ジ・エンプティ『SAKURA TOUR 2026』ライブレポート@下北沢SHELTER

大盛況の初東京ワンマン「オレの人生の一部になってくれて本当にありがとう」。

ジ・エンプティが『SAKURA TOUR 2026』を3月18日(水)、東京・下北沢SHELTERでのワンマン公演からスタートさせた。ジ・エンプティが東京でワンマンライブを行うのは今回が初。春が近づき生温い風が吹く中をツアーシャツ姿のファンが駆けていく下北沢。懐かしいJ-POPが流れる地下のライブハウスには人が押し寄せ、海外からの来客の姿もあった。時間となり、ジ・エンプティは1曲目から今月リリースされたばかりの新曲“桜ハナビラ”で熱狂のスタートダッシュを決める。

「福岡県久留米市、大事なことは1回しか言わんぜ。やるなら今しかないでしょ!」突き上げられた拳の上に身を乗り出したハルモトヒナ(Vo)は、“輝き”、“覚醒少女”、“バチコイ”と快速なナンバーを次々に繰り出す。クガケンノスケ(Ba)とカワカミタイキ(Dr)の鼓動めいたリズムの上にトクナガシンノスケ(Gt)のザクザクした歯切れの良いギターが乗れば、それは音楽という名の列車となって、歌い踊るオーディエンスをどこまでも遠くへ連れて行く。「最高、最高、最高、最高!」4曲を終えて「久しぶり!」と叫んだヒナ。

フロアからは「ケンノスケー!」の声が聞こえ、ケンノスケは「おまえ東京まで友達連れて来たのか?」とイジられる。「SHELTERってこんなに酸素薄かったっけ?」と言いながら2リットルのペットボトルを傾け、怖いものなしの豪快なライブで魅せるジ・エンプティだが、初の東京ワンマンを前に、前日は緊張で頭がいっぱいになっていたらしい。そこから“笑っておくれよ”、“神様からの贈物”を続ける4人。張りの良いベースを繰りアクションが大きいケンノスケに対し、正確にリズムを打ち付けながら場を見極めるタイキ、高く掲げたギターからダークなサウンドを鳴らしたかと思えば、ハイテンションなコードを刻むシンノスケ。彼らのバンドサウンドは足し算ではなく掛け算となって、ライブハウスいっぱいに満ちる。“MY SWEETIE”を終えたところで、セットリスト外だった“曖昧”を披露。そのまま「SHELTERで一緒の空気を吸っているみんな、みんなのお陰で今日も歌えているよ。SHELTERに来れたのもみんなのお陰だよ。連れ出してくれてありがとう!」と、“連れ出してやるぜ今夜”に繋げる。

「お互い愛し合って帰りましょう。誰かのために生きて、誰かのために歌える、そんな人間になりたい。革命を起こせ!」その言葉と共に叩きつける“革命”、大きく手を振り上げたヒナの指先が天井に触れた“ラブソング”。舞い散るホコリも照明にきらきら輝き、夢のような景色を作る。柔らかな歌声に酔いしれる“ウルトラロマンティック”に、「この身体からあふれ出ちゃってる止まらない愛を受け取ってください」と歌い出された“とまらない愛を”。「ケンノスケの作った曲だし、ケンノスケと一緒に歌おう」とヒナが言うと、ケンノスケはきょろきょろしながら入りのタイミングを掴み、オーディエンスと歌声を重ねる。

MCでは「みんながいてくれたらまだまだバンドできそうな気がしたよ。みんなのいないフロアは寂しいよ。みんなのおかげでバンドやり続けようって思ったよ」と語ったヒナ。「今日だけの思い出作ろうっていうかさ、作ってくれてありがとうっていうかさ、オレの人生の一部になってくれて本当にありがとう。思い出だけで済ませるのは嫌だよな」そのまま淡く甘いギターのもとで、ヒナは“思い出は甘いままで”、“今宵はベイビー”を歌う。ミドルテンポの楽曲が続くセクション。かと思えば、ラストスパートに向けて“おやすみレイディ”、“笑っておくれよ”、“BE FINE”と猛スピードで突進していくジ・エンプティ。ラストは「想像を超えろ!」と“テイクミーアウト”でライブ本編を〆た。

「ワンモア」のアンコールの声に呼び戻された4人は「あっと言う間やったな。みんなホントありがとう、今日は来てくれて。バンドってこんなに悩みあるんだと思ったりもするんですよ。最高な歌を歌っていればどうにかなると思ってたけど、そうでもなくて。でも、ワンマンやってみて次の目標も見えたし、これから人生を共に歩んでいきたいです。この(観客の)顔が下を向かない限りは俺らが最高だって証なんで、別のフロアに来てもいい顔してバンド見てあげてください」と“俺たち大人になれるかな”をドロップ。歌詞の中では「子ども」だった彼らが夢を叶えていく一瞬一瞬を、何百もの瞳が見つめる。

そこからライブはグランドフィナーレに向けて一気に加速。激しいビートの乱舞の中、マイクを手にしたヒナが暴れる“君が”を経て、ラストソング“さよなら涙”ではヒナが撮影用カメラを手に取り、ステージ側から観客の笑顔を映す。バンドサウンドが消えた瞬間の静寂に響くシンガロング。床を揺らすほどのジャンプ。光の中で背中を預け合うヒナ、シンノスケ、ケンノスケの影。ラストでヒナはステージから降り、人波に飲まれていく。

アンコールの3曲を終えても鳴りやまない再びの「ワンモア」のアンコールの声に再び登場したジ・エンプティは「今、何人か帰ったよな?連れ戻して来てや!」と冗談めかしつつ、人生初のWアンコールに感激して、“桜ハナビラ”でライブの幕を下ろした。「福岡県久留米市、fromウエストポイント!ジ・エンプティでした! ありがとうございました!」

Text:安藤さやか
Photo:かい

ジ・エンプティ『SAKURA TOUR 2026』@下北沢SHELTER セットリスト
01.桜ハナビラ
02.輝き
03.覚醒少女
04.バチコイ
05.笑っておくれよ
06.神様からの贈物
07.MY SWEETIE
08.曖昧
09.連れ出してやるぜ今夜
10.革命
11.ラブソング
12.ウルトラロマンティック
13.とまらない愛を
14.思い出は甘いままで
15.今宵はベイビー
16.おやすみレイディ
17.笑っておくれよ
18.BE FINE
19.テイクミーアウト

ENCORE
01.俺たち大人になれるかな
02.君が
03.さよなら涙

W ENCORE
01.桜ハナビラ