綾野ましろ VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

綾野ましろ『Alive』

生きることや絶望感を歌い、改めてコントラストや「対」の大事さに気づいた綾野ましろのニューシングル

綾野ましろのニューシングル『Alive』は、TVアニメ「ダーウィンズゲーム」エンディングテーマでもある、ブワッとダイナミックに広がっていく世界観のあるタイトル曲と、バンド感全開の疾走感が非常にあり駆け抜けていくタイプの“鼓動”、そして彼女がライブにて大切に歌って来て、ハイライトを飾ってきた人気曲“RAY OF LIGHT”のLIVEバージョンの3曲入り。新曲2曲は、それぞれ共通に<絶望>が根底にあり、そこに居ながら、そこからそれぞれ信じて進んだり、手を伸ばしている共通項を感じた。その辺りも含め彼女に昨年を振り返ってもらい、それを経て反映されたが故の今作についてや、ライブに際する信条等を訊いた。

■まずは2019年を振り返っていただきたのですが。昨年は3年ぶりのフルアルバムをリリースし、ワンマンライブや各種イベントへの積極参加、また初の台湾でのソロライブを成功させたりと、より視野も広くなったように映りました。

綾野 おかげさまで、昨年の活動を経て沢山の経験をさせて頂きました。シングルやフルアルバムの発売でライブでのバリエーションを広げる材料も増えたし、新たなクリエイターの方々との制作も刺激的で。海外イベントや海外ワンマンライブもご縁があると感じていますし、お声がけいただくイベント・ライブを精一杯やろうというのはこれからも変わらないと改めて思いましたね。

■まさにその辺りの活動や充実具合が今回のニューシングルにも反映された感がありました。

綾野 そうですね。様々な経験があったからこそ、歌い手からの目線だけでは無くて楽曲の世界を彩る作り手側として、曲中に緊張と緩和のメリハリを作りたいという思いで今回も歌いましたから

■他には何か2019年を経て今作に反映されたポイント等は?

綾野 そうですね…。活動時間と共に考えなども凝り固まってしまったりするけど、いろいろな場所に行って、様々な人に刺激も受けて。曲やMVなどでも自分が信じる今の綾野ましろで居れば大丈夫。そう信じて自然体で臨んだことが反映されているかもしれないです。

■なるほど。話はニューシングルに移ります。今回の“Alive”“鼓動”は、それぞれ共通に<絶望>が根底にあり、そこに居ながら、そこからそれぞれ信じて進んだり、手を伸ばしている共通項を感じました。

綾野 私自身の気持ちの形成の割合もまさに絶望感、闇、哀しみの質感なんですけど、制作中の出来事も感情に影響しますし、物語に入り込みすぎたりすることもあります。(笑) でも自分を信じる誰かを信じたり、希望をイメージすることはおそらく誰にも否定出来ないな、というのは感じていたことでしたね。

■“Alive”にしろ、“鼓動”にしろ、タイトルからも「生きる」「生き延びる」といったものも根底に感じました。

綾野 生まれてきて、何気なく過ごす時間にも自分では感じられないような意味があって、命の根本の温かさや熱を感じます!

■ご自身的には何か前作と違うところや特化させたところがあったりとかは?

綾野 これまでいろいろな楽曲を歌わせて頂いて、今作で生きることや絶望感に特化して歌ったことで「静と動」「点と面」「月と太陽」のような……一見両極に感じることもどちらかがあるからどちらも生きるんだなと思いましたね。

■“Alive”はミディアムで始まりながらも、サビでブワッと広がっていく。すごく世界観のある曲ですよね。

綾野 最初にこの楽曲をもらった際には、「ダーウィンズゲーム」の世界観とも合わさって、力強さを持ったミディアムバラードになっていきそうで歌うのが楽しみでした。

■結果、力強さと柔らかく優しさの同居と共存のコントラストが魅力的な曲に仕上がった感があります。

綾野 私は歌を力強く歌うことが多いけど、今回に関してはまずいつも通り歌ってみてから、語りかける様に箇所箇所を引き算することを試行錯誤したんです。全体的に潔癖なイメージもありましたし、静けさがある中にサビでは大きく開けるようなメロディーでドラマチックだなと感じたので。

■おっしゃる通り、この曲にはこれまで以上のダイナミズムがありますが、歌っている際に何かビジョンやイメージ、光景や風景、物語みたいなものが浮かんだりは?

綾野 Aメロからサビへの声量や強さも今まで以上に変化をつけたかったので、俯瞰で見た”人”の心情を歌詞やサウンドから沢山想像して歌ったのを覚えています。

■個人的にはラストの一拍タメたあとに現れる渾身のラスサビがたまりません。

綾野 その部分はラストのサビなので、想いを込めて間合いを大切に、そしてハイトーンの伸びやかさを意識しましたね。

■それが故の絶望の先や、絶望を叫び切ったあとに希望が伺え、力を与えてくれる楽曲印象に至りました。

綾野 絶望だと感じるまで堕ちると辛いですけど、後は上っていける。光や希望がみえる場所まで彷徨わないと自分が自分じゃなくなる。大丈夫。という風に捉えて歌ったんです。

■この曲はTVアニメ「ダーウィンズゲーム」エンディングテーマでもありますが、その辺りで何にか歌唱や表現で意識したところはありましたか?

綾野 ストレートな強さと、包み込むような優しさですね。自分と人間関係の狭間で迷う心も表現できていたら嬉しいです。

■その辺りもキチンと表れていますよね。あとは、この曲の根底には「信じる強さ」や「信じぬいたものの先に希望や光が待っている」ように個人的には感受しました。

綾野 基本的には切ない楽曲ですもんね。ですが、信じてくれる人を信じ抜く強さ、自信、信頼。避けてしまう事にこそ、未来への鍵が、ヒントが隠れていますから。好きの反対は嫌いなら、嫌いの反対は好きになるんじゃないの!?と前向きに捉えてみるのは悪くないと感じました。