歌舞伎町の夜に咲いた幻想と現実の王国。
秋も深まる2026年10月30日(金)、人々でにぎわう週末。歌舞伎町の繁華街の中心、ゴジラが見下ろす新宿歌舞伎町タワー広場で、PompadollSがフリーライブを開催した。全国9都市を巡るツアー『Lost Tales』を2日後に控えた前夜祭となるこの日。歌舞伎町タワーのビジョンにはカウントダウンと共にPompadollSのきらびやかなMVが流れ、寒空の下に集まったファンの期待を高めていく。開始10分前から妖しく噴き出るスモークが階段上の舞台を包む中、ついにカウントダウンが始まった。開幕のベルと共に鳴るのはマーチングドラムの音色。不気味に立ち込める霧のカーテンと、不協和なオルゴールや管弦の響き。その合間にメンバーの影がそびえると、大きな拍手が迎えた。メンバーが揃えば、幻想的な静寂を切り裂いて楽器隊がいななき、マントを羽織った五十嵐五十(Vo&Gt)を呼び出す。五十嵐はマントを脱ぎ捨ててゴシックな衣装に変身し、ステッキを突き上げて、オーディエンスの歓声に応えた。

「新宿歌舞伎町、調子はどうですか?!」1曲目の“ホワイトジャーニー”を終えて、五十嵐は「居たいようにいれる人たちが居たいようにいれるこの場所で、こうして今、一緒にいる特別さ」を語る。「この音が届く範囲はPompadollSの仲間だから!」と宣言する彼女の目前、バンドのタオルがかかったマイクスタンドは、彼女たちが創り上げる音楽の王国の象徴にも見えた。ハンドマイクに持ち替えた“ラブソング”になると、画面の中のファンタスティックな切手風コラージュと共に、現実世界でもシャボンの泡が噴き出し、ライトの輝きに乱反射するドラマチックな光景を作りだす。煽られた観客の歌声が高らかに響く中、但馬馨(Key)のピアノと青木廉太郎(Gt)の音色の絡み合いに、煙を包んだシャボンがふわりと弾けていく。ピンスポットの月光を浴びて艶やかなアカペラで歌い出されたのは“悪食”。羽根の生えたピアノが音と音とをつなぐ中、甘く、しかしどこか少年めいた歌声が、換気扇から流れ出す料理の匂いに包まれた大人たちの街へ危うい世界観を創り上げていく。語彙を一段ずつ積み重ね、きらめきの中、柔らかなギターの音色。そのアンサンブルは「悪食」の名を冠しながらも計算し尽くされていて美しい。

「明後日からワンマンツアーが始まります。ツアーの最後は来年1月17日(土)のZepp DiverCity。この人がたくさんいる歌舞伎町に来てくれて本当に嬉しい!PompadollSを気に入ってくれて嬉しい!ワンマンライブに来てくれたらもっと嬉しい!」熱く語った五十嵐は、目の前に見えるゴジラの看板に「あのゴジラも仲間にして帰ります!」と宣言して“GOOD LUCK!”へ。虹色の輝きが噴き出す中、開花するブラスサウンドをバックに、お立ち台に足をかけて、艶やかにしかし凛として咲き誇る五十嵐。そのストレートな歌声は豪快でありながら、曇りがちな夜空に透き通る。不気味なコラージュが渦巻く中、噴き出るスモークの音さえも音楽の一部になった“コンテンポラリーダンス”では、生演奏だからこそ歌詞の間違いが生まれ、それがむしろ彼らの人間らしさ、そして演奏力の高さ、ミスにも動じない総合的なバンドとしてのパワーの強さを思い知らさせるように好転する。瞬間、瞬間に訪れる静寂をピアノの音色がきらりと切り取るこの曲。余韻を残す終わりは、現代舞踏のステップの残響を思わせた。

「ラスト1曲、歌舞伎町、一緒にやろうぜ!」その言葉と共に銀テープが夜空へ舞い散り、PompadollSはギターの嵐の如き速弾きに導かれて“スポットライト・ジャンキー”をドロップ。「新宿、大騒ぎできますか?!」と、ライトの眩しさを浴びて歌うその快楽を、歌声とその姿に煮詰めて、五十嵐はパーカッションセットのシンバルを力強く引っ叩く。その姿はまさに、熱いスポットライトを浴びて大歓声を受けることが病みつきになった者そのもののように見えた。「ありがとう!ツアーでまた会おう!」ファンの熱気がまだまだ冷めやらぬ中、大きく腕を広げ、余韻に浸らず舞台役者のような華やかさでステージを降りていった五十嵐。PompadollSの旗がひらめく終演後には、来年2027年1月17日(土)のツアーファイナル公演に向けたチケットの案内が流れ、ファンは別れを惜しむようにしながら歌舞伎町の人波に紛れていった。なお、PompadollSのツアー『Lost Tales』は11月2日(月)〜全国9都市を巡る。

Text:安藤さやか
PompadollS「『Lost Tales』前夜祭@新宿歌舞伎町タワー広場 セットリスト
01.ホワイトジャーニー
02.ラブソング
03.悪食
04.GOOD LUCK!
05.コンテンポラリーダンス
06.スポットライト・ジャンキー
LIVE
―2026年
・11月1日(日)open:17:00 / start:17:30 香川・高松 TOONICE
・11月3日(火・祝)open:17:00 / start:17:30 広島・ALMIGHTY
・11月7日(土)open:17:00 / start:17:30 宮城・enn 2nd
・11月13日(金)open:18:30 / start:19:00 北海道・SPiCE
・11月26日(木)open:18:15 / start:19:00 愛知・Bottom Line
・11月28日(土)open:17:00 / start:17:30 新潟・CLUB RIVERST
・12月4日(金)open:18:30 / start:19:00 福岡・OP’s
・12月6日(日)open:16:45 / start:17:30 大阪・BIGCAT
―2027年
・1月17日(日)open:16:00 / start:17:00 東京・Zepp Divercity
【チケット】
料金(東京以外):スタンディング ¥4,500(税込)
料金(東京):スタンディング ¥4,800(税込) / 2F指定席:¥5,500(税込)
http://eplus.jp/pompadolls/







