全てを愛し抱きしめるスリーピースワンマンツアーファイナル公演。
8月20日、木曜日の夜に差し掛かったその時間、東京・渋谷CLUB QUATTROはreGretGirlの登場を待つ人々でごった返していた。7年ぶりとなるスリーピース構成で行われた東名阪CLUB QUATTROワンマンツアー『忘れたくないワンマン “スリーシティ・スリーピース”』も今日がファイナル。時間となって客電が落ちると、賑やかな話し声が歓声に変わった。静まり返った会場に響く雑踏と人々のざわめき。その中から聞こえて来たのは、「バイバイ」と別れを告げる女の子の声。それに導かれるようにして現れた前田将司(Dr)、十九川宗裕(Ba)、平部雅洋(Vo&Gt)にオーディエンスは期待を高めていく。平部がピースサインを掲げると、会場のみんなもピースサインを返した。ギターを抱えた平部が柔らかにコードをかき鳴らしながら「『忘れたくないワンマン』東京。今日も最後まで愛し合おう、よろしく」と言って“ブルーアワー”から始まったこの日のステージは、客席からのコーラスを浴びて空白をも音楽にする“Shunari”、そして爽やかに駆け抜ける“サブマリンユース”へと続く。“Ssoak”は激しい色の点滅が瞼を焼く中、バンドの姿がコマ送りになって見えた。伸びやかなベースソロに上がる歓声、制御的ながらよく歌うドラム、ソロも軽やかにこなすギターと、スリーピースバンドとしてのサウンドの完成度も高い。

ここで改めて挨拶して、「この夏、今日しかこの日はないんで、よかったら全力でぶつかって、ぶつかり合っていきたいと思います」と話す平部。メンバーに「何か話したいことある?」など問うてみると、前田が「今朝散歩してたら赤い服着たお婆ちゃんが10メートル毎に3人歩いてきて『まだ夢の中なんかな?』と思った」という話をする。それを「今日は夢のような日ということで……」とまとめ、平部は「最後の一滴まで余すことなく持ち帰ってください」の一言でMCを締めた。5曲目の“(L)ONLY”でも3人のグルーヴは寸分ずれることもなく、歌声は淡いピンクとシャンパンゴールドの光に溶けていく。中低音域のギターソロが鳴り渡った“ハングオーバー”に、「さあ一緒に元カレや元カノを思い出してください」の言葉から歌い出された“after”。幾何学的なベースラインの輪郭がはっきりと聴こえる“テレフォン”とライブは続く。恋愛とその終わり、普遍的な経験を美しいメロディに乗せて歌い上げるreGretGirlの魅力は、ライブが進むほどに深まって、様々な角度から、様々な形でオーディエンスを抱きしめる。

8曲を終えて「ライブハウスの形を『盆地状』と表現すると、「『ぼんち』って面白い三文字じゃない?他になんか面白い3文字ある?」「『レゲエ』とか?」と話し合うのは平部と十九川だ。二人は「今日初めてreGretGirlのライブ来てくれた人~?」と問いかける。それなりの数の手が挙がり、平部は「ざっと見た感じ7,000人くらいやな」。それに対し十九川は「数かぞえんの下手やな」と静かに返した。「俺、みんなが思ってるより明るい人間やけど、ここからは少しバラードとか歌ってくわ。忘れられないことと忘れられない人がいるので歌います」会話に程よいオチがついたところで、平部は“スプリング”を歌い出す。ほんの僅かな空白に響く「春は憂いだ」の美しい詞。桜色の光にスモークが混じり合うと、それは舞い落ちる花びらのように見えた。青に沈んだステージでひとり歌い出される“デイドリーム”に息を呑めば、ピンスポットを浴びた平部が畳みかける未練と情念が渋谷の夜を揺らすように響き渡る。

「2019年に初めてクアトロでワンマンライブをして、7年かけてファイナルを迎えたような気がします。いい意味で肩の力が抜けているというか。俺はいつまでもreGretGirlのことが好きな人を大切に包み込んでいくつもりです。次の曲をみんなのために歌いたいと思います。数えられる記念日よりも、数えられない日々のために」と歌い出された“日常”は、スピーカーから流れ出す柔らかなピアノの音色に重なって、反復するリフが日々の営みそのもののように思える。繰り返すメロディに、まわるまわる音。詞だけではなく、音楽の全てが、数えられない日々を表現している。少しの映画トークを挟み、ここからはまた盛り上がる曲のゾーンへ。“ルート26”を経て、ベースのリフと共に「俺たちの伝家の宝刀いきます」と語ってギターを降ろした平部が歌うのは“知らんけど”。「どうもお世話になっております平部です~」などなど挨拶しつつ、満員の観客席に入り、フロアの後ろの方にある台に立ってステージと向かい合い歌詞を次々繰り出す平部を、オーディエンスはまぶしそうに見上げる。「とりあえず俺たちはみんなと愛し合って帰りたいと思います、知らんけど!」なんとも言えない挨拶で曲を終えれば、“ルックバック”、“ピアス”と快速なナンバーが続く。

声量の大きい平部は唇が離れてもマイクが音を拾う。ヒットナンバー“ホワイトアウト”は、歌い出しの1音だけで観客席の大合唱が湧き起こり、それからもバンドサウンドを超えるほどの勢いのシンガロングが続いていく。そんな歌声を、平部は両腕を広げて抱きしめた。“純ラブ”で本編を終えた後、アンコールの拍手に背中を押されて再登場した3人は「ツアーの密度が濃かったな」、「恋だけにな」、「しょうもな」と言い合いながら、ここに来て新曲“ラストダンス”を披露。未練たっぷりなアップテンポな新曲に、観客がクラップで応えると、三つのミラーボールが回転して会場はダンスホールさながらの空気を帯びる。リリース直後から人気の高いこの曲は、reGretGirlのライブで新たなキラーチューンになっていきそうだ。

楽しい時間はあっと言う間に過ぎて、セットリストは残すところあと1曲。平部は「ライブハウスに来てくれる人は愛の深い人たちで、全員と一対一だと思ってるから、これからもreGretGirlと一緒に歩いていってくれたら嬉しいです」と熱く語る。そして「周りの目なんて気にすんな、俺だけ見てけ!一個だけ言っておきます。ここにいるみんなカワイイ!」と“KAWAII”をスリーピースの魅力たっぷりに歌い上げた。2曲のアンコールを終えた後、平部は「まだ終わりたくないな!」とサプライズで“Ssoak”を再びドロップ。「今日最高だった人ー?また会いたい人ー?聞いたからな、また来てくれや!」と9月より始まる全国ツアーへの期待を高める。「俺たちが一緒にいるからな!また抱きしめ合って愛し合おう!」力強いその台詞に抱きしめられて、東名阪ツアーは幕を下ろした。

Text:安藤さやか
Photo:宇都宮勝
reGretGirl『忘れたくないワンマン “スリーシティ・スリーピース”』@渋谷CLUB QUATTRO セットリスト
セトリプレイリスト:https://rgg.lnk.to/3city3piece
01.ブルーアワー
02.Shunari
03.サブマリンユース
04.Ssoak
05.(L)ONLY
06.ハングオーバー
07.after
08.テレフォン
09.スプリング
10.デイドリーム
11.日常
12.ルート26
13.知らんけど
14.ルックバック
15.ピアス
16.ホワイトアウト
17.純ラブ
ENCORE
01.ラストダンス
02.KAWAII
03.Soak
LIVE
『reGretGirl ONEMAN TOUR 2026-2027 “Fall in LOVE”』

チケット情報:https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2667696
通常価格:¥4,800 (税込/ドリンク代別)
・2026年9月19日(土) 愛媛 松山サロンキティ
OPEN 17:30/START 18:00
・2026年9月20日(日) 香川 高松DiME
OPEN 17:00/START 17:30
・2026年10月25日(日) 栃木 HEAVEN’S ROCK 宇都宮VJ-
OPEN 17:00/START 17:30
・2026年11月1日(日) 広島 広島Live space Reed
OPEN 17:00/START 17:30
・2026年11月3日(祝火) 大分 大分DRUM Be-0
OPEN 17:00/START 17:30
・2026年11月7日(土) 宮城 仙台Rensa
OPEN 17:15/START 18:00
・2026年11月12日(木) 北海道 札幌PENNY LANE24
OPEN 17:45/START 18:30
・2026年11月14日(土) 北海道 旭川CASINO DRIVE
OPEN 17:30/START 18:00
・2026年11月23日(祝月) 岡山 岡山IMAGE
OPEN 17:00/START 17:30
・2026年12月12日(土) 長野 長野CLUB JUNK BOX
OPEN 17:30/START 18:00
・2026年12月13日(日) 石川 金沢EIGHT HALL
OPEN 16:45/START 17:30
・2026年12月20日(日) 福岡 福岡DRUM LOGOS
OPEN 16:45/START 17:30
・2027年2月20日(土) 東京 Spotify O-EAST
OPEN 17:00/START 18:00
・2027年2月23日(祝火) 愛知 名古屋DIAMOND HALL
OPEN 16:30/START 17:30
・2027年2月27日(土) 大阪 GORILLA HALL OSAKA
OPEN 17:00/START 18:00







