時代を超えた名曲に見る、昭和・平成・令和で変わるアイドルの姿。
AKB48が12月25日にアルバム『なんてったってAKB48』をリリース。通算10作目のアルバムとなる今作は、AKB48史上初となるコンセプトカバーアルバム。「アイドルタイムマシン」 をコンセプトに掲げ、昭和・平成・令和を彩ったさまざまなアイドルソングをAKB48がカバーする。インタビューでは村山彩希、小栗有以、秋山由奈、千葉恵里の4人が、今作と「理想のアイドル像」を語ってくれた。
■今作『なんてったってAKB48』は、ビジュアルにもこだわっていますね。みなさんは様々な年代のファッションを着てみていかがでしたか?
小栗 私の衣装は「赤文字系ファッション」で、はじめは「赤文字系」がしっくりこなかったんですけど、「エビちゃん」と言われてイメージができました。
■その当時、よく読まれていたファッション雑誌のタイトルが赤色系統だったので、「赤文字系」らしいですね。
小栗 そうなんです。私は当時その雑誌を見ていたわけではないんですけど、モデルさんたちの顔が浮かぶくらいの世代ではあります。今回は衣装さんがひとりひとりにちゃんとテーマを考えてくれていて、「こういう雰囲気だよ」と伝えてくれました。私のファッションは、最近もまた流行っている細くてちっちゃいカバンとか、ウエスタンブーツとか、「流行が回っている」のが伝わる仕上がりだと思います。ちなみにカバンは衣装さんの私物なんですけど、これはちゃんと当時のものらしくて。そういうちょっとしたこだわりが詰まっている所にもぜひ注目してほしいです。
■村山さんはセーラー服ですよね?
村山 今回のコンセプトが決まった後に、「みんなそれぞれフィッティングがあるよ」ということで、私も楽しみにしていたら、「セーラー服だからフィッティングしなくて大丈夫だよ」と言われちゃって。(笑) 「そっか……」とは思ったんですけど、時代とか関係なしにセーラー服は唯一無二なものなので、「時代の中心にいるよ!」という意味を込めて、今回センターを務める私にセーラー服を当て込んでいただいたらしいです。なんてったって私もアイドルなので、もう何歳とか関係なく、シンプルに「着た」という感じです。自分の学生時代の制服はブレザーでしたが、アイドルといえばセーラー服というイメージもあるので、そういう意味ではアイドルスイッチが入ったままジャケ写を撮ることができました。
秋山 私は原宿系ファッションで、今回の衣装の中では割と新しめのファッションになります。八木愛月ちゃんのアムラーファッションに対抗するような、個性的でカラフルなアイテムが多くて、色とか柄とか、パッと見た感じだけでもすごく「原宿!」という感じでした。ヘアゴムとかも可愛かったんですけど、こういうヘアゴムをつけるのは本当に小学生以来でした。しかもツインテールでした。(笑) 私はアイドルになるまでツインテールをしたことがなかったので、アイドルになったからこそできたジャケ写だなと思います。
■そして千葉さんはバブルファッションですね。「バブル」というとどんなイメージですか?
千葉 平野ノラさんみたいな感じ。(笑) 「バブル」と聞いた時、最初は「どんな感じのものが来るんだろう?」と怖かったんですけど、パステルカラーでめっちゃ可愛くて。中学生の頃に、こういう感じのセットアップが好きでよく着ていたので、バブル世代の方たちもパステルカラーを着ていたんだなと思いました。メイクもリップを濃いめにしたり、髪の巻き方もバブル系に寄せたり、前髪も薄くしたりと、いろいろこだわって爪も赤くしています。
■2024年も間もなく過ぎていってしまいますが、みなさんの個人的な2024年の大ニュースはなんでしたか?
千葉 私は今年髪の毛を30センチ以上切りました。腰下ぐらいまで伸ばしてたのを肩下ぐらいまで切ったので、だいぶバッサリいきました。ずっとヘアドネーションをしたくて伸ばしていたのですが、今年の2月に31センチ切って寄付したんです。今はまた伸ばしていて、もう一回ヘアドネーションしようかなと思っています。
秋山 私は今年の春に高校を卒業しました。今までは学校に行きながらAKB48として活動して……という生活だったんです。毎日学校に行って、終わってからすぐお仕事に行って、夜に帰って。コンサート期間とテスト期間が被った時は「本当にもうどうしよう……」と思っていた時期もあったんですけど、それも乗り越えて卒業して、今はAKB48一本で頑張ると決めて、そのスタートが切れた年になりました。これからは他の趣味とかも見つけつつ、AKB48で頑張っていきたいなと思います。
村山 私は今年、エイベックスさんに移籍させていただき、そのことですごく気持ちが楽になった部分があります。今年は柏木由紀さんの卒業があり、13期生の私と岩立沙穂ちゃんが1番上になって、しっかりしなきゃと思っていたんですが、同じグループに13年いるけど経験したことがないことも山ほどあって……。先輩たちの卒業や、同期・後輩の卒業を見送って「自分はこのままでいいのかな?」と思っていた時に、移籍の話をいただきました。今はエイベックス1年目ということで、研究生と同じくらい初々しい気持ちで仕事に臨むことができています。6月には朗読劇もやらせていただいて、篠田麻里子さんや藤原紀香さんとご一緒させていただき、アイドルじゃない世界に飛び込んだからこそ見える景色がいっぱいあったので、来年もこの調子でいろんな経験をしていきたいです。
小栗 私の個人的なニュースは「サウナ」です。サウナがすごく好きで、週3ぐらいはサウナに行っていて、仕事終わりにも駆け込み行ったりして、そこでリラックスして休んでいます。それで「サウナが好き!」と言っていたら、この間、サウナのロケの仕事もさせてもらいました。(笑)
■サウナは冬が旬ですからね。
小栗 旬なのかな?でもサウナって冬は大変だと思うんですよ。ちゃんと水風呂にも入るんですけど、冬は水風呂に入った後が寒いので。でも、これからもサウナに入り続けて、今後もお仕事に繋がれば嬉しいです。
■寒暖差も大きいので倒れないように気を付けてくださいね。さて、今作のニューアルバムは様々な時代の曲を歌っているみなさんですが、みなさんが小さい頃に周囲で流行っていたアーティストは誰ですか?
千葉 ゴールデンボンバーさんかな?小学校の頃はみんなが聴いていたと思います。
秋山 私の周りではそれこそAKB48の“ヘビーローテーション”でしたね。この曲のリリースが2010年なんですけど、私はその頃6歳でした。保育園の時にはAKB48の曲をよく歌って踊っていたのですが、その頃に覚えていたのは“ヘビロテ”でした。
■そのグループのメンバーに今なっていることが感慨深いですね。
千葉 私は幼稚園の頃の謝恩会で遊助さんの“ひまわり”をみんなで歌いました。遊助さんが家族もめっちゃ好きだったので、ライブにもよく一緒に行っていました。
小栗 私の周りでは少女時代やKARAが流行っていたと思います。小学生の頃は腰振りダンスもよく真似していました。(笑)
村山 私は、あの……『明日のナージャ』というアニメを知っていますか?そのアニメの主題歌が大好きで、枕カバーとかもずっとそのアニメのやつにしているくらい大好きでした。
■『明日のナージャ』は懐かしい!名作ですよね。それにしても、数年離れただけでも流行が違うから面白いですね。秋山さんなんて、先ほどからあんまりピンと来ていない顔をしていますしね……。(笑) 今回カバーすることで初めて知った曲はありますか?
小栗 私は結構知っていました。親が昭和ポップス好きで、家のテレビでも自分は恋愛ドラマが見たいけど、お父さんが昭和ポップス好きだから、そっちのチャンネルに回しちゃうんですよ。そういう感じで一緒に見ていたから頭に染み込んでいて。(笑) でも、自分もだんだんと好きになってきたんです。だから、自分でカラオケに行った時も、松田聖子さんの曲を歌ったりしていたので、今回歌えてすごく嬉しかったです。
秋山 私は半分くらいしか知らなかったですね……。特に昭和の曲は、“年下の男の子”のサビだけは聴いたことがあって、あとはわからなかったです。
■秋山さんは2005年生まれだからしょうがないですよ。(笑)
千葉 私はいつも聴くプレイリストがほとんどAKB48の曲しか入っていなくて、AKB48以外の曲を聴くことがあまりないので、音楽の世界はまだ未知の世界だと感じました。(笑)
■本作には昭和から令和まで、様々な時代の曲が収録されていますが、みなさんが好きなのはいつの時代の曲でしたか?
千葉 私は平成の曲です。今のAKB48の曲ももちろん好きなのですが、“ギンガムチェック”とか、“永遠プレッシャー”とか、神7の方たちがいらっしゃった頃のAKB48の曲をファン時代にめちゃめちゃ聴いていたので、すごく青春でしたし、今もずっと聴いています。
秋山 私は趣味がカラオケなので音楽をよく聴きます。新しい音楽をたくさん入れていきたいタイプなので。歌う曲としては平成と令和が半分づつぐらいなんですけど、カラオケではやっぱり新しい曲を歌おうと思うので、そうなるとよく聴いているのは令和の曲かなと思います。
村山 私は好きなバンドがあって、そのバンドの曲だと思って聴いていた曲が、実はカバー曲だった……というパターンで音楽を知ることが多くて。(笑) そういう意味では平成の曲が好きです。今回は私たちがカバーすることで、昔の楽曲を今の世代の方たちに知っていただける機会になったらいいですよね。やっぱり音楽って繋がっているんだなと思います。
小栗 私も平成の音楽ですね。歌詞がまっすぐな曲が好きなんです。包み隠されると「どういうこと?」となるので、ストレートな歌詞が好きなのですが、平成の曲ってストレートな歌詞が多いと思うんです。西野カナさんのまっすぐな女の子の気持ちを歌った歌詞はド直球で、聴いていてスッキリしました。私は西野カナさんの曲をすごく聴いて歌っていたので、ちょっと重めな女の子の歌詞もあるとは思うんですけど、でもそのまっすぐな歌詞がわかりやすくてすごく好きです。
■確かに「歌詞のわかりやすさ」は、平成の音楽というイメージがありますね。さて、今回のリード曲は“なんてったってアイドル”ですが、改めて歌詞を読むと、この主人公はかなり気が強い印象がありました。みなさんが思う「昔のアイドルと今のアイドルの違い」はなんだと思いますか?
村山 やっぱりグループとソロでは環境が全然違うと思います。経験することも違えば、責任も全然違うので……。そういう意味では“なんてったってアイドル”は、卒業してソロになった先輩たちは共感できる曲かもしれないですが、今のAKB48のイメージとは少し離れている気がします。
小栗 昔はソロで活動されているアイドルが多かったイメージがあります。やっぱりソロで活動されている方って、女優さんもそうですけど、ちゃんと「自分自身」を持っていて、「自分のことは自分で守る」じゃないですけど、「可愛い・ふわふわ」じゃなくて、ちゃんと強い意志がある方が多いから、そういう意味での強さが歌声や歌詞にも表れていると思います。
千葉 前にピンクレディーさんの再現ドラマを見たんですけど、現場が終わったらすぐ車に乗り込んで、ご飯を食べる時間もなく次の仕事に行って……みたいな感じだったので、今はスケジュールがちゃんと余裕を持って管理されているんだなと感じました。
秋山 今よりも芯があって、わかりやすく個性が強い方が多かったように思います。最近のグループアイドルは、全員に一体感があって、個性が爆発する場面がなかなか無い気がするのですが、昔のアイドルグループは、個人個人のキャラクターがそれぞれはっきりしているイメージがあります。
■ちなみに“なんてったってアイドル”は、強気な性格の女の子の歌ですが、自分と共通している部分は何%くらいあると思いますか?
村山 私は20%くらいですかね。「プライベートだけど、バレたい」みたいな気持ちがある歌詞なんですけど、私は絶対バレたくないので。(笑) 絶対にミニスカートも履かないし、プライベートを晒したくないタイプなので。だけど「歳を取ってもいつまでもアイドルでいたい、キラキラしたい」という想いはすごくわかります。
千葉 私は前まではミニスカートを履いたり、変装せずに出かけたりして、声をかけてもらえるのが嬉しいと思っていたんですけど、今はもう帽子を深く被ってマスクをしているので、共感率は13%ぐらいですかね。
秋山 歌詞をしっかり読んだんですけど、「アイドルをやっている」ということ以外はあんまり……。(笑) 私と被っている部分は3%くらいかもしれません。(笑) 「私はアイドル」という所は同じなんですけど、この自信に溢れた女性像はすごいなと思っていて、自分ももっと自信をつけたいです。
小栗 私は「イメージが大切よ 清く正しく美しく」のところが歌割りで、そこはすごく共感できるので、気持ちを入れて歌っています。全体的に共感できるのは10%くらいかな……?でもベースが50%なので、私。
■つまり100%ベースでの20%ぐらいってことになりますね。(笑)
小栗 あ、そうか。そうだ。(笑)