今作は、10代の時とは違う、24歳になった今の浜浦彩乃だからこそ歌える楽曲になった。
元こぶしファクトリーのカリスマセンター浜浦彩乃が、3月19日にデビューシングル『HGL』でソロメジャーデビュー。タイトル曲の“HGL”は「Happy-Go-Lucky」の略語であり、韓国のOSTなどでヒットを生み出している若手作家CiELOプロデュースによる、キャッチーでダンサブルな楽曲で、ソロデビュー作は何事にも前向きに乗り越えていこうと、浜浦自身を含めたみんなを鼓舞する応援ソングとなっている。スタイリッシュなビジュアルと、ハロプロ時代に培ったパフォーマンスを活かし、俳優としても引く手あまたな状況の中、ソロシンガーとして新しい一面、アーティストとしての表現力が十二分に発揮された作品となった。今回はそんな彼女にいろいろと語ってもらった。
■まずは浜浦さんが音楽を始めたきっかけを教えてください。
浜浦 私は2011年にハロー!プロジェクトに所属したんですけど、そこから4年半ハロプロ研修生として活動して、その後、2015年にこぶしファクトリーとしてメジャーデビューさせていただいたきました。でも私は元々小さい頃から女優になるのが夢で、お芝居が好きだったので、お母さんにやらせてもらいたいと言ったら、「このオーディションを受けてみたら?」と言われたのがハロプロのオーディションだったんです。まだその当時は11歳だったので、気がついたらハロプロに入っていたという感じだったんですけどね。(笑) でも初めはリズムとか音程とかが全然わからなくて、オーディションを受けた時も、課題曲がいきものがかりさんの“気まぐれロマンティック”だったんですけど、イントロから歌い始めてしまって、サビが始まる前にサビを歌い終えてしまうくらいだったんです。(笑) それでハロプロ研究生の時にリズムの取り方を叩き込まれて、つんく♂さんにも16ビートを取り続けるレッスンをしてもらって、いろいろと習得していった感じでした。それまでは本当に歌う事とかをやってこなかったので、歌に対してはすごく苦手意識がありましたね。
■なるほど。ではハロプロ研修生になってから、本格的に音楽を学び始めたんですね?
浜浦 そうなんです。でもこぶしファクトリーとしてデビューしてからも、「歌は苦手だな」という意識はあったんです。2020年にこぶしファクトリーが解散したんですけど、その最後の方にはみんなでアカペラで歌うというのをやっていて、ベースとかボイスパーカッションとかもメンバーたちの声で表現するということをやっていたんですけど、私はメインボーカルを担当することになって、そういった機会も経て、歌にだんだんと自信がついていきました。その後、グループが解散してから5年経って、ようやく今回のソロデビューのチャンスをいただきました。
■今までで一番影響を受けたアーティストは誰ですか?
浜浦 私は昔からAAAさんが好きで、特に西島さんと宇野さんに影響を受けていて、自身のライブでも「こうしてみようかな?」と参考にさせていただいているところがあったり、研究させていただいています。あとは、ハロプロに入ってからはBerryz工房の嗣永桃子さんがすごく好きだったので、嗣永さんのパフォーマンスをステージ袖からずっと見ていたりしました。
■では最近気になっているアーティストや曲はありますか?
浜浦 最近はちゃんみなさんのガールズグループのオーディション番組を見て、そこからちゃんみなさんの人間性とかが素敵だなと思い、楽曲にも興味が湧いてきました。自分とは全然違う世界だなとは思いますけど、番組を見て、こんな素敵な楽曲があるんだと知りました。
■今回はソロデビューとのことで、グループで活動していた頃と比べて、ソロになって大きく違うと感じることはなんですか?
浜浦 グループの時は常に周りにメンバーがいてくれたので、すごく安心感がありましたし、歌割りとかもあって、「自分のソロパートを頑張って歌おう」という意識でしたけど、ソロになったら全部自分で歌わないといけないので、それは1曲歌う大変さが全然違うなと感じます。あとはメンバーの声色とか歌い方とかで、だいぶ曲の雰囲気が1曲の中でも変わっていたんだなとあらためて感じました。それを今は一人で全部表現しなきゃいけないというのは、すごく難しいなと思います。
■ソロになってからの楽屋の雰囲気とかはいかがですか?
浜浦 やっぱり一人だと寂しいですよね。(笑) グループの時の楽屋は、ひとりひとりそれぞれ違う好きなことやっている感じだったんですけど、会話は常に飛び交っていて結構にぎやかだったので、ソロになってからは、本番まで一人だとまったくしゃべらないというのが逆に緊張してしまいます。
■浜浦さんは舞台やミュージカル、映画やドラマなどで女優としても活躍されていますが、歌手として活動するにあたって、何か影響を受けている部分はありますか?
浜浦 こぶしファクトリーの頃は、勢いというかパワー系の歌い方で、こぶしを効かせて歌ったりすることが多かったので、こぶしファクトリーを卒業してからのこの5年間で、いろいろな舞台とかミュージカルに出演させていただいて、自分の中でも歌い方が変わったりとか、発声方法が違くなったりもしたので、そういうのを経て、今回のシングル“HGL”は、今までの歌い方とはちょっと違った歌い方にも挑戦したので、そういうところに活かされているのかなとは感じます。
■これからはソロシンガーとして活動していくわけですが、成し遂げたい目標や野望はありますか?
浜浦 ソロでメジャーデビューすることが決まるまでは、歌で何かを成し遂げたいという目標は特になかったんですけど、こうやってソロデビューさせてもらって、自分の中に新たにできた夢があるんです。こぶしファクトリーの解散ライブをやったのがTOKYO DOME CITY HALLだったんですけど、その時はちょうどコロナ禍で無観客ライブだったんです。なので、いつかTOKYO DOME CITY HALLで、あの時には見られなかった景色をみなさんと一緒に見られたらいいなという夢ができたので、それに向かって頑張っていくのが今の目標です。
■いいですね。それは素敵な目標だと思います。メジャーデビューシングル『HGL』がいよいよリリースとなりますが、作品が出来上がった今の心境はいかがですか?
浜浦 今までの雰囲気とはまったく変わっていて、ビジュアル面でも昔はぱっつん前髪を意識してずっと活動してきたので、今回のアーティスト写真やジャケット写真ではついに前髪を無くして、今までの雰囲気とは違うものになっているし、楽曲もK-POPに近いような曲になっていて、それも今までとは違った雰囲気になっているので、初めは不安でしたし緊張していた部分もありました。でもライブとかで曲を披露していくにつれて、ファンの方たちからも「この曲いいね!」と言っていただけたりとか、リリースイベントでもコールを入れてくださったりとかもして、すごく盛り上げてくれるので、だんだんと新しい浜浦彩乃像が出来上がりつつあるのかなと感じています。
■ちなみに今回のアーティスト写真やジャケット写真は黒のレザーでロックっぽい雰囲気ですが、普段の浜浦さんのファッションはどんな感じなんですか?
浜浦 普段はスウェットとかの格好が多いです。(笑) 割と私は動きやすさとか防寒重視で、普段はレザー調の服とかは着ないし、持っていませんね。でもああいった服を着るとなんか強くなったような気持ちになるし、気合が入ります。
■それでは収録されている曲についてもお話を聞ければと思います。まずは表題曲の“HGL”ですが、この曲は今までにはなかったようなチャレンジの曲になったかと思いますが、この曲の聴きどころと注目ポイントをお願いします。
浜浦 この“HGL”というのは「Happy Go Lucky」の略で、すごく前向きな曲なんです。歌詞の中に「休んでもいいから あきらめないで」というフレーズがあるんですけど、生きていたらきっと疲れたり、立ち止まることもあると思うんです。だから「そんな時は休んでもいいけど、あきらめたらそこで終わりだから頑張ろう」という意味が込められていて、それは自分にも言われているような気がするんです。あと、サビのフレーズもすごく耳に残りやすいので、老若男女たくさんの方たちに聴いてもらえたら嬉しいなと思います。それに振り付けもすごくキャッチーな振りをつけてもらったので、いろいろな世代の方に真似してもらえたらいいなと思います。
■それぞれのカップリング曲についてお話聞かせてください。まずは“Cinderella/24”はいかがですか?
浜浦 これは読み方としては「シンデレラ」だけなんですけど、後ろについている「/24」というのは、今の私の年齢が24歳というのと、シンデレラの魔法が解ける24時がかかっているんです。歌詞の中に「夢に期待を抱いた 15の夏」と出てくるんですが、こぶしファクトリーが結成されたのが2015年で、その時に私は15歳だったんですけど、その時から今までの私の気持ちや、これからの気持ちを歌ったような曲になっているんです。この曲もすごく前向きな気持ちで頑張ろうと思えるような曲になっています。
■この曲はシンデレラがモチーフになっていますが、理想とのギャップや葛藤を歌っている曲ですよね。この曲の歌詞で浜浦さんが共感する部分や、気に入っているフレーズはありますか?
浜浦 全部好きなんですけど、2番の「自分の殻を破ってみるの」とか、「近道はない何度ぶつかっても 引き返すことはもう出来ないから」のフレーズが好きです。私がすごく自分でも感じているのは、「生きるのが下手くそだな」ということです。なんか私は、楽をして生きられないというか、近道できる器用さがないというか……。(笑) なので、なんかこのフレーズがすごく響くんですよね。私は遠回りしても壁にぶつかるタイプなので。(笑)
■そんなに不器用なんですか?(笑)
浜浦 あとは「引き返すことはもう出来ない」というところも、自分は諦めが本当に悪くて、「一旦辞めておこう」とか、そういうのが出来ないんですよ。なので、そこの歌詞は本当に自分に響きました。
■なるほど。初回限定盤のDVDには“Cinderella/24”のMVが収録されるとのことですが、そのMVの見どころや、注目してほしいところも教えてください。
浜浦 すごく開放感があるMVになっていて、ありのままの自分が詰まったものになったなと思います。取り繕ったりしていない素の浜浦彩乃が見られると思います。
■MV撮影時の裏話やエピソードは何かありますか?
浜浦 MVを撮影するというのもすごく久しぶりだったし、しかも今回はひとりだし、今まではスタジオで撮影することが多かったんですけど、今回はロケでの撮影だったので、どうなっちゃうのかすごく不安でした。(笑) 実際のロケ撮影は時間帯が結構お子さんとかが遊んでいる時間帯だったので、撮影しているのを周りで見られるのが恥ずかしいなと思いました。(笑) 人が近くを通ったりもするので、そのタイミングで歌うのを辞めた方がいいのか、そのまま歌った方がいいのかで悩みました。(笑)
■3曲目の“Promised Place”は、未来に向かって前向きに進んでいく、自分を鼓舞するような、背中を押してくれるような曲でしたが、どんな人に聴いてほしいですか?
浜浦 この曲の歌詞には私が歌詞に入れてもらいたい言葉を、作詞家さんの方と事前に打合せさせてもらったんですけど、この“Promised Place”は、ファンの方たちに向けた曲になっているんです。私はこぶしファクトリーが解散する時に、ブログで「また必ず会いましょう」と書いていたんです。そういった気持ちを2番のサビの「必ず 逢えると あの日にキミと誓い合った」と入れていただいたり、一番最初の「ずっとリズムを奏でるから」のところも、先ほど話したように、私が16ビートをすごく練習したので、ハロプロ時代に頑張ったのを思い出しながら歌いました。なので、私の想いがすごく詰まった曲になったので、ぜひファンの方たちに聴いてもらいたいです。
■最後の曲は“#bff”ですが、この曲はとってもポップな曲調なのに、すごく切ない片思いソングですよね。
浜浦 この曲は今までの曲とは全然違ってすごく可愛らしい曲で、振り付けもすごく可愛くて、特にサビの振りが可愛いのでみなさんに真似してもらいたいなと思います。「#bff」は私の世代で流行った言葉で、「Best Friend Forever」の略なんですけど、今どきだなと思いますし、曲調もすごく今風だなと感じます。
■もしこの歌詞のように、好きな人に友達だと思われているようなシチュエーションだったら、浜浦さんならどうしますか?
浜浦 向こうは「#bff」をハッシュタグに付けちゃう感じでも、女の子の方はすごく好きなんですよね。でも今の関係が崩れてしまうようなら、「#bff」の関係でもいいのかな……とは思っちゃうかもしれないです。私だったらあんまり近づけないなと思います。(笑)
■生きるのが下手くそな感じが出ていますね。(笑) ちなみに今作のレコーディングで苦労した曲や、自分なりに工夫して頑張った曲があったら教えてください。
浜浦 “HGL”は「息多めに歌って」とレコーディングの際にディレクションされて、今までこぶしファクトリーで歌っていた時は、パワーで押し切るような感じで歌っていたので、全く歌い方が違くて、レコーディングが終わったらライブ終わりと同じくらい疲れ果てていましたね……。(笑) “HGL”はニュアンスが重要になってくる楽曲だったので、すごく難しいなと感じました。仮歌もK-POP寄りの歌い方だったので、そこはすごく勉強しながら挑戦した感じでした。“#bff”もすごく可愛い曲で、普通に歌ってしまうとなんだかのっぺりと聴こえてしまうので、すごくリズム感を意識して歌いました。