アマイワナ VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

■なるほど。次の曲の“上海逢引”ですが、これは“上海惑星”の頃に憧れていた上海についに行ったという曲ですよね。アマイワナさんは実際に中国に行ったんですか?

アマイワナ いや、行っていないです。(笑)

■行っていなかったんですね。(笑) 

アマイワナ “上海惑星”を作った時は、コロナ禍でどこにも行けない時期でした。海外の映像を見ていたら、ビルがいっぱい建っている上海の風景を見つけて、めっちゃネオンやライトが光っているのに、空気が曇っているっていうその対比がリアルでカッコいいなと思い、行ってみたくなって……。チャイナっぽい曲を作りたいっていうのもあったので、それを“上海惑星”のコンセプトにしました。今回の“上海逢引”は、“上海惑星”のアンサーソング的なものになっています。

■“上海逢引”では、曲の中で上海に行っていて時間が進んでいますもんね。

アマイワナ “上海惑星”は内容もちょっと息苦しくて、「飛び出したい!」みたいな感じだったんですけど、それから3年くらい経って、曲に描かれている女の子も成長させてあげようと思いました。自分自身も成長しているので、改めてアンサーソングを作ったんです。“上海惑星”の時は、「ホントに荷物持ちたくないからあなたが持ってよ」みたいな感じだったんですけど……それは未だにちょっとはあるんですけど、“上海逢引”では「君の荷物なら持ってあげるわ」って気持ちにになっています。ホントに持ったかどうかはわかんないですけどね。(笑)

■そういえば歌詞の「月月(ユエユエ)はなんてったってアイドルだから」ってところ、MVの中国語歌詞では「小泉今日子很可爱(小泉今日子は可愛い)」になっていませんでしたか?

アマイワナ そうなんです!小泉今日子さんの「なんてったってアイドル」を遊び心で忍ばせています。ちなみに月月は上海動物園にいるパンダの名前なんですけど。“上海惑星”の「少女はいつもじれったい」って歌詞では中森明菜さんの「少女A」を忍ばせていて。その頃はメディアで中森明菜さんのことを紹介することが多かったのですが、たくさん昭和アイドルを見る中で、今回は自分の中に一番響いているものを入れたいなと思い、改めてこういう歌詞にしました。

■ここの表現が不思議だったので、とても腑に落ちました。私は中国語ができるのですが、アマイワナさんの中国語の発音も綺麗でした。そして“Sweet Trap”なのですが、タイトル曲ならぬ名前曲ですね。

アマイワナ この曲は自分のテーマソングみたいなイメージで作りました。アルバム自体、自分のテーマではあるんですけど。ジンジャー・ルートとツアーを巡ったり、曲やMVを作ったり、海外のファンが増えたりして、外国の方とコミュニケーションをする機会が増えて、「自分って日本人だな」と改めて思うようになりました。私は昔からシティーポップや昭和歌謡、渋谷系が大好きなのですが、「ジャパニーズポップスって本当に良いよ、素晴らしいよ」ということも改めて強く思うようになり、今回、自分は日本人の女の子として新しいジャパニーズポップスを作っていこうという気持ちで作品を作っています。“Sweet Trap”は海外に向けて、本当の意味で、自分は日本人であり、日本人としてジャパニーズポップスを作っていることをアピールする意味で、初めて全部英語の歌詞にしています。

■敢えて日本語混じりではなく、全英詞を選択したというわけですね。この歌詞って、「ワインを片手にあなたの家に行こうとする」という感じのストーリーですか?

アマイワナ 情景としては「ワインを買ったけど、自分で栓が開けられなくて、あなたの家に持っていくから乾杯しましょう」、「髪切って来たけど、あなたの感想じゃなくて、とにかくなるべく早くカワイイって言えばいいんだよ」みたいなワンシーンを切り取ったもので、ストーリーになっているわけじゃないんですけど、最初の母親の言葉のワンブロックは結構実話なんです。

■実話なんですか?!元ネタを聞きたいと思っていました。

アマイワナ 私の母がいつも「可愛くあることを恐れないで」と言っていて、それって外見のこともそうなんですけど、マインドのことだと思っていて。自分が可愛くいることや、美しくいることって結構難しくて、エネルギーもいるし、人目を気にすることもあるけど、そういうのって一番大事だと思っていて。ただ可愛くいるというだけのことを恐れることもあるんだなと改めて考えて、これは大事なことだし、自分のテーマでもあるから、“Sweet Trap”は自分のテーマソングみたいな感じで作りました。

■とても素敵なお母様ですね。「可愛くあることを恐れないこと」大事だと思います。今作は最後にピチカート・ファイヴのカバー曲“メッセージ・ソング”も収録されていますが、アマイワナさんはピチカート・ファイヴのどこにビビッと来たのでしょうか?

アマイワナ もちろん野宮さんが大好きなのですが、最初はファッションが大きかったです。音楽だけじゃなくて、見た目も全部トータルでカッコいいっていうか。中学生か高校生ぐらいの時にYouTubeでピチカート・ファイヴのMVを見て、これっておしゃれだな、カッコいいなと思ったんです。歌詞もおしゃれだし、メロディも全部おしゃれ。野宮さんのインタビューを読んだり、ラジオを聴いていたりして、最近わかったことなんですが、渋谷系って、音楽のジャンルのことだけじゃなくて、ファッションやカルチャーのことだったりすると思うんです。さらに彼らの「自分がカッコいいと思うことをずっとやります」というマインド自体が渋谷系だと思い、シンパシーを感じてすごく好きになりました。

■ということは、アマイワナさんのアーティスト性の主格はマインドなのでしょうか?

アマイワナ そうですね。マインドは1番大きいと思います。マインドがあって、表現したいことを決めています。ファッションだったり、音楽性だったり。

■音源の方は原曲とかなり印象が違いました。ビートがハッキリしていたりして。

アマイワナ テクノポップだったり、エレクトロなサウンドが自分のサウンドだと思っているので、アコースティックな感じというよりかは、ドリーミーで、テクノポップで、ちょっとチャイナっぽい感じを入れました。せっかくカバーするのだから自分らしいオリジナリティを出して、「新しい令和の“メッセージ・ソング”を作ろう」という気持ちが大きいです。

■サウンドの変化で「手紙」という言葉のイメージも変わるのが面白かったです。アウトロでも携帯の着信音みたいなメロディが流れたり……一番こだわった所はどこですか?

アマイワナ イントロとアウトロに小西康陽さんがよくサンプリングで入れている「A NEW STEREOPHONIC SOUND SPECTACULAR」を入れているんです。アツムくんと相談して、ピチカート・ファイヴ&渋谷系フリークとしても「ちょっとそこはやらせてもらいます」みたいなオタク精神を入れつつ……。せっかくカバーするので、今年野宮さんと初めてお会いしたことをちゃんとモノとして残したいと思って、当初カバー曲を入れる予定は無かったんですけど、入れようと決めてカバーしました。

■初めて野宮さんとお会いした時、何か言われましたか?

アマイワナ 私のことを「娘みたい」って言ってくれたんです。もともと私自身も野宮さんが好きなプラスチックスやメロンなどの、ニュー・ウェイヴが好きで、近しいものがあったので、野宮さんもシンパシーを感じてくださっているみたいで、「娘みたいで嬉しい」って。“メッセージ・ソング”も音源ができてすぐに野宮さんにも聴いてもらったのですが、「最高だよ。嬉しい」って言ってもらえました。

■それは嬉しいですね。野宮さんは以前インタビューで「自分たちがやっていたことに影響を受けて、それを今の時代にやってくれる子たちが出てくると嬉しい」と言っていたそうですが、まさにアマイワナさんはストレートのフォロワーですもんね。

アマイワナ ミックスしてくれたジンジャー・ルートもピチカート・ファイヴのファンなので、ミックスしながらめっちゃ楽しかったって言っていました。

■間もなく大阪・京都・東京を巡るツアーが始まりますが、どんなツアーになりそうですか?

アマイワナ 今回はライブで全然やったことがない曲もたくさんあるので、それをみんなに聴いてもらえるのがすごく楽しみです。あと、各公演のゲストに私の大好きな人たちを呼んでいるので、かなりスウィートな日になりそうだなと思っています。

■少し気が早いですが、次の1年に挑戦してみたいことはありますか?

アマイワナ もちろん曲をいっぱい作ろうと思っているんですけど、やっぱり海外に行ってみたいです。海外公演はまだやったことがないのですが、海外のファンの方からもたくさんメッセージをいただくので、実際に行ってライブしてみたいなと思っています。

■行ってみたい場所はありますか?

アマイワナ もちろん上海で!中国に行きたいです。(笑)

■ぜひ上海で上海蟹を食べてください。(笑)

Interview & Text:安藤さやか

PROFILE
2000年1⽉1⽇⽣まれのスーパーミレニアムガール。京都府出⾝。シンガーソングライター・トラックメイカー・⼥優・モデル。昭和のテクノポップ、ニューウェーブ、ドリームポップ、シティポップ、渋⾕系などから影響を受け、⾃⾝の楽曲に新しい感覚でピックアップし発信している。そんな⾃⾝の⾳楽を“ドリームパンク”と呼んでいる。『⾃分が可愛いと思うこと、カッコいいと思うことだけを信じて、貫いて⽣きるの!それこそが⼄⼥ってものよ。』ライブ中にシャッターチャンスが何度もやってくる、観て聴いて踊れるショータイムライブが話題。
https://www.amaiwana.com

RELEASE
『SWEET SWEET SWEET』

デジタル配信リリース
http://amaiwana.lnk.to/sweet

0101RECORDS
10月18日 ON SALE

LIVE
『SWEET SWEET SWEET RELEASE TOUR』
11月17日(金) 18:30/19:00
@大阪SOCORE FACTORY
W/幽体コミュニケーションズ、Set Free
11月19日(日) 18:30/19:00
@京都nano ※凱旋ワンマン
12月1日(金) 18:15/18:45
@渋谷eggman
Presented by AMAIWANA & eggman
w/Billyrrom、BROTHER SUN SISTER MOON、浪漫革命

チケット:https://eplus.jp/amaiwana/