AKB48 VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

■全体的に思っていたより低い数字が出ましたが、逆に言えばこの数十年で女の子たちの価値観が90%も変化したってことかもしれませんね。(笑) 歌詞の中には知らない単語とかありましたか? 私は「コンバーチブル」がわからなかったんです。今も使われている言葉みたいなんですけどね。(笑)

小栗 私たちもみんなわからなかったです、コンバーチブル。(笑)

村山 それこそMV撮影の時にコンバーチブルが置いてあって、ここからドアを開けずに飛び降りたんだと思うと「そりゃ目立つよ!」ってなりました。(笑)

■ただ、歌詞に関してはエバーグリーンな語彙のものが多かった印象がありますね。

村山 そうですね。秋元先生が書く歌詞の中には「iPod」とかも出てきて、時代をすごく感じられたりもします。

■秋山さんが不思議そうな顔をしていますね。(笑) もしかしてiPodを知らない世代だったりします?

秋山 知らないです。iPadはわかります。

村山 iPadは今でもあるやつね。iPodはイヤホンで音楽を聴くためのもの。

■ちなみにウォークマンはご存知ですか?

秋山 ウォークマン知らないです。「歩く人」?

■……怖いからもうこの話はやめましょうか。(笑) ここからそれぞれの歌っている楽曲について伺っていきたいと思います。まずは小栗さん。“チェリーブラッサム”をソロで歌われていますが、歌う時に大切にしたことや、意識したことはありますか?

小栗 私は歌う時に語尾が上がるクセがあるんです。それを直そうと思ったこともあるんですけど、逆に「それがいい」と言ってくれる方もいて。なので、曲によって使い分けようと思っていたのですが、今回松田聖子さんの歌を聴いてみたら、語尾がちょっと上がっていたんです。これは自分のクセを活かせると思って、いっぱい聴いて真似しながら自分の色もちゃんと入れて行きたいと思いました。でも、松田聖子さんは上手すぎて。曲自体は自分が気持ちよく歌えるトーンなんですけど、松田聖子さんの可愛いだけじゃない奥深い声を聴けば聴くほど深みにはまって、プレッシャーを感じてきて。だからある程度聴いてしっかり覚えたら、あとはもう自分の思うように感情を入れて、気負いすぎないことを意識しました。

■村山さんが歌っているのは“DESIRE -情熱-”です。歌う時に大変だったことや、楽しかったことはありますか?

村山 音源を流している時と、イヤホンで聴いた時とで、抑揚や息遣いが全然違って。一番難しかったのが、何回も「DESIRE」とか、「DANCE」という単語が出てくるんですけど、そのテンション感が全部違うんです。そこを忠実に再現しようと思えば思うほど力んじゃって、中森明菜さんの大人っぽいあの雰囲気が無くなってしまうのに苦戦しました。正直、今でも「ここ、もっとできたな」という心残りはあります。本当に勉強になりました。

■千葉さんは乃木坂46の“君の名は希望”をカバーされていますね。

千葉 乃木坂46さんとAKB48は、今までカップリング曲をやったことはあったんですけど、AKB48が乃木坂46さんの曲をやるのは、今までは「いいのかな?」という感じでした。当初はライバルみたいな感じだったので……。でも今回、こうして乃木坂46さんの曲をやらせていただきました。AKB48はサビとか頭とかがアップテンポだったり、下がったりといろいろあるんですが、乃木坂46さんの“君の名は希望”は、一定の音を歌っている感じがして、すごく覚えやすい曲です。自分は声が低めなんですけど、すごく歌いやすい音程でした。乃木坂46さんのMVも観させていただいたんですが、すごく好きな雰囲気だったので、早くファンの方にも披露したいです。

■秋山さんは今回の取材メンバーの中では最年少ですが、最も古い曲“年下の男の子”のカバーをされていましたが、いかがでしたか?

秋山 この曲は50年前の曲なのに、聴いたことがあったので、ずっと愛されている曲なんだなと思います。この曲を歌うことが発表された時、たくさんのファンの方たちから、「この曲、昔聴いていたから、こうして歌ってもらえて嬉しい」と言われて、こうして縁があってファンのみなさんが昔好きだった曲を自分が歌えるのはすごく嬉しいなと思いました。この曲はリズム感がわかりやすくもあるんですけど、言葉が切れるところもあれば、繋がっている部分もあって。なので、強弱と子音を立てることを意識しました。あと、いつも歌っている感じだとカッコよくなりすぎちゃう部分があるので、可愛らしさをどう自分の声で表現するか悩んで、練習してからレコーディングしました。

■“なんてったってアイドル”の歌詞にちなんで、みなさんが思う「ステキなアイドル」はどんなアイドルですか?

村山 私は「ギャップのあるアイドル」です。プライベートと仕事のギャップももちろんですが、MC中とパフォーマンス中のギャップも常に大事にしています。

千葉 私は「ファンの方との距離」を大切にしています。選抜に選んでいただくようになってから、「遠い存在になっちゃった」と言われることが多くて。ちょっとでも距離が近くなるように、友達っぽい感じでお話したり、質問返しをたくさんやってみたりしています。私のファンの方は年下の方も多いので、学校で友達と話しているような感覚でお話しています。

秋山 「笑顔がステキなアイドル」です。私は笑顔を一番大切にしていて、意識しなくても元からいつも笑っていたから、AKB48に入る前も「よく笑うね」とか、「面白い笑い方だね」とか言われてきたんですけど、「その笑顔で元気をもらえたよ」と言ってもらえることって、なかなかないと思うんです。それはやっぱりアイドルならではだと思うし、それが自分のいいところだよとたくさんの方が言ってくださるので、そこはもうずっと大切にして、ずっと笑顔なキラキラしたアイドルで、たくさんの方に元気を与えられるような存在になれたらいいなと思います。

小栗 私は「勇気や元気を与えられるアイドル」です。活動中にファンの方から、「あの仕事大変だったけど、有以ちゃんのおかげで頑張れていい仕事が決まったよ」とか、「野球が上手くいかなくてちょっと落ち込んじゃって、でも有以ちゃんが頑張っているから、僕も頑張ろうと思う」というメッセージをいただくことがあります。それを見ると、私自身もネガティブなことは言わずに、ポジティブなことを意識して言うようになりました。自分は性格上ポジティブな方なので、この自分の性格を見て、ファンのみなさんのネガティブな部分を私がポジティブに変えられているのかなと思ったり、人生をちょっと良くしてあげられているのかなと思ったら、アイドルとしてすごく良い生き方ができているのかな。アイドルである以上、勇気や笑顔を与えるという、「最初の軸」はこれからも続けていきたいです。

■こうやってみなさんのお話を聞くと、昔のアイドルと今のアイドルの違いも感じます。活動の中で、「これだからアイドルはやめられない!」と思ったことはありますか?

秋山 自分のことを応援してくれる方がいるからやめられないと思っています。部活をやっていたので、自分の家族に応援されることももちろんあったんですけど、アイドルになってから私のことを全く知らなかった方や、アイドルじゃなかったら絶対に出会えなかった方たちにも応援してもらえるんですよね。それはやっぱりアイドルだからだと思います。

千葉 私はファンの方の反応が嬉しくて。テレビなどに出演させていただいたり、モデルのお仕事をさせていただいたりした時、ファンの方が発売日や放送日をちゃんとチェックしていて、私はそれをエゴサして見るんです。私のファンの方たちってみんな仲良くて、みんなでわいわい会話しあっていたりして、そういうのを見るのが本当に愛おしくて、可愛くて、すごく嬉しいです。

小栗 やっぱりステージに立った時の声援ですね。自分の名前を呼んでいただけるというのは本当にアイドルならではなのかなと思っています。ファンの方の声援ってすっごいエネルギーがあって、その声援があるとないとじゃ本当にパフォーマンスのレベルが違うんですよ。ファンのみなさんの支えがあって、応援があって、声援があって、私たちはアイドルとして生きられているなということをすごく感じます。

村山 「出会い」ですね。普通に生きていて、こんなに幅広い世代の方と出会う機会ってないですしね。最近言われて嬉しかったのは「元々AKB48が好きで、今は離れちゃっていたけど、たまたま歌番組を見て、今のAKB48をまた好きになったよ」という言葉でした。またAKB48に帰ってきてくださるファンの方たちと、どこかで繋がっている感じがたまらないというか。これだからやめられないなという感じがします。

■ニューアルバムは、ファンのみなさんにどのように楽しんでほしいですか?

小栗 今、昭和ポップスが世界でもすごく流行っていますし、私たちAKB48も新しいAKB48ということで、20周年イヤーを迎えて新しいスタートを切り、「これから頑張っていくぞ」という所です。このカバーアルバムをきっかけに、私たちが昭和ポップスを歌って、昭和ポップスが好きだった方が聴いて、「今のAKB48はこんなふうに歌っているんだ」と歌番組で見てくれたりして、いろんな層の方に出会える機会が増えたらないいな思っています。

村山 今回はカバーアルバムというAKB48にとって初めての試みなので、リード曲選抜という分け方はあるんですけど、全員がユニット曲として平等に曲をいただけて、貴重な機会だと思います。この曲を通してAKB48をもっと知ってもらいたいのはもちろんなんですけど、私たちを通して、世代を問わずいろんな曲があるんだよということを知っていただきたいというのもあるので、改めて音楽って面白いなと思っていただけると嬉しいです。

秋山 メンバーの個性的な歌声がこのアルバムに収録されているので、今応援してくださるファンの方には、みんな歌い方を工夫して全く違う作品になっている部分に注目して聴いて楽しんでいただきたいです。私たちのことを知らない方でも、曲は知っている方にも、私たちのことを知ってもらいたいので、この機会がなかったら出会わなかったファンの方たちに、このアルバムを通して出会いたいと思います。その出会いを大切にしていきたいですし、アルバムがどんなふうにみなさんに届くのかがすごく楽しみです。

千葉 1曲1曲すごく昔から人気の曲で、今回AKB48みんなでカバーすることによって、AKB48メンバーの新たな一面が見れたりすると思いますし、元々の曲のファンの方にも今のAKB48を知ってもらうチャンスだと思うので、いろんな層のファンの方に聴いていただきたいです。

Interview & Text:安藤さやか

PROFILE
“会いにいけるアイドル”をコンセプトに秋元康が総合プロデュースを務めるアイドルグループ。2005年結成。東京・秋葉原にある専用劇場『AKB48劇場』で公演を行っている。2006年10月、シングル『会いたかった』でメジャーデビュー。翌年末「第58回 NHK紅白歌合戦」に初出場。2009年10月、シングル『RIVER』で初のオリコンランキング1位を獲得。その後も『ヘビーローテーション』、『フライングゲット』、『恋するフォーチュンクッキー』など、多数の作品が首位に輝いている。結成19周年を迎えた12月8から大幅リニューアルされた新劇場で、約9年ぶりの完全オリジナル新公演「ここからだ」をスタートさせている。
https://www.akb48.co.jp/

RELEASE
『なんてったってAKB48』

初回生産限定盤(CD+BD)
UPCH-29489
¥3,850(tax in)

通常盤(CD)
UPCH-20687
¥2,500(tax in)

EMI Records
12月25日 ON SALE