変わらないものと変わったこと、グループの歴史に咲く“Harmony”。
d-girlsのニューシングル『Harmony』が4月1日にリリース。2024年末にはオリジナルメンバーである喜屋武里奈が7年半ぶりの復帰を果たし、2025年には結成11周年を記念する単独公演を控えるd-girls。ニューシングルのタイトル曲は瀬戸千花が作詞を担当し、未来への希望を抱いて歌うライブ映えするナンバーとなった。インタビューでは長い活動の中で変わったことや、変わらないこと、ニューシングルの制作の裏話、今だから話せる思い出話まで、杉本よしみ、瀬戸千花、百瀬めい、崎山サラ、喜屋武里奈の5人に幅広く語ってもらった。
■グループとしては喜屋武さんの復帰も大きなトピックとなりますが、VANITYMIXでも7年ぶりのインタビューとなります。みなさんの人生において、7年間で大きく変化したことはありますか?
百瀬 そうですね、7年前は確か自分のオリジナル曲を持っていなかったです。今はオリジナル曲をいただけるようになりました。
崎山 7年前のVANITYMIXのインタビューの時に話していたLIQUIDROOM公演が、私は候補生としてのデビューライブでした。そこから2、3年の候補生期間を経て、今は正規メンバーとして活動している感じです。
喜屋武 私は7年半ぶりの復帰なので、アイドルとしてはちょうど7年分が抜けています。大きな変化は無かったのですが、ずっと「戻りたい」という気持ちを持っていて、d-girlsを辞めた時に、よしみ様に「また戻るから絶対に待っていてね、グループを存続していてね」と伝えていたんですよ。そうしたら、本当にここまでずっと初期メンバーとしてグループを続けていてくれていたんです。それってすごいことですよね。子供だったら小学校入学から卒業するくらいの間、続けていてくれたわけですから。(笑)
■ということは杉本さんは、喜屋武さんのためにグループを続けていらっしゃったということでよろしいですか?(笑)
杉本 ん~、そうですね。喜屋武さんが復帰して、目的を達成したので残念ながらこのグループは終了です。(笑)
■そんなこと言ったらインタビューも終わっちゃうじゃないですか!(笑) 他のみなさんはいかがですか?
瀬戸 私はお芝居がやりたいということでこの道に入ったのですが、この7年間で声優のお仕事や舞台のお仕事をやらせていただくようになりました。何事も「やりたい」と言い続けることが大事だなと思います。
杉本 千花ちゃんは昔から「役者をやりたい」と言っていたから、「なんで挑戦しないんだろう?」とずっと思っていました。
喜屋武 昔からそう言っていた記憶があったから、戻ってきてみたらすっかり役者になっていてびっくりしました。(笑)
瀬戸 毎日って「自分」の積み重ねだから、変わっていることになかなか気づけないじゃないですか。だから、自分ではあんまり変わっていないと思っていたんですけど、変化は確かにありました。d-girlsのいいところは、よしみがブレずにいてくれる人なので、良い意味で変わっていないかもしれませんね。
杉本 もう誰からも言われますね。いい意味で変わらないって。
瀬戸 歌は上手くなりましたよ!
杉本 なったかな?
瀬戸 なってますよ!
杉本 ならよかった。(笑)
■ところで公式YouTubeチャンネルを覗いて見ると、ラーメン動画と激辛動画が多い印象だったのですが、あれは何故なんでしょうか?
百瀬 激辛は私の趣味ですね。(笑)
瀬戸 私は辛いものが得意じゃないので、わかりやすいもので喩えれば、蒙古タンメン中本の北極とかって「基本的には食べられないもの」だと思っていたんです。でもd-girlsの半分以上のメンバーは食べられちゃうんです。
百瀬 多分、みんな味覚がおかしいんですよ。(笑) 一度辛い物を食べすぎて調子が悪くなって、病院行ったら「辛い物を食べるのやめろ」と言われたことありますもん……。
瀬戸 d-girlsでは、よく「白いご飯には味があるか、ないか」という議論が出るんですけど、味はあるに決まっているじゃないですか。(笑)
百瀬 いや、無いですよ!味は無い。なんなら白米嫌いですもん、私。
喜屋武 私も「白米には味は無い」派ですが、嫌いってほどではないですね。ただ、ふりかけとかはかけます。
瀬戸 このグループには元々味が濃くて刺激的なものにハマる人が多いんでしょうね。その中でも「ラーメン」がピックアップされるのは、きっとライブが多い中で、ライブ終わりの夜遅い時間に開いてる店がラーメン屋さんばかりになりがちという面がありますね。(笑) ライブでカロリーも塩分も消費していますし、そういうニーズに合った温かい汁物といえばラーメンなんですよね。
■確かに。需要と供給が噛み合った結果かもしれませんね。(笑) ところで先ほどもお話にあったように、d-girlsはひとりの人間が小学校入学から卒業するくらいの間続いているグループですが、このグループならではの苦労などはありますか?
杉本 グループならではというと、やっぱり1曲につきヴォーカルがひとりだったり、ツインヴォーカルだったりするところがあると思います。
瀬戸 ユニゾンで歌うユニットだったら、みんな当たり前にワンフレーズ歌えるから、経験しない苦労もあるんじゃないかな、という部分はありますね。
百瀬 最初にd-girlsに入った時は、d-girlsがこういうグループだとあまり知らなくて、曲がもらえるまでが長かったです。(笑)
崎山 私は今、ちょうどそれに苦労している所です。既存曲で歌わせてもらってはいるんですけど、なかなかリリイベとか、外に向けたようなライブでは歌わせてもらえていないですし、もちろん自分のオリジナル曲もないので、そこを今もらえるように頑張っています。
■実際、長い歴史があるグループに入る苦労というのもありますよね。
瀬戸 でも新しいメンバーにも入ってほしいんですよ。私はよしみの次に長いメンバーですが、なぜかいつまで経っても長くやっている自覚が持てないんです。過去のイメージが強すぎて、私はそこにはまだ至っていないみたいな気持ちがずっとあります。d-tranceとか、昔あったグループの時からのお客様もいらっしゃるので、ずっと新参者の気持ちがどこかにあるんです。それを乗り越えたいですし、大きなところでワンマンライブをやる度に「もう乗り越えてるよね」という話をするんですけど、やっぱり過去は美化されるというか、すごいものだったんだろうなというイメージがあるからこそ、ずっと目指しちゃう部分がある気がします。共演者のアイドルさんに会っても、よしみは「よしみさん、よしみさん」みたいな感じで囲まれているのに対して、私は十何年もやっているのに「あっ、初めまして……」みたいな顔しちゃって、強気に出られない部分があります。(笑)
杉本 私自身も悩んだことがありました。私がずっといることでフレッシュさが無くなっちゃうかなとか、私がいるのは良くないことなのかな?と思ったこともありました。でも、途中から「自分がやりたいからやる」という気持ちになりまして。私は頑固なので、今は「もういいや!」となっています。(笑)
■その強さがステキだと思います。喜屋武さんは7年半ぶりの復帰となりますが、変わったなと思うことはありますか?
喜屋武 このグループを辞めたくて辞めたわけではなかった分、メンバーが活動している姿を見ると悔しかったり、見るのが辛い時期もあったりはしたのですが、これだけ経っても復帰できる機会をいただけたのがすごく嬉しくて……。ただ、やっぱりみんなはその7年半分ライブもレッスンもこなしてきているわけなので、早くそこに追いつかなきゃ!というのが、今の気持ちとしては一番大きいです。覚えることがいっぱいあって、すごく必死な感じです。(笑)
■YouTubeの動画でも「アイドルは過酷」という言葉があったのですが、復帰のきっかけはどういうものだったのでしょうか?
喜屋武 体調が回復して元気になったという所が一番の理由です。まだ全てのライブにフルで出ているわけではないのですが、そういう部分も含めて提案をいただいて、もうこれはチャンスだと思って。本当にそれこそアイドルをやれる最後のチャンスだと思ったので、「ぜひよろしくお願いします!」ということで復帰させてもらいました。
■現体制だと、杉本さんと喜屋武さんが初期のオリジナルメンバーで、瀬戸さんが2番目に在籍期間の長いメンバーなんですよね?
瀬戸 そうですね。私は1年くらいしてから入りました。でも今は喜屋武さんが復帰したので「2番目に入った」と言っていいのかな?という微妙な上下関係にあります。(笑) d-girlsとして喜屋武さんと一緒に活動していた期間は3年あるかないかくらいです。
■とはいえ3年ですよ。大人になってからの3年はあっという間ですが、中学生が高校生になるくらいの期間ですからね。
喜屋武 確かにちょっと物差しの基準はおかしいかもしれない。(笑) アイドルって2年くらいでグループを卒業される方が多いので。
■グループを結成した当初と今とで変わったことはありますか?
喜屋武 全然違います!それこそ最初の最初って、「衣装」なんていうものが無くて、Tシャツにペンで「d-girls」と手書きで書いてステージに立っていました。それからしばらく後にグループ名がちゃんとプリントされたTシャツが届いたんです。
■まさかの手書きですか!?
杉本 それ、覚えてる!(笑) お披露目の日に衣装が間に合わなかったんですよ。だから近くのコンビニに行って、男性用の白いインナーのTシャツを買って、ペンで手書きしました。その後は自分たちで衣装を探しに洋服屋さんに行っていたけど、今はオーダーメイドの衣装になっています。
■衣装ひとつにも歴史がありましたね。(笑) みなさんは結構いろいろと赤裸々に話してくれる印象があるのですが、今だから話せることはありますか?
杉本 今の「男性用インナーTシャツを着てお披露目ライブ」が一番ヤバいエピソードですよ。(笑)
喜屋武 服(シャツ)でもないっていうね。
■まぁ、当時のコンビニに売っている服といったら下着程度でしたからね。(笑)
百瀬 私は変化をすごく嫌うタイプなので、一時期メンバーの出入りが激しい時があったんですが、誰かが入ってくるのはヤダと思っちゃいがちなんです。何が嫌なのかは自分でもよくわかんないんですけど、多分まだ子どもだったんですよね。親を取られた子どもみたいな感覚というか、誰かが入ることで、自分の立ち位置がなくなっちゃうんじゃないかと不安に思い、余裕が無い時期もあったりして。だから喜屋武さんの復帰についても、実は最初は嫌だったんです……。喜屋武さんとは仲がいいし、めっちゃ大好きなんですけど、それとは別の感覚として。
■そうだったんですね。
百瀬 違う構成の5人で長い期間やっていたのですが、ひとりが卒業して「4人でもう一度頑張っていこう!」となった時に、喜屋武さんが戻ってくるという話になって。その時、悪い意味ではないのですが「これからこの4人で頑張ろうって言ったのに、なんでこの4人じゃいけないの?!」と思いました。でも、今後のことや、新曲のことをお話してもらって、今は5人でまた頑張ろうという気持ちになれました。やっぱりこの5人になったのは何か運命的なものがあるんだろうし、この5人だからこそCDを出せて、今もライブできていますから。
瀬戸 みんなめいちゃんがそういうタイプだとわかっているのですが、プロデューサーは喜屋武さんの復帰について、「めいちゃんにどうやって説明しよう……」と悩んでいましたからね。(笑)
杉本 こんなこと言っているけど、めいちゃんは「喜屋武さんがいなかったらこのグループに入っていなかった」とも言っていましたからね。(笑)
百瀬 言った事で切り替えられる部分もありますから。(笑) 一度SNSに書いたらスッキリ吹っ切れました。それで喜屋武さんがレッスンに来た時、急だったのにちゃんと1曲覚えて来ていて、「変化するのが嫌だとか思っている場合じゃない!」となったんですよ。(笑)
■大人ですね。(笑)
百瀬 いや、大人なんです。年齢的にも。(笑)
瀬戸 でも変化を求められていなかったら、よしみと喜屋武さん以降のメンバーは、今ここにいない世界線になっているので、変化は大事だと思っています。逆に私は「なんで私じゃダメなの?」とは思えないタイプなので、うらやましい部分もあるんですよね。
■そういう気持ち、わかります。
瀬戸 最初の頃はメンバーの入れ替わりも激しくて、すぐに脱退してしまったり、候補生から正規メンバーに上がらなかったりする子もいました。その頃はd-tranceさんがやっていた曲をよしみが教えていたんですけど、ある時よしみが「私、すぐ辞めちゃう人には教えていられない……」と言い出して、ダンスの先生がひとり増えたことがありました。これは結構な暴露話ですね。(笑) 今だから言えることです。