shallm VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

liaの「衝動」から生まれる13曲、1stフルアルバム『charme』の作り方。

liaによるバンドプロジェクトshallmが10月9日に1stフルアルバム『charme』をリリース。2023年3月に初のオリジナル曲『夢幻ホログラム』を配信リリースし、同年9月にメジャー1stデジタルSG『センチメンタル☆ラッキーガール』(MBSドラマ「女子高生、僧になる。」オープニング主題歌)でメジャーデビューしたshallm。今作にはTVアニメ「姫様“拷問”の時間です」OPテーマ“まっさかさマジック!”など、これまで配信リリースされてきた楽曲を含む、計13曲が収録される。インタビューではliaの音楽的なルーツから創作の根源を辿る。

■まずは、これまでの人生で出会った中で一番衝撃を受けたアーティストを教えてください。

lia すごく迷ったんですけど、いろいろな所でお伝えしているのは米津玄師さんです。米津さんの歌詞に衝撃を受けて、今でも大好きなアーティストです。

■liaさんの世代の米津曲と言ったら何になるのでしょうか?

lia “砂の惑星”かな……?ハチ=米津玄師ということを知って、米津さんの曲を聴き漁って、「この人はすごいな」ってなりました。

■アニメや漫画や小説などで衝撃を受けた作品はありますか?

lia 『Re:ゼロから始める異世界生活』が好きです。shallmは9月23日に始動したんですが、これがエミリア(『Re:ゼロから始める異世界生活』の登場人物)の誕生日なんです。liaという名前もエミリアから取っていて。

■なるほど。今とても納得しました。(笑) ところでソロではなくバンドプロジェクトとしたのはなぜですか?

lia ソロよりも、バンドという大きな船に乗せてもらっている感じで歌うのが自分には合っていると思っていて、パワーがみなぎる感じがします。そこにバンドプロジェクトの意味があるんじゃないかなと思います。

■音楽自体を始めたのもバンドからなんですよね?

lia はい。やはり「バンドで歌うことの楽しさ」というのがあります。バンドが好きですね。

■バンドサウンドとしてこだわっていることは何かありますか?

lia カッコいい曲が好きなので、歪んだギターだったり、ベースラインだったり、ロックバンドらしいカッコよさを出したいです。ドラムはツーバスが好きで、ベースは派手な方がいいです。ギターとベース、どちらの主張も強い中に成り立っている曲が好きです。

■けっこう楽器ごとに聴くタイプですか?

lia すごく聴きます。なんならベースの音をメインに聴くくらいです。自分の音源でも「ベースの音量を上げてください」とよく言います。キーボードの音は楽しい曲に入っている感じも好きなんですが、サウンドトラックが好きなので、ピアノの良さを出したドラマチックなメロディもすごく好きです。

■そんなバンドサウンドの良さを今作の中で一番よく出せた曲はどれですか?

lia “閃光バード”と……“G2G”か“stardust”ですね。“暴動”もいいです。みんな楽器だけで聴いてもカッコいい曲ですし、“閃光バード”は「映画のサントラみたいな綺麗さも残しつつ、ちょっとシューゲイザーっぽさも出して、爆発的な感じで」とご相談しました。(笑) ヴォーカルは優しくふわふわと歌っていて、いつもと少し違う感じなんですが気に入っている曲です。

■歌詞の語彙についてのルーツはどこにありますか?

lia 曲を作る度、何かを見たり読んだりして、「カッコいい言葉だな」と思って覚えておくこともあるんですが、作る時に「この音に合う言葉が欲しい」と思って調べたりもします。あとは、Yahoo!知恵袋です。(笑)

■ということは、曲を先に作るタイプですね?

lia そうです。でも最近はメロディと詞を一緒に作っていくことが多いです。一緒に作っていった方が綺麗にまとまっていくので。

■liaさんは、曲の主人公になって詩を作るタイプですか?ありのままの自分を出して詩を作るタイプですか?

lia 基本的には主人公がいるんですけど、全く自分じゃないかと言われたらそうではなくて。すごく似ている友達を立てて、自分も「その気持ちがわかる」と思いながら作っていますね。

■歌い方の中でのこだわりはありますか?

lia 私はAdoさんを尊敬していて、あそこまで歌で表現しきれるって本当にすごいなと思っていて。歌詞の一節一節ごとに気持ちの入れ方が変わっていくじゃないですか。そういうニュアンスを出せたらなというのは結構こだわっていますね。

■今回、それがよく出せたと思う曲はどれですか?

lia “白魔”です。この曲は「歌で表現しよう」と思って、言葉を意識して歌った曲です。

■いちばんリテイクを重ねた曲は?

lia “脳内ディストーション”かな。この曲はすごく早口じゃないですか。そこを何回もやり直しました。もう早口は辞めておこうかな……。(笑) 私、早口が苦手で滑舌も悪いんですよ……。ライブでも「滑舌悪いな」と思う瞬間があって、舌が回らないんです。

■早口な曲はもう出ないかもしれませんね。(笑) 1stアルバム『charme』はこれまでのメジャーでの活動のまとめのようなアルバムとなりましたが、このタイトルにはどんな意味がありますか?

lia 「charme」はフランス語やドイツ語で「魅了する」「魔法をかける」という意味があります。バンド名では「charme」の読み方に、英語の「shall(~するだろう)」を入れて「shallm」としました。「聴いてくれた人を必ず魅了するバンドになる」という意味を込めています。1stアルバムではセルフタイトルに憧れがあったので、バンド名の語源になった言葉にしようと思い、結構すぐに決めました。

■自分の楽曲を作る3要素を教えてください。

lia 「3要素はなんだろう?」とずっと考えていたんですけど、「ギター」と「自分」と「衝動」かな?

■面白いですね。作曲はギターでされるんですか?

lia 最近はパソコンでやってみたりもしているんですけど、打ち込みでメロディを作っていると、「自分はパソコンで曲は作れないな……」と気付いちゃうんです。打ち込みだといろんな音があるので、メロディに頭を持っていかれちゃって、基本的なコードがわからなくなってしまいます。(笑) なので、結局ギターが一番作りやすいなと思います。

■それで衝動的にギターをかき鳴らす、と?(笑) 「衝動」ということは、作曲は「曲を書こう!」と思って机に向かうタイプではないのでしょうか?

lia 「降ってくる」というタイプではないので、何かを見て、感動して、「よし、曲を作るぞ!」と座ります。

■そう聞くと、それぞれの曲が何に感動してできたのかが気になってきますね。

lia 主題歌はそれぞれの作品から影響を受けているのですが、“脳内ディストーション”は何かにとても怒っていて書いた曲です。“白魔”はクリスマスくらいの時期に、有線から流れてくる曲を聴いて、「冬ってそういう感じじゃないだろ!」「冬ってもっともどかしさや、腹が立たない?!」みたいなことを思って書きました。(笑)

■確かに冬ってもっと焦っていますよね。

lia “境界戦”は、「東京喰種」を2周目している時に書いて、“if 1/2”は、「呪術廻戦」の五条の過去編を見ている時に書いた曲ですね。

■それを聞いて“if 1/2”のMVの意味がわかりました。(笑)

lia そうなんです!(笑) “花便り”は「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」で、病気のお母さんが娘に手紙を書くシーンを見て書きました。“ハイドレンジアブルー”は恋人との決別をイメージした曲です。“G2G”は、ラランドのサーヤさんと川谷絵音さんがやっている礼賛というバンドが好きなので、そんな曲を作ろうと思って書きました。“閃光バード”は、「コンビニ人間」という本を読んだ時のすごく不思議な感じや、夏の曲を書きたくて書いた曲です。

■本当にいろいろなきっかけで曲が生まれたんですね。

lia “stardust”は、私が星や宇宙のYouTubeを見るのがすごく好きで、寝る前によく見るんですが、その時、「宇宙って広すぎて、私が生きている時間も、この地球の歴史から見たら星屑みたいなものだな」と考えて作った曲で。リード曲の“暴動”は、「リード曲を作ろう!」と思って作った曲です。

■作ろうと思って作った曲なんですね。なるほど!

lia でも、“暴動”を作っている時、プレッシャーで結構行き詰まっちゃって、「休憩してみたら?」と言われたんです。それで休憩として、「ONE PIECE」のアニメを観ていたら、そこがちょうど頂上戦争編だったんですよ。アニメの中のルフィはどんな状況でも「おれは海賊王になるんだ!」と言っていて、それを見て「私も海賊王になりたい!音楽に人生賭けたい!」と思って、“暴動”が生まれました。(笑)

■意外なような、わかるような……。(笑) 曲順はどんな感じで決めましたか?

lia ライブを意識してみたのですが、1曲1曲を流されないようにしました。“まっさかさマジック!”の後に“閃光バード”を持ってくるのはどうかな?と思ったりもしたんですが、1曲1曲ちゃんと聴いてもらえる曲順を意識して並べています。