BABYMETAL『10 BABYMETAL BUDOKAN』ライブレポート@日本武道館 4月15日(木)

BABYMETAL『10 BABYMETAL BUDOKAN』ライブレポート@日本武道館

日本武道館10公演完遂!最終公演で魅せつけたBABYMETALの挑み続けるメタル魂!

10年間の「総括」と新たな「挑戦」に日本武道館は大いに沸いた。しかも現在のコロナ禍で様々な制限やルールが敷かれる中、メタルのライブを完遂することは並大抵ではない。モッシュやウォール・オブ・デスどころか、シンガロングも封印されて、以前と同じような熱気漲る空間は作れるのだろうか。

BABYMETALは昨年10周年を迎え、今年1月から4月にかけて武道館10公演を開催。彼女たちは2014年3月に女性アーティスト史上最年少で武道館に立っており、それ以来なんと7年ぶりに同会場に立つ。この7年間は英メタル・フェス『ソニスフィア 2014』を皮切りにワールドワイドな活動に軸足を置き、第二の故郷と言えるイギリスで日本人初となるウェンブリー・アリーナ・ワンマンを大成功に収め、ヨーロッパやアメリカ・ツアーも精力的に周るなど、言わばアウェイの地で経験とスキルに磨きをかけ、武者修行に励んできた。また、メタリカの韓国公演、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのUK/USツアー帯同と世界に名だたるトップ・アーティストたちのサポートを務めた実績はBABYMETALに大きな自信を与えたことだろう。海外ツアーやサポートで物怖じしない彼女たちの勇姿を観てきた一人として、この7年間の成長速度は凄まじいものがある。今回の武道館10公演は10年という大きな節目の集大成を魅せる一方で、最新形のBABYMETALを体感できるショウになった。

今回は入場者に“Savior Mask”(フェイスマスク)の配布や会場内の徹底した消毒作業など、微に入り細にわたって感染拡大抑止の対策が取られ、場内もコロナ禍を逆手に取る形でアリーナを丸ごと使用した八角形ステージ(360度ステージ)が堂々と鎮座。まずは東西南北に分かれて、クラップ、ストンプ、ウェーヴ・ヘドバンを練習した後、最終日のオープニングは新バージョンの“BABYMETAL DEATH”で開始。するとBABYMETALが十字架に磔にされた状態で登場。漆黒なヘヴィネスの中に複数の炎が燃え上がり、観客は息を飲むようにステージを凝視する。耳をつんざくヘヴィなギターを皮切りに“イジメ、ダメ、ゼッタイ”に入ると、サビでは観客一斉にダメ・ジャンプを決め、早くも熱い一体感を作り上げていく。SU-METALの伸びやかな歌声は今日も絶好調で、一点の曇りもないクリアな輝きを帯びていた。

「BABYMETAL!」と歓声を模した音声が響き渡ると、次もお馴染みの代表曲“ギミチョコ!!”が炸裂。切れ味鋭い神バンドの演奏は、ステージと1、2階席にいる観客との溝を無にする爆発力を発揮。そのダイナミズムはライヴハウスと変わらぬ熱量を叩きつけてくる。SU-METALが曲中に観客に呼びかけ、高まる熱狂を押し上げていった。イントロから自然とクラップが巻き起こると、“ド・キ・ド・キ☆モーニング”を披露。「オイ!オイ!」と場を盛り上げる音声と共に多くの人たちが拳を突き上げ、コロナ前と変わらぬ景色が眼前に広がっている。その盛り上がりに追い討ちをかけるように「手首の準備はできているか?」と映像が差し込まれ、ここで“GJ!”へ。MOAMETALはキッズダンサー4人を従え、勇壮に舞い踊る。武道館に三三七拍子が鳴り響く中、「全然聴こえないよ!」、「もっともっとできるでしょ?」と煽るMOAMETALの姿も頼もしい限りだった。

優美なストリングスが響くと、次は“NO RAIN, NO RAINBOW”を感情を込めて歌い上げるSU-METAL。サビの透き通るハイトーン・ボイスに魅了されながら、中盤にはサプライズ的な演出が待っていた。SU-METAL自らピアノを弾く試みもあり、楽曲をより一層ドラマティックに彩る。MOAMETAL、SU-METALそれぞれ新しいアプローチに挑み、常に攻め続けるこうしたスタンスこそ、BABYMETALの真骨頂と言いたい。その後に“Distortion (feat. Alissa White-Gluz)”、“PA PA YA!!  (feat. F.HERO)”へ繋ぐと、ステージ周辺の炎は明らかに増し、灼熱のパーティー感を一段と盛り立てる。“メギツネ”においてはSU-METALは曲中にウェーブ・ヘドバンを観客に促し、「ソレ!ソレ!」の合いの手フレーズで熱気もさらに上昇。その流れでSU-METAL、MOAMETALが精悍な表情で“KARATE”をやり抜き、聴く者のハートを射抜く力強い振り付けにも魅了された。

ショウもいよいよ佳境に差し掛かり、“ヘドバンギャー!!”の後半には神バンドによる怒涛のインストパートも迫力満点。そして、BABYMETALがゴールドのマントを羽織ると、“THE ONE”へ。ステージ上はスモークが大量発生し、まるで天上世界にいるような幻想的な雰囲気が漂う。「世界は一つ」という、この曲の持つメッセージが視覚から伝わる演出も素晴らしかった。そんなピースフルな空気を切り裂くかのように、戦闘開始のホラ貝が場内に響く。ラストを締めくくるのは“Road of Resistance”だ。イントロのギターフレーズに「ウォー!ウォー」とメタル定番の合唱を音声で被せる演出に気分は高揚。2014年に初の武道館公演以降、「進め 道なき道でも」の歌詞にある通り、音楽、活動の両面において未開の地を開拓し続けてきたBABYMETAL。彼女たちにとって精神的支柱とも言えるメロスピ・ナンバーが武道館で轟くのは感慨深いものがあった。また、曲中に「遂にファイナルを迎えました。私たちの挑戦を応援し続けてくれた世界中のファンのみなさん、武道館に集まってくださったみなさん、本当にありがとうございました!」とSU-METALは感謝の言葉を告げる。曲が終わると、MOAMETALとサポートダンサーを引き連れ、SU-METALは武道館10公演を噛み締めるように10個の銅鑼を順番に叩き、ショウは大団円を迎えた。

エンディングのムービーではBABYMETALが10年間で切り拓いた世界から、「LIVING LEGEND」に向けて歩き出すことを告知。メタル復興の狼煙を上げ、邁進し続けてきた彼女たちが次のフェーズに突入する。これまで数々の伝説を作り上げてきたBABYMETALだが、これから先も「道なき道」を切り拓いてくれるに違いない。

Text:荒金良介
Photo:Taku Fujii、Taichi Nishimaki

https://www.babymetal.com/jp/
10 BABYMETAL BUDOKAN 特設ページ:https://www.babymetal.com/10babymetalbudokan

『10 BABYMETAL BUDOKAN』 DOOMSDAY ‒ Ⅹセットリスト
01. BABYMETAL DEATH
02. イジメ、ダメ、ゼッタイ
03. ギミチョコ!!
04. ド・キ・ド・キ☆モーニング
05. GJ!
06. NO RAIN, NO RAINBOW
07. Distortion (feat. Alissa White-Gluz)
08. PA PA YA!! (feat. F.HERO)
09. メギツネ
10. KARATE
11. ヘドバンギャー!!
12. THE ONE
13. Road of Resistance

また、「10 BABYMETAL BUDOKAN WORLD PREMIERE」と銘打ち、結成10周年イヤーの集大成ライブとなった日本武道館10公演「10 BABYMETAL BUDOKAN」<DOOMSDAY – Ⅰ~Ⅹ>から選りすぐりのライブ映像を特別編集したプレミアムエディションを6月26日(土)21:00(日本時間)から世界最速配信することが決定!

世界最速配信!!10 BABYMETAL BUDOKAN WORLD PREMIERE
配信日時:2021年6月26日(土)OPEN:20:00 / START:21:00 (JST)
10 BABYMETAL BUDOKAN WORLD PREMIERE ニュースページ:https://www.babymetal.com/jp/news/?id=254