ミラーボールよりゴージャスに輝く3人が作る、熱帯夜のダンスホール。
ENVii GABRIELLAが7月6日(日)、東京・Zepp DiverCityで『ENVii GABRIELLA LIVE TOUR 2025「ENGABALL」』ファイナル公演を開催した。3人はこれまで札幌、福岡、大阪、名古屋のZeppを巡り、最終日となるこの日、お台場に集まったGAVii(ファンネーム)たちは、ニューアルバムのビジュアルに合わせてスパンコールやラメの鮮やかなファッションが目立った。手拍子の中で開演時間を迎えると、天井のライトが左右交互に輝いて、スモークの中で乱反射する。4人のダンサーを引き連れてステージ中央にENVii GABRIELLAが降臨し、黄色いマントを纏った姿で、スタイリッシュにポーズをキメた。上段に登った3人がおもむろに腕を広げると、プリーツのついたマントが扇状に拡がって、ふんだんにあしらわれたスパンコールとともにギラギラと輝き観客を驚かせる。そのマントを脱ぎ捨てて、ENVii GABRIELLAは手始めに“Love is Always Light of My Life”、“イキル”、“AMNESIA”の3曲を披露。色とりどりの派手な照明と5つのミラーボールが輝く会場だが、何よりも輝いているのはENVii GABRIELLAの3人だった。

オープニングを終えて「ママのTakassyです!」、「チーママのHIDEKiSMです!」、「店子のKamusです!」と自己紹介し、生配信のカメラにも手を振る。Takassyが最新アルバムについて「みなさんと一緒に楽しむためだけに作りました」と語り、ファンからは感謝と喜びの拍手が起こった。「まずは私たちのスタンダードに戻ってみましょう」の言葉を合図に、ライブはみんなが歌えるアップなナンバー“オダマリナサイ”、“オワッテンネ”、“ハッピーハッピーウェイウェイドンチー”、“豪華ネェサン”のメドレーへと続く。踊り歌って熱気を返す観客の笑顔に、ミラーボールの輝きと七色の光が降り注ぐ。重低音のビートが肌をくすぐって、会場はまさに「ダンスホール」だ。カラースーツ姿に着替えて戻ったENVii GABRIELLAは、“利害一致”をドロップ。爽やかなギターサウンドと細かな指遣い、照明がリンクした演出は、どこか魔法のようだった。その“利害一致”を「凄まじい(歌詞の)曲ですよね」とコメントするHIDEKiSMに、客席からは笑いが起こる。Takassyは自分の周囲に話を聞き、「結局、人間関係って利害一致よね」と思ったことで、この曲をスルスル書き上げていったそうだ。そんなTakassyの言葉を受けて、「だんだんね、そういう感じになってくるのよ。『税金高いな』とか、『米が高いな』とか、酒飲みながらつぶやく独身ライフ……」としみじみ語り出すHIDEKiSM。観客から謎の拍手が上がれば、HIDEKiSMは「拍手することじゃない!」なんて咎めつつ、「独身ですが幸せでーす!」と高らかに宣言する。そのセリフに呼び込まれたのは、“OL -Happy Ever After-”のイントロだ。曲の合間にはダンサーたちが行列を作り、可憐な花を捧げて次々にHIDEKiSMへアプローチ。対してHIDEKiSMは花を受け取っては放り投げ、ダンサーたちをフっていく。現実を歌った後には、“BL”で妄想の世界を歌う。雨音の中に始まった“Raining Raining”では、ダンサーと共に傘を広げて、ミュージカル映画風の振付を楽しむ。雨宿りするHIDEKiSMがダンサーに誘われて相合傘をすると、その上にTakassyが雨を思わせるような紙吹雪を降らせた。

ステージの上の雨が止めば、「最近、梅雨や気圧の関係で気分が沈みがちになった」ことを語るTakassy。もともとTakassyは内気なタイプだが、他のメンバーや今回ツアーに同行したダンサーたちはいわゆる「陽キャ」で、「明るい人がいると、ちょっと気分が下がった」と語り、そんなTakassyを医者に扮したKamusとナースに扮したHIDEKiSMがカウンセリングする形から、舞台は暗転。“HSP”のコミカルなダンスが始まる。笑いながら踊るGAViiたちには、“Lonely Burning Boom Boom Night”と“Ride”が続けて届けられた。ここでKamusのソロパートが入り、ステージ上にそびえ立つポールを掴んでポールダンスを披露し、次々と技を見せていく。ポーズが決まるたびに起こるどよめきと拍手を浴びて、Kamusはポールを軸に美しく回転する。白く輝く衣装に着替えたENVii GABRIELLAは椅子を引きずりながら登場。ヘヴィなサウンドが会場を揺らす中、あでやかに椅子へとまたがり、ヒールで座面を踏みつけて、3人は“Unloved”を歌い上げていく。最後には椅子を蹴飛ばして、“PAY ME”をドロップ。黒くセクシーなスタイルに着替えたダンサーも音楽を彩っていく。

「さぁみんな踊りたいよね~?なんてったって今回は『ENGABALL』。ここをダンスホールにしちゃおう!」ダーティでロックな一幕が過ぎ、3人は明るく自信に満ちあふれた声で、音楽にあわせて自己紹介のコール&レスポンスを始める。踊る観客に叩きつけられるのは、エキゾチックな響きを持つ“Divalicious”。静止したビートの中で存分に黄色い声を浴びて、“SLAY”では舞台をヒールの爪先で踏みつけ、ピンク色の扇子をひらめかせる。ミラーボールが光線を放つ中、歌われるのは“(Life is Always Like a) Ball”。ENVii GABRIELLAの手の中にある閉じた扇子は、3人の人生を彩る一輪の花に見えた。しかしそれを投げ捨てて己の輝きのみで踊り出した3人は、どんな花よりも美しい。名残り惜しげな観客を「まだ5分くらいしかやってない感じしない?」、「それはウソよ。汗すごいもん」というやりとりで笑わせて、3人はGAViiへ「今日、誕生日のひと~?」と呼びかける。それに応えた7月6日生まれのみんなを祝い、次は範囲を広げて7月生まれのひとへ拍手。最後には「直近365日以内に誕生日だったひと~?!」の問いかけで「みんな、お誕生日おめでとう!」と、“誕生誕生Birthday”へ流れ込んだ。

本編を終え、アンコールの声とペンライトの輝きだけが照らす会場。興奮の中で満を持して再登場した3人は、ツアーTシャツをスタイリッシュに着こなし“Don’t Talk Just Kiss”を披露。歌い終えたHIDEKiSMは「もうアンコール?!始まったばっかりみたいよ!」と叫んでいた。今回のツアーでは「(1ライブにつき)みんなを3キロ痩せさせる」といったマニフェストを掲げ、「全通した人は15キロ痩せてるはず!」と冗談めかす3人。なお、今回のツアーでは全公演を追いかけたGAViiも多く、ファイナルには北海道から沖縄までの日本全国、海の向こうからはタイ、アメリカ、ドイツよりお台場へ足を運んだファンもいた。アンコールを続ける前に、ENVii GABRIELLAはひとりずつ最新情報を解禁していく。まず、Kamusは8月31日(日)に、HIDEKiSMは9月7日(日)に、自身のプロデュースによるソロイベントを行うと予告。そしてTakassyからは、ENVii GABRIELLA史上最大規模となるホールライブが、2026年2月11日(水・祝)に東京ドームシティ内Kanadevia Hallで行われることを発表した。オーディエンスが歓喜に沸く中、その勢いのままに“サイコダンス”で全員を踊らせる。

最後の曲を前に、3人はZepp DiverCityをいっぱいに埋めつくす観客たちへ改めて挨拶する。Kamusは感謝を語り、「毎年大きい会場でやらせていただけて、史上最大規模を更新し続けていること、それが当たり前ではないことを忘れないようにします」と誓う。HIDEKiSMはこのツアーを迎えるにあたり、前回のツアーから進化した姿を見せようとダンスや歌の強化月間を作っていたことを明かす。「やっぱり人生1回しか無いから、悔いなく生きていけるように、やってみたいことに挑戦してほしい。そんなみなさんの背中を押せる私たちになりたいと思っています」との言葉には、進み続ける者が語る重みがあった。最後にTakassyは、「ニューアルバム『ENGABALL』は、GAViiのみなさんのことしか考えずに作ったといっても過言ではない作品です」と語り、前回のツアーを終え、先に進もうと考えた時、Takassyはまずファンの笑顔を思い浮かべたそうだ。「今回のツアーではみなさんに自由に歌ってほしかったし、踊ってほしかったので、アルバムを作ってよかったです。私たちの曲はみなさんがいて完成すると思っています。本当にありがとうございます」真摯に語るTakassyへ贈られた拍手。それに対し、3人は「ということで、大きい会場でのライブも決まったことだしガンガン行こうぜ~!」と元気に返して場を盛り上げる。明るい空気の中、力強く歌い出されたラストナンバーは“Symphony”。大音量のビートを突き破るほどの観客の歌声が響き渡り、それはきらきら輝いて、湾岸の熱帯夜を華やかに彩った。ライブが終わった後も最後までファンとの別れを惜しみ、2階席の一番奥に立つGAViiにまで視線をあわせて手を振ったENVii GABRIELLA。3人とGAViiのきらびやかに彩られた旅路はこれからも続いていく。
Text:安藤さやか
Photo:NAITO(OUTNUMBER)
『ENVii GABRIELLA LIVE TOUR 2025「ENGABALL」』@Zepp DiverCity セットリスト
00.Opening
01.Love is Always Light of My Life
02. イキル
03. AMNESIA
04.メドレー
〜オダマリナサイ
〜オワッテンネ
〜ハッピーハッピーウェイウェイドンチー
〜豪華ネェサン
05.利害一致
06.OL -Happy Ever After-
07.BL
08.Raining Raining
09.HSP
10.Lonely Burning Boom Boom Night
11.Ride
12.Unloved
13.PAY ME(ROCK Ver.)
14.What’s My Name
15.Divalicious
16.SLAY
17.(Life is Always Like a) Ball
18.誕生誕生Birthday
ENCORE
00.豪華ネェサン Luxe Remix
01.Don’t Talk Just Kiss
02.サイコダンス
03.Symphony
※セットリストは公式表記に基づきます。