AKB48 VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

20年で初の「研究生センター」王道青春ソングに重ねる20年と未来への出発。

AKB48が4月2日に65thシングル『まさかのConfession』をリリース。今年結成20周年を迎えるAKB48のアニバーサリーイヤー第1弾を飾る今作で、センターを務めるのは18期研究生の八木愛月。研究生がシングル表題曲のセンターに抜擢されるのは今回が初とのことだ。王道青春告白ソングの歌詞と八木の姿がリンクする今作について、インタビューでは総監督・倉野尾成美と、初選抜の坂川陽香、伊藤百花、花田藍衣に話を訊いた。

■AKB48、20周年おめでとうございます。20年前のあなたは何をしていた頃ですか?

花田 生まれました!

坂川 私はまだ生まれていないです。お母さんのお腹の中にもいなかった。(笑)

伊藤 私は1歳でした。なんか、スプーンをずっと噛んでいた赤ちゃんでした。木のスプーンをおしゃぶり代わりに噛んでいました。写真にも残っています。斜め上に向かって咥えていて。(笑)

倉野尾 私は4歳くらいで、とんでもなくやんちゃでした。AKB48には13歳で加入して、そこでは「落ち着いてる」とか、「大人っぽい」と言われているんですけど、やんちゃさ的には幼稚園の頃がピークでした。そこではしゃぎ切ったというか、男の子に混じって遊んでいて。遊ぶ場所を中か外か選べる時は、外しか興味なかったんです。だから、いつもどこかにアザとか傷がある状態でしたね。遊具から落ちて大変なことになったこともあります。(笑) そういうところから学んで、「怪我しないようにするには」と調節ができるようになったので、今はステージでも楽しくやんちゃできています。

■でも、話し方にやんちゃな頃の片鱗が見える気がします。(笑) 今回のインタビューではAKB48より年下のメンバーがいますが、初めてAKB48というグループの存在をはっきり意識したのはいつ頃ですか?

坂川 私は4歳の時くらいですかね。保育園の時にちょうどAKB48の曲が流行っていて、“フライングゲット”をめちゃめちゃ踊っていたんです。結構目立ちたがりな子だったらしくて、お兄ちゃんが昔入っていた劇団のステージに勝手に上がっちゃうくらいだったのですが、その頃から学校の先生にAKB48のダンスを踊って見せたり、「明日までに覚えてくるから見てね!」と予告して披露したりもしていました。カラオケでもマイクをずっと持って、ひとりで家族の前でステージ風に踊っていたりしました。先生からも「将来はAKB48だね!」と言われたりしていました。(笑)

花田 私は小学校低学年くらいの時に姉がすごくAKB48にハマっていて、「隣でなんか音楽が鳴っているな」と思って覗いたのが“会いたかった”のミュージックビデオでした。そこでAKB48のことを知ったんです。

伊藤 私は小学4年生の時に運動委員みたいなことをやっていて、その時に「“恋するフォーチュンクッキー”を全校で踊ろう」みたいなイベントがあり、やりたすぎて立候補して、全員の前で朝礼台の上に立ってひとりで踊り、アイドル気分を味わっていました。

倉野尾 私も小学校3、4年生くらいの頃で、徐々にAKB48がキてるという状況で、ドラマで『マジすか学園』を全部観て、真似していました。移動する時もフードを被ってネズミ方式でしたし、けん玉も得意だったので、ラッパッパ副部長も行けるかなと思ったり。(笑) 毎日誰かになり切っていましたね。

■エピソードからちょっとやんちゃが抜け切っていない気がするのですが……。(笑) それでは早速、ニューシングル『まさかのConfession』のお話に入りたく思います。まず倉野尾さん、総監督就任から1年が経ちましたが、大変だったことはなんですか?

倉野尾 一言にまとめるのは難しいのですが、元々就任の話をもらってから、どちらかというと「楽しみだな」「ワクワクするな」という気持ちで前向きに引き受けさせてもらって、ふたつ返事なぐらいだったんですけど、やっぱりやってみると「こういうところが大変だな」とか、「総監督ってみんなが知らないところで動いてるんだな」と感じて。目に見えてわかる活動もたくさんあるんですけど、実際は目に見えていない裏方としての活動もあるんです。それをやりながら、かといってスタッフというわけでもなく、メンバーでもあるので、そのバランスが難しくて。なので、今は自分がふたりいるような感覚というか、「メンバーの私」と「総監督の私」という二つの軸で動くようになったのが大変なところです。

伊藤 なるさん(倉野尾)は、普段の練習でもアドバイスをしてくれつつ、みんなを盛り上げてくださいます。楽しくて良い雰囲気を保ちつつも的確なアドバイスをくださるので、それって本当に周りをよく見ていないとできないことだし、いつもガンガン引っ張ってくださるので、普段から誰よりも周りを見てくださっているなと感じます。

坂川 私は初めての兼任先がチーム4で、なるさんがキャプテンだったんですけど、その時から総監督の素質を感じていました。初めてキャプテンになられた時でしたが、初めてとは思えないぐらいで。影の努力は必ずあったと思うのですが、私たちの前ではすごくスムーズにというか、もうキャプテンらしい姿を見せてくださったり。あと、チーム4の楽曲は結構フレッシュな曲が多かったのですが、「新しいチーム4を見せよう」と、大人っぽい楽曲も選んでスタッフさんに交渉してくださったりして、常に周りのことを見て、新しいことに挑戦しようという姿をなるさんから感じています。

■そして初選抜の3人は、選抜に入ったことに関するご家族の反応はいかがでしたか?

坂川 私は家族が福井にいるので、発表後に直接は会えなかったのですが、LINEが急にめっちゃ来て、何かと思ったらお母さんからでした。「これホント?!嘘じゃない?!」みたいに疑っていたんですけどね。(笑) 「ホントだよ」と言ったら、家族LINEが「おめでとう!」「今度福井帰ってきたらお祝いしようね!」と盛り上がりました。あと、「上京しても頑張って!」と言ってくれた地元の友達も嬉しいメッセージをめちゃくちゃくれて、あらためてみんなのためにも頑張ろうと思いました。

花田 私の母はファンのみなさんのように、ひとりのファンとして応援してくれていて、劇場公演も絶対に自分で応募して来るくらいなんです。でも選抜発表の後、LINEを見たら一言「おめでとう」って、それだけだったんです。もっと長文が来ると思っていたから「なんか元気無いのかな?」と思っていたのですが、家に帰ったらお母さんが嬉し泣きしていて、泣いているから「おめでとう」しか打てなかったんだろうなとわかって……。私も嬉しくて泣いたのですが、お母さんがそれ以上に泣いていることが嬉しくて、恩返しをしたいなと思いました。あと、姉は私に干渉しないタイプで、なんなら私が家でダンスしていると「うるさい!」と怒るくらいの人なんですけど、「よかったやん」というメッセージが届いていて、今までのツンツンしている部分も可愛く思えてきちゃいました。(笑) 選抜発表の日は、人生の中で一番の光の日でした。

■「人生の中での一番の日」は、これから作っていくんですよ!(笑)

花田 そうでした。これからですよね。お姉ちゃんはAKB48が好きなんですけど、踊っていると文句を言ってくるんです。でも視線はずっとこっちを向いているんですよ。ホントは見たいんだろうなと思うから、今はわざと目の前で踊っています。(笑)

伊藤 私は家族が公演の配信をいつも観てくれているので、私が言う前に配信を見て選抜入りのことを知ってくれていました。いつも劇場公演が終わって家に帰る頃には家族みんな寝ちゃっているのですが、あの日だけは玄関の扉を開けたらお祭りみたいになっていて。(笑) 「ただいま」と言ったら「おめでとう!」と返ってくるし、お父さんまで踊っていて。(笑) 選抜に選ばれたという時はすごく不安で、「私もうだめだ」と思っていたんですが、家族が寝ないで待っていて喜んでくれる姿を見て、ファンの方たちもすごく喜んでくださっていたから、頑張ろうと思いました。

■みなさんそれぞれとても素敵です。曲の話に入りまして、表題曲の“まさかのConfession”を初めて聴いた時の印象はいかがでしたか?

坂川 初めての選抜メンバーとしてのシングル曲は自分的にとても大事なので、「どんな感じなんだろう?」とワクワクしていたんですけど、「私の大好きなAKB48が帰ってきた!王道の青春曲だ!」と思いました。最初にテンションが上がったのはタイトルのことで、私、“言い訳Maybe”みたいな、日本語と英語が混ざったタイトルがめっちゃ好きなんです。それで今回も英語と日本語が入っている“まさかのConfession”で、タイトルからキュンキュンするし、曲の雰囲気は明るいけど、歌詞は「なんで私が?」みたいなネガティブから入る恋愛ソングで、そこの違いもよくて、こんなに明るくて可愛い曲を踊れるんだと思うと、とにかく嬉しかったです。普段はみなさんに「明るい」と言われることが多いので、私に合いそうだなとも感じました。

花田 ずっと聴きたくなるような、そんな曲で、曲調もすごくアップテンポで聴きやすくて、いろんな人が聴いても胸が躍るというか、もう聴きながらるんるんスキップできる曲だと思い、自分でも創作ダンスしたくなっちゃったり。それぐらい曲と一緒に自分の感情が乗るような作品なので、こんなに素敵な曲を初選抜として歌わせていただくのがすごく嬉しいし、光栄ですし、この曲をファンのみなさんにも、全国のみなさんにも愛していただきたいです。

伊藤 すごく「青春ど真ん中!」という感じの曲で、まさにAKB48だなと思います。やっぱり秋元先生が書かれる、青春のキュンキュンするけど実はガツガツしている部分が、もうAKB48らしいですよね。イントロを聴いた瞬間から「これは!」と感じました。MVも本当にみんなが学生生活を思い出しちゃうような感じになったので、あまりの青さというか、眩しさにグッときて涙が出ました。

倉野尾 聴いてすぐわかるAKBサウンドになっていて、初披露の時には早速コールが生まれちゃうぐらい、ライブでもウケる曲だと思います。歌詞を読んでみるとAKB48ではなかなか珍しい女性目線の歌詞ですし、久しぶりに恋愛が上手くいっている曲ですし。久々に王道で可愛らしい楽曲が届いて驚きもありました。あと、春曲でこんなに明るいのも久しぶりなので、「春」という言葉が歌詞に入っているのも好きです。その時期のコンサートの時に映えたりするので、季節感がついている曲っていいなと思います。本当にライブウケしそうな曲で、踊れる振りにもなっているので、これからが楽しみです。

■レコーディングの中で自分が力を入れたポイントを教えてください。

花田 歌割りの「好きな人がいたとしても〜」というところで、好きな人を思い浮かべるのはすごく難しくて。でも、大好きな先輩を思い浮かべたら、もうニヤニヤが止まらなくなっちゃいました。大好きな先輩というのは向井地美音さんで、同じ歌割りなんですが、先輩を思い浮かべて、変な想像もしたりして。(笑)

■変な想像……?

花田 はい。向井地美音さんにはいつも「好きです!」と言っているんですけど、このレコーディングの時は、「本当は好きとは言えない、ちょっと内気な子」を想像して、ちょっとにやけながら歌ったので、そのあたりに感情がこもっているのではないかと思っています。(笑)

坂川 私は「レコーディングの時は表情も声に乗る」ということを聞いていたのですが、1回目を歌った時に「もっと明るく歌ってほしい」と言われて、「どうすれば明るくなるだろう?」ちょっと表情から始めてみようかなと思い、情景を思い浮かべながら、手振りを入れて歌ってみたんです。そうしたら「それいいね!」と褒められて。「やった!」と思っていたら、「表情もいいね!」と言われて。ひとりきりでのレコーディングだったのでさらに思いっきりやっていたら、実はレコーディングブースに記録カメラが入っていたんです。(笑)

■その様子はメイキングなどで見れそうですね。(笑)

伊藤 歌詞的に「なんで私なの?」と葛藤しつつも、2番以降はどんどん前向きになっていったりとか、あづちゃんがセンターだというのもあって、内面が強い女の子の曲なのかなと思うので、葛藤を見せつつも、芯のある感じにしたくて。前向きな感じにもしたかったので、私も口角を上げて歌うことを心掛けました。最初の「春の制服に着替えるその度」というところがすごく好きで、メロディも好きなんですけど、その部分から「春」のワクワクして浮足立った、ふわふわした気持ちになれるのが良いんです。玄関を開けて春の風を感じるのが好きなので、その感じを思いながら、サビも清々しい気持ちで歌いました。

倉野尾 今回は歌詞が自分語りなものになっているので、主人公になりきって歌った方がいいのかなと思い、自分の歌割りは物語に入ったような感じで、ちょっとセリフじゃないですけど、そんなノリで歌いました。2番の「絶対に知らないって思ってた」という歌詞はセリフをそのまま読んで、それが自然と歌になったというくらいの感情の乗せ方にしようかなと。でも、やっぱりサビはAKB48の楽曲らしく、アイドルソングでみなさんが一番耳にするところだと思ったので、アクセントをつけるところは強力につけて、少しでも耳に残るような歌になったらいいなと意識して歌いました。

■倉野尾さんはさすがベテランの回答ですね。ところでみなさんは「これをするたび大人になった気がする」というものはありますか?

花田 私は苦いのがダメで、去年の今頃にやっとカフェラテが飲めるようになり、20歳にはブラックコーヒーをストレートで飲めるようになりたいと思っていたんですけど、先日のミュージックビデオ撮影の時にブラックコーヒーが出まして、それを飲んでみたんですよ。そうしたら美味しく飲めたんです!ちょうど節目の良い時期にブラックコーヒーが飲めるようになって、私の舌が変わったのかな?大人になったのかな?と感じました。(笑)

■すごい!ブラックコーヒーが飲めない30歳の私よりも大人ですよ。(笑)

花田 え、ほんとですか?じゃあ私は200歳まで生きます!

坂川 ご飯を食べている時のことなんですけど、以前は結構がむしゃらに食べていたんです。でも今は口に入れた瞬間「ちゃんと噛まないと」みたいなことを考えるようになって、ちゃんと体のことを意識しているな、大人になったんだなと思います。勢いじゃなくて、こういうちょこちょこした気遣いが大人な気がします。

伊藤 私は今大学3年生なんですけど、制服を着ている方を見たら「懐かしい」と思うようになりました。今までは自分も同世代だったんですけど、今はもう懐かしくて、あんな時もあったなみたいな風に思うようになっちゃって。いいことなんだか悪いことなんだか。(笑) もう学生ではないんだな、社会でひとりでも生きていくタイミングなんだなというのを実感して、受験生とかを見ると「頑張れ!」とすごく思います。

倉野尾 失敗しないように動いている自分に気づいた時ですね。「怪我しないように」とかもあったと思うんですけど、いろんな経験をしてきて、「これをやったらこうなるかも」ということを考え始めました。昔だったら突っ走っていたけど、1回考えるようになったなと。一旦ちょっと考えて、「いや、これだとダメか」と失敗しないような生き方を選んでいる瞬間が、ちょっと切なくなるんですよね。それが大人になったってことなのかなとも思ったり。でも「大人になりたくないな」と抗ったりしながらやっています。