■始めはボーカルのメロディーラインもなかったんですか?
Takassy そうなんです。“あなたが私を~”に関してはメロディーの一部は元々違う楽器がやっていたメロディーラインで、それをボーカルに差し替えたりもしました。でもサビはキャッチーにしたかったので、サビだけはメインで鳴っている楽器を抜いてもらってコードだけにして、メロをはめてから上物を乗せたりもしましたね。
Kamus “あなたが私を~”は珍しい感じではあるけど、エンガブっぽいというか、「Takassyが作った曲だな」という感覚はありました。パフォーマンスに関しては、我々の所属している事務所のダンサーさんにお願いして作っていただいたんですけど、華やかな中にも転調していく忙しさみたいなのを含めて作ってくださって。先ほど言っていたように、元々曲が完成されていた中でメロディーや歌詞をはめていった曲なので、更にそこに振り付けが乗ることで、ダンスもひとつの楽器として気持ちよく踊れる曲だなと思います。
HIDEKiSM 私は元々ミュージカルがすごく好きなので、こういうクラシカルな楽曲だと、「プリシラ」や「シカゴ」、「ヘアスプレー」みたいな作品を連想するなと思ったんです。ミュージカル好きの方や、私たちと同じセクシュアルの方にもすごく聴いてもらいやすいし、イメージしやすい曲だなと思います。
Takassy “あなたが私を~”の最後の展開が変わる部分は、最初はなかったんです。普通に終わるはずだったんですけど、それこそ3人で「ヘアスプレー」を観ていた時に、最後にみんなで踊
るシーンを観て、「こんな感じのことをやりたい!」という話になって。でも前のアレンジだとその画が浮かばなかったので、その場でOgiくんに電話して、「『ヘアスプレー』の最後みたいなことをやりたいから、最後にそんな展開を作れる?」って言って、作ってもらったんです。
■そうだったんですね。“The Crown”もOgiさんとともに作った楽曲とのことですが、多国籍なサウンド感ですね。
Takassy これは私がこのアルバムで一番作りたかった曲なんです。何年も前からタンゴがやりたいと思って温めていたので、今回は絶対に入れようと思って。タンゴっぽく作り始めたらラテンっぽくもなったので、結局いろいろな音楽がミックスされて多国籍な感じになったのかなと思います。ただ、サビは絶対にヒップホップにしたいと思っていて。作っていても楽しかった曲ですね。
Kamus “The Crown”はこのアルバムの中で一押しと言っても過言ではない曲ですね。この間雨だったんですけど、仕事が終わってみんなと別れて帰った時に、傘をうっかり忘れたことに気付いたんです。そんな時でも、雨の中でこれを聴きながら帰ると浸れてちょうどいいんですよ。(笑) 音やリズムがすごく情熱的なラテンの感じなんですけど、その中にも冷たい情熱というか、冷めた何かがあるというか。とにかく雨に濡れながら帰っても「この曲が気持ちいい」と思うくらい浸れる曲だなと思います。あと、HIDEKiSMの高音がすごく映えるなと思ったんです。“Toxygen”もそうなんですけど、高音だったり声色の変え方がすごく気持ちいいなと。やっぱり女優だなって。(笑)
HIDEKiSM 女優じゃなくて、大女優ね。(笑)
Kamus あぁ、ごめんなさい。(笑) 大女優なので、サビとかの聴きごたえがすごくあって。初めて聴いた時、「この曲めっちゃ好き!」ってすぐに返信した記憶があります。
Takassy 不思議。(笑)
HIDEKiSM 私はこれを最初聴いた時は、「好きそ~」みたいな。(笑)
Takassy 「好きそ~」ってLINEが来たもん。他人事かよ。(笑)
HIDEKiSM ただこの曲は自分の中ではまだ完成していないと思っていて。ライブとかパフォーマンスも踏まえて完成だと自分の中では思っているので、パフォーマンスが楽しみですね。
Takassy リリックビデオを作る予定なんですけど、それを作ったらHIDEKiSMさんもしっくりくるんじゃないかな。
HIDEKiSM そうかもね。視覚的に楽しみたい曲かなと思っているんです。だからリリックビデオしかりだし、ライブしかりだし、衣装や映像の世界観を見ていただいたら、更に引き込まれる楽曲になるのかなと思います。
Takassy この曲と“PAY ME”と“オワッテンネ”の歌詞が、私の中では今回のアルバムの肝になるメッセージかなと思っているんです。“The Crown”は人の価値観を王冠に例えているんですけど、価値観も自分に合う合わないがあるじゃないですか。元々は椅子をイメージしていたんです。フィットしない椅子に無理やり座らされたり、いらないのに「その椅子に座りなよ」と押し
付けられたり。その歯がゆさみたいなものを王冠に置き換えていて。誰にもそういうことはあると思うんですけど、例えば自分たちだったら「ゲイなのはもったいない」と言われたりとか。でも私たちは「もったいない」とは思っていないし。(笑) 結婚についてだったり、音楽をやっていて一般の仕事につかなかったことに対しても価値観を押し付けられたり。誰でもそういうことってあると思うんですけど、そんなことを書いています。なので、この3曲ではっきり物を言っている感じですね。
■7月からは6大都市ツアーが始まりますが、どんなものにしたいと考えていますか?
Kamus 去年もツアーをやらせていただいたんですが、その時はおかげさまで全てソールドアウトになったんです。なので、今年ももちろんソールドアウトしたいですし、今回のツアーが我々の「ベーシック」になると思うので、初めて来た人もこのライブを見て「エンガブって面白い、カッコいい」と思ってもらえるような基盤を作ることを意識してセットリストを組んでいこうかなと思っています。初めての人にも楽しんでもらえて、今までを知ってくれている方たちにもカッコいいところを見せられるようなライブにしたいです。
HIDEKiSM 前回の5大都市ツアーは、私たちとしても大成功できたんじゃないかと思っているんですけど、やっぱりそれを超えたいなと感じていて。今回のアー写通りのモードでシックでおしゃれな部分も見せつつ、みなさんに楽しんでいただけるエンターテインメントを作りたいなと思っています。とにかく「前回よりも今回の方が楽しかったね」と言わせたいです。
Takassy この前、大阪と名古屋でイベントに出演させていただいたんですけど、久しぶりの対バンだったので、燃え方が3人とも普段と違ったんですよね。鬼気迫る感じがあって、それが面白くて。それは見ている方たちにも伝わったみたいで、初めて見てくださった方がSNSに「エンガブって人たち初めて見たけど、面白かった」って書いてくれていたんです。その時に私たちのファンのGAViiが、まるで餌を見つけた獣のように一斉にリプしていたんですよ。(笑) 「エンガブちゃんのことをよく言ってくれてありがとうございます!」って。なんかプチ炎上みたいになっちゃっていて……。(笑) その人もびっくりしちゃって、でもいちいち返信してくださっていたんです。それがすごく面白かったし、嬉しかったんですよね。GAViiがそういうことをやってくれるのは、私たちがイベントの時に自信を持ってオススメできるようなステージを見せられたからだと思いますし。前回のツアーはまだまだ名前が売れているわけではない中でもソールドアウトになったので、「エンガブのYouTubeは面白いけど、ライブはどんなものだろう?」と様子見で来た方たちも多かったと思うんです。なので、今回が本番だと思っています。前回のリピートで来ていただいた方は本当のファンになってもらえると思うし、今回のツアーで見せるものにファンの人たちが納得してくれたら、またハイエナのようにどんどん広めてもらえると思うんですよね。応援してくれているファンの人たちが自信を持って自慢できる存在でありたいと思うので、今回はそれを念頭に置いて、ファンの人たち全員を納得させられるようなパフォーマンスをしたいと思っています。
Interview & Text:村上麗奈
PROFILE
それぞれが違うフィールドで活躍したのち、2017年3月よりユニットでの活動を開始した「ENVii GABRIELLA」は、Takassy(タカシ)、HIDEKiSM(ヒデキズム)、Kamus(カミュ)からなる、まさに唯一無二、最強オネエ・ユニット。“動画で楽しむ新宿二丁目”をコンセプトに、同年よりスタートさせたYouTubeチャンネル「スナック・ENVii GABRIELLA」が話題をよび、現在に至るまで約20万人のチャンネル登録者数を保有しており、今なお物凄いスピードにてファンを増やし続けている。また、メインとしている音楽活動では、YouTubeチャンネルで見られるお茶目な素顔からは想像できない圧倒的なヴォーカル、3人の息の合ったダンスパフォーマンス、さらにトレードマークである、ピンヒールを着用しての華麗なパフォーマンスも大きな話題となっている。
https://engab.jp/
RELEASE
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KING RECORDS
6月28日 ON SALE