DEEP SQUAD VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

DEEP SQUAD『変わりゆくもの変わらないもの』

新しいDEEP SQUADの色が確立されてきた

3人組コーラスグループのDEEPが2019年7月に開催したLDH主催のオーディション『DEEP VOCALIST AUDITION』にて12000人の中から選出された宇原雄飛、比嘉涼樹、杉山亮司の3人を迎え、ボーカリスト6人組グループのDEEP SQUADとして新たに始動。これまでデジタルリリースという形式が続いていた彼らだが、今作『変わりゆくもの変わらないもの』は初のフィジカルでドロップされる。表題曲“変わりゆくもの変わらないもの”は、大ヒット漫画の映画『劇場版 抱かれたい男1位に脅されています。〜スペイン編〜』主題歌に決定した。なお、初回生産限定盤には同曲のメンバー6人それぞれのソロバージョンまで収録されている。今回は宇原、比嘉の二人に話を聞いた。

■DEEPが2019年7月に開催したオーディションで3人(宇原、比嘉、杉山)が選ばれたわけですが、今日はその中からお二人宇原さんと比嘉さんに話を窺えればと思います。まず初めて会ったお互いの印象というと?

宇原 (比嘉)涼樹は初対面の時は坊主頭で、ミステリアスな空気を漂わせていて、話しかけづらい人だなと思いました。(笑) 本格的に話したのは一緒に活動し始めてからで、僕とは年齢が5歳ほど離れているんですけど、それをいい意味で感じさせない優しさがあり、一見クールに見えるんですけど、お笑いも好きで、おちゃらけ番長って感じですね。3人の中ではムードメーカー的な存在だなと思います。

■比嘉さんはどうですか?

比嘉 最初に(宇原)雄飛に会った時、彼は18歳で高校を卒業したばかりとは思えないくらい大人っぽくて。あと、歌がめちゃくちゃ上手いなという印象でした。

■DEEP SQUADとして音源を発表し、ライブを重ねる中で、お互いの見方に変化はありましたか?

宇原 涼樹は一番相談しやすいですね。歌もそうですけど、プライベートでも気づいたら相談していますからね。ライブで声が出ない時にも励ましてもらいました。

比嘉 雄飛は今も大人っぽいイメージはあるんですけど、たまに少年っぽいところも見せるし、かわいい弟という感じです。同期だけど、かわいい弟ができたような感覚ですね。

■DEEP SQUADで活動して2年が過ぎたわけですが、現在のグループの成長についてはいかがですか?

比嘉 僕ら3人が入ったことで、今までになかったような曲も増えたと思うんです。“あなたが迷わずに”という曲はこれまでのDEEPを応援してくれた人には受け入れやすかったと思うんですけど、それ以外の曲は新たにチャレンジしているものばかりです。なので、新しいDEEP SQUADの色が確立されてきたんじゃないかと思っていて。“Deja Vu”では、ラップパートやチルっぽい要素も入れています。あと、6人の声を同時に重ねると、曲にも厚みが出るので。6人それぞれがメインボーカルを張れることもあり、変幻自在のグループになっているんじゃないかと思います。

宇原 僕らにとっては毎回が挑戦です。R&Bもよく聴くので、“Deja Vu”、“2words”みたいな曲も僕らが入ったからこそ出せた曲だと思うんです。僕自身、最近はMCにも挑戦していて、そういう意味でも前にどんどん出られるようになりました。

■“あなたが迷わずに”は、DEEP SQUADにとって初のバラードナンバーでしたが、当時はどんな姿勢で臨みましたか?

比嘉 今までのDEEPの曲を聴いて、バラードのイメージがすごく強かったんです。その頃のDEEPを6人のDEEP SQUADで超えなきゃいけなかったので、プレッシャーはありました。でもバラードは歌手としても惹かれるものがあるし、繊細な息遣いなどを意識して歌いました。

■そして今作はDEEP SQUADにとって、初のフィジカルリリースになりますね。

比嘉 タイアップありきの曲なので、それに寄り添うことが前提ですし、その上で自分たちなりの表現ができたかなと思います。あと、僕らのことを知らない人たちにも知ってもらえるチャンスなので、また熱が入りましたね。

宇原 初めて聴いた時はメンバー全員「めちゃくちゃいい曲だね」と話していたんです。サビは6人全員で歌っているんですけど、一人ひとりの個性も出ています。切ないバラードになったんじゃないかと思います。

■曲のどこにもっとも惹かれましたか?

宇原 最近流行っているYOASOBIとか、Aメロはそういう色もありつつ、サビは誰にでも刺さるメロディラインで、めちゃくちゃいいなと。あと、バラードって歌詞を伝えるためにゆったり、気持ち良く歌うんですけど、この曲はリズム感を重視していて、ちょっとボカロっぽい要素も大事にしました。

比嘉 確かにちょっと機械的な歌い方じゃないですけど、リズム感はすごく大事にしましたね。ビブラートをかけてしまいそうなところも、あえてかけずに切ったりして、そこは挑戦的だったなと思います。ピコピコした音が後ろで鳴っているので、トラックだけ聴いていても気持ちいい曲ですね。

■“変わりゆくもの変わらないもの”は“あなたが迷わずに”、“2 words”の延長線上にあるバラード路線の楽曲ですが、また聴き心地は違いますよね。この曲は『劇場版 抱かれたい男1位に脅されています。〜スペイン編〜』の主題歌ですが、アニメの内容にも目を通して制作に入ったんですか?

比嘉 原作漫画は読ませていただきました。

宇原 楽曲や歌詞もそれに寄り添って、こだわって作られているので、歌詞の中にもセリフ的な言い回しが散りばめられています。きっと読む前と読む後では聴いた印象も違うと思います。

■原作はまた独特な世界観ですよね。

比嘉 読むにつれて恋愛する二人のまっすぐな思いとか、お互いが思いやっているからこそ、すれ違いが起きたりとか…見守りたくなる気持ちが沸いてきたんです。今は7巻まで出ているんですけど、あっという間に全部読み終えました。

■比嘉さん自身も曲に向き合う姿勢に変化もありましたか?

比嘉 そうですね。思いが詰まった歌詞なので、すべてが物語になっていますし、一言一言に意味があるので、歌いながらも漫画の絵が頭を過りましたから。より感情を込めて歌えました。

■歌詞の中で特に好きな描写はありますか?

比嘉 自分が歌っているパートになるんですけど、2番の「「心配ないよ」と強がって 「ひとりでやってけるよ 何処だって」 振り向けば頬に つたう雫 儚く」という歌詞があるんですけど、相手を思うばかりに一人で強がっている情景が好きですね。

宇原 内容自体、抱かれたい男1位だった人が2位になって、1位になった人と恋に落ちるという。好きな人にアドバイスをもらっただけで、すぐに変われる描写もありますからね。僕も好きな人に言われたらすぐに変われるタイプなので。(笑) そういう気持ちを込めて歌いました。

■冒頭の「あなたと生きていくこの世界は こんなに切なくて ただ綺麗で」という歌詞から「ハッ」とさせられますが、みなさんの力強い歌声で背中を押される感覚もあり、その切なさと力強さのギャップも聴きどころだなと。

宇原 めちゃくちゃ切ない歌詞ですけど、今後二人が重なり合うために、二人とも別々の場所で頑張ろう、という意味が込められている気がして。聴いた人の背中を押せる楽曲になったらいいですね。

比嘉 あなたがいることで世界は色付くし、綺麗に見えるけど、その分嫌なことも見えてくる。歌詞の中にも一緒にいるために変わらなきゃいけなかったり、そこでも“変わりゆくもの変わらないもの”を表現している気がするんです。これから先もあなたといる為に、という部分も感じられる曲だと思います。

■そういう意味でも今の時代性とマッチした楽曲ですね。昨年、今年と世界が激変する中で「何が大切なのか、どう生きればいいのか」と、多くの人が模索しているタイミングだと思うんです。あと、「好きなもの好きだって言えなくても 嘘の裏側 手と手繋ごう」の歌詞がとても意味深で、お二人はどんな風に解釈しましたか?

比嘉 男性同士の恋愛だと、世間にはまだ理解が及ばなかったりして、好きとは言えなくてもその裏側で僕らは繋がっているみたいな。二人の愛情を感じ取れる歌詞だと思います。

宇原 恋愛のことを歌っているけれども、言いたくても言えないこともあるし、それでも自分が変わっていけると信じて前に進んでいく。そういう思いも込められているのかなと。

比嘉 その歌詞にも“変わりゆくもの変わらないもの”が表現されていると思います。「変わることもあるかもしれないけど、僕らは手を繋ごう」という。そこは変わらない部分ですからね。