20周年を越え、21年目の1stシングルは15年ぶりの「桜」。
AKB48が2月26日に67枚目のシングル『名残り桜』をリリース。20周年イヤーを終え、21年目に歩み出したAKB48。彼女たちの「桜ソング」には“桜の花びらたち”や、“桜の木になろう”など名曲が名を連ねるが、「桜」がタイトルにつくシングルは実に15年ぶりなのだという。インタビューでは、佐藤綺星、秋山由奈、新井彩永、八木愛月の4人に、グループの歴史を背負って21年目に進んでいく覚悟や、歌声に込めた想いを訊いた。
■先日行われた20周年の武道館コンサートには松本伊代さんが登場しましたね。ご共演された印象はいかがでしたか?
佐藤 松本伊代さんのことはテレビで拝見していましたが、アイドルというよりはバラエティで活躍されている印象がありました。私たちの世代はきっとそういうイメージが強いと思うのですが、武道館コンサートの時、楽屋で「メンバーかな?」と思っていた人が、AKB48の衣装を着た松本伊代さんだったんです。それくらい若々しくて、アイドル姿に戻った伊代さんを間近で見られたのは、貴重な経験だったと思います。
■それはすごいエピソードですね。
八木 たぶん、伊代さんはこんなに大人数で同じ衣装を着ることって無かったと思うのですが、すごく馴染んでいました。
佐藤 今回のシングルでは“セシル”を一緒に歌わせていただいて、特別バージョンとして歌い出しの部分を伊代さんがソロで歌唱されているのですが、実際に生で伊代さんの歌声が聴けるなんて思ってもみなかったので、リハーサルの時から不思議な気持ちになりました。
新井 私たちはグループアイドルなので、メンバーみんなでバランスをとって歌うことが多いのですが、伊代さんのソロ部分は歌声に伊代さんらしさがすごく出ていて。そういうところで楽曲が伊代さんのカラーに染まっている感じがしたので、私も見習って、声色でも個性を出していけるようになれたらいいなと思いました。
秋山 武道館コンサートで“セシル”を披露させていただいた時は、フォーメーションをほぼ動かさないで歌唱しました。グループアイドルは様々なフォーメーションチェンジがあって、歌唱しているメンバーによって立ち位置が変わりますよね。普段、私たちは同じポジションでずっと歌うことがほとんどないので、松本伊代さんとコラボしたことによって、ソロとグループだと全然違うなと感じました。
■それは面白いですね、ひとりの存在で全く違うものになるのは興味深いところです。さて、今回21年目のニューシングル『名残り桜』がリリースされますが、意外にも「桜」がタイトルにつくシングルは15年ぶりなんですね。AKB48にとって「桜」はどんな象徴だと思いますか?
佐藤 2006年リリースの“桜の花びらたち”は、周年公演で全員で披露したり、20周年の武道館コンサートでは、卒業生のみなさんと一緒に総勢約180人で披露したり、イントロを聴けばすぐに踊り出せるくらい私たちにとっては思い入れの強い大切な曲です。21年目の1曲目で「桜」がタイトルに入った曲を歌えるのは、嬉しい気持ちもありつつ、プレッシャーも感じつつ。この“名残り桜”も代表曲にしていきたいなという気持ちでいます。
秋山 武道館コンサート最終日の夜公演の時に、1曲目でOGのみなさんが“桜の木になろう”を歌ってらっしゃったのですが、それを見ていた秋元先生が「21年目の1stシングルは“名残り桜”にしよう」と決めたそうです。それほど秋元先生にとっても「桜」は大切なモチーフで、大事なところでキーワードとして出てくるフレーズだと感じていて。そして、20周年が終わって21年目の今、秋元先生が15年ぶりに「桜」というタイトルをシングルにつけてくださったのは、それくらい私たちに希望や期待を持ってくださっているからだと思います。この活動期間では期待を背負って、その期待を超えられるくらい、私たちが結果をお見せできたら嬉しいです。
新井 「桜」はAKB48にとって根幹のような、象徴的な存在だと考えています。桜は毎年散りますが、毎年また咲くじゃないですか。そういう時に、秋元先生の楽曲の中の「桜」を思い出します。そして、それが誰かにとってのAKB48なのではないかなとも感じています。春は出会いや別れなど、様々なことがあると思うのですが、そういったタイミングでふとAKB48のことを思い出していただけるのかな、と。この20年間の歴史を経ての、また新たなスタートとなる21年目だからこそ、今回は桜ソングなのかなと思いますので、20年間変わらないAKB48らしさを受け継ぎながらも、自分たちのAKB48らしさを出せるシングルにしていきたいです。
八木 AKB48には様々な桜ソングがあって、特に“桜の花びらたち”は私たちにとって校歌のような楽曲で、本当に大事な節目の時に歌う曲になっています。今回のシングルは、今までのAKBの桜ソングとはまた違った青春真っただ中の今の私たちだからこそ歌える、そして多くの方に刺さる曲だと思っていて、このシングルを通して今のAKB48をたくさん知ってもらいたいです。
■“名残り桜”は桜や青春をモチーフにしていますが、よくある卒業ソングや出会い・別れの歌ではありませんよね。あなたがこの曲に「〇〇ソング」と名付けるとしたら、どんな名前をつけますか?
秋山 「再会ソング」ですね。「今でも好き」というのは恋愛的な意味でもそうなのですが、AKB48にも通じる歌詞だと感じていて。かつてファンで20周年をきっかけにまたAKB48を好きになってくださった方にも刺さりますし、「また私たちに出会ってくれた」という意味の曲にもなっていると思いますから、私は「再会ソング」でお願いします。
新井 この曲は懐かしさもあるけど新しい雰囲気も感じるので、その分類がすごく難しいです。青春ソングだとは思いますが、青春を振り返りながら、また青春を始めるような楽曲でもありますよね。「青春はあっという間に散る」という歌詞があるのですが、「散った」ではなく「散る」という書き方なので、これからまた新しい青春があるのではないかという希望を持たせる曲にも感じます。秋元先生自身がつけてくださった武道館コンサートのタイトルが『あの頃、青春でした。これから、青春です』で、その後にいただいた曲が“名残り桜”でしたので、「青春リバイバルソング」という感じですね。
■いいですね、青春リバイバルソング。そんな感じだと私も思います。“名残り桜”のAKB48らしさはどんな所だと思いますか?
佐藤 この曲は歌詞に「秋元節」がちりばめられていて、ファンの方からしたらもうウハウハというか、「ザ・秋元先生の曲」という感じだと思います。個人的に、先生の歌詞は「どこに行った?」「何者だ?」のような問いかけがある所や、聴いている側に解釈を委ねてくれる所が好きで、この曲にはそれがあります。一番好きな歌詞が「大人になった今では 美化しているんだあの頃 十字路で別れて未来を上書きしよう」で、私の解釈なのですが、ここでいう「あの頃」は、きっとかつての黄金期のAKB48で、「十字路で別れて上書きした未来」が今の私たちに向けて書かれた部分だと思っています。AKB48は歴史が長いので、先輩たちの真似をして普通に過ごしていたら、私たちのことをもっと知ろうと思ってくださる方は増えていかないので、私たちの力で新しいAKB48の魅力を上書きしていって、様々な方に今の私たちを知っていただきたいという気持ちをこの歌詞に重ねています。
八木 “名残り桜”という曲名を聞いて、しみじみ系や“桜の花びらたち”のような曲が来るかと思っていたのですが、実際に音源が届いたら、イントロから爽やかで王道な「ザ・AKB48ソング」でした。(笑) 歌詞には新しいところや、懐かしいところ、明るいところも切ないところもあって、今の私たちに刺さります。特に「青春はあっという間に散る」というフレーズは、もう本当にそうだなと思っていて。この曲を歌うと、秋元先生が「全力で生きて後悔するなよ!」と言ってくれているのかな、という気持ちになります。とても気持ちを込めて歌える曲です。
新井 私は歌詞ももちろん、音楽性にAKB48らしさを感じています。ピアノのイントロが神曲を予感させて、アップテンポな所は今っぽいのですが、AKB48らしさがありますよね。ラストのサビで転調するところには平成感がありつつ、桜が一気に散るような儚い一瞬のきらめきを音で感じます。歌詞はもちろん、サウンドにも注目して聴いてほしいです。
秋山 音楽についてはもちろん、今回もMVや衣装もこだわりがあります。オサレカンパニーさんが作ってくださる衣装は、誰が見てもAKB48だと感じるものになっていますし、衣装のギンガムチェックは「桜」だからピンクになっています。制服の形もAKB48ならではのシルエットになっていて、そういう部分からもこだわりを感じていただけると思います。MVは教室や校庭で撮影することが多くて、今回のMVも学校で撮影して、桜を降らせてもらったのですが、それもAKB48らしいなと思っていて。そして今回のMVではかつてのMVのようにドラマシーンがあり、あの頃のAKB48が戻って来たような造りになっているので、そんなところにも注目してください。
■MVも楽しみですね。そうそう「AKBらしさ」繋がりで、みなさんが参加されているカップリング曲“思い出スクロール”の話も聞きたいと思います。この曲は、まさかのAI秋元康プロデュースということで……そこで「これぞ秋元節」と感じたところはありますか?
佐藤 ちょっと変わっているポイントなのですが、「(Oh Yeah!)」みたいなところです。(笑) 他の楽曲でもカッコ付きで「(Hey! Hey! Hey!)」と言っていたりして、このカッコの掛け声が私的にAKB48なんですよ。そこがすごく秋元先生節を感じました。ちょっとした単語の選び方もすごくご本人っぽいですよね。
秋山 歌詞だけを見たら、もう「秋元先生だな」という感じなのですが、“思い出スクロール”はすごく「今の時代」のことを歌っているんです。秋元先生の歌詞は、いろんな世代の方にも共感できるようなものだったりするのですが、この曲はどちらかというと私たちと同い年からちょっと上の世代を中心に刺さる曲だなと思っていて。そのあたりが違うと思います。でもやっぱり文章の繋ぎは秋元先生みたいだなと感じます。
新井 まず“思い出スクロール”という題名が秋元先生っぽいなと感じました。「思い出」と「スクロール」という個別に存在するつながりのない単語をくっつけてタイトルにしているところが、さすが秋元先生を学習したAIだなという感じがします。
■ちなみにAIが書いた曲と、秋元先生ご本人が書いた曲とで、歌った時に違いや違和感を感じたところはありましたか?
佐藤 AIはちょっと書きすぎてしまっていると思いました。秋元先生みたいな感じはするのですが、言葉がたくさん詰め込まれていて、情景全てが描写されている感じがして。秋元先生の歌詞は余白を残してくれていて、メンバーで話していても違う解釈が出てきたりするのですが、この曲はこの曲でひとつの物語としてきちんと完結していますよね。そういうところに違いを感じました。
■そうですね。言われてみればこの曲はドラマみたいですよね。
新井 秋元先生の歌詞は「答え」を聴き手に委ねている印象があるのですが、この曲は、曲の中で「答え」を出してしまっていますよね。そこが違います。なんとなく違和感があるのはそこでしょうか。でもそれくらいなので、ちょっと怖いです。
秋山 簡単に言うと、歌うのが難しかったです。“思い出スクロール”は、一文が長いからか、レコーディングの直前まで歌詞を確認しているメンバーが多くて。それはAIが作詞したからならではなのかなと思います。AIって、質問したらネットから情報を集めて、ちゃんと全部「答え」を出してくれるじゃないですか。その感じが歌詞にも出ているなと感じました。あと、伊藤百花ちゃんが歌っている最後の歌詞は、「ここで切れるんだ?!」という感じでした。歌うのもすごく大変だったそうです。






