出口陽 VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

今作に収録した曲は私一人では完成しなくて、みんながいて初めて成り立つ曲になっている。

SKE48で6年間のグループ活動を経て、2015年にソロデビューした出口陽が、ソロデビュー10周年を記念した1年振りとなる待望のミニアルバム『My Serendipity』を、8月5日にリリース。自身をモチーフとした共感を呼ぶ歌詞と、メロディアスな楽曲が魅力の今作は、デビュー10周年を迎え、ここから更に前進する想いがこもった疾走感溢れる一枚に仕上がっている。
今回は作品の制作についてはもちろん、10周年を振り返ってみての感想や、最近ハマっているというコーヒーの話も語ってくれた。

■今回が初めての取材になりますので、まずは出口さんのこれまでの活動から教えてください。

出口 私は元々2008年からSKE48というグループで6年間活動していたんですけど、卒業してから2015年にソロデビューしたんです。でも初めは事務所に入らずにフリーランスという形でCDをリリースしたり、現場に出てライブで歌うという活動をしてきて今に至るんですが、途中で声優事務所に入って、アニソンシンガーとして、アニメやゲームの歌を歌ったりしていた時期もありました。でもコロナ禍で全然仕事が無くなってしまって、「このままで大丈夫かなぁ?」と思い、これからの自分の人生をどうしていこうかと考えてしまって、不安ではあったんですけど、「自分の人生の責任を取れるのは自分しかいない」と気づいて、「自分で新しい道を切り開いていくしかない!」と思い、声優事務所を辞めて、個人でレーベルを立ち上げ、クラウドファンディングなどで活動資金を集めて、今の活動を始めました。

■ちなみにSKE48に入るまでは、歌を歌いたいという夢があったり、歌手を目指そうというきっかけがあったんですか?

出口 小さい頃はなんの特技もなく、人見知りで引っ込み思案だったのもあって、いつもお母さんの後ろに隠れているような子だったんです。勉強も運動もそこまで得意ではなかったんですけど、お盆やお正月に親戚が集まった時に、カラオケ大会で歌を歌ってみたら、「陽ちゃん、歌めっちゃ上手やん!」と褒められて。単純だった私は、「私って歌が上手いんだ」と思ったら、そこから歌が大好きになってしまって。(笑) でもすごく一般的な考えを持っていたので、「芸能界に入る」とか、「歌手になろう」とか、そんなことは全く考えていなかったんです。もちろん「なれたらいいな」という気持ちはありましたけど、「現実的には無理だろうし、難しいだろう」と考えていました。でもある日、たまたま雑誌でAKB48グループのオーディション情報を見つけて、年齢制限を見てみたら私はオーバーしていたんですけど、とりあえず出すだけ出してみようと応募してみたら、受かっちゃったんです。(笑) 

■では、それまでに歌やダンスのレッスンに通っていたとかではなかったけど、合格したんですね。すごいですね!

出口 そうなんです。歌うことは好きだったけど、その時は「絶対に歌手になってやろう」という感じではなかったんです。

■ちなみに先程おっしゃっていた声優事務所時代は、「aki」名義でアニソンやゲーム作品などにも携わっていましたが、今まで影響を受けたアーティストさんや、声優さんはいますか?

出口 それでいうと、その時、その時で憧れていた人はいましたけど、私は元々昭和歌謡が好きで。子供の頃に車で出かける時とかは、両親の影響でいつも昭和歌謡の曲がかかっていたんですよ。美空ひばりさんとか、テレサ・テンさんとか。それで曲もすごく覚えていて、よく歌っていたので、オーディションの歌唱審査の時に、寺尾聰さんの“ルビーの指輪”を歌ったんです。私的には、この曲なら歌詞を見なくても歌える自信があったし、好きな曲だったから、何も考えずに歌っただけなんですけど、それがなぜかウケたみたいで。(笑) それでオーディションに受かった後も、すごくインパクトがあったのか、スタッフさんからも「“ルビーの指輪”を歌っていた子だよね」と声をかけられたりもしたので、影響を受けた人といったら、寺尾聰さんですかね。(笑)

■逆に最近の曲や、アーティストで気になっているものはありますか?

出口 自分がSKE48でアイドルをやっていた時は、あんまりアイドルに興味がなくて、ONE OK ROCKさんとかのロックばかりを聴いていたんですけど、最近になって「アイドルっていいな」と思い始めて、すごく元気がもらえるなと思って。今になってやっとみんなが言っていた「元気がもらえる」という意味がわかってきたんです。なので、最近はCANDY TUNEさんの“倍倍FIGHT”が好きでよく聴いています。「アイドルっていいな。偉大だな」と今になってすごく思います。(笑)

■音楽以外で最近ハマっているものや、気になっているものはありますか?

出口 コーヒーですね。今日も朝からミルでコーヒー豆を挽いて、自分でドリップして優雅に飲んできました。最近は「それで1日が始まる」みたいな感じです。コーヒーを入れる器具だったり、コーヒー豆もいろいろな産地の豆を揃えてストックしていますし、最近は焙煎機もゲットして、自宅で焙煎までできるようになりました。(笑) ハマったらすごくこだわってしまって、こだわりすぎるあまりYouTubeチャンネルも作ったので、ぜひ「コーヒーのデグチ」で検索してみてください。(笑)

■すごいこだわりようですね!(笑)

出口 そうなんです。出口陽の音楽チャンネルとは別に、コーヒーの専門のチャンネルを作ったので、ぜひチャンネル登録もお願いします!(笑)

■へぇー!でもコーヒーにハマったきっかけはなんだったんですか?

出口 昔から割りとコーヒーとか、カフェラテは好きでよく飲んでいましたけど、豆を挽いて一から作るようになったのは、たまたまお仕事で携わらせていただく機会があって、「自分で豆から挽いて入れるコーヒーってこんなに美味しんだ」と衝撃を受けて、それからすっかりハマってしまったんです。もう沼にどんどんハマっていってしまって……。(笑)

■僕は結構苦いのが苦手で、コーヒーはあまり飲まないし苦手意識があるんですけど、そういう人にもオススメなコーヒーとかもあったりしますか?

出口 私も初めは苦いのが苦手だったので、そういうコーヒーが苦手な人にこそ、いろいろプレゼンしたいですね。(笑) 結構コーヒーの専門店とかだったら、そういうのが苦手だと伝えたら、すごく紅茶みたいに優しい味で香りが良いコーヒー豆を教えてくれたりもするので、自分で一から入れてみるのもオススメですよ。

■ありがとうございます。気が向いたら試してみますね。(笑) 出口さんは今年でソロデビュー10周年とのことですが、ソロになってからのこの10年を振り返ってみて、いかがですか?

出口 あっという間でした。気づいたら10年経っていたという感じで、本当に自分としては10年もソロで歌手を続けているとは思っていなかったです。(笑) それこそソロデビューした当初は「売れたい!」とか思っていたし、それが正義だと思っていました。「いつかは日本武道館でライブがしたい!」とかも思っていましたけど、その頃はすごく辛かったんです……いろいろな意味で。だから、今は自分の周りに居る人や、ライブを観に来てくれる人ひとりひとりを笑顔にしたいとか、楽しませたいなという想いで活動ができているのが幸せだなと思います。コロナ禍もあったりしたし、本当にいろいろなことがあったけど、まずは自分の身近な人や、目の前にいる人が自分の歌で笑顔になってくれたり、幸せになってくれたらいいなと、いろいろ経て今はそう思えるようになりました。それが繋がっていって、どんどん輪が広がっていってくれたらいいなと思います。

■以前グループで活動していた頃と、ソロになってからでは、そういったことに対するモチベーションや意識なんかは違った感じですか?

出口 グループにいた時は人数も多かったので、自分が歌いとところが歌えるわけではなかったので、「絶対にグループを出たら、ソロになって歌ってやる」と思っていましたけど、ソロになってみたら、良くも悪くも全部自分に責任が降りかかってくるんですよね。グループにいた時、私は本当に全然喋らなくて、適当に相槌を打っていれば回っていってくれたんですよ。(笑) でも今はひとりで全部伝えないといけないし、自分以外にカバーしてくれる人もいないので……。ソロになってみて、グループ時代はすごくメンバーや、いろいろな人たちに助けられたり、支えられたりしていた部分が多かったんだなと気付きました。

■今年の4月にはソロとしての「10thAnniversaryLive」が行われましたが、その時のライブはいかがでしたか?

出口 10周年の集大成のライブということで、「赤羽ReNY alpha」という会場でやらせてもらったんですけど、ステージも自分なりにこだわって作りましたし、衣装もそのライブのために特別に作ったりしました。それにフルバンドセットでライブする機会もそんなに多いわけではないので、本当に特別なライブになりました。この10年間は、本当にそれまでに出会ってくださったファンのみなさんのおかげなので、少しでも感謝を届けたいし、笑顔になって帰ってもらいたくて頑張りました。でも頑張りすぎたのか、ライブ後は2週間寝込みました……。もうやりきったし、出し切ったので。

■それは大変でしたね。ステージ上で倒れなくて良かったです。そしていよいよ3rdミニアルバム『My Serendipity』がリリースとなりますが、今作のタイトルを『My Serendipity』としたのには、どういった意味が込められていますか?

出口 「Serendipity」は、「予期せぬ偶然の一致」みたいな意味なんですけど、今まで活動してきた10年間、グループの時からだともっとなんですけど、いろんな出来事とか、いろんな人との出会いがあって、偶然なんだけど必然でもあったというか、すべてがあって今の自分ができあがったと思うので、これまでの私の軌跡という意味を込めて、『My Serendipity』というタイトルにしました。

■なるほど。では今作『My Serendipity』が出来上がった今の率直な感想を教えてください。

出口 「やっとできた!」という感じです。(笑) まさに10年の集大成としてのアルバムになったし、「ここからまた新たな一歩を進んでいくぞ」という、そんな気持ちが込もった一枚になったんじゃないかなと思います。

■それでは今作に収録されている曲についてもお話を聞ければと思います。まずは1曲目の“Be Hero”ですが、この曲は今までにはなかったようなチャレンジの曲になったと思います。この曲の聴きどころと注目ポイントをお願いします。

出口 私はライブを一番大切にしているので、“Be Hero”は、ライブでみんなと一緒に作り上げる曲というか、一緒に盛り上がって楽しめる曲というのをテーマにした楽曲で、コール&レスポンスもやりたくて、間奏ではみなさんに結構大きい声を出してもらうパートもあるんです。私ひとりでは成り立たない構成になっていて、ライブでみなさんに声を出していただいてやっと完成する曲になっています。楽曲自体は爽やかで疾走感のあるロックな曲なので、ぜひみなさんもライブに来て参加していただけたら嬉しいです。

■この“Be Hero”は、MVも制作されていましたが、MVの見どころや注目ポイントもお願いします。あれは都庁前でのロケ撮影ですか?

出口 そうです!よくわかりましたね。(笑)

■ちょうどプロジェクションマッピングが映っていたので。ちょうどその時間を狙っての撮影だったんですか?

出口 いや……あれは本当にたまたまだったんですよ!(笑)

■そうなんですか?!すごいですね。まさに『My Serendipity』じゃないですか。(笑)

出口 上手いこと言ってくれて嬉しいです。 

■他に注目してほしいポイントはありますか?

出口 撮影日が平日だったので、結構周りに人が歩いていたりして、サラリーマンの人もたくさんいたんです。見られていてちょっと恥ずかしかったんですけど、出来上がった映像にはあまり周りの人の気配を感じなくなっていて、素敵な映像になっているなと思いました。ぜひそこに注目してみてください。