の心を読み取る力がすごくあるんです。自分がなにか嫌なことがあった時に、そっとSHINが声をかけてきてくれたりするんですよ。そういう優しさがあるなと思います。KAZUKIはムードメイクの天才です。MCの回し方も含め、KAZUKIにしかできないことだと思います。YUKIは副リーダーみたいな感じだと思っていて。僕は結構勢いで突っ走っちゃうタイプなので、「とりあえず全力でやろう」みたいな感じで始めるタイプなんですけど、YUKIは真逆なんですよ。まず一回精査していろいろと考えるタイプで、それって結構喧嘩になっちゃうこともあると思うんですけど、逆にそれがストッパーになっていて。「確かにそういう意見もあるよな」と思えるんですよね。すごく多角的な視点を持っているので、すごく尊敬しています。

Interview & Text：村上麗奈

PROFILE
2ラッパー 3ボーカルで構成される5人組グループ。2018年メジャーデビュー。2019年2月にリリースしたシングル『RISE』が TV アニメ「盾の勇者の成り上がり」オープニングテーマに起用され、YouTube での総再生回数は約3000万回を突破。その後、アニメタイアップ作品のリリースを重ね、アメリカ、カナダ、ドイツなど、多数の海外イベントにも出演するなど、日本のみならず海外でもその注目度を増している。2024年で結成10周年を迎え、11月17日には三井大手町ホールにて、『10th ANNIVERSARY LIVE -DROPOUT HEROES-』を開催する。
https://columbia.jp/madkid/

RELEASE
『DROPOUT』