青山テルマ『Thelma Aoyama 15th Anniversary〜おにぎりフェスティバル〜(仮)』ライブレポート@日本武道館

心が疲れたり寂しくなったら、笑顔を求めに青山テルマの元へ集えばいい。また一緒に笑い合えばいい。そう思わせてくれた日本武道館公演。

『いつまでも feat.SoulJa』も好評な青山テルマ。この度デビュー15周年を記念し、11月4日(金)に日本武道館で『Thelma Aoyama 15th Anniversary〜おにぎりフェスティバル〜(仮)』が開催された。ゲストには、愛笑むfrom徳川eq.、Aisho Nakajima、UVERworld、加藤ミリヤ、清水翔太、SoulJa、RED RICEも登場した。客電が落ち、巨大なモニターにまず映し出されたのは、おにぎりを美味しそうに頬張る青山テルマの姿。その映像が終わるのに合わせ、舞台上ではエマージェンシーコールが鳴り響く。会場を支配した心地いい緊張感。その空気を切り裂くように、「ぶどうかーん!」と叫ぶ青山テルマの声が場内中に響き渡る。彼女はダンサーたちを引き連れ、2階ステージから登場。クールなラップナンバー“マダバカ”をブチ噛ました。言葉を次々と吐き出し観客たちの気持ちを煽りながら、青山テルマは日本武道館を巨大なダンスホールへと変えだした、ジワジワと。でも熱は着実に上がり続ける。彼女のテンションが上がるのに合わせ、演奏も華やかさを増していく。

次に歌ったのは、デビュー曲の“ONE WAY”。背景にはデビュー当時のMVを投影し、15年前と今の姿を見比べる形でライブを楽しめたのも嬉しい。15年という歳月は、女性を美しく、妖艶に変えていく。ビジュアル面はもちろん、歌声にも確実に艶や深みが増していた。より深く説得力を持って響く歌声に気持ちがどっぷりと浸りだす。歳月という積み重ねは、青山テルマの歌に濃密さを与えていた。ソウルディーバと言いたくなる伸びのある歌声が、深く心を酔わせる。爽やかな夏のビーチ映像を背景に、青山テルマが“何度も”を歌いだした。彼女は、観客たちを忘れたくないひと夏の物語へと引き寄せる。愛しい人への想いを胸に切ない恋の思い出に浸るように歌う。同時に青山テルマの歌声が物語の語り部となり、日本武道館に足を運んだ一人一人の心に、切ない涙の恋物語を映し出していった。その歌に触れた会場中の人たちが、手にしたペンライトや手を大きく振りながら、青山テルマに想いを返していた。

MCでは急に人を笑わせる。いや本人はいつも通りだ。切ないバラードが似合う青山テルマだが、その素顔はとても楽しい人ということだ。そこで青山テルマがケータイでとある人に電話。その相手は最初のコラボゲストで盟友の加藤ミリヤだ。ステージに加藤ミリヤが登場し、一緒に歌ったのは“poppin’ feat.加藤ミリヤ”。会話のように進む盟友どうしのラップのやり取りを通し、2人は場内に熱い空気をどんどんと溜め込んでいく。2人の息のあったライムのやり取りはとても刺激的だ。舞台の上で時に交わりながら、2人はHIP HOPナンバーを通して会場に熱を作り出していった。そして青山テルマはこの会場にふたたび夏を呼び込んだ。熱風のような夏の風に乗って舞台に現れたのはRED RICE。そして一緒に“サマーラブ!! feat.RED RICE”を歌唱し、日本武道館を一気に常夏の浜辺へと塗り替え、大勢のダンサーたちと一緒にタオルを振り回しながら、思いっきりパーティーに興じていく。RED RICEのアゲなラップが気持ちを熱く高ぶらせる。青山テルマとRED RICEはランウェイを歩いてセンターステージまで足を運び、太陽変わりのカラフルな光を全身に浴びながら、観客たちと気持ちをアゲ続ける刺激的なサマーパーティーを描きあげていった。

続いてここからはバラードコーナーへ。次に披露したのは、結婚した時に披露宴で流したい歌として作った“STAY WITH ME”。彼氏募集中の青山テルマだが、この曲を歌っている間は愛しい相手に向け、「1秒でも長く君といたい」と愛しい人へ向けて告白をするように、ひと言ひと言大切に歌っていた。その言葉を受け止める度に、恋しい人を思う彼女の純潔な想いに心が包まれていく。続いてゲストで登場したのはAisho Nakajima。2人は“YOURS FOREVER feat.Aisho Nakajima”を、互いに声を交わし、重ね合わせ、ときに寄り添い歌いながら、素敵な恋の物語を描き出す。とても甘くエモーショナルな2人の歌声だ。青山テルマとAisho Nakajimaがお互いの心の呼吸や鼓動を感じながら、歌声に乗せて想いを交わし合う。永遠の愛を誓い合うその姿に心が惹かれ、視線が釘づけになっていた。

次に歌ったのは大学生時代の思い出を形にした楽曲。星空の映像を背景に、青山テルマはあの頃同棲していた恋人の姿を思い返し、当時の自分に心を着替えて “1LDK”を歌った。共に同じ時間を過ごす中で、感じ、育まれた”愛しき想い”。2人の愛に満ちた生活が、青山テルマの歌声を通し目の前にリアルに広がる。彼女の歌声はその曲ごとの物語へと見ている人たちを瞬時に連れ出す。その物語の主人公に自分を変えていく。だから、青山テルマと一緒にキラキラとした愛に満ちた気持ちをこの曲に触れている間中、ずっと感じていられたのが嬉しかった。「今日も好き、明日も好き、きっとこれからもずっと好き」の歌声をずっと抱きしめていたい。民族音楽風の音色に乗せ、青山テルマは大切な親友の悲しみを受け止めて励ますように“NO NO NO”を歌い出した。彼女はダンサーたちを親友として迎え入れ、ここでも高らかな歌声で歌っていた。たとえネガティブな感情や悲しみも、青山テルマが笑顔で寄り添ってくれたなら、悲しい表情にも笑顔の花を取り戻せそうだ。

今までリリースした数々の楽曲のヒストリーVTRが流れるうちに着替えを終えた青山テルマが、次のコラボパートナーにUVERworldと愛笑むを迎え、UVERworldの超アゲでアッパーなパーティーロックナンバー“SOUL feat. 青山テルマ& 愛笑む”をセッション。UVERworldの演奏に乗せ、愛笑むとUVERworldのTAKUYA∞、青山テルマが熱く歌を交わし合う。いや、交わし合うような生易しいものじゃない。それぞれがアガった気持ちを、UVERworldの熱い演奏に乗せてぶつけ合った。気持ちをアゲて歌う愛笑むとTAKUYA∞。2人の煽りに負けずと青山テルマも煽り声を上げ、一緒にHOTなグルーブを作りだしていた。3人の歌のバトルが最高だった。 先に作り上げたロックな空気に、ヤバイくらいにHIPなDANCE ROCKをブチ噛まそうと、青山テルマは“ブーンシャカラカ”をブチ込んだ。大勢のダンサーたちが腕を天高く突き上げ、手にしたタオルを思いきり振り回せば、客席の人たちもタオルや腕を振り回し、心のウーハーを震わせる重厚なリズムに合わせ「ブーンシャカラカ」と心の中で叫び、一緒にアガり続けていた。舞台の上の青山テルマやダンサーたちも、客席の人たちも、思いきり腕を振り上げ、身体を揺らし、本能のままに踊りはしゃいだ。ここに描いたのは、気持ちを野生に変えるワイルドなダンスパーティーだ。

続くHIPなダンスナンバーの“ONIGIRI”でも、青山テルマは少し緩めのラップを繰り出しながら、観客たちの身体を強烈なリズムで揺らしていった。背景にはたくさんのおにぎりの映像も投影。次のブロックでコラボしたのは、青山テルマのコラボ曲には欠かせないパートナーのSoulJa。ライブで一緒に歌うのは実に13年ぶり。披露したのは、女性側の視点で想いを届けた“そばにいるね feat.Soulja”。愛した人を想い続ける女性の心情を、青山テルマが募る想いを折り重ねるように歌った。その言葉を抱きしめる度に心が温かい涙で満たされていく。いつか訪れる幸せを信じながら青山テルマは相手を慕うように歌っていた。彼女の気持ちを受け止め、しゃがれたクールな声で想いを呟くSoulJa。待ち続ける女性の切ない想いに寄り添うようにライムするSoulJaのラップも心を震わせた。それから長い歳月を経て、2人はようやく結ばれる。その幸せを女性の視点からふたたび伝えるように、“いつまでも feat.Soulja”を届けてくれた。長い恋の旅の先で辿り着き、手にした幸せ。それを噛みしめるように青山テルマとSoulJaは歌を交わしていた。青山テルマとSoulJaのコラボシリーズ曲は、すべてSoulJaの実体験から生まれた実話だ。この物語の結末は、本当に心を優しさと愛で暖かく包み込んでくれた。

ライブも終盤へ。一緒に笑顔を浮かべて楽しもうと、観客たちへ誘いをかけるように“生きてるだけでご褒美”を歌唱。この場に集まり一緒に音楽を通して笑顔になれるこの瞬間、こうやって生きている実感を得られたことが、人生を彩る素敵なご褒美だ。彼女は一緒に身体を揺らし、笑顔を浮かべて楽しもうと誘いかける。その関係を今、こうやって味わえていることが最高だった。ここで大親友の清水翔太が登場。“MONEY feat.清水翔太”では、清水翔太がメインで歌唱し、この曲の中での青山テルマは一部のラップパートのみで参加。あとは盛り上げ役に徹し、清水翔太と一緒に「ヘ~イ!!」と声を上げて場内の人たちを煽り、身体を揺らしていった。2人がセンターステージで仲良く煽る場面も嬉しい見どころだ。ラストは青山テルマとダンサーの仲間たちと、さらにこの会場に足を運んだ大勢の仲間(観客)たちとの絆を確かめ合うように、甘く緩いダンスチューンの“一生仲間”を歌い、互いの関係をさらに強く結び合った。青山テルマは言っていた「何かあったら、またここで会おうよ」と。それが仲間である証だからこそ。

アンコールは専門学校から参加した大勢のダンサーたちと一緒に“世界の中心”を歌い踊り、この空間を華やかなパラパラダンスを踊るパーティー空間に染め上げていった。青山テルマの横にはフワちゃんとKemioの姿が。3人はセンターステージでもパラパラダンスに興じていた。もう最強のチームじゃないか。その輪の中に日本武道館中の人たちが加わり、一緒にお祭り騒ぎだ。「15年かかったけど、ようやくこの日本武道館に立てました」との言葉が嬉しい。「またみんなが必要としてくれるなら、この力を分けっこできるアーティストでいたいなと思います。ただただ、人一倍音楽が好きで、みんなの笑顔が好きで、ここまできました。生きていれば必ずいいことがあります。生きていて良かったと思える瞬間に必ず出会えます。次の曲を「自分でいて良かった、自分頑張れ」と思って聴いてください。」と、アコギの優しい音色を背景に、ゆったりと言葉を紡ぐように“なんだかんだ”を語るように歌った。「自分が大好きになれるように」そんな魔法を、この歌を通して彼女はかけてくれた。誰もがこの時間だけは自分と向き合いながら、心を晴れ渡らせ、素敵な自分になれる呪文をかけていたことだろう。

ここで青山テルマの誕生日を祝おうと、この日のゲスト陣が大きなケーキとともに全員でステージに登場して祝福した。この嬉しいサプライズを受け、最後に青山テルマはたくさんの仲間たちの想いを一身に背負い、“SMILE AGAIN”を歌ってくれた。彼女に、そしてパーティーを締めくくるのに、とても似合う楽曲だ。サビでは一緒に大きく手を振りながら、みんな笑顔の花を顔いっぱいに咲かせ、楽しさを分かち合った。また心が疲れたり、寂しくなったら、笑顔を求めに青山テルマの元へ集えばいい。また一緒に笑い合えばいい。そう思わせてくれたライブだった。

Text:長澤智典
Photo:217..NINA

https://thelma.jp/

『Thelma Aoyama 15th Anniversary〜おにぎりフェスティバル〜(仮)』@日本武道館 セットリスト
01. マダバカ
02. ONE WAY
03. 何度も
04. poppin’ feat.加藤ミリヤ
05. サマーラブ!! feat.RED RICE
06. STAY WITH ME
07. YOURS FOREVER feat.Aisho Nakajima
08. 1LDK
09. NO NO NO
10. SOUL feat.UVERworld & 愛笑む
11. ブーンシャカラカ
12. ONIGIRI
13. そばにいるね feat.Soulja
14. いつまでも feat.Soulja
15. 生きてるだけでご褒美
16. MONEY feat.清水翔太
17. 一生仲間

ENCORE
01. 世界の中心
02. なんだかんだ
03. SMILE AGAIN