9mm Parabellum Bullet presents『19th Anniversary Tour』〜カオスの百年 vol.17〜ライブレポート@日本武道館

アニバーサリーイヤーに武道館で見せたロックバンドとしての矜持。

9mm Parabellum Bulletが『19th Anniversary Tour』 ~カオスの百年 vol.17~を開催。結成19周年という9mm Parabellum Bulletにとってのアニバーサリーイヤーである2023年、毎月9日または19日に全国でライブやYouTube配信などを行う本ツアー。9公演目となる9月19日に9mmが立ったのは、9年ぶりとなる日本武道館。19年というキャリアが培ってきた演奏力とその説得力が武道館をライブハウスに染め上げた。

Photo:SHIN-1

開演時間、それまで流れていた開場BGMが突如切れ、同時に会場が暗転。反射的に会場からは歓声が怒涛のように沸き上がり、SEへ――。そのドラスティックなオープニングに、誰もが一瞬にしてステージに釘付けになる。オーディエンスがメンバーの登場を待つ中、メンバー4人とサポートギターの武田将幸が登場。かみじょうちひろ(Dr)のドラムから“The World”でシンフォニックに開幕する。「武道館、はじめようぜ!」という菅原卓郎(Vo&Gt)による威勢のいい煽りから“All We Need Is Summer Day”に突入すると、菅原はオーディエンスにマイクを向け、ギターソロでは滝 善充(Gt&Cho)が前方に出てきて、切り裂くようなソロを展開したりと、熱いパフォーマンスに早速会場の熱気も上昇していく。間髪入れず “Black Market Blues”に差し掛かる頃には、血湧き肉躍る興奮が武道館に充ち溢れる。ギターソロにドラムやベースが応戦していくようなプレイや、オーディエンスがクラップで楽曲に参加するアグレッシブな雰囲気が臨場感を加速させる。始めのMCで菅原によって語られた「今回のツアーの中で一番この会場がでかいけど、一番近くに感じられるライブにしようと思います」という言葉に違いない熱量だ。

Photo:河島遼太郎

「みんなが歌ってくれたら、9mmは今夜無敵だと思います!」と歌詞を彷彿とさせる言葉から“Story of Glory”へ展開すると、中村和彦(Ba)によるベースの音色がオーディエンスの熱気を掻き立てた“3031”、メロディックなギターフレーズの“光の雨が降る夜に”から“Answer And Answer”に続く。5人のダイナミックな演奏が激しく観客の心を高揚させる一方で、一貫して穏やかさを失わない菅原のボーカルが言いようもない安堵感を描き出していく。“The Silence”の後にステージからメンバーが捌けると、かみじょうによるドラムソロが会場を圧倒する。変拍子を始めとする多彩なアプローチが9mmの音楽の軸を形作っていることは言うまでもないが、その核を担うリズムの凄みがよくわかる。手数の波で抑揚を作り上げるのはもちろんのこと、多彩なリズムパターンを次々に組み込んでいく。最後には祭囃子を入れるといった遊び心がまた憎めない。

Photo:西槇太一

メンバーがステージに戻ると、ここでサポートギターは爲川裕也にバトンタッチ。菅原の「武道館、出し惜しみなく行きましょうよ!」との言葉を合図にライブは後半に差し掛かる。ベースのフレーズやキャッチーなギターリフが興奮を誘う“One More Time”から、ポップネスとミリタリーなカッコよさを同居させた“反逆のマーチ”、そして新曲を続け、“Finder”へ。ギターソロで菅原と滝が作り上げるハーモニーがエモーショナルな雰囲気を掻き立てる。2人向かい合いながら展開するギターソロの色気は、さすがのキャリアと言ったところか。そして“キャンドルの灯を”から、菅原がアコギに持ち替え演奏した“カモメ”へと、先程までの熱狂をぐっと落ち着かせ、穏やかな景色を作り上げた。「19周年だなんて俺たちが一番不思議だなと思っているんですけど、みなさんいつも本当にありがとうございます」。そう素直な気持ちを伝えた後には、リリースしたばかりの新曲“Brand New Day”へ。

Photo:西槇太一

そして“The Revolutionary”の後には“名もなきヒーロー”、“新しい光”と、ボルテージを高めながら希望的な景色を作り上げていく。強かなサウンドにオーディエンスの大合唱、ステージの後ろには大きく掲げられた「9mm Parabellum Bullet」と記されたバックドロップ幕。武道館というしばしば憧れの対象や神聖な場とされる会場が、9mmの演奏によってまさしくライブハウスと化していく。最後“Punishment”で大団円へ。19周年というキャリアを感じさせる臨場感たっぷりの演奏で、ライブハウスの一体感を作り上げた熱狂的な一夜であった。

Photo:河島遼太郎

Text:村上麗奈
Photo:河島遼太郎、西槇太一、SHIN-1

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