週末の渋谷に叩きつける、ひとつの終わりと始まりの一ページ。
Bye-Bye-Handの方程式が全国15箇所を巡る対バンツアー『MODEL ANSWER TOUR』のファイナル公演を11月21日(金)、東京・Shibuya WWWで開催した。全公演に対バンを迎えた今回のツアー。ファイナル公演には2018年に結成された大阪出身のスリーピースバンドammoが登場した。賑やかな渋谷の夜。開演時間になると、青い霧がかかったすり鉢状のステージに、憂いを孕んだギターのイントロが流れ出す。

まず登場したのは先攻のammo。岡本優星(Vo.Gt)、川原創馬(Ba.Cho)、北出大洋(Dr)が手のひらを重ね、声を上げて気合を入れるところから、ライブはスタートした。「WWW初めまして、大阪ammo始めます!ぶっ飛ばそうぜ!」その言葉と共に、3人は“深爪”、“星とオレンジ”、“卒業”、“Do She Tel??”、“おもしろい方へ”と快速なナンバーをドロップしていく。シンプルなドラムセットに、ステージ際で暴れ回り跳ねるリードベース、澄み渡るヴォーカルが作る強固なグルーヴは、低音が張って壁の如く押し寄せる。


「Bye-Bye-Handの方程式の盟友、ammoです。出会ってくれてありがとう。いろんな選択肢の中から僕らを選んでくれてありがとう。最高の週末にします。よろしくおねがいします!」黄昏た“なんでもない”、に、ポエトリーリーディングが混ざる“身体一つ、恐怖断つ。”、余韻もそのまま流れ込んだ“これっきり”、どっしりと地に足付いた“フロントライン”。合間に語られるのは、初めてできたバンド友達がBye-Bye-Handの方程式であることだった。「今日が終わって、また明日から始まるBye-Bye-Handの方程式の物語。僕らはその前回までのあらすじの最初の1ページを飾りました」「同い年の友達のファイナル、仲良しこよしでは終わらせない!渋谷の英雄Bye-Bye-Handの方程式をやっちゃってくれよ!固定観念と憂鬱をぶち壊しに来ました、ammoでした!」そう言って“後日談”を披露し、「とどめの一撃!」と“歌種”を叩きつけたammoは、轟音の名残りと爽やかな空気を置いて舞台を去って行った。

ammoからバトンを受け取ったBye-Bye-Handの方程式は、「始めよう、渋谷!」とSEからそのまま“ラブドール”へと流れ込む。ステージから回転する色とりどりのサーチライトが観客の笑顔を照らし出せば、続くは“風街突風倶楽部”。青春ど真ん中のくだらなさに、歌声を上げる渋谷の夜。「まだまだ遊ぼうぜ!」と叫ぶ汐田泰輝(Vo&Gt)が歌い出す“閃光配信”は、ポップなリフレインに賑やかな閃光が重なった。ドラムと顔を見合わせ笑う岩橋茅津(Gt)、爪先を蹴り上げ回転する中村龍人(Ba)。その姿は青春を全身で表現しているかのようだ。「改めまして俺たち、Bye-Bye-Handの方程式です。よろしくお願いします!」冒頭3曲を終えて挨拶した汐田は、最近風邪が流行っていることに触れる。仲間内で感染症が広がる際、岩橋だけは感染を免れる傾向があるらしく、「特殊な訓練を受けてる?」と疑われる。それから、汐田は結成10周年にちなんで全10公演のツアーをしようと思っていたら、全15公演になっていたことを笑いながら話す。

次の曲“夢夏”は、ツアーが始まった夏ごろに作ったナンバーだ。手のひらにプリズムの煌めきが落ちる中、生ぬるい夏の空気がアイスのようにとろけていく。“romance tower”に続き、「ここにいる全員にチャンスが訪れますように」と“春のチャンス”へ。“ジュウブンノサン”では早鐘を打つ心音に合わせて汐田が胸を叩き、ベースとギターの絡み合いの中にドラムが駆ける。曲間のMCでは、ツアーを振り返る4人。岐阜タンメンを発起として汐田の怒りが爆発し、メンバーを泣かせてしまったエピソードや、心斎橋でのライブの打ち上げの際、酔ったammoのメンバーに唐突な暴言を吐かれたエピソードが語られて、会場は笑いに包まれ、メンバーも満足げな表情を見せた。「だから舞台裏では(ammoと)バッチバチですよ。ケンカします。絶対負けません。育ちの違いを見せつけてやる!」物騒なMCと共に、ハードロックの王道を行く“タヒ神サマ”がフロアに響き渡る。鋭利なサウンドに耳を穿たれ、アシッドなライトが目を焼く中、降り注ぐ華麗なギターソロ。“darling rolling”では汐田が手拍子と歌声を煽り、“ひかりあうものたち”の冒頭はスポットライトが星の形を作る。

構成が近いバンドでも、ammoとBye-Bye-Handの方程式のサウンドには大きな違いがある。音をぎっしりと埋めて質量で殴りつけるammoと、サウンドに空白部分を作るBye-Bye-Handの方程式。隙間の捉え方の違いにはそれぞれ違った良さがあり、どちらも聴き心地が良い。“ひまわり”を終えたBye-Bye-Handの方程式は、10年前に右も左もわからないまま組み、誰も来ないような自主企画を行ったことを回想。それから10年が経ち、メンバーの胸には様々な想いが巡る。特に今回のツアーは、メンバーの卒業を経てのものということで、抱えるものも大きかった。「ついには初期メンが2人になって、いろんな想いがあったけど、ツアーが終わった今は、このツアーがどのツアーよりも濃くて楽しかったです」そう語り、彼らは「ツアーの中で抱いた『別れ』のことを考えて、自分の中で昇華させた曲」だという新曲“BEGIN AGAIN”を披露。それは別れを歌った曲でありつつ、どこかに懐かしさと寂しさを持ちながら、前に進んでいく意志を感じさせる曲だった。元は映画館だったこの会場で、今まさに新たな台本を書き続け進んでいくBye-Bye-Handの方程式の姿は、どんな映画よりも「物語」としてそこに在る。メンバーの卒業はバンドにとって、ひとりの人間がいなくなることだけではなく、推進力をひとつ失うことだ。しかしBye-Bye-Handの方程式はそれをも糧にして歩き続ける。

ラストの“midnight parade”を終えて舞台を去り、「ワンモア!」の声に呼ばれて戻ったBye-Bye-Handの方程式は、まず“BEGIN AGAIN”のリリース、そして『僕らは友達には戻らないTOUR』の開催を発表。2026年3月には豊中でのワンマンも行われる。そして4人は「MODEL ANSWER TOUR、大・成・功・だ~!」の声と共に永遠のアンセム“ロックンロール・スーパーノヴァ”をドロップ。大きな歌声の中、同時に跳ねる岩橋と中村。中村が手でシンバルを叩けば、ドラムも笑顔で応える。「どうもありがとうございました!改めて、“ウルトラ面”!」フィナーレかと思いきや、2曲目に入ったアンコール。おまけに“風鈴”も贈り、窒息しそうな音圧の中で週末の夜は過ぎていった。「正真正銘、ありがとうございました!」

Text:安藤さやか
Photo:稲垣ルリコ
https://byebyehand.com
https://ammoosaka.com/
Bye-Bye-Handの方程式『MODEL ANSWER TOUR』@Shibuya WWW セットリスト
【ammo】
01.深爪
02.星とオレンジ
03.卒業
04.Do She Tel??
05.おもしろい方へ
06.なんでもない
07.身体一つ、恐怖断つ。
08.これっきり
09.フロントライン
10.後日談
11.歌
【Bye-Bye-Handの方程式】
01.ラブドール
02.風街突風倶楽部
03.閃光配信
04.夢夏
05.romance tower
06.春のチャンス
07.ジュウブンノサン
08.タヒ神サマ
09.darling rolling
10.ひかりあうものたち
11.ひまわり
12.BEGIN AGAIN
13.midnight parade
ENCORE
01.ロックンロール・スーパーノヴァ
02.ウルトラ面
03.風鈴
MODEL ANSWER TOURプレイリスト
https://byehand.lnk.to/MODELANSWER
RELEASE
Bye-Bye-Handの方程式
2025.11.22(Sat)配信リリース
Digital Single「BEGIN AGAIN」
(作詞作曲:汐田泰輝)
配信URL:https://byehand.lnk.to/begin_again
LIVE
Bye-Bye-Handの方程式『僕らは友達には戻らない TOUR』
2026.03.05 (木) 東京・渋谷 CLUB CRAWL 18:30/19:00
2026.03.22 (日) 大阪・豊中 LIP2nd 17:00/17:30
<チケット>
オフィシャル最速抽選先行: 11/21(金) 22:00〜11/30(日) 23:59
https://w.pia.jp/t/bbh-official/







