アマイワナ VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

■そして語りの部分ですが……もしかしたらアマイワナさんって、かなり世間に不満があったりするんでしょうか?ミニスカートについて何か言われたことがあるとか?

アマイワナ 自分が直接言われたわけではないのですが、「自分が好きな格好をするべきだ」と思っています。誰にどう思われるとか、「何か言われたらどうしよう」とかじゃなく、「自分は自分が一番カワイイと思う格好をすればいいじゃん」って思っています。歌詞には「ミニスカート」と書いているけど、「ワンピース」でもいいし、「金髪」だったり、「モヒカン」でもいいと思っているし。

■女装でも男装でもいいしね。(笑)

アマイワナ クレバーな女性はパンツルックとか、何かあった時に「ミニスカートを履いているから悪いんだ」とか言われたりすることがあるかもしれないんですけど、それは全然違う話だと思います。「校則だから女の子はスカートを履かなきゃいけない」って言われて、仕方なく履いているミニスカートだったらまた話は違うし。いろんな場合があるのに、全部一緒くたにして「ミニスカートは浅はかだ」っていうのはおかしいし、女性でも男性でも履きたければ履けば良くて、誰かに何か言われる筋合いはないと思います。状況や問題、一人一人のことを全部一緒にして言われるのに違和感があると日々思っているのを、今回の楽曲は「脳内」がテーマだから、曝け出していこうという気持ちと、煽る感じをやってみようと思って、攻めた感じにしてみました。

■そして“YU・A・MI”ですが、ミュージックビデオが可愛いですね!

アマイワナ せっかくお風呂の歌だし、MVでは銭湯か猫足バスタブか、どちらかが良いなと思って。衣装も泡をモチーフに、「露出させてください!露出したいんです!」と言って、作ってもらいました。「レースとかつけてオシャレな感じにしますか?」と聞かれたんですけど、「露出がいいんです!」って言って。(笑) 「どんだけ身体に自信あんねん」って思われたかも。(笑) 撮影まではビールとか我慢して挑みました。

■入浴にこだわりとかってありますか?

アマイワナ スーパー銭湯でアルバイトをしていたことがあって。(笑) ただ、ずっとお風呂に浸かっていたいわけじゃなくて、なんなら浸かるのも面倒くさいとも思うんですけど、疲れや嫌な気持ちもお風呂に入ればリセットされるので、疲れた時とかは何も考えずにお風呂に浸かります。

■この曲には特定のモチーフがあるのでしょうか?

アマイワナ モチーフは全然なくて、現代の女の子に疲れを癒して欲しいなっていう。

■「ミクロで繊細な泡ね」が何だか、マイクロバブルシャワーヘッドのCMソングみたいで。(笑)

アマイワナ 銭湯にある炭酸泉の効能表示に「ミクロ単位の微細な泡で肩こり、リウマチ……」みたいなことが書いてあり、それを見て「あっ、これ曲にできそうだな」って思いました。(笑)

■次の曲“コリックガール”ですが……17時過ぎの速報では何が流れたのでしょうか?

アマイワナ 当時、夕方決まった時間にコロナの感染者数をただただ伝えるというニュースが毎日ながれていました。ピリっとする感じを出したくて、この歌詞は落ち込んだり、腹が立ったりしている時に作ったので。周りもコロナ等でギスギスしてる時だったし、SNSを見ても暗いし、私生活でも良いことがあまり無くて、そういう時に作ったのですが、一貫して「暗い曲ではなく、ちょっとポップなダンスミュージックっぽくしよう」と思っていました。

■サウンドやSEの感じも良いですよね。

アマイワナ 今回初めて得能直也さんにミックスをお願いしたのですが、私がイメージした通りの音楽に奥行きが出て、めちゃくちゃカッコよく仕上がりました。自分が作った負の感情がどんどん浄化されていく感じがして、「負」から始まったのに、良い形で素敵な作品になったと思います。子どもを育て上げる親のような気持ちです。(笑)

■「真っ当が美しいなんて誰が決めたの?/真っ白じゃないことにヘブンがあるの」という歌詞が気になります。

アマイワナ 白黒ハッキリつけて、ホワイトなことが正義みたいな社会に違和感を感じています。秩序が整っていることばかりが正義ってわけじゃないと思うし。創作された作品とかも、私にとってはHeavenだから。Heavenって白いイメージだと思うんですけど、私のHeavenはもっとゴチャゴチャっとしていたり、色とりどりだったりするのを楽曲で表現できたらなって思いました。

■近年のポリコレ的なものについて、どう思いますか?

アマイワナ 表現は自由であるべきだと思います。ただし、悪意があってはいけないと思います。そういうことも歌詞の中に含まれているかも。何でもかんでも綺麗に見せることの方が怖いと思うこともあります。

■作品の中に「時間帯」が出てくる曲が多い印象なんですが、意識されていますか?

アマイワナ “コリックガール”の「コリック」は「黄昏時」という意味で、赤ちゃんが夕方に意味も無く泣くことも言います。自分はBabyみたいな時が多くて、それを表現できたらなって。

■そして最後の曲は“愛と自由とロックンロール”ですが、この曲だけ英詩がひとつも無いんですね。

アマイワナ この曲を書いた時期は、香港でデモがあったり、京都アニメーションの事件があったり、日韓関係も良好じゃなかったりする時期でした。曲を書くきっかけになったのは、GEZANが海外にツアーに出るドキュメンタリー映画を見たことです。「音楽や愛の力はやっぱりすごいんだなぁ」と家に帰る途中、この昂った感情で曲を書こうと思いました。

■さて、アルバムについてひととおり聞いてきましたが、アマイワナさんは理想の世界と現実の世界のどちらを追い求めて行きたいですか?

アマイワナ 例えば古いものを見たり聞いたりした時に、私はあまり「古いもの」として見なくて、新鮮なものとして見ています。そこに対して理想を求めはしないかな……。「あの時代に生まれたかった」と思う事はありますが、かといって今を生きているので。

■当時の雑誌が欲しくなったりとかはありますもんね。

アマイワナ 欲しいには欲しいんですけど、今は新しいカルチャーを作っていきたいと思っていますし、たとえば「松田聖子ちゃんと言えば聖子ちゃんカットだよね」とか、「ピチカート・ファイヴといえば渋谷系だよね」みたいな、自分を取り巻く環境をカルチャーと呼んでもらえるようなふうになれたらいいと思っています。

Interview & Text:安藤さやか

PROFILE
2000年1月1日生まれ、京都出身。シンガーソングライター/トラックメイカー/女優/モデルと幅広く活動。昭和や80’sなど自身が生まれる前の時代をピックアップし、自己流のファッションや音楽に乗せて世の中へ発信している。エレクトロかつエモーショナルな楽曲が多く、ライブ中にシャッターチャンスが何度もやってくる。観て聴いて踊れるショータイムライブが話題。ジャパニーズドリームパンク!『自分がカッコイイと思うこと、可愛いと思うことを一番大事に生きるのよ。それこそが乙女ってもんでしょ。』2022年はTVCMへの出演・楽曲提供、海外アーティスト(ジンジャー・ルート)の作品参加、ミニアルバム『ベイビィ・ベッドルーム・パンク』のリリースなど、精力的に活動中。https://www.amaiwana.com/

RELEASE
『ベイビィ・ベッドルーム・パンク』

デジタル配信ミニアルバム
https://lnk.to/BabyBedroomPunk

0101RECORDS
10月19日 ON SALE