『SHAZNA 30th Anniversary Clubhouse Tour ‘2025「Lovers’ Feast~同窓会の締めくくりに…」』ライブレポート@品川インターシティホール

SHAZNAが30周年を締めくくる最後のPartyで魅せた、未来へと繋がる姿と絆。

SHAZNAの30周年を彩る様々な活動の最後を飾ったのが、SHAZNAが25年振りに行った全国ツアー『SHAZNA 30th Anniversary Clubhouse Tour ‘2025「Lovers’ Feast~同窓会の締めくくりに…」』だった。公演ごとにテーマを設けた今回のツアーは、全ヶ所Sold Out。彼らと共に時代を歩み続けてきた人から、復活後に恋をした新しい人まで、どの会場にも世代を超えてSHAZNAを愛するLOVERS(SHAZNAファン)が集まり、3人と思いを交わしてきた。同ツアーの最後を飾ったのが、5月3日(土)に品川インターシティホールで行った『Tour Final & IZAM Birthday』公演。この日は、LOVERSの投票を元にセットリストを構成。しかも、IZAMのBirth Dayも兼ねた内容。ファンたちの心をくすぐる要素を満載したライブの模様を、ここにお伝えしたい。

まるで女神が降臨するような美しい音楽が流れだす。たくさんの手拍子と歓声へ呼ばれるように、メンバーたちが舞台へゆっくりと姿を現した。高まる期待、高ぶる気持ち。そして…。激しくも力強く演奏が駆けだした。ライブの冒頭を飾ったのは、最新アルバム『参華三釼』のリード曲であり、今のSHAZNAの音楽的なスタイルや姿勢を明瞭に示した“一角獣-モノケロス-”だ。2つ並べたお立ち台の上に両足を跨いで立ったIZAMが、ひと際高い場所から、温かい歌声を場内中へ降り注ぐ。ステージ最前へ身を置き、気持ちと身体と前のめりに演奏をするA・O・IとNIY。フロアでは、3人に向かってたくさんの手が捧げられる。今やSHAZNAのライブではお馴染みの景色だ。でも、この一体感を味わってこそSHAZNAのライブ。誰もがそれを熟知しているからこそ、眩しい笑顔で、思いきり両手を揺らしていた。立て続けに最新アルバムの中から“ICE CREAM GOODBYE”を演奏。IZAMを筆頭に、メンバーたちは凛々しい表情で力強く歌い音を響かせていた。勇ましい姿で攻めるメンバーらの姿が、気持ちを嬉しく掻き立てる。IZAM自身は歌詞の中へ想いを溶け込ませ、切なさへ胸を焦がすように。でも、高らかに歌いあげていた。今はその姿を、瞼にしっかりと焼きつけたい。A・O・Iの美しいロングトーンの旋律が響き渡る。その音へ触れる度に胸がキュンと鳴り、心が踊りだす。NIYの唸るようなベースの演奏も印象的だ。IZAMは台から降り、舞台の上を左右に歩きながら、切ない想いへさらに切なさを塗り重ねるように「心から愛してる」と、“Present”を歌っていた。IZAMの歌声にどこか儚さを持って歌をかけあい、コーラスを重ねるA・O・Iの綺麗な声も胸に優しく響き渡る。この日は途中でトラブルが発生し、改めて演奏をし直すハプニングも。それを含めてライブだ。むしろこれもハプニングというレアなサプライズ?!最初のMCでは、仲良いメンバーどうしだからこそいじる様も交えたコミカルなトークを見せていた。ここからは、ファンたちからの投票曲によって構築したブロックへ。“Cest la vie”という歌の風が吹いた途端、フロア中のLOVERSの胸がときめき、舞台上のメンバーらが描きだす切なくも浪漫に満ちた物語に心を傾けだした。美しいサビ歌が流れるのに合わせて、LOVERS が3人に両手を捧げていく。今はただこの甘酸っぱいひとときに酔っていたい。どんなに芳醇なワインよりも、たとえお酒を飲めなくても、甘い歌声や演奏に心地酔い気分を覚える。SHAZNAのかける歌の魔法は、何時だってロマンチックだ。ピアノの旋律が響いた途端、心が踊った。続いて演奏したのが“PURENESS”だもの。僕らはSHAZNAがかける恋の魔法にどんどん惑わされ、甘い甘いひとときの中へこの身をどっぷりと浸していた。IZAMの振りに合わせて一緒に手をひらひらと揺らせば、A・O・Iの奏でる印象深いロングトーンのメロディーや刻む旋律に合わせて身体を揺らさずにいれない。心地好く跳ねたNIYのベースの音が、ときめく鼓動とシンクロしていく。気付いたら、彼らの描く眩しい歌の世界へ浪漫を覚え、ずっと胸をドキドキと鳴らしていた。

表情を塗りかえる演奏をブリッジに、次第に楽曲は“PEACE OF LOVE”へ。IZAMの「PEACE OF LOVE輝く瞬間(とき)を」と歌う声と、A・O・Iの煌めくギターの旋律を合図に、ふたたび身体が甘い愛を熱く求めだした。人肌の温もりのようなその歌声でハートをギュッと抱きしめてほしい。胸がちょっと苦しくなるほどの甘い刺激が堪らない。だからフロア中のLOVERSが、IZAMの動きへときめきを重ね合わせ、振り上げた手を共に大きく揺らし続けていた。A・O・Iの奏でる旋律に乗せて、IZAMが「逢いたくて 逢いたくて 愛しすぎて」と歌いだした。“Dear Love”だ。このブロックだけでも、彼らから甘い接吻を何度も受けている気分だ。いや、ファン投票を元に組んだセットリストのように、心を焦がすようなKISSの刺激を、LOVERSは彼らに求めていた。その想いに3人が答えてくれたということ。ほんと愛しくて、恋しすぎるからこそ、この恋に焦がれ続けてたい。MCでは、表立った活動を止めていた時期も、3人でカフェに集っては地下活動に勤しんでいた思い出話などをIZAMとNIYが語っていた。その話を微笑んで見つめているA・O・Iもらしい姿だ。余談話が気づいたら話の中心に変わってしまうところも、自由奔放なSHAZNAらしさ。なんて夢のような時間だろう。この甘いひとときがさらに濃密になっていく。この場にいる人たちをさらに甘いときめきの海へ浸らせるように、A・O・Iが心を揺らすギターの音を刻みだす。その上にジャムのように想いをたっぷりと塗りながら、温かい声でIZAMがゆったりと“Romance”を歌いだす。微睡みを覚えるメロウなバラードだ。とろけそうな甘い楽曲に乗せて、彼らは切なさや悲しみのフレイバーを塗した切ない恋物語を告白するように歌い奏でていた。その姿を、胸に痛みを覚えながらも頬を緩ませたままずっと見つめてたい。美しく伸びやかなA・O・Iのギターの音色から幕開けた“Dreamdrops”でも、ミドルメロウな楽曲の上で、IZAMが胸の内を震わせるように歌っていた。優しく揺らぐ歌声やギターの旋律にNIYの躍動するベースの音色が心騒ぐ刺激を与えていた。マイクスタンドを手に、ひと言ひと言を大切に場内中の一人一人の心へ歌の手紙として届けるように歌うIZAMの姿も印象的だ。だからフロアのあちこちで捧げた両手が揺れる景色が広がっていた。この甘いひとときへ、ひと際甘い歌のときめきを届けるように流れたのが“恋人”だもの。思いきり心を花咲かずにいれなかった。誰よりも愛しい人に、恋する気持ちの風を送らずにいれない。曲が進むごとに心の距離を縮め、互いに強く触れ合い続ける。IZAMは身体を前のめりに、愛しい恋人たちへ少しでも心を寄り添おうとしていた。だからサビ歌では、舞台と客席という見えない壁を超えて、IZAMとLOVERSが想いの手を握りあっていた。めぐり合った奇跡(空間)の中で僕らは、互いに「愛してる」と想いを伝えあっていた。そう、この想いを永遠に覚めない恋の約束だと交わすように。甘い甘いこのひとときを、ずっと消えない思い出として深く胸に刻みたい。

SHAZNAはときめいたLOVERSの気持ちを刺激し、騒がせるように“Sweet Heart Memory”を届けてくれた。いつしかフロア中が揺れる大きな両手の花で埋め尽くされていた。サビ歌が流れる度、なんでこんなに胸がドキドキするのだろう。それはきっと僕らとSHAZNAが切っても切れない恋人どうしだから。その関係をよりきつく結びたくて、想いを交わしあっていた。MCでは、IZAMとLOVERSが会話をしていく様も登場。ここでIZAMは「僕は21歳なんだよ」と、若くいられる秘訣を語っていた。さらに「IZAMくんTIME」と伝え、この日は「現代語と古文についての見解」をテーマに語り続けていた。どんなことを話していたのかは、ライブに来た人たちだけのものにしておこう。ライブも最後のブロックへ。跳ねた演奏を繰り出すリズム隊のセッションプレイからスタート。そこにA・O・Iのハードロック然としたギターの音が激しく重なりだす。楽器陣の交わす胸を騒がせる演奏に乗せ、A・O・Iが“FALLING”をクールに、ときに叫ぶように歌っていた。激しく煽り続ける3人の演奏に刺激を受けたLOVERSも、思いきり腕を振り上げてはしゃぎだす。そして…。着替えを終えたIZAMがふたたび舞台へ。さらにこの空間を熱く騒がせるように、SHAZNAは“das Spiel”を叩きつけ、観客たちの暴れ、騒ぎたい感情を刺激していく。IZAMが高く掲げた手を振り回す度に、フロアでも同じ動きが誕生。甘く優しいSHAZNAも魅力的だが、毒々しい牙を剥き出して刺激的にせまるSHAZNAも、気持ちを熱く滾らせる。LOVERSの熱情したい感情をさらに奮いたてるように、3人は“SIGNAL”を通して、荒々しくもスリリングな刺激と興奮を与えてきた。サビでは開放的な表情も提示。インディーズ時代、ライブハウスという密接した空間の中で、LOVERSの理性を奪い騒がせていた、あの熱気がこの場を支配していた。高ぶる気持ちを抑えられないIZAM。最後にSHAZNAが届けたのは、やはりこの曲だ。インディーズ時代も、メジャーへ進出してからも、世の中を一世風靡した時も、復活してふたたび輝きだした今も、みんなこの曲を歌いながら気持ちを一つに、心を燃やし続けてきた。この日も、IZAMとLOVERSが“Melty Love”を通して歌声と想いを交わし、甘い楽園の中でずーっと一つに溶け合っていた。場内中に響き渡る「Melty Love×3」の歌声を離さないし、ずっと離したくない。フロア中で大きく揺れる両手の花が歌っていた、「Melty Love×3」と。この歌声は決して枯れることはない。 

アンコールは“Raspberry Time”からスタート。この空間がふたたび甘酸っぱい想いの香りに包まれる。誰もが心地好く駆ける演奏に乗せ、無邪気に身体を揺らし、彼らと甘いひとときを味わっていた。この曲では、IZAMとA・O・Iが客席に降り、フロアを練り歩いて歌い演奏した。NIYは高い台の上からその様を眺めながら力強く演奏していた。IZAMやA・O・Iが側を通る度に、みんなくしゃくしゃの笑顔で両手を振って彼らを迎え入れていく。弾む演奏の刺激も重なり、気づいたら心臓が飛び出そうなほど胸がドキドキしていた。そんな気持ちをずっとずっと感じていれたのがとても幸せだった。最後の歌を届ける前にIZAMの誕生日を祝おうと、HAPPY BIRTHDAYの演出も登場。その上でSHAZNAは、最後の最後に最新アルバムに収録した“夏彩マジック”をプレゼント。これまでの歩みや想い出を大切に育みながらも、常に進化し続けるバンドだと示すように、今やSHAZNAのライブでは定番化している“夏彩マジック”を通して、3人は場内中に華やかな熱狂を作りだしていった。猛暑のような夏ではなく、胸がときめく爽やかな夏景色を、この曲はいつだって目の前に描きだす。今宵もSHAZNAは“夏彩マジック”を通して、恋にときめく歌の魔法をかけてくれた。今夜もまた永遠の恋人にしていく解けない魔法で虜にしてくれた。今後のSHAZNAだが、まずは7月5日と6日に『七夕ライヴ 2days〜天の川の下で逢いましょう〜』を開催。10月18日と19日には、昨年に引き続き『歌姫降臨』を主催する。今回は「90’S SP」と題し、90年代を共に駆け抜けた仲間たちを大勢集めたイベントになる。さらにこれからもSHAZNAを、ずっと追いかけなくては…。 

Text:長澤智典

X:https://x.com/SHAZNA_1993

『SHAZNA 30th Anniversary Clubhouse Tour ‘2025「Lovers’ Feast~同窓会の締めくくりに…」』@品川インターシティホール セットリスト
01. 一角獣-モノケロス-
02. ICE CREAM GOODBYE
03. Present
04. Cest la vie
05. PURENESS
06. PEACE OF LOVE
07. Dear Love
08. Romance
09. Dreamdrops
10. 恋人
11. Sweet Heart Memory
12. FALLING
13. das Spiel
14. SIGNAL
15. Melty Love

ENCORE
01. Raspberry Time
02. 夏彩マジック