ネクライトーキー『ゴーゴートーキーズ!番外編 ~陰~』ライブレポート@下北沢シャングリラ

「陰」の曲だけを集めた「しっくりくる」ワンマンライブ。

赤煉瓦の壁にアシッドなライトが照り付け、ミラーボールが静かに回転する東京の地下、下北沢シャングリラ。4月9日(木)、ネクライトーキーのワンマンライブ『ゴーゴートーキーズ!番外編 ~陰~』は、バンドロゴを背にSEのアコースティックギターの響きで幕を開けた。スポットライトを浴びたもっさ(Vo&Gt)の横顔が硬質なコードをかき鳴らすと、赤く眩しい光の中で“がっかりされたくないな”がスタート。透明な声がまっすぐ響く中、サウンドのリフレインはカズマ・タケイ(Dr)の行進するドラムに乗ってザクザク前進していく。「下北沢ネクライトーキーDay1!よろしくおねがいします!」そう叫んだ“午前3時のヘッドフォン”は、鮮やかな色彩と重厚なドラムが深く絡む。変拍子の幽玄な空気に頭と手を振る観客たち、そして真夜中の疾走感と停滞感に中村郁香(Key)の指先から風の如く吹いていく音色。間髪入れずにヘヴィでポップな“ぽんぽこ節”に移れば、ヴォーカルはサウンドの上をスキップする。“北上のススメ”ではメンバーの顔の向きに合わせて左右を指さす観客たち。ヴィブラスラップとハンドクラップが曲を盛り上げ、寸分の狂いもないグルーヴの中でヴォーカルは鮮やかな歌声を響かせる。

「あらためましてこんばんは、ネクライトーキーです!アガってますね、”陰気”なみなさん」4曲を終えて、もっさの言葉に笑いが起こった。今夜のライブのコンセプトは「陰」。そのため珍しめのセットリストが組まれており、ファンは期待を高めている。「みなさん陰気になる準備はできていますか?」と、いわゆる「お決まり」とは正反対のMCで盛り上げ、深い夜底から響く歌声で“渋谷ハチ公口前もふもふ動物大行進”に続く。朝日(Gt)と藤田(Ba)は台に上り、その音色を轟かせる。キーボードの無機質な刻みとベースの絡み合いに始まり、ソリッドなギターがノイズを乗せる“深夜の街にて”では、振り乱した髪を掻き上げるもっさ。“きらいな人”で「ギター!」とコールされれば、朝日のギターソロが燦燦と降り注ぐ。緑に染まったステージで、8bit風のキーボードがウキウキするメロディを奏でるのは“続・かえるくんの冒険”。決して明るくは無い歌詞を、音源の甘い声とは違う力強い歌声が歌い上げていく。

MCになると、バンドはみんなで今日の楽曲を選曲したことを語る。朝日の「もう既に『この曲は陰なのか?』って曲があるんですけどね」という発言には、もっさが「殴り合いのケンカしたな」と冗談を返し、「最後に立ってた人が決めたな」と話が続いていく。選曲は藤田のものが一番面白かったそうで、陰と陽、どちらに分ければいいのかわからない曲を「夢ゾーン」と称していたそうだ。「今日やったから『陰』とか『陽』とかじゃなくて、聴いている人の体調次第で……」と曖昧にしつつ、次の曲はレコーディングされたばかりの名前も無い新曲。歌声とバンドサウンドが交互に響き合い混じり合って力強く渦巻いていく中、もっさは叫ぶように歌う。4カウントで流れ込んだ“だから、”は振り絞る声とシャウトが光の中を突き抜けて、ギターの残響が伸びる。不気味な音の立ち上がりから一転し、静かなピアノに始まった“大事なことは大事にできたら”ではステージに夕陽めいた光が差し込み、さらりとしたポップなバラードと不釣り合いな歪んだギターが鋭く切り込んできた。「陰陽ライブをして新しい発見がありまして、こういうセトリは初めてだったけど、すごく自分にしっくりきました。日常っぽく感じて、自分のテンションってこっち寄りなんだなと思いました」と語るのはもっさだ。「こういうのもたまにはいいよね」と語り合うメンバーは、朝日が大阪でのライブの際、ひとりだけ黒いシャツを着ていなかったことをイジる。イジられた朝日は、「僕らの曲が陰か陽かは受け取り手次第なので、自分の感性を信じてください。逆張っていけ少年少女、また機会があったら<謎>ライブとかやっていきましょう」とMCを〆た。

毒々しく回転するライトに彩られ、鋭い電子音が飛び交い耳に心地よい“ランバダ・ワンダラン”を届けると、続いてベースの色気ある音色から轟音へとまっすぐに走るロックサウンド“紫”を披露する。引っかけのある浮遊感あるコードで“俺にとっちゃあ全部がクソに思えるよ”が奏でられると、手を振り上げるオーディエンスに、演奏を楽しむバンド。もっさは台に上り笑顔を弾けさせる。「ネクライトーキーのいろんなライブに来てくれて、好きになってくれてありがとうございます。最後の曲、聴いてください」そして本編ラストナンバーに選ばれたのは“石ころの気持ち”だった。ドラムとベースが作る重い響きが温かい光に混ざり、光の中には振り上げられたオーディエンスの手が影を作る。虹色の輝きが会場を包み、高らかなコードの余韻の中、本編は終わっていく。「以上、ネクライトーキーでした!ありがとうございました!」

アンコールに再び呼び込まれたメンバーはそれぞれこの日限定の黒いシャツを着ていたが、朝日だけは白い長袖のバンドシャツを纏っている。それにツッコみつつ物販紹介を終えると、ラストナンバーは満場一致で「陰」の曲だと称された“夢を見ていた”だ。「人の身体は古来より最も優れた楽器だと言われています。今日みなさんが手拍子をしてくれることによって曲の一部となるのです。今日は来てくれてありがとうございました」と朝日が語る中、ゆったりとしたドラムに5人の歌声と観客の手拍子が重なる瞬間。ネクライトーキーの「陰」はただ暗いのではなく、曲調が暗いわけでもない。心の底に溜め込んだ想いをごく普通に吐き出して、それが「陰」であれば「陰」になるのだろう。星めいたライトがバンドを彩る中で、ライブは終わって行った。曲かぶりナシの2daysは、翌日の『ゴーゴートーキーズ!番外編 ~陽~』に続く。

Text:安藤さやか
Photo:Kana Tarumi

https://necrytalkie.jp

『ゴーゴートーキーズ!番外編 ~陰~』@東京・下北沢シャングリラ セットリスト
URL:https://lnk.to/GGT_dark
01.がっかりされたくないな
02.午前3時のヘッドフォン
03.ぽんぽこ節
04.北上のススメ
05.渋谷ハチ公口前もふもふ動物大行進
06.深夜の街にて
07.きらいな人
08.続・かえるくんの冒険
09.(新曲)
10.だから、
11.大事なことは大事にできたら
12.ランバダ・ワンダラン
13.紫
14.俺にとっちゃあ全部がクソに思えるよ
15.石ころの気持ち

ENCORE
01.夢を見ていた