■他に変化はありますか?
瀬戸 新幹線移動で遠征できるようになったこととかもあるよね。(笑)
喜屋武 昔は青春18きっぷで移動したこともあるから。(笑)
瀬戸 あった!あれはしんどかったね。これも「今だから言えること」というか、ただの「不満」ですね。(笑)
■でもそういうのは大きな変化だと思います。そしてニューシングルのタイトル曲は“Harmony”ですが、メッセージ性が強い楽曲に感じました。どんな思いを込めたシングルになりましたか?
瀬戸 今回はrockfieldさんからシングルを出すことが決まって、「その表題曲は瀬戸千花さんが歌詞を書いてください」と言われた時、絶対にムリだと思って……。「よしみに書かせてください!」と言ったんです。(笑) レコーディングの直前まで出来上がらなくて、もう終わらない、一生作れないと思っていました。
杉本 レコーディング当日の歌を録る直前にやっと歌詞が届いたくらいでした。(笑)
瀬戸 レコーディング直前に新潟遠征があったんですが、よしみとふたり部屋で、「部屋で一緒に練習しようね」という話になっていたのに、「無理だよ。だってまだ歌詞がないんだもん……」となって。(笑)
杉本 だからもうあきらめて、私は自分が担当する違う曲の歌詞を書いていました。(笑)
瀬戸 私がベッドで「もう無理~!」とか言っているうちに、「私は1番が書けたよ~」とか言われて。(笑) それがレコーディング前日だったんです。
■だいぶヤバいですね、それは……。(笑)
瀬戸 「何を伝える歌にしよう?」と考えたのですが、まず私はポジティブな歌が好きなので、今までもポジティブな感じの曲ばかりを書いていました。だから自分に依頼があった時点で、きっとそういう方向性がいいんだろうなと思いつつも書いてみたら、「いや、これもう書いたことがあるな」みたいな感じになってきて、それで迷走して。でもやっぱりrockfieldさんから出すもので、私が書くということを考えたら、やっぱり私らしく「自分は自分でいいよ」という歌詞にしたいなと思いました。それに今回、こうやってリリースすることで、いつもはできないようなプロモーションとか、リリイベとかで、私たちの音楽が広がっていく可能性があるじゃないですか。その状況にもハマる曲と考えた時、ハーモニーが広がっていって、どんどんと人の声が増える感じの楽しい曲にしたいなと思ったんです。
■なるほど。
瀬戸 だから、「必要なのはこの声」みたいな歌詞を書いたんです。声って、全く同じ人っていないじゃないですか。違うからこそ、重なるとハーモニーになる。その人がその人であることに意味があって、ってことが伝わったらいいなと思いました。そしてそれが増えていくことにも意味がある。。d-girlsはライブが楽しいグループなので、「ライブが楽しいよ!」という雰囲気が伝わって、なおかつそれが広がっていくようなイメージで書きました。あと、今回はアイドルとしての露出が増えるチャンスだとも思ったので、強気な感じにもしました。今までは「私」という一人称で歌詞を書いたことが無かったのですが、ちょっと可愛い女の子のイメージやアイドル感で、今回は「私」にしてあります。恋愛とまではいかないけど、いつもは考えない、「可愛いアイドルが歌っていてもいいような雰囲気」を入れたいなと思いました。
■すごく素敵な作詞経緯だと思います。
杉本 カップリング曲の“Hello again”は、「また会ったね」の意味です。喜屋武さんに対しての「また会ったね」という想いも込めているのですが、リリイベをやるのも久々になるので、しばらく会えていない方や、見に来てくださるファンの方たちにも「また会ったね」と思えるような曲にしたくて。あとやっぱり、アイドルのオタクをしていると、推しと会えなくなることもある一方で、復活する方もいるじゃないですか。「あ、あの子またアイドルをやっているじゃん!」と喜ぶオタク心にも刺さったらいいなと思って、今回の歌詞を書きました。
■個人的には3曲目の“Radiance”が好きなんですよ。アニオタ心に刺さるというか。
百瀬 これ言うのめちゃくちゃ恥ずかしいんですけど、d-girlsって夢とか希望とか、明るい曲が多いんです。だけど私はこじらせてる女の子の曲が好きなんですよ。(笑) それで、この曲のメロディを最初に聴いた時、少し悩んだんですけど、やっぱり自分は「誰かを好きな気持をこじらせてる私」みたいなものを書きたくなりまして……。今回は初めて恋愛のことを歌詞に書いたんじゃないかというくらい直接的な言葉を使い過ぎて、プロデューサーにも「恥ずかしいね」と言われて、恥ずかしいことに気が付いてしまって……。なので、この曲は歌いながら恥ずかしくなっちゃうんですよ。みんな歌詞を見ないで聴いてほしいです。(笑) 歌詞を見ると「あの子がこんな言葉を書いているんだな……」と思っちゃうから。
瀬戸 私はめいちゃんがこういう歌詞を書けることがめっちゃ羨ましいんです。私はめちゃくちゃアニメのキャラクターに恋するタイプで、妄想しながら恋愛の曲を聴くのが大好きなんです。(笑) 頭の中で勝手なMVを作るのも趣味です。だから、今回は可愛い曲にして、恋愛っぽくも聴こえるし、お客さんとアイドルの関係っぽくも聴こえる感じなので、「好き」というワードとかも入れようかなと思って、一度は書いてみたんですが、恥ずかしすぎてすぐに消しちゃいました。(笑) 文字にした瞬間に「ムリムリムリムリ!」となって……。だから、めいちゃんみたいな歌詞を書いてくれる人がいると、変化が出て助かります。私にはできないことをやってのけてくれるので。ちなみにうちの母は、めいちゃんが歌詞を書いたこの曲が1番好きだそうです。
百瀬 この曲は推しを好き過ぎて本当に好きになってしまったけど、心のどこかで叶わないとわかっていながらも会う度に好きだなと実感してしまう曲です。
瀬戸 きっとプロデューサーのでんちゅうさんが歌う人をイメージして曲を作っているんだと思います。めいちゃんにしかああいう雰囲気の曲は来ないんですけど、ひとの曲って良く聴こえるんですよね。(笑)
■隣の芝生は青く見えるってことですよ。MVのお話も伺いたいのですが、スカイツリー周辺とラーメン屋と卓球……って、一体どういう世界観なのでしょうか?
瀬戸 それについてはもう……。歌詞が出来上がるのが遅すぎたからこんな感じになった、といいますか……。
■あ~、なるほど。(笑)
瀬戸 とはいっても、「まだ見ぬ君にも届け、早く見つけて……」みたいな感じで、「ファンの方を増やしたい、今のd-girlsに当てはまるような曲にします」ということは伝えていたので、「卓球でラーメンを奪い合うストーリーです」と聞いた時に、「待って、“Harmony”ってそういう感じの曲だっけ?!」と思ったんですよ。(笑) でも、よく考えてみたら「少しくらいわがままでもいい」「私は私らしく」みたいな、「私はこんな人だよってことを知ってほしい」という歌詞を書いたので、めちゃくちゃd-girlsらしい映像に仕上がったと思います。ラーメンを取り合う感じも私たちらしいし、「卓球で決めよう!」とよしみが言い出すのも私たちらしいし。(笑)
■その「らしさ」はありましたよね。
瀬戸 ファンの方や好きな人の前で出しづらいところをあえてMVにして、「これも私だよ」という映像が付くと、そういう歌詞に聴こえなくもないじゃないですか。本当言うと、私はラーメンが2杯しか無かったら「違うお店に行こう」とか、「じゃあ私はチャーシュー丼を食べるね」というタイプなのですが、歌詞に「ちょっとわがままになってもいいじゃない」みたいなフレーズがあるので、強引に「ここは譲れない!」みたいなバトルが起きてもそう遠くもないかと思い、結構いいMVになったんじゃないかなと思います。
■曲だけ聴いた時にはもっと楚々としたイメージでしたが、MVを見てみたらだいぶ……卓球勝負の勝敗シーンなんて、アイドルらしからぬ表情をしていましたよね?(笑)
杉本 撮影中、監督さんに「もうちょっとこうした方がいいですかね?」みたいなことをいろいろと言ったんですけど、「大丈夫、よしみちゃんの見せ場は後であるから」と言われてたんですが、それがご用意されていました。(笑)
瀬戸 清楚な衣装でのダンスシーンは、強風でバッサバッサになりながら撮りました。それもd-girlsらしいですよね。(笑)
■あれはリアルな風なんですね!扇風機か何かでわざと風を吹かせているんだと思っていました。卓球は実際にやったんですか?
瀬戸 やりましたが、全くラリーが続きませんでした。(笑) プロデューサーさんが元卓球部だったので、その力も借りて良い感じに仕上げています。
■実際のところ、卓球が一番上手いのは誰だったんですか?
百瀬 ラリーのシーンの撮影が始まった時に、喜屋武さんと私のペア、よしみさんとサラちゃんのペアだったんですけど、うちらのペアはラリーが続きました。なのに、相手の方はボールを全然返せなくて。(笑) だから、MV内の試合の勝敗はヤラセじゃないんです。
■なるほど。(笑) でも映像ではいい感じに編集されていましたね。歌詞の中には「君に見せたい私の好きな私」とありますが、みなさんの「君に見せたい私の好きな私」はどんなところですか?
崎山 私は大人しく見られがちなんですけど、本当はいっぱい笑うのが好きだし、いっぱいふざけたいし、ギャグも言っていきたいんです。そういう所を出していきたいです。
杉本 自分は結構ナチュラルに生きていると思っているんです。そのナチュラルなところを可愛いと言ってもらえるんですけど、ナチュラルなところって自分では見られないじゃないですか。だからそれがすごく難しくて、ちょっとやりすぎちゃうところもあるので自然体を見てもらいたい気持があります。でもやっぱりアイドルはあんまり自然体ではいられないんですよね。
瀬戸 でもよしみは両立できている感じがする。私は今作のMVのことでもそうなんですけど、「合っていないけど、これも“Harmony”っぽいか」みたいな感じで、結構ポジティブに変換できます。「こっちの側面から見たらいいよね」って。そういうものを見つけていくポジティブさが自分のいいところだと思っているので、そこを知ってもらいたいです。
百瀬 私は良い意味でも悪い意味でも素直なところです。悪いところは悪いと自覚しているので。でもそれも素直さなんじゃないかなと。ちょっと計算高いところもあるんですが、素直に生きることしかできないので、それも全部含めて私だと思ってください。私のファンはそこも含めて私のことを好きだと言ってくれる方たちだと思うし。今の環境は優しいから、きっと他のところでやったら一発でクビだと思うんです。(笑) だから私はこのグループを長く続けられて幸せです。(笑)
■喜屋武さんはいかがですか?
喜屋武 なんだろうなぁ……?でも、こだわりは強い方かもしれない。何かある?
百瀬 喜屋武さんは誰よりもライブの時、笑顔がまぶしいんです。復帰して間もない時のライブで、体調も万全じゃないし、振り入れの時間も短くて「大丈夫かな?」と不安があったんですけど、ステージの上で目が合った時に、「こんなに楽しそうにステージに立つ人がいるんだ!」と思うくらいキラキラしていたんです。いつ見ても楽しそうで、辛そうな顔なんて見たことがないし。私はステージの上で疲れちゃうこともあるんですけど、喜屋武さんを見ると「頑張らないといけないな」という気持ちになります。
■それでは最後に、ニューシングルを楽しみにしているファンの方へメッセージをお願いします。
瀬戸 今作はみなさんの声をいっぱい広げてほしいという曲になっていて、一度聴いたらきっと口ずさめる優しめの曲になっておりますので、いっぱい聴いて、いっぱい歌って、d-girlsの会場に来て、ぜひ全員で大合唱できたら嬉しいなと思います。よろしくお願いします!
Interview & Text:安藤さやか
PROFILE
TRANCE系ダンスボーカルユニット。トランス系のダンスミュージックを軸に、本格的な歌とダンスで魅せるダンスボーカルユニット。メンバーそれぞれの個性的な歌声と迫力のあるダンスで、見て踊って楽しいライブを展開中。
https://d-girls.info/
RELEASE
『Harmony』

通常盤(CD)
QARF-60299
¥1,200(tax in)
rockfield
4月1日 ON SALE