梓川『LIVE ECLIPSE -β-』ライブレポート@新宿BLAZE

オーディエンスやゲストとともに作り上げた熱狂の1stワンマンライブ。

9月2日(日)、梓川が1st ONE-MAN LIVE『LIVE ECLIPSE -β-』を新宿BLAZEにて開催した。2020年より音楽活動を始め、これまで自身の動画サイトへの歌動画の投稿やボカロPとのコラボ、2022年6月以降はオリジナル曲のリリースなど、インターネット上を拠点に精力的に活動してきた梓川。この日はそんな梓川にとって初のワンマンライブとなった。ステージ前方に垂れ下がった紗幕にOP映像が映された後、“今さらサレンダー”にてライブは開幕。紗幕越しに姿を現した梓川は、イントロから「新宿ー!」と喜々として呼びかけ、オーディエンスも気合十分な歓声で応える。落ち着いた柔らかい歌声とは裏腹に、積極的なコミュニケーションで序盤から漂うライブならではの熱気からは、この日を迎えるにあたっての演者、オーディエンス双方の気合いが伺えた。

梓川はこの日、MCでも初のワンマンライブとは思えないリラックスした雰囲気で和気あいあいと観客とのコミュニケーションを楽しんだ。「紛れもなくここにいるみんなのおかげでライブができていること、ありがとうと言わせてください」。そう感謝を伝えたあとには“フォニイ”のカバーへ。低い音域をダウナーに歌う一方、Bメロやサビではその場の熱を発散するように歌い上げ、ときにはオーディエンスにマイクを向けたりと、梓川自身がライブを楽しみながらパフォーマンスしていることが伝わる。その気だるげな歌唱の雰囲気と弾けるようなパッションの塩梅が高揚感を煽った。梓川がラップパートの作詞を務めた楽曲“日本の夏 (feat. 七滝今 & 梓川)”では、祭りの余韻を感じさせる湿気を含んだ熱い空気で魅了し、イントロのギターリフで歓声のあがった“風”ではシンプルな演奏とトラックに乗せ、梓川の声の抑揚をメインにじっくりと聴かせる。更に“2E”で没入感を誘うと、“アイタクナイ”ではリズミカルな歌割やメロディに乗せて梓川も身体を動かしながら歌う。楽曲、MC問わず、終始オーディエンスとコミュニケーションを取りながら進んでいくライブ。全体の雰囲気としては親近感のある優しい空気が漂っていたが、パフォーマンス面はというと、梓川の多様なアプローチによってコロコロと印象を変えていく。

オリジナル曲“誘導灯”では落ち着いた雰囲気で趣向を変えると、ダンスミュージックの系譜を感じさせる“Black out”では会場をダンスフロアに変え、ギャップを魅せる。一旦梓川が姿を消しDJに主導権をゆだねると、“空っぽなら、踊ろうぜ”、“熱愛フローズン”、“guilty”、“文化になっていく”などの楽曲が巧みに繋がれるDJコーナーへ。次々と華麗に繋がれる楽曲に会場の熱も留まることを知らない。ひとしきりDJコーナーで盛り上がった後には、梓川とゲストがともに楽曲を披露するコーナーへ。跳亜とともに披露した“凍結”で2人のハーモニーを聴かせると、詩道とともにリズミカルな掛け合いを聞かせた“黎明”へ。その後、詩道がソロで“水光”を歌い、爽やかな歌声がそれまでの会場の熱い空気を一新する。更に跳亜にバトンタッチした後は、彼のオリジナル曲“ネオンバード”をソロで披露し、透明感のある歌声を聴かせる。そして3人が集合すると“Penumbra”へ。3人の歌声の違いが混ざり合うレアなコラボで会場を沸かせ、去り際には親し気にハイタッチを交わした。

そしてライブも大詰めへ。作詞・作曲を梓川本人が手がけたという新曲“ナーヴ”を初披露し、鍵盤とギターをフィーチャーしたロックサウンドで終盤に向けて熱を高める。「僕の活動のポリシーというか、一個根底にあるのが、絶対に一人では活動できないということ。1237日、これは僕がYouTubeに初投稿してからここに立つまでの日数です。この日数の間にどれだけの人が聴いてくれて、僕のことを支えてくれて、一緒にステージに立ってくれて、一緒にコラボしてくれて、一緒に楽しい時を過ごしてくれて。いろんな出会いがあって、いろんな曲を作る人がいて、いろんな歌を歌う人がいて、いろんな絵を描く人がいて、いろんな映像を作る人がいて。そういう、僕に携わってくれた、関わってくれた全ての芸術家とか、音楽家とか、お前らとか。全部ひっくるめてひとつ言わせてください、愛しています。ありがとう」純粋な言葉を真っすぐに語ると、SINSEKAI RECORDに所属してから初めてリリースした楽曲“告赤”を披露し、本編を終えた。

アンコールにて、憧れだったという自身のライブTシャツを着用しステージに登場することを叶えると、カバーライブアルバムの配信リリースやYouTubeのチャンネル登録者数5万人記念のメンバーシップの開設、オリジナルアルバムを制作すること、新曲“パラノイア”の配信リリースと、盛りだくさんの告知を伝える。そして早速、作詞・作曲からアートワークまで担当したという新曲“パラノイア”を披露すると、最後の曲として披露したのは“ノルカ//ソルカ”。思い切り歌い上げ、熱狂と愛に溢れた、そして今後の活躍への期待も十二分に高めた1stライブを終えた。

Text:村上麗奈
Photo:江藤はんな(SHERPA+)

https://sinsekaistudio.jp/artist/azsagawa/

梓川『LIVE ECLIPSE -β-』@新宿BLAZE セットリスト
01. 今さらサレンダー
02. フォニイ(Cover)
03. 日本の夏(Cover)
04. 風(Cover)
05. 2E
06. アイタクナイ
07. 誘導灯
08. Black out
-DJ Time- 
09. 凍結(梓川&跳亜)
10. 黎明(梓川&詩道)
11. 水光(詩道 Solo)
12. ネオンバード(跳亜 Solo)
13. Penumbra(Cover/梓川&跳亜&詩道)
14. ナーヴ
15. 告赤

ENCORE
01. パラノイア
02. ノルカ//ソルカ

■アーカイブチケット発売中
https://www.zan-live.com/live/detail/10300
※9/24(日)20:00まで販売、同日23:59まで視聴可能

RELEASE
『パラノイア』

SINSEKAI RECORD
9月3日 ON SALE